2016年01月19日
廃棄カツ流出騒動 ここ一番にリリースを発表 CoCo壱番屋
壱番屋にとっては、いい迷惑のこの騒動だが、注目したいのは同社の対応の早さである。
報道によれば、同社のフランチャイジーに勤務するパートがスーパーマーケットで買い物中に発見し、本部に通報したのが今月11日。
その後13日には同社は「産業廃棄物処理業者による、当社製品(ビーフカツ)不正転売のお知らせ」というリリースを発表している。
その間、中一日。
商品が出る前に発覚し、きっちり廃棄処分されたとはいえ、製造段階での異物混入という同社にとってはあまり都合が良くない廃棄理由もきっちり明記したたうえで、不正転売の事実まで辿り着いてのリリースを出している。
常に現場に立ち、自店のあり方に厳しくあった創業者の宗次徳二氏の”ココイチイズム”を体現していると言える。
さらに、不正転売の事実を突き止める迅速な調査力や、期せずして明らかになった「異物混入」の可能性がある場合には全ロット廃棄するという厳しい管理体制もさることながら、数多あるフランチャイジーの1パート従業員の声を本部がきっちりとすくい上げて、即座に調査を行った点も注目したいところだ。
現社長の浜島俊哉氏が19歳のときにアルバイトで入り、宗次氏に認められて社長にまで上り詰めた人物。現場の人間の声を軽視しない姿勢がここにも垣間見える。
ココイチの危機管理が評価される一方で、改めて食品廃棄の問題についても考えさせられた。
日本の食品廃棄率は世界一高い。
そこには完璧な商品の品質を求める消費者と、それに応えようとする企業の姿勢が背景にある。
食品の異物混入がこれだけ社会的に問題になり、企業にとって致命的になる昨今、ココイチがこうしたリスク管理体制を取るのは必然なのだろう。
壱番屋は創業者・宗次氏の下、家族的経営で業績を積み上げてきた会社。
昨年12月1日、ハウス食品はカレーチェーン「CoCo壱番屋」を経営する壱番屋の買収を完了した。その株の大半を創業者一家から取得する円満な子会社化だ(ハウス食品の総取得株式は51%に達した)。
しかし、なぜこのタイミングで買収したのか?
壱番屋はカレーチェーンとしては国内単独トップの規模を誇っており、業績も過去最高潮。2015年5月期連結決算における最終利益は27億円と過去最高を記録している。
創業者・宗次徳二氏はお金に執着しないことで有名。
今回の株譲渡で得た220億円もボランティア活動に充てるそうなので、金額だけが理由と考えるのは早計だろう。すでに66歳で完全引退を考える年齢ですから、育てた会社を資本面から任せられる相手を探していたのだろう。
買収後、ハウス食品の海外展開は加速するだろう。
ハウス食品にとっても子会社化のメリットは大きい。
ハウス食品が壱番屋の企業文化を尊重しないようなら、社員の生産性も低下する恐れがある。企業文化などというと精神論のようですが、実際、モチベーションは欠かせない要素だろう。
壱番屋 (7630) 東証1部
こうした迅速な対応は市場も評価したようで、15日の同社株は前日終値から160円高の5800円となっている。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
報道によれば、同社のフランチャイジーに勤務するパートがスーパーマーケットで買い物中に発見し、本部に通報したのが今月11日。
その後13日には同社は「産業廃棄物処理業者による、当社製品(ビーフカツ)不正転売のお知らせ」というリリースを発表している。
その間、中一日。
商品が出る前に発覚し、きっちり廃棄処分されたとはいえ、製造段階での異物混入という同社にとってはあまり都合が良くない廃棄理由もきっちり明記したたうえで、不正転売の事実まで辿り着いてのリリースを出している。
常に現場に立ち、自店のあり方に厳しくあった創業者の宗次徳二氏の”ココイチイズム”を体現していると言える。
さらに、不正転売の事実を突き止める迅速な調査力や、期せずして明らかになった「異物混入」の可能性がある場合には全ロット廃棄するという厳しい管理体制もさることながら、数多あるフランチャイジーの1パート従業員の声を本部がきっちりとすくい上げて、即座に調査を行った点も注目したいところだ。
現社長の浜島俊哉氏が19歳のときにアルバイトで入り、宗次氏に認められて社長にまで上り詰めた人物。現場の人間の声を軽視しない姿勢がここにも垣間見える。
ココイチの危機管理が評価される一方で、改めて食品廃棄の問題についても考えさせられた。
日本の食品廃棄率は世界一高い。
出典:平成25年9月 食品ロス削減に向けて - 農林水産省資料より
日本の食品廃棄量が世界でも1、2位を争うほど高い。政府広報によれば、日本では年間1900万トンの食品廃棄物が出ており、これは世界の7000万人が1年間食べていける量だという。民間の調査では、2700万トンという報告もあるそこには完璧な商品の品質を求める消費者と、それに応えようとする企業の姿勢が背景にある。
食品の異物混入がこれだけ社会的に問題になり、企業にとって致命的になる昨今、ココイチがこうしたリスク管理体制を取るのは必然なのだろう。
壱番屋は創業者・宗次氏の下、家族的経営で業績を積み上げてきた会社。
昨年12月1日、ハウス食品はカレーチェーン「CoCo壱番屋」を経営する壱番屋の買収を完了した。その株の大半を創業者一家から取得する円満な子会社化だ(ハウス食品の総取得株式は51%に達した)。
しかし、なぜこのタイミングで買収したのか?
壱番屋はカレーチェーンとしては国内単独トップの規模を誇っており、業績も過去最高潮。2015年5月期連結決算における最終利益は27億円と過去最高を記録している。
創業者・宗次徳二氏はお金に執着しないことで有名。
今回の株譲渡で得た220億円もボランティア活動に充てるそうなので、金額だけが理由と考えるのは早計だろう。すでに66歳で完全引退を考える年齢ですから、育てた会社を資本面から任せられる相手を探していたのだろう。
買収後、ハウス食品の海外展開は加速するだろう。
ハウス食品にとっても子会社化のメリットは大きい。
ハウス食品が壱番屋の企業文化を尊重しないようなら、社員の生産性も低下する恐れがある。企業文化などというと精神論のようですが、実際、モチベーションは欠かせない要素だろう。
壱番屋 (7630) 東証1部
こうした迅速な対応は市場も評価したようで、15日の同社株は前日終値から160円高の5800円となっている。