動き出している「空の産業革命」
動き出している「空の産業革命」
日本経済新聞などが 2017年2月以降、ヤマト運輸の「宅急便総量抑制」や「残業問題・働き方改革」などに関する報道を継続してきた。
株式市場においては、一部で「宅急便値上げや総量抑制により利益率が大幅に改善する」と期待する声もあるものの、(1)残業問題や働き方改善を行いながら、(2)将来的に維持可能な宅急便ネットワークを再構築する、ことが現状の経営上の課題と認識している。
経営にとって重要なことは、将来にわたって高いクオリティの宅急便インフラを維持させることだと考えている。
また、佐川急便が正社員のトラック運転手に週休3日制を導入することが明らかとなった。ネット通販市場の拡大に伴う荷物の増大とドライバー不足による過重労働問題が背景にあるが、人手不足は今後も続くとみられ、問題解決にはさらなる対策が求められている。
こうしたなか、「空の産業革命」と称されるドローン(小型無人機)が"宅配危機"の救世主になり得るとの期待感が一段と高まっており、政府は実用化に向けて後押しする構えだ。
2022年にトラック隊列走行を商業化することなどを目標とする。第4次産業革命の流れを踏まえ、AIなど先端技術の導入を促し、次世代スマート社会像「ソサエティー5・0」の実現を目指すとしている。
先進諸国では、既にドローン宅配の時代の準備が進んでいる。
Amazonによるドローン宅配が、昨年(2016年)12月7日、英国東部ケンブリッジ市の配送センター近くの利用客2人に、ドローンで注文品を届けたと発表した。
また、米国のセブン-イレブンも既に、無人航空機(ドローン)を使った商品の宅配で他企業をリードしている。セブンイレブン店舗から、個人宅へのチキンサンドイッチにドーナッツ、コーヒーなど宅配に成功している。
ニュージーランドでも、宅配ピザの大手ドミノ・ピザがドローンによる初配達を行った。北島の北部にあるオークランドの郊外で、5分に満たない飛行後に、「チキンとクランベリーのピザ」を注文客の裏庭に届けたという。
日本は国土の7割が山林で、瀬戸内海や長崎県、南西諸島を中心に小さな有人島も多いことから、無人ドローン宅配に対しては過疎地での物流コスト削減という観点からの期待が他国以上に大きくなっている。
今後ドローンが配送事業で活用していく動きが強まれば、関連銘柄にも強力な追い風となることが予想される。
ドローン宅配の実用化に向けて積極的なのが楽天 <4755> だろう。
16年5月からドローンを活用した配送サービス「そら楽」を開始している。
ゴルフ場コース内でプレーヤーがスマートフォンの専用アプリ(Android版)を使って、ゴルフ用品や軽食、飲み物などを注文すると、ドローンがコース内の受取所まで商品を届けるサービスを提供している。
NTドコモ<9437>は、携帯電話(LTE)のネットワークを利用するセルラードローン等を活用してさまざまな検証を行う「ドコモ・ドローンプロジェクト」を進めており、安定した通信が可能となる飛行経路の策定や、携帯電話の上空利用による地上の携帯電話ネットワークへの影響の監視等を行った。
一つ目は安全性の問題。
人や車、ビルや樹木などを正しく認識し、避けて飛行する技術が求められる。
二つ目は規制の問題。
ドローンは航空法により、夜間の屋外での飛行と目視外飛行が原則禁止されている。
ドローン宅配を行うためには、基本的に目視外飛行は必須であり、さらに夜間飛行も十分にあり得る。また、民法においては「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と定められている。ドローンは個人宅の上空を飛行する。これらについて規制緩和されなければ、ドローン宅配の実現は難しくなるだろう。
三つ目はプライバシーの問題。
最近のドローンには空撮用になどカメラが搭載されているものが一般的だろう。
ドローン宅配はマンションの各ベランダに輸送することが想定されているため、受取者の部屋のみならず、近隣住民の部屋を撮影することは技術上可能となる。ドローン宅配に見せかけた盗撮などに悪用されてしまう危険性をはらんでいるだろう。
実現までには法整備や空輸技術などまだまだ課題は多いが、国家戦略特区での実証実験などの取り組みが進み、ドローンの技術向上、安全性向上が実現されれば、「空の産業革命」といわれるほど、その可能性が期待されるだろう。
株式市場においては、一部で「宅急便値上げや総量抑制により利益率が大幅に改善する」と期待する声もあるものの、(1)残業問題や働き方改善を行いながら、(2)将来的に維持可能な宅急便ネットワークを再構築する、ことが現状の経営上の課題と認識している。
