2015年11月23日
“ブラックバイト” 被害
違法な長時間労働や残業代の未払など、過酷な労働環境で働かされる“ブラックバイト”のトラブルが後を絶たない。人呼んで「ブラックバイト」。非正規雇用が拡大する今、これは他人事でない。
”ブラックバイト”が話題
ブラックバイトとは、学生が学生らしい生活を送れなくしてしまうアルバイトのことです。
違法な長時間労働などをさせ、入社することを勧めることのできない「ブラック企業」になぞらえて命名されています。
具体的には、「契約や希望を無視してシフトを組まれる」「試験前も休ませてくれない」「厳しいノルマを課される」など。ブラックバイトが横行する背景には、企業が非正規雇用の比率を高める中で、正社員が行っていた業務をアルバイトに肩代わりさせるようになったことがあると見られています。
正社員並みに働かせられることによって学業に支障をきたしてしまったり、シフトを一方的に決められることによって授業や課外活動に参加できなくなってしまったりするケースが増えてきています
このようなブラックバイトでは、違法行為が存在している可能性も高くなっています。例えば、サービス残業をさせられる、休憩時間が与えられない、ノルマの未達成を理由に商品を買い取らされる、上司によるパワハラ・セクハラがある、などです。
”ブラックバイト”の背景
それでは、なぜこうした「ブラック」な学生アルバイトが増加してきたのでしょうか?
それは、パートやアルバイト、派遣などの非正規雇用に頼る会社が増えてきたことが関係しています。つまり、人件費の削減のために、かつては正社員だけがやっていたような責任の重い仕事が学生アルバイターのような低賃金の非正規雇用労働者にも押し付けられるになってきたのです。これを、「非正規雇用の基幹化」と言います。
とりわけ、フルタイムで働くフリーターの増加は、学生アルバイトの位置づけを大きく変えました。学生アルバイターも、ある意味彼らを「お手本」として働かざるをえなくなったのです。
学費の高騰、仕送り額の減少、奨学金制度の不備などによって、多くの学生は、バイトの収入がなければ学生生活を送ることが困難な状況にあります。
「たかがバイトだから」と言って簡単に辞めることも難しくなってきているのです。こうした学生の状況につけ込み、学生アルバイターに正社員並みの義務やノルマを課したり、違法な労働をさせたりする企業が増加しています。学生の責任感の強さを利用してあえて重い責任の仕事を与えたり、職場での人間関係を密にしてバイト先を学生にとって学校以上の「居場所にしたり」といったことが意図的に行われている場合もあります。
(ブラックバイトユニオンHPを参照)
今や学生にとってアルバイトは単なる「小遣い稼ぎ」ではないのです。
授業料の値上げや仕送りの減少などの事情で、働かないと学業を続けられない学生は多いからです。
ある学生は、家庭の経済的な事情から、学費と交通費以外は自分で稼ぐよう親に言われている。郊外の自宅から大学まで片道約2時間。帰りの電車を考えるとバイト先は自宅近くに限られますが、郊外で夜に働ける職場は多くないと言う。
店は人手不足で、勉強したい日も駆り出されます。ほかのバイトが急に辞めたために残った人で対応したら、レジが混雑し、来店客から怒られたそうです。それがトラウマになって、「勝手に辞めたらほかの人に迷惑がかかる」。不満を抱えつつ、いまも働いています。
バイト先がブラックでも耐え忍んでお金を稼いでいる、という窮状があるのです。
会社は学生のそうした足元を見透かすような形で、アルバイトを正社員並みにこき使い、人件費を節約しているのが実態です。
”ブラックバイト”被害
厚生労働省が行った初の実態調査では、8〜9月、週1日3カ月以上のアルバイト経験のある18〜25歳の大学生、院生らを対象に実施。千人から回答を得た。経験したアルバイトは延べ1961件で、業種はコンビニエンスストア、学習塾、スーパーなどが多かった。
調査によると、このうち605人(計946件)が「労働条件でトラブルがあった」と回答。トラブルの種類(複数回答)では「採用の際に合意した以上のシフトを入れられた」(14.8%)、「急なシフト変更を命じられた」(14.6%)などが上位を占め、178人が「学業に支障が出た経験がある」とした。準備時間の賃金が支払われない、労働時間が6時間を超えても休憩がないなど、労働基準法違反の疑いがあるケースも確認された。
労基法やその施行規則は、賃金などの労働条件を書面で示して交付するよう使用者に義務付けているが、書面を渡されたのは41.3%。一方、口頭でも具体的な説明がなかったケースは19.1%あった。
調査からは、学生が相談相手に困っている実態も浮かんだ。アルバイト先での問題の相談先は「友人・知人」(32%)が最も多かったが、「何もしなかった」が10.1%で、行政機関などの窓口に相談した割合は1.6%にとどまった。
”ブラックバイト”が多い業種
業種を見てみると、「接客業」、「教育(塾・家庭教師)」、「事務」、「エンジニア」、「リゾートバイト」などが挙げられた。今回の調査では、「接客業」と「教育(塾・家庭教師)」でのブラックバイト経験が高くなっており、調査対象が学生であることから、学生がアルバイトをしやすい業種で経験者が多く見られた。
一方で、他業種でも経験者がいたこともあり、ブラックバイトは特定の業種に限った問題でないこともわかった。
しかしブラックバイトに遭うのは学生にとどまらない。
「レジの違算金を弁償させられる」(コンビニ店、30才女性)。
「パワハラに遭いノイローゼとなったが『ヒーロー役をさせてあげるから』と辞めさせてくれなかった。
「暴力行為や宗教の勧誘もあった」(キャラクターショー出演者、29才男性)など、社会人が被害を訴える事例もある。
例えばレジの違算金や、皿を割るなど、業務上一般的に起こりうる損害を労働者が弁償する必要はない。
仮に損害額が高額でも、会社に言われるままに全額を弁償する必要もない。
ところが世間を知っているはずの大人でも、アルバイトの現場ではこうした知識を知らず、また対処方法も分からないばかりに、容易にブラックバイトの餌食になる可能性があるのです。
ブラックバイトによる被害をなくすには
ブラック企業対策プロジェクトでは、ブラックバイトに直面してしまったとき、どんなトラブルにも共通する合言葉。
【4つの合言葉】
1、会社の言うことを鵜呑みにしない!
