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2015年10月28日
知ってする!
マイナンバーによるトラブルを避ける

日本に住民票を持つ人全員に12桁の番号を割り振り、税や社会保障の情報を国が管理するマイナンバー制度が施行されて10月で1年です。

昨年の今ごろ全世帯への番号通知の郵送などをめぐり世間をにぎわせましたが、多くの人はマイナンバーを日常的に使う機会はほとんどなく、必要性を感じていないのでは・・・。

ただ、これから年末調整などで勤務先からマイナンバーの提示を求められる場合も増えるため、新たなトラブルの発生も心配されます。


マイナンバー制度に関連する事件

何がどうなっているのか、表面で見えている事以外で「どういうふうに私たちの情報を扱われるのかちゃんと知っておきたい」とそういう思いをお持ちの方いるとかと思います。

既に、マイナンバー制度に関連した様々な話題が世間を騒がせています。マイナンバー制度に関連する海外事例を紹介します。

海外でのケースを参考にしましょう
銀行口座を作られ犯罪に使われる
クレジットカードで作られ引き落とされる
借金をしていることになる
知らない人と結婚していることになっている
自分名義の車が犯罪に使われる
住民票が移転されていて、誰かが住んでいる
印鑑登録されていて色んな契約が交わされている
携帯電話の契約がされていて犯罪に使われる
などなど、様々な悪用のされ方がありますし、アメリカでは毎年数千〜数万人ほどの被害があり、数億円〜数千億円の被害額があるとも言われています。

【海外での事例紹介】
アメリカ連邦司法省の統計によると、2006年2008年ベースで、成りすまし犯罪の被害者が1,170万件にものぼっています。被害総額は、同時期で、1兆7,300億円にもなったそうです。

そこでアメリカでは、こうした「なりすまし被害」対策として、2011年から、軍務や納税、高齢者医療など分野別番号を導入しているのです。

現代では、電子取引やネット取引にも、社会保障番号が使われていくことにより、番号が売買、垂れ流しされ、不法行為に手を染める者の手に渡るなどして、アメリカ社会は、他人の社会保障番号を使った”成りすまし犯罪者天国”と化している、と言われています。

イギリスでも、共通番号制度(国民IDカード制)は、国家が、国民の個人情報を収集するのは、人権侵害に当たるとし、2010年5月に誕生した保守党・自由民主党による新連立政権で、廃止に向かって検討、現在、国民IDカード制は停止中とのことです。

スウェーデンでは、アメリカに次ぐ「なりすまし犯罪者天国」と言われています。

共通番号は、マスターキーを使えば個人のプロファイリングが容易にでき、国家が個人の生活のいかなる場面にも入り込み、追跡できる体制を敷く仕組みであり、人間の尊厳の保障や個人の幸福につながらないとの鋭い指摘があるのです。

韓国ではクレジットカードのカード番号も住民登録番号で一元管理されているのですが、昨年1月、クレジットカード会社3社や銀行口座関連の個人情報約1億400万件が流出し、預金の無事を確認しようと顧客が銀行に殺到する騒ぎとなりました。流出した個人情報の中には朴槿恵(パク・クネ)大統領と推定されるものも含まれていたそうです。

(マイナンバー制度はメリットだけではない!よぴとれ 参照)

マイナンバーによるトラブルを避けるために。

だまされちゃダメ!
日本でも、詐欺グループはマイナンバーを手に入れようと虎視眈々です。

ある新聞記事では、「既にネット上で確認されているのが『マイナンバー占い』。かつて流行した携帯電話占いのように、番号で占うといって個人情報を盗み出そうというものらしい。狙いは女子高生などの若者です。

“素数”などのかっこいいマイナンバーはSNSで自慢しようなどと呼びかける、ノー天気な若者も多い。心配になります。(警察庁関係者の話)

いいオトナは引っかからないと油断しているかもしれないが、“敵”はあの手この手で仕掛けてくる。

マイナンバーは原則一生変わらないわけで、一度入手してしまえば、こちらのものです。

将来的に悪用するため、今からだまされやすい若者を標的にするわけです。

無修整の有料サイトや出会い系サイトでは個人認証にマイナンバーを使うという動きがあって、当然ダダ漏れになる。

マイナンバーの下4ケタがこの数字なら現金プレゼントなんてトラップも、若者なら引っかかるかもしれない。銀行を装った偽メールはもちろんのこと、架空会社の正社員募集で学生からごっそりマイナンバーを集めようなんて悪巧みも耳にしています。

マイナンバーはいずれ預金口座ともヒモ付けされる予定だ。数年後、気づいた時には口座が空っぽなんてことにもなりかねない」といった内容です。

(日刊ゲンダイ10月22日記事:参照)
■むやみにマイナンバーを人に教えない
マイナンバーは非常に大事な個人情報です。番号法では、マイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」と定義づけられており、通常の個人情報(マイナンバーなし)よりも厳格な取り扱い(提供・収集・保管の制限等)が要求されています。マイナンバーは、これまで扱ってきた個人情報(氏名、生年月日、住所など)と同様ではなく、特別な情報という認識を持つことが必要です。

■紛失したら直ちに市町村長に届け出、再交付の申請を行う
個人番号を紛失した場合には、住んでいる市町村長に対し、再交付申請書を提出することで再交付を求めることができます。

■まとめ
これだけ恐ろしい事例があると、マイナンバー制度に対していいイメージは持たれないかもしれません。しかし、このような海外での悪用事例も踏まえ、日本はマイナンバー制度のしくみ作りに取り組んでいます。たとえば、民間企業が個人の識別にマイナンバーを使用することができないなど、アメリカや韓国よりもマイナンバーの適用範囲をぐっと絞っています。

そうはいっても、完全に安心できるというものはありませんよね。

たとえば民間のサービスを受ける際は、不必要にマイナンバーの控えを取られていないか、個人識別にマイナンバーが利用されていないかなど、私たち個人個人としても注意して見ていく必要があるでしょう。