経営にとって重要なことは、将来にわたって高いクオリティの宅急便インフラを維持させることだと考えている。
また、佐川急便が正社員のトラック運転手に週休3日制を導入することが明らかとなった。ネット通販市場の拡大に伴う荷物の増大とドライバー不足による過重労働問題が背景にあるが、人手不足は今後も続くとみられ、問題解決にはさらなる対策が求められている。
こうしたなか、「空の産業革命」と称されるドローン(小型無人機)が"宅配危機"の救世主になり得るとの期待感が一段と高まっており、政府は実用化に向けて後押しする構えだ。
画像出典:首相官邸HP「未来投資会議」 第9回配布資料より
政府は、未来投資会議(議長=安倍晋三首相)を開き、成長戦略「未来投資戦略2017」の素案を示した。自動走行や飛行ロボット(ドローン)による「移動革命の実現」、人工知能(AI)を活用した「健康寿命の延伸」など5分野を戦略テーマに設定。2022年にトラック隊列走行を商業化することなどを目標とする。第4次産業革命の流れを踏まえ、AIなど先端技術の導入を促し、次世代スマート社会像「ソサエティー5・0」の実現を目指すとしている。
先進諸国では、既にドローン宅配の時代の準備が進んでいる。
Amazonによるドローン宅配が、昨年(2016年)12月7日、英国東部ケンブリッジ市の配送センター近くの利用客2人に、ドローンで注文品を届けたと発表した。
また、米国のセブン-イレブンも既に、無人航空機(ドローン)を使った商品の宅配で他企業をリードしている。セブンイレブン店舗から、個人宅へのチキンサンドイッチにドーナッツ、コーヒーなど宅配に成功している。
ニュージーランドでも、宅配ピザの大手ドミノ・ピザがドローンによる初配達を行った。北島の北部にあるオークランドの郊外で、5分に満たない飛行後に、「チキンとクランベリーのピザ」を注文客の裏庭に届けたという。
今後ドローンが配送事業で活用していく動きが強まれば、関連銘柄にも強力な追い風となることが予想される。
ドローン宅配の実用化に向けて積極的なのが楽天 <4755> だろう。
16年5月からドローンを活用した配送サービス「そら楽」を開始している。
ゴルフ場コース内でプレーヤーがスマートフォンの専用アプリ(Android版)を使って、ゴルフ用品や軽食、飲み物などを注文すると、ドローンがコース内の受取所まで商品を届けるサービスを提供している。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
楽天、自律制御システム研究所、NTTドコモ <9437>は、昨年11月に、ドローンによる配送システムの実証実験のデモンストレーションを実施した。NTドコモ<9437>は、携帯電話(LTE)のネットワークを利用するセルラードローン等を活用してさまざまな検証を行う「ドコモ・ドローンプロジェクト」を進めており、安定した通信が可能となる飛行経路の策定や、携帯電話の上空利用による地上の携帯電話ネットワークへの影響の監視等を行った。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
ヤマトホールディングス<9064>は、小型無人機(ドローン)を使って荷物を運ぶ宅配事業に乗り出すことを検討している。実証実験を始め、2020年の事業化をめざす」と伝えている。チャート出典:ストックウエザー株式会社
新技術が生み出されたとき、必ずといっていいほど解決しなければならない課題がある一つ目は安全性の問題。
人や車、ビルや樹木などを正しく認識し、避けて飛行する技術が求められる。
二つ目は規制の問題。
ドローン宅配を行うためには、基本的に目視外飛行は必須であり、さらに夜間飛行も十分にあり得る。また、民法においては「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と定められている。ドローンは個人宅の上空を飛行する。これらについて規制緩和されなければ、ドローン宅配の実現は難しくなるだろう。
三つ目はプライバシーの問題。
ドローン宅配はマンションの各ベランダに輸送することが想定されているため、受取者の部屋のみならず、近隣住民の部屋を撮影することは技術上可能となる。ドローン宅配に見せかけた盗撮などに悪用されてしまう危険性をはらんでいるだろう。
実現までには法整備や空輸技術などまだまだ課題は多いが、国家戦略特区での実証実験などの取り組みが進み、ドローンの技術向上、安全性向上が実現されれば、「空の産業革命」といわれるほど、その可能性が期待されるだろう。