警告!! もはや他人事ではない「認知症」
警告!! もはや他人事ではない「認知症」
多くの人が抱いている老後の不安。
保険会社の調査では、自分が「介護状態」「病気やけが」「認知症」になることに対して不安を感じている人は、約8割と多いです。
独身の男女が増えていることなどから、介護が必要になった時に支えてくれる人がいないという悩みも深刻な問題ですね。
1日の報道では、認知症の事件の裁判で家族が賠償責任を負うかが争われた訴訟の判決で、鉄道会社の請求を棄却し家族側の逆転勝訴が確定しました。
「認知症患者を抱える家族がどこまで監督義務を果たすべきか」判決は介護のあり方に今後、影響を与えることでしょう。
民法は、責任能力のない人が第三者に損害を与えた場合、代わりに親などの監督義務者が責任を負うとする一方、監督義務を怠らなければ例外的に免責されると定めています。
その認知症ですが、
認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しです。
厚生労働省は昨年の1月に将来の認知症患者数を推計し、2025年には700万人にのぼるという予測を発表しています。
平成24年8月24日老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室公表資料より参照
認知症とは?
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します。
認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがこの「変性疾患」にあたります。
続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。
出典:認知症サポーター養成講座標準教材
特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク
全国キャラバンメイト連絡協議会作成
しかし、この程度は誰にもあることだし、通常の社会生活が営めなくなることもないだろうから大丈夫でしょう。
また、認知症は、加齢に伴って単に記憶力が衰えたというだけでなく、脳に異常なタンパク質が蓄積する「病気」です。
現在、認知症を治すことはなかなか難しいです。(治るタイプもあります)
急速な高齢化「老老介護」の増加
厚生労働省の平成25年の国民生活基礎調査によると、介護が必要な高齢者がいる世帯のうち、51.2%が「老老介護」世帯だった
平成25年 国民生活基礎調査の概況を参照
認知症が原因で徘徊し、行方不明となった人は平成25年で10332人。届け出が出されていないケースもあるそうです。
実際の行方不明者数はさらに膨らむと言われています。
また、介護する人も介護される人も65歳以上という「老老介護」の増加も忘れてはならない問題です。
厚生労働省:認知症施策の現状についてより参照
老後、突然に一人暮らしになることもあります。一人暮らしの高齢者も増加しています。近隣の方の協力は必要です。しかしトラブルなどを起こしていたケースでは、協力を得にくくなっているかもしれません。
ひとり暮らしの認知症高齢者は、もはや家族だけの問題ではなく、社会全体で共有すべき問題になっています。
国や自治体、警察、地域社会の連携が必要とされています。
深刻に議論し、対策を急がなければならないでしょう。