兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2015年05月1/2週
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【推移】

27日(月):
日経平均は週間で約367円の上昇で、週足で陽線を形成した。月足陽線基準の4月1日終値は19312円。よほどのことがなければ4ヶ月連続陽線。昨年は12月が陰線だったので9→11月の3ヶ月連続までだった。2012年8月〜2013年5月の9ヶ月連続以来となる。因みに7月上昇→12月上昇は、昨年は未達。9月上昇→10月上昇、10月上昇→翌年2月上昇は達成。となると3月上昇→5月下落、4月上昇→8月下落。こちらは未達になって欲しいもの。長期金利(10年国債利回り)は0.28%台まで低下。
節目の0.3を下回りマネージャブジャブ。タマゴの価格上昇は株高と言う個人的アノマリーも登場。この1ヶ月で7%の上昇となった。
夏場にかけて価格が低下し年末にかけて上昇してきたのがこの3年。もしも今年夏場にかけて上昇するならば、セルインメイアノマリーが消えるかも知れない。「今年は日経平均の3日続落はまだない」という声も聞かれる。日経平均株価は36円安の19983円と続落。4日ぶりに2万円を下回った。ソフトバンク、ファナックが上昇、三菱UFJ、トヨタが下落。

28日(火):
日本は良く休む国になったもの。株屋さんがフツーの証券マンになって、それでも市場は回っていく。売買代金だって桁外れに増えているという現実。たしかに機械が人の代わりをしてくれることの恩恵はある。バブルの頃にどんなに頑張ったって2兆円の売買代金なんて遠い夢の世界。1兆数千億円の出来電の処理が夜の10時11時までかかっていたのだから隔世の感。海の向こうではNASDAQが2000年の高値を更新し、海のこちら側では日経平均がようやく1989年高値の半分まで戻った。まだまだ戻っていないTOPIX。ROEを高める経営を形式的にPERを高める経営と読み替えればバラダイムの変化は歴然としている筈ですが、それを信じられない株式市場。日経平均7000円台から見れば遥か2万円台まで来た印象だが、38915円から見ればまだ道半ば。この認識力の違いが相場観の違いになる。売って売って売りまくってそれでも沈まない株式市場。売ったり買ったりするのが株式市場だがその売りが消えたらどうなるのか見てみたいもの。富士電機の決算は43%増益で着地して過去最高を更新。08年のリーマン・ショック前に481円だった株価は09年に77円まで下落。その後2010年4月に305円まで上昇し2013年11月13日の151円を底値にしての上昇継続。株価的にはアベノミクスと同時に成長してきた格好。もちろんパワー半導体の好調などが背景だが、興味深いのはセブンイレブン向けのドーナツケースの好調。コーヒーメーカーやドーナツケースにはそれなりに最先端の技術が使われているのだろうが、それでもノーベル賞級のものではない筈。言葉は悪いですがロートル技術でも十分に戦えるということだろう。視点を変えれば陳腐な技術でも新鮮になるということ。いつもまだ形になっていないような最先端の技術を追いかけたがる株式市場にとっては結構意外な学習効果となるのかも知れない。
日経平均株価は75円高の20058円と反発。2万円台を回復した。ファナック、デンソーが上昇、東京エレ、コマツが下落。

