今年のブラック企業大賞はどこ? 過労自殺のあの企業も!
今年のブラック企業大賞はどこ? 過労自殺のあの企業も!
メディアやマスコミであまり報道されないが、今年度最もブラックだった企業を決める「ブラック企業大賞2016」。今年で5回目となる。
12月1日に「ブラック企業大賞」実行委員会は、ノミネート企業、「電通」「佐川急便」など10社、厚生労働省記者会見場で発表された。
ノミネートされたのは、エイジス、電通、ドン・キホーテ、プリントパック、関西電力、佐川急便、サトレストランシステムズ、宗教法人 仁和寺、ディスグランデ介護(茶話本舗FC企業)、日本郵便の10社。
着実に認知されつつあるイベントではあるが、ノミネート企業の中に「電通」がある。
日頃、メディア、テレビ番組に関わりが深い会社への遠慮からなのか、ネットメディアが報じているだけで新聞・テレビ、週刊誌も完全無視の状況だ。
また、実行委員から今回は選考外となったが、マネージャーと会社のトラブルをきっかけにさんざんブラックぶりを見せつけた。
SMAPが解散することになったことから、「ジャニーズ事務所をノミネートしてほしい」という要望が100件以上来ていたと明かしている。
では、実行委員会が挙げた選定理由(要約)は以下の通りだ。
1.株式会社エイジス
実地棚卸し代行で国内首位。JASDAQ上場。
違法な長時間労働を行なっていたとして、厚生労働省の千葉労働局から行政指導を行った上、企業名を公開した。社名を公表するようになってから、今回が初のケースとなる。
2.株式会社 電通
広告代理店として日本において最大手。上場企業。
2015年に入社1年目女性が過労自殺。13年前には入社2年目の男性社員が過労自殺。3年前にも30歳の男性社員が過労で病死。十分な改善策を実施せず、厚労省の抜き打ち強制捜査を受けている。
3.株式会社 ドン・キホーテ
関東地方を中心にディスカウントストアを展開。上場企業。
最長3カ月で415時間45分の時間外労働など、36協定に違反する長時間労働をさせた。支社長や店長ら8人が書類送検され、50万円の罰金。
4.株式会社プリントパック
インターネットを窓口とした印刷通販事業を展開。
2013年に労働組合が結成された後、組合員に対する配転命令やボーナスを支給しないなどの扱いをしたとして、京都府労働委員会から不当労働行為と認められた。
5.関西電力株式会社
近畿地方などを営業区域とする電力会社。上場企業
高浜原発1、2号機の運転延長申請を担当していた管理職の男性が2015年に自殺した。1ヶ月の残業が200時間を超える月もあった。過労自殺として労災認定された。
6.佐川急便株式会社
運送事業を手掛ける企業。
経理などを担当していた男性社員がうつ病で自殺。直属の上司から、エアガンでうたれたり、つばを吐きかけられたりするなどの嫌がらせを受けていた。上司は退職したいと訴える男性に「そんなの関係ない」と残務処理を支持していた。うつ病発症は業務上のものであると認めた。
7.サトレストランシステムズ株式会社
関西地盤の外食中堅。「和食さと」「すし半」「さん天」などの飲食店を全国展開。上場企業。
2015年12月、長時間労働、残業代の未払いで、かとく(過重労働撲滅特別対策班)による強制捜査が入った(その後、約650人の従業員に対し総額4億円あまりの未払い賃金を支払う)。また、16年9月には、労働基準法違反で同社や部長らが書類送検された。
8.宗教法人 仁和寺
京都市右京区にある真言宗御室派の総本山寺院。1994年には世界文化遺産にも登録されている。
2013年、仁和寺が境内で運営する宿坊「御室会館」の元料理長の男性が、時間外労働がほぼ毎月140時間だったほか、年間の勤務日数が「356日」、うち349日は連続出勤だった。男性は仁和寺を相手に慰謝料などを求めて提訴。2016年、京都地裁は男性の訴えを認め、約4200万円の支払いを命じた。
9.ディスグランデ介護株式会社
(「茶話本舗」FC企業)
大手デイサービス「茶話本舗」のフランチャイズ店舗。
今年、従業員に対する賃金未払いなどを理由に労基署から是正勧告があった。人手が不足しており、休憩時間がほとんど取れない状態だった。サービス残業など劣悪な労働環境も報告されている。
10.日本郵便株式会社
郵政グループの持ち株会社の傘下、郵便事業の運営と郵便局の運営。上場企業。