2、あきらめない!自分を責めない!
3、困ったらすぐ専門家に相談しよう!
4、証拠・メモを残そう!
以上4つを紹介しています。
ブラックバイトで特に注意が必要なのは、「労働時間」です。
無理なシフトを強要されている、ほとんど休みがない、というのはブラックバイトとして扱われる可能性があります。
学生に限らず労働時間の強要から、心も体も限界が来ていて、辞めたいと思ったときは、最寄りのハローワークか、ブラックバイトの相談に乗ってくれる団体に、きちんと相談すると良いでしょう。
他に解決方法があるとしたら、学生やフリーターに労働基準法などの法律知識を付けさせることも重要です。
アルバイトが労働法の知識を得れば、使用者がおかしいことをしているときに気づくことが可能です。
でも、率直に言って、これは現実的では無いでしょう。アルバイトが自発的に労働法を学ぶなんて、考えにくいですからね。
政府などが主導して学ぶ機会を作る事も考えられますが、学ぶ気が無い人に勉強をさせるのはかなり難しいことです。
もちろん自分達を守るために、学んだほうが良いとは思います。
厚生労働省は、来月(12月)から全国で労働関係の法律の知識を解説する学生や教員向けのセミナーを開くなど、対策を進めることにしています。
国、地方自治体、学校で相談窓口を充実させるなど実効性のある対策と、業界ごとの特性に応じた積極的な是正指導が必要ですね。
”ブラックバイト”が話題
ブラックバイトとは、学生が学生らしい生活を送れなくしてしまうアルバイトのことです。
違法な長時間労働などをさせ、入社することを勧めることのできない「ブラック企業」になぞらえて命名されています。
具体的には、「契約や希望を無視してシフトを組まれる」「試験前も休ませてくれない」「厳しいノルマを課される」など。ブラックバイトが横行する背景には、企業が非正規雇用の比率を高める中で、正社員が行っていた業務をアルバイトに肩代わりさせるようになったことがあると見られています。
正社員並みに働かせられることによって学業に支障をきたしてしまったり、シフトを一方的に決められることによって授業や課外活動に参加できなくなってしまったりするケースが増えてきています
このようなブラックバイトでは、違法行為が存在している可能性も高くなっています。例えば、サービス残業をさせられる、休憩時間が与えられない、ノルマの未達成を理由に商品を買い取らされる、上司によるパワハラ・セクハラがある、などです。
”ブラックバイト”の背景
それでは、なぜこうした「ブラック」な学生アルバイトが増加してきたのでしょうか?
