2015年12月20日
「びっくりぽんや!」
前回コラムは、「安心してください 被ってますよ」でした。
今年の新語・流行語大賞で、年間大賞は逃したもののトップテンに入った『安心してください、穿いてますよ。』
コラムの読者で知らない方はいないでしょうね。
「とにかく明るい安村さん」のお笑いネタですね。
フレーズは似ておりますが、
ローディ(ロードバイク乗り)が被る「ヘルメット」について紹介しました。
さて今回は、「びっくりぽんや!」です。
朝ドラヒロインの口癖ではありませんよ!
“同じ場所にとどまるためには、力の限り走り続けなければならない”
ルイス・キャロル作の「鏡の国のアリス」において、チェスの赤の女王(Red Queen)が発したセリフです。
進化論における「赤の女王仮説」の由来にもなり、種や遺伝子が生き残るためには、周囲の生物が進化して生ずる環境変化に対応し、進化し続けなければならないという意味で使われています。
生き物の進化は、目に見えるようなスピードでは進みませんが、機械や電器、電子製品などは日進月歩、どんどん新しくて便利なものが生まれてきます。
ロードバイクの世界でも、これまでフレームやホイールへのカーボン素材の利用など、幾つかのエポックメーキングな出来事があり、進化のプロセスを歩んできました。
今年はどうであったかというと、革新的と言える進化が二つありました。その一つは『ケーブルステルス・バイク』です。
アメリカン・ビックスリーの一角、トレックが発売したMADONE 9というロードバイク。ケーブルレスではなく、ブレーキやシフトチェンジのためのケーブルはあるのですが、ハンドル周りにはケーブル/ワイヤーの類がまったく発見できません!
ハンドルにはブレーキとシフトチェンジのためにSTIレバー(角のような出っ張り)が付けられていて、そこから左右2本ずつのケーブルが生えています。これまで、そのケーブルをハンドルの中に通す形状のものはありましたが、ここまで徹底的に隠し通した構造は初めてです。
ケーブル類を内蔵したことで空気抵抗を減らせるのですが、さらにフロントブレーキもフォークと一体化させて、空気抵抗を極限まで抑えました。ただ、これではケーブルの取り回しスペースがないので、ハンドルを切るとヘッドチューブのサイドのカバーがパカッと開くというギミックが仕込まれています。
今年のツール・ド・フランスに投入されたトップレンジのロードバイクですが、そのお値段もまた、びっくりぽんです。
もう一つの進化は、『ワイヤレス・ギア変速機』です。
自転車のシフトチェンジは、レバーを押したり引いたりしてワイヤーの引っ張り加減で行うものですが、ここ数年は、電動化=モーターの力でギアチェンジするディレーラー(ギア変速機)が徐々に市民権を得てきていました。クルマのパドルシフトやアクセルなどに用いられている「バイ・ワイヤー」と呼ばれる技術と一緒で、機械的な動きではなく電気信号で行う仕組みですね。
ただ、バイ・ワイヤーであっても、レバー(=スイッチ)とモーター/バッテリーをつなぐ電線というワイヤーは存在していたのですが、今年になって、コンポーネント・メーカーのスラムが、STIレバーとディレーラーの間を無線交信でつないだギア変速システムを開発し、発売したのです。
街にはWi-FiやBluetoasbkなどの様々な電波が飛び交っていますが、それらと混信しないよう独自の通信規格が採用されています。
これで、ディレーラーのポン付け(といっても取付調整は必要)が可能になりました。
シマノやカンパニョーロの後塵を拝するスラムですが、ワイヤレス・コンポの製品化によって、技術的にはちょっぴり抜きん出たポジションを獲得できたのではないでしょうか。
残されたのはブレーキのワイヤレス化ですが、これは相当ハードルが高そうですね。
『誰ぞ、びっくりぽんな仕掛けを講じてくれはりませんか?』
次週は、ついに「ロードバイク編」最終回です。
お楽しみに
電動アシスト自転車は、EUでの需要が突出しており、全体の約6割を占めている。 日本では製品認知度の向上と、モーターによる補助比率の上昇、幼児二人乗車の解禁といった法律の改正が行われたことなどを背景に、市場は拡大している。その他では、韓国、台湾などを中心に需要が拡大している。
◆主な電動アシスト自転車関連銘柄
[3333]あさひ
[5108]ブリヂストン
[6752]パナソニック
[7272]ヤマハ発動機
今年の新語・流行語大賞で、年間大賞は逃したもののトップテンに入った『安心してください、穿いてますよ。』
コラムの読者で知らない方はいないでしょうね。
「とにかく明るい安村さん」のお笑いネタですね。
フレーズは似ておりますが、
ローディ(ロードバイク乗り)が被る「ヘルメット」について紹介しました。
さて今回は、「びっくりぽんや!」です。
朝ドラヒロインの口癖ではありませんよ!