2011年以降、パワハラを理由にした自殺が相次いだ。2016年10月福岡高裁は、心疾患で亡くなった男性社員について、死亡との因果関係は認めなかったものの、上司からのパワハラがあったとして、同社に330万円の支払いを命じた。
2016年10月に愛知県新城市の郵便局課長の遺族が、部下からのパワハラによる自殺として提訴しているほか、さいたま新都心郵便局ではパワハラ飛び降り自殺として妻が2013年に提訴した事件が和解で決着しているなど、パワハラに関する問題が多数指摘されている。
インターネットでの一般投票などを経て、12月23日の授賞式で大賞が発表される予定だ。
2015年は6社がノミネートされ、コンビニ大手の「セブン−イレブン・ジャパン」が大賞に選ばれた。2014年は「ヤマダ電機」、2013年は「ワタミフードサービス」、2012年には「東京電力」が大賞に選出されている。
ノミネート企業には、共通の問題がある。
「労働時間が長い」
労働時間以外にもブラック企業の体質としての問題はいくつも存在しているが、やはり1番大きいのは労働時間だろう。
サービス残業や、連続勤務で休めないなど「体力を消耗する」が1番キツイだろう。
長時間労働や残業代の未払いなど劣悪な労働環境のなかで追い詰められる社員が増えている。激務や過重なストレスが主因となり鬱病(うつ)などの精神疾患を発症する。
社員の心身の健康を確実にむしばんでいくからだ。
後を絶たないブラック企業問題。
ブラック企業にエントリーされた企業は、汚名を返上するために努力してほしい。
厚労省の目も一層厳しくなっている、ブラック企業の包囲網は着実に敷かれつつある。
また、マスコミはどんどん報道すべきだろう。
ブラック企業問題はどう変わっていくのか、今後の展開に注目したい。
今年の「ブラック企業大賞」でノミネート企業10社中、上場会社が6社ある。
不名誉な賞を受賞することになるので、株価にも影響するだろう。
今後の株価動向に注目が必要だろう。
[4659]エイジス JASDAQスタンダード
12月1日株価 終値5,260円
[4324]電通 東証1部
12月1日株価 終値5,350円
[7532]ドンキホーテホールディングス 東証1部
12月1日株価 終値4,390円
[9503]関西電力 東証1部
12月1日株価 終値1,154.5円
[8163]サトレストランシステムズ 東証1部
12月1日株価 終値819円
[6178]日本郵政 東証1部
12月1日株価 終値1,430円
12月1日に「ブラック企業大賞」実行委員会は、ノミネート企業、「電通」「佐川急便」など10社、厚生労働省記者会見場で発表された。
ノミネートされたのは、エイジス、電通、ドン・キホーテ、プリントパック、関西電力、佐川急便、サトレストランシステムズ、宗教法人 仁和寺、ディスグランデ介護(茶話本舗FC企業)、日本郵便の10社。
着実に認知されつつあるイベントではあるが、ノミネート企業の中に「電通」がある。
日頃、メディア、テレビ番組に関わりが深い会社への遠慮からなのか、ネットメディアが報じているだけで新聞・テレビ、週刊誌も完全無視の状況だ。
また、実行委員から今回は選考外となったが、マネージャーと会社のトラブルをきっかけにさんざんブラックぶりを見せつけた。
SMAPが解散することになったことから、「ジャニーズ事務所をノミネートしてほしい」という要望が100件以上来ていたと明かしている。
では、実行委員会が挙げた選定理由(要約)は以下の通りだ。
1.株式会社エイジス
実地棚卸し代行で国内首位。JASDAQ上場。
違法な長時間労働を行なっていたとして、厚生労働省の千葉労働局から行政指導を行った上、企業名を公開した。社名を公表するようになってから、今回が初のケースとなる。
2.株式会社 電通
広告代理店として日本において最大手。上場企業。
2015年に入社1年目女性が過労自殺。13年前には入社2年目の男性社員が過労自殺。3年前にも30歳の男性社員が過労で病死。十分な改善策を実施せず、厚労省の抜き打ち強制捜査を受けている。
3.株式会社 ドン・キホーテ
関東地方を中心にディスカウントストアを展開。上場企業。
最長3カ月で415時間45分の時間外労働など、36協定に違反する長時間労働をさせた。支社長や店長ら8人が書類送検され、50万円の罰金。
4.株式会社プリントパック
インターネットを窓口とした印刷通販事業を展開。
2013年に労働組合が結成された後、組合員に対する配転命令やボーナスを支給しないなどの扱いをしたとして、京都府労働委員会から不当労働行為と認められた。
