贈与税、最低知っておきたいポイント
贈与税、最低知っておきたいポイント
相続税の増税により、これまで以上に贈与が注目されているのをご存知でしょうか?
財産を渡すよりも生前贈与を利用する方が税金を減らすことができる方法が増えているからです。
贈与税は、
個人が個人から財産をもらった時に、受け取った側にかかる税金です。
「贈与税」は1月1日〜12月31日の1年間にその人が贈与を受けた財産の合計額にかかる税金。お金を持っていて、そのお金をあげる人(贈与者)に税金がかかるのではなく、お金をもらった人(受贈者〕が税金を支払う仕組みです。
そもそも贈与税は、相続税を補完するために存在すると言われています。
相続税と贈与税の違いとは?
相続税…被相続人の死亡によって相続により生じた財産に課される税金。
贈与税…個人の贈与により生じた財産に課される税金。
※会社から財産を取得した場合には、所得税が課されます。 贈与税は、個人が個人から財産をもらった場合に財産をもらった人が課税されます。
贈与税の非課税財産とは何か
贈与税の非課税財産とは、他人に財産をプレゼントしても、贈与税が課されない財産のことです。
何が非課税財産となるかは税法で定められていますか、社会の常識に照らして、通常の生活の範囲内だから贈与税を課すのはおかしいとか、そのような感覚で決められています。
贈与税、最低知っておきたい3ポイント
1、非課税財産
相続税法では、贈与税の非課税財産を12項目定めています。
これらの贈与を同時に受けても、要件さえ満たしていれば贈与税を払う必要はありません。
種類 | 内容 |
法人からの贈与により取得した財産 | 贈与税の納税義務者は、原則として個人に限定 贈与税は非課税だが、所得税の一時所得として課税 |
扶養義務者間で生活費や教育費のための贈与財産 | 通常必要と認められる金額 |
公益事業用の財産 | 公益を目的とする事業を行う人が贈与によって取得した財産で、公益事業に使われるもの。民間の公益事業の保護育成を図ることから |
特定公益信託かた支給された奨学金等 | 一定の要件に当てはまるもの |
心身障害者扶養共済制度に基づく給付金受給権 | 全額非課税 |
公職選挙の候補者が贈与により取得した財産 | 国会議員、地方議会議員、知事、市町村長の選挙に関し、公職選挙法の規定により報告されたもの |
特別障害扶養信託契約に基づく信託受益権 | 信託財産の価額のうち、6000万円までの部分 |
社交上必要と認められる香典等 | 香典、花輪代、盆暮のお中元やお歳暮、お祝金、お見舞金などで、社会通念上相当と認められるもの |
直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金 | 一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの |
直系尊属から一括贈与を受けた教育資金 | 一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの |
直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金 | 一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの |
相続開始の年に被相続人から贈与を受けた財産 | 贈与税ではなく相続税が課税される |
日常生活で関係するのは以下の5項目です。
(1) 親子兄弟などの扶養義務者から受ける生活費・教育費
(2) 香典、お祝い、お見舞い、お中元・お歳暮、お年玉など
(3) 一定要件をみたす教育資金1500万円
(4) 一定要件をみたす結婚資金1000万円
(5) 一定要件をみたす住宅取得資金700万円
ただし(3)(4)(5)については自ら申告しない限り非課税の適用はありませんので、要注意です。
2、基礎控除
贈与税の基礎控除は年間110万円です。
例えば、夫が妻へ誕生日に指輪を贈ったり、息子にお祝いとして親が車をあげたり、また恋人同士がプレゼントを贈ったりしたとします。
これらは贈与にあたり、このとき、お金や物をあげた (贈与した)人は「贈与者」、お金や物をもらった人は「受贈者(もらう人)」と呼ばれます。
贈られたお金や物が110万円の基礎控除額を超えると、もらった人(受贈者)に贈与税がかかります。上の例ですと、指輪をもらった妻、車をもらった息子、プレゼントを贈られた恋人に、税金がかかることになります。
もらう人(受贈者)単位ですので、仮に父から100万円、母から100万円の贈与を受けていた場合は合計200万円で、非課税にはなりません。
この場合は、200万円−110万円=90万円が贈与税の課税対象となり、贈与税額は9万円となります。
この場合の例の税率は10%ですが、必ずしも10%ということではなく、累進税率ですので財産が増えれば税率は55%までどんどん上がっていきます。
3、申告方法
贈与を受けた年の翌年3月15日までに住所地の税務署に贈与税の申告書を提出し、近くの金融機関で納付することになります。うっかり期限を過ぎてしまうと加算税や延滞税がかかる場合があるので注意しましょう。
贈与税には細かい規定が多数ありますが、ものすごくざっくり言うと「得したなぁ」と感じた場合はだいたい「みなし贈与」に当たります。
「みなし贈与」とは贈与したという認識がないにも関わらず贈与税を支払わなければいけないという事態もありえるため、相続税対策を検討する上では押さえておかなければならない知識です。
もし、「みなし贈与」に贈与税が課税された場合、通常の倍以上の税金が発生するという事も起こりえますので、知らなかったでは済まされません。
自分たちの行っていることが、みなし贈与などにあたっていないかどうか、よく注意しましょう。
民法上の贈与ではないが贈与税がかかる場合
しかし実務上は、贈与のつもりがなかったのに「贈与税の対象になるケース」が多いのでこちらの方により注意が必要です。
これらは形式的には売却であったり購入であったり、贈与以外の法律行為ではありますが、経済的効果が「贈与と同様」ということで贈与税の対象になります。
例えば以下のような場合です。
(1) 親から相場よりも安く不動産を購入した場合
(2) 親に借金の肩代わりをしてもらった場合(その後親に返していればOK)
(3) 無利息で借りた場合の利息相当額
(4) 不動産を共有名義にした場合で、持ち分とお金の負担割合が異なる場合
また、贈与税は相続税を補完する位置づけにあり、税率が非常に高いため、非課税枠や措置をうまく利用し、税額を抑えるようにしたいものです。
わからないときは、きちんと専門家の人に相談することが一番の近道だと思います。