“同じ場所にとどまるためには、力の限り走り続けなければならない”
ルイス・キャロル作の「鏡の国のアリス」において、チェスの赤の女王(Red Queen)が発したセリフです。
進化論における「赤の女王仮説」の由来にもなり、種や遺伝子が生き残るためには、周囲の生物が進化して生ずる環境変化に対応し、進化し続けなければならないという意味で使われています。
生き物の進化は、目に見えるようなスピードでは進みませんが、機械や電器、電子製品などは日進月歩、どんどん新しくて便利なものが生まれてきます。
ロードバイクの世界でも、これまでフレームやホイールへのカーボン素材の利用など、幾つかのエポックメーキングな出来事があり、進化のプロセスを歩んできました。
今年はどうであったかというと、革新的と言える進化が二つありました。その一つは『ケーブルステルス・バイク』です。
アメリカン・ビックスリーの一角、トレックが発売したMADONE 9というロードバイク。ケーブルレスではなく、ブレーキやシフトチェンジのためのケーブルはあるのですが、ハンドル周りにはケーブル/ワイヤーの類がまったく発見できません!
ハンドルにはブレーキとシフトチェンジのためにSTIレバー(角のような出っ張り)が付けられていて、そこから左右2本ずつのケーブルが生えています。これまで、そのケーブルをハンドルの中に通す形状のものはありましたが、ここまで徹底的に隠し通した構造は初めてです。
ケーブル類を内蔵したことで空気抵抗を減らせるのですが、さらにフロントブレーキもフォークと一体化させて、空気抵抗を極限まで抑えました。ただ、これではケーブルの取り回しスペースがないので、ハンドルを切るとヘッドチューブのサイドのカバーがパカッと開くというギミックが仕込まれています。
今年のツール・ド・フランスに投入されたトップレンジのロードバイクですが、そのお値段もまた、びっくりぽんです。
もう一つの進化は、『ワイヤレス・ギア変速機』です。
自転車のシフトチェンジは、レバーを押したり引いたりしてワイヤーの引っ張り加減で行うものですが、ここ数年は、電動化=モーターの力でギアチェンジするディレーラー(ギア変速機)が徐々に市民権を得てきていました。クルマのパドルシフトやアクセルなどに用いられている「バイ・ワイヤー」と呼ばれる技術と一緒で、機械的な動きではなく電気信号で行う仕組みですね。
ただ、バイ・ワイヤーであっても、レバー(=スイッチ)とモーター/バッテリーをつなぐ電線というワイヤーは存在していたのですが、今年になって、コンポーネント・メーカーのスラムが、STIレバーとディレーラーの間を無線交信でつないだギア変速システムを開発し、発売したのです。
街にはWi-FiやBluetoasbkなどの様々な電波が飛び交っていますが、それらと混信しないよう独自の通信規格が採用されています。
これで、ディレーラーのポン付け(といっても取付調整は必要)が可能になりました。
シマノやカンパニョーロの後塵を拝するスラムですが、ワイヤレス・コンポの製品化によって、技術的にはちょっぴり抜きん出たポジションを獲得できたのではないでしょうか。
残されたのはブレーキのワイヤレス化ですが、これは相当ハードルが高そうですね。
『誰ぞ、びっくりぽんな仕掛けを講じてくれはりませんか?』
次週は、ついに「ロードバイク編」最終回です。
お楽しみに
電動アシスト自転車は、EUでの需要が突出しており、全体の約6割を占めている。 日本では製品認知度の向上と、モーターによる補助比率の上昇、幼児二人乗車の解禁といった法律の改正が行われたことなどを背景に、市場は拡大している。その他では、韓国、台湾などを中心に需要が拡大している。
◆主な電動アシスト自転車関連銘柄
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