5.関西電力株式会社
近畿地方などを営業区域とする電力会社。上場企業
高浜原発1、2号機の運転延長申請を担当していた管理職の男性が2015年に自殺した。1ヶ月の残業が200時間を超える月もあった。過労自殺として労災認定された。
6.佐川急便株式会社
運送事業を手掛ける企業。
経理などを担当していた男性社員がうつ病で自殺。直属の上司から、エアガンでうたれたり、つばを吐きかけられたりするなどの嫌がらせを受けていた。上司は退職したいと訴える男性に「そんなの関係ない」と残務処理を支持していた。うつ病発症は業務上のものであると認めた。
7.サトレストランシステムズ株式会社
関西地盤の外食中堅。「和食さと」「すし半」「さん天」などの飲食店を全国展開。上場企業。
2015年12月、長時間労働、残業代の未払いで、かとく(過重労働撲滅特別対策班)による強制捜査が入った(その後、約650人の従業員に対し総額4億円あまりの未払い賃金を支払う)。また、16年9月には、労働基準法違反で同社や部長らが書類送検された。
8.宗教法人 仁和寺
京都市右京区にある真言宗御室派の総本山寺院。1994年には世界文化遺産にも登録されている。
2013年、仁和寺が境内で運営する宿坊「御室会館」の元料理長の男性が、時間外労働がほぼ毎月140時間だったほか、年間の勤務日数が「356日」、うち349日は連続出勤だった。男性は仁和寺を相手に慰謝料などを求めて提訴。2016年、京都地裁は男性の訴えを認め、約4200万円の支払いを命じた。
9.ディスグランデ介護株式会社
(「茶話本舗」FC企業)
大手デイサービス「茶話本舗」のフランチャイズ店舗。
今年、従業員に対する賃金未払いなどを理由に労基署から是正勧告があった。人手が不足しており、休憩時間がほとんど取れない状態だった。サービス残業など劣悪な労働環境も報告されている。
10.日本郵便株式会社
郵政グループの持ち株会社の傘下、郵便事業の運営と郵便局の運営。上場企業。
2011年以降、パワハラを理由にした自殺が相次いだ。2016年10月福岡高裁は、心疾患で亡くなった男性社員について、死亡との因果関係は認めなかったものの、上司からのパワハラがあったとして、同社に330万円の支払いを命じた。
2016年10月に愛知県新城市の郵便局課長の遺族が、部下からのパワハラによる自殺として提訴しているほか、さいたま新都心郵便局ではパワハラ飛び降り自殺として妻が2013年に提訴した事件が和解で決着しているなど、パワハラに関する問題が多数指摘されている。
インターネットでの一般投票などを経て、12月23日の授賞式で大賞が発表される予定だ。
2015年は6社がノミネートされ、コンビニ大手の「セブン−イレブン・ジャパン」が大賞に選ばれた。2014年は「ヤマダ電機」、2013年は「ワタミフードサービス」、2012年には「東京電力」が大賞に選出されている。
ノミネート企業には、共通の問題がある。
「労働時間が長い」
労働時間以外にもブラック企業の体質としての問題はいくつも存在しているが、やはり1番大きいのは労働時間だろう。
サービス残業や、連続勤務で休めないなど「体力を消耗する」が1番キツイだろう。
長時間労働や残業代の未払いなど劣悪な労働環境のなかで追い詰められる社員が増えている。激務や過重なストレスが主因となり鬱病(うつ)などの精神疾患を発症する。
社員の心身の健康を確実にむしばんでいくからだ。
後を絶たないブラック企業問題。
ブラック企業にエントリーされた企業は、汚名を返上するために努力してほしい。
厚労省の目も一層厳しくなっている、ブラック企業の包囲網は着実に敷かれつつある。
また、マスコミはどんどん報道すべきだろう。
ブラック企業問題はどう変わっていくのか、今後の展開に注目したい。
不名誉な賞を受賞することになるので、株価にも影響するだろう。
今後の株価動向に注目が必要だろう。
[4659]エイジス JASDAQスタンダード
12月1日株価 終値5,260円
[4324]電通 東証1部
12月1日株価 終値5,350円
[7532]ドンキホーテホールディングス 東証1部
12月1日株価 終値4,390円
[9503]関西電力 東証1部
12月1日株価 終値1,154.5円
[8163]サトレストランシステムズ 東証1部
12月1日株価 終値819円
[6178]日本郵政 東証1部
12月1日株価 終値1,430円