年末調整におけるマイナンバーの取扱い
年末調整におけるマイナンバーの取扱い
控除証明書などがそろそろ手元に届き始めたころでしょう。
給与総額が確定する年末、納税額を計算し直し、源泉徴収分との差額を還付または徴収するのが年末調整です。(年収2000万円超の給与所得者は対象外)
11月から12月にかけて勤務先から「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」が配布されます。
これは所得税などに関係する手続きなので、税制にも適用されるマイナンバー制度と密接に関わってきます。
ここでは制度導入にあたって年末調整に加わる変更や注意点についてを紹介しよう。
今年からは扶養控除の申告書にマイナンバーが求められます。
サラリーマン(給与所得者)は毎月の給与から所得税を源泉徴収されていますが、これはあくまで概算です。
給与から年金保険料や健康保険料などを差し引いた額を国税庁の「源泉徴収税額表」に照らして機械的に税額を算出しており、途中で扶養家族が増減してもすぐに税額には反映されません。
年末調整で新たにマイナンバーが必要になる書類とは?
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
配偶者控除や扶養控除、障害者控除などの控除を受けるための書類で、氏名や続柄、家族状況、その年の間の所得の見積額などを記入します。
配偶者が働いていれば年収見込み額や、扶養する子ども、親などを書く。今年からマイナンバーが求められるので、手元にあるマイナンバーの通知カードなどで確認してください。配偶者や子どものマイナンバーも必要です。
配偶者特別控除を受けるため必要な書類。配偶者の氏名をはじめ、給与所得や事業所得など所得の内訳を記入し、自分で配偶者特別控除額までを記入する書類です。マイナンバー制度が導入されると、この書類にもマイナンバーの記載が必要になります。
配偶者が働いていて収入が「103万円超、141万円未満」の人は配偶者特別控除申告書を使います。
保険料控除申告書
1年間に支払った保険料を控除できます。保険会社から9月中旬以降、順次「保険料控除証明書」が郵送されてくる。契約者は配偶者でも、保険料を負担していれば控除を受けられます。
保険料控除申告書は先ほどの配偶者特別控除申告書と一緒になっており、「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」の右側が保険料控除申告書です。
同じくマイナンバー制度の導入でマイナンバーの記載が必要になります。
※20歳以上の子どもの国民年金保険料を支払っている場合は、社会保険料控除が受けられます。また、勤務先に企業年金制度がなく、個人型確定拠出年金(DC)に加入している会社員は、年間の掛け金の全額を所得から控除できます。
住宅借入金等特別控除申告書
年末調整の書類で唯一マイナンバーの記載が要らない書類が「住宅借入金等特別控除申告書」です。住宅借入金等特別控除を受けるために必要な書類となります。
マイナンバー制度導入後も年末調整に必要な書類には含まれますが、実務上は事業者も従業員もこれまでと同じ取り扱いで問題ありません。
初年度の確定申告後に税務署からもらった書類と、「住宅借入金等特別控除申告書」に必要事項を記入し、銀行などから送られてきた残高証明書を添付して提出します。
※減税額は通常、年末の借入残高の1%ですが、借り換えをしたという人は要注意です。
銀行に支払う手数料などを借入額に含めたために当初の残高より新たな借入額が膨らんだ場合、減税額は年末残高の1%にはなりません。借り換え時点の当初の残高を、新たな借入額で割った比率を1%に掛けて算出します。
医療費控除や寄付金控除などは年末調整ではできないので、年明けに確定申告をすることになります。
その際は領収書が必要になるため、いまから準備しておきましょう。
また、通知カードを紛失した人は、市区町村の窓口で再交付の手続きが必要になります。申請から交付まで1〜2カ月かかるので、急ぐ場合は個人番号が記載された住民票を取れば確認できます。
すでに勤務先に個人番号を届けている場合は、申告書の余白などに「提供済みの個人番号と相違ない」旨を署名すれば、番号の記載は不要とする措置を国税庁が公表しています。
年末調整は毎月給与にて控除されている所得税額は、あくまでその労働者が納めるべき所得税の”概算額”なのです。そこで年末に調整し(確定額を計算し)過不足精算を行う必要があるのです。
マイナンバーがスタートして、初めてとなる平成28年の年末調整。早めに準備をし、万全の態勢で行えるようにしたいですね。