それは、パートやアルバイト、派遣などの非正規雇用に頼る会社が増えてきたことが関係しています。つまり、人件費の削減のために、かつては正社員だけがやっていたような責任の重い仕事が学生アルバイターのような低賃金の非正規雇用労働者にも押し付けられるになってきたのです。これを、「非正規雇用の基幹化」と言います。
とりわけ、フルタイムで働くフリーターの増加は、学生アルバイトの位置づけを大きく変えました。学生アルバイターも、ある意味彼らを「お手本」として働かざるをえなくなったのです。
学費の高騰、仕送り額の減少、奨学金制度の不備などによって、多くの学生は、バイトの収入がなければ学生生活を送ることが困難な状況にあります。
「たかがバイトだから」と言って簡単に辞めることも難しくなってきているのです。こうした学生の状況につけ込み、学生アルバイターに正社員並みの義務やノルマを課したり、違法な労働をさせたりする企業が増加しています。学生の責任感の強さを利用してあえて重い責任の仕事を与えたり、職場での人間関係を密にしてバイト先を学生にとって学校以上の「居場所にしたり」といったことが意図的に行われている場合もあります。
(ブラックバイトユニオンHPを参照)
今や学生にとってアルバイトは単なる「小遣い稼ぎ」ではないのです。
授業料の値上げや仕送りの減少などの事情で、働かないと学業を続けられない学生は多いからです。
ある学生は、家庭の経済的な事情から、学費と交通費以外は自分で稼ぐよう親に言われている。郊外の自宅から大学まで片道約2時間。帰りの電車を考えるとバイト先は自宅近くに限られますが、郊外で夜に働ける職場は多くないと言う。
店は人手不足で、勉強したい日も駆り出されます。ほかのバイトが急に辞めたために残った人で対応したら、レジが混雑し、来店客から怒られたそうです。それがトラウマになって、「勝手に辞めたらほかの人に迷惑がかかる」。不満を抱えつつ、いまも働いています。
バイト先がブラックでも耐え忍んでお金を稼いでいる、という窮状があるのです。
会社は学生のそうした足元を見透かすような形で、アルバイトを正社員並みにこき使い、人件費を節約しているのが実態です。
”ブラックバイト”被害
厚生労働省が行った初の実態調査では、8〜9月、週1日3カ月以上のアルバイト経験のある18〜25歳の大学生、院生らを対象に実施。千人から回答を得た。経験したアルバイトは延べ1961件で、業種はコンビニエンスストア、学習塾、スーパーなどが多かった。
調査によると、このうち605人(計946件)が「労働条件でトラブルがあった」と回答。トラブルの種類(複数回答)では「採用の際に合意した以上のシフトを入れられた」(14.8%)、「急なシフト変更を命じられた」(14.6%)などが上位を占め、178人が「学業に支障が出た経験がある」とした。準備時間の賃金が支払われない、労働時間が6時間を超えても休憩がないなど、労働基準法違反の疑いがあるケースも確認された。
労基法やその施行規則は、賃金などの労働条件を書面で示して交付するよう使用者に義務付けているが、書面を渡されたのは41.3%。一方、口頭でも具体的な説明がなかったケースは19.1%あった。
調査からは、学生が相談相手に困っている実態も浮かんだ。アルバイト先での問題の相談先は「友人・知人」(32%)が最も多かったが、「何もしなかった」が10.1%で、行政機関などの窓口に相談した割合は1.6%にとどまった。
”ブラックバイト”が多い業種
業種を見てみると、「接客業」、「教育(塾・家庭教師)」、「事務」、「エンジニア」、「リゾートバイト」などが挙げられた。今回の調査では、「接客業」と「教育(塾・家庭教師)」でのブラックバイト経験が高くなっており、調査対象が学生であることから、学生がアルバイトをしやすい業種で経験者が多く見られた。
一方で、他業種でも経験者がいたこともあり、ブラックバイトは特定の業種に限った問題でないこともわかった。
しかしブラックバイトに遭うのは学生にとどまらない。
「レジの違算金を弁償させられる」(コンビニ店、30才女性)。
「パワハラに遭いノイローゼとなったが『ヒーロー役をさせてあげるから』と辞めさせてくれなかった。
「暴力行為や宗教の勧誘もあった」(キャラクターショー出演者、29才男性)など、社会人が被害を訴える事例もある。
例えばレジの違算金や、皿を割るなど、業務上一般的に起こりうる損害を労働者が弁償する必要はない。
仮に損害額が高額でも、会社に言われるままに全額を弁償する必要もない。
ところが世間を知っているはずの大人でも、アルバイトの現場ではこうした知識を知らず、また対処方法も分からないばかりに、容易にブラックバイトの餌食になる可能性があるのです。
ブラックバイトによる被害をなくすには
ブラック企業対策プロジェクトでは、ブラックバイトに直面してしまったとき、どんなトラブルにも共通する合言葉。
【4つの合言葉】
1、会社の言うことを鵜呑みにしない!
2、あきらめない!自分を責めない!
3、困ったらすぐ専門家に相談しよう!
4、証拠・メモを残そう!
以上4つを紹介しています。
ブラックバイトで特に注意が必要なのは、「労働時間」です。
無理なシフトを強要されている、ほとんど休みがない、というのはブラックバイトとして扱われる可能性があります。
学生に限らず労働時間の強要から、心も体も限界が来ていて、辞めたいと思ったときは、最寄りのハローワークか、ブラックバイトの相談に乗ってくれる団体に、きちんと相談すると良いでしょう。
他に解決方法があるとしたら、学生やフリーターに労働基準法などの法律知識を付けさせることも重要です。
アルバイトが労働法の知識を得れば、使用者がおかしいことをしているときに気づくことが可能です。
でも、率直に言って、これは現実的では無いでしょう。アルバイトが自発的に労働法を学ぶなんて、考えにくいですからね。
政府などが主導して学ぶ機会を作る事も考えられますが、学ぶ気が無い人に勉強をさせるのはかなり難しいことです。
もちろん自分達を守るために、学んだほうが良いとは思います。
厚生労働省は、来月(12月)から全国で労働関係の法律の知識を解説する学生や教員向けのセミナーを開くなど、対策を進めることにしています。
国、地方自治体、学校で相談窓口を充実させるなど実効性のある対策と、業界ごとの特性に応じた積極的な是正指導が必要ですね。