30日(木):
1年の3分の1が終了。月足では4ヶ月連続の陽線で今のところ負け知らず。ファナックが新高値、日本国債格下げでも国債利回りは低下。TOPIXが7年半ぶりの高値水準。28日の東証1部の売買代金は2兆8000億円台。といっても日経朝刊は32ページ。総理大臣は訪米で安保が興味の対象。なんとなく連休中のアンバランスとなっている。「私の履歴書」はニトリの似鳥社長から今度は日立(6501)の川村隆相談役。2ヶ月連続で経済界というのは昨年3月東芝、4月トヨタ以来約1年ぶり。その前は2011年10月東レ、11月野村證券だった。この連続は当然ながら日経の経済界重視と読みたいところでもある。興味深い指摘は「株、信用売り残膨らむ」の話題。前週比561億円増加し8556億円は2011年1月以来の水準。ソニー、三菱UFJ、SUMCO、ソフトバンク、ファーストリテなど主力株への売り残は増加。一方で信用買い残は2兆9380億円。日経平均2万円は過熱した個人の信用買いでつけたものではないことがよくわかる。個人が持ち株をなくしたときに日本企業というのは、本当に日本企業なのかどうか。資本は握られて、経営者と労働者と本社だけが日本という姿にはならないのだろうか。 ここが一抹の不安でもある。もっとも退任する取引所のトップが打ち出したのは「国際競争力の強化とデリバの強化」。 現物の寂しさはますます加速し、ヒト不在の相場展開は変わりそうもない。一方でトヨタが個人向けに新型の種類株を発行するという。5000万株、5000億円を発行。仕組みとしては5年売却不可。普通株への転換は可能。発行価格でトヨタへの買取り要請もできるという。株でありながら元本保証という不思議なシロモノ。配当利回りは初年度0.5%で毎年上昇し5年後以降は2.5%。結局2.5%の配当で議決権がある元本保証の株を5年以上保有しますかどうかということ。発行株数と同株数を自社株買いするというから希薄化懸念はない。そこまで迎合する背景は「11%しかない個人持ち株比率」。長期資金の出し手としての個人株主の増加で株主構成に厚みを持たせるのだろう。NTTやトヨタでさえこの視点をもっているということ。発行体は機関投資家や外国人ばかりを見ている訳ではない。それでも国際競争力とデリバなのかどうか。大事なものが一つ欠けている気がしてならない。
日経平均株価は538円安の19520円と大幅反落。下落幅は今年最大だった。クボテック、新光電工が上昇、山パン、リコーが下落。東証1部の売買代金は3兆4727億円。

1日(金):
前日の急落は一天にわかに掻き曇り、という表現だろうか。雲などが発生して空全体が突然暗くなる状態。歌舞伎の「雷神不動北山桜」にこの台詞があるから次は雷?と疑いたくもなる。しかし所詮、雲も雷も一過性。通り過ぎれば青空になるもの。同じ雷でも「付和雷同」という使用法の方が解釈とは合致しているに違いない。雷が鳴ると万物がそれに応じて響くように、むやみに他人の言動に同調することが雷同。 ゴルフ場の雷と違って単なる同調だから怖くはない筈。それにしても、東証1部の売買代金は3兆4728億円。これだけの売り物があったと見るか、これだけの買い物があったとみるか。視点に寄って風景は異なるが、買戻しを含めてもこれだけの買い物があるという事実。決して軽視は出来ない。トレンド追随型の解釈では「下値19000円」などが聞こえる。これは聞き方の問題。たぶん質問は「どれくらいまで下値を見ますか」。これに対して「ココまで」と言える度胸を市場関係者は残念ながら持ち合わせていない。そんな明確な回答が出来るくらいなら市場関係者ではなく既に投資家に育っている筈。考えさせられたのは「押し目は蜃気楼」ということ。時価よりも安くなったら買いたいという押し目買い。安くならない時は切望される。しかし、実際に安くなるとその押し目という概念は蜃気楼のように遠ざかる。あるいは影のように遠くに移動して踏めるものではない。所詮出来ないことを望むのは「日銀の追加金融緩和願望」と一緒。「追加緩和期待が外れて投げが出た」という解説もあった。しかし期待するほうが明らかに間違っている。ある筈のないものを勝手に期待させてそして期待はずれの売りを誘う手口。乗る方も乗るほうではあるが、蜃気楼はサカサマに見える存在でもある。NTレシオは12.25まで低下。昨年2月の最低水準12.21まで近づいてきた。25日移動平均線(19700円)からはマイナス1.8%のカイ離。前日はプラス1.8%のカイ離だったからマイ転。騰落レシオも91.98%まで低下。1月16日80.46が今年の最低値。昨年は10月21日69.35、8月8日78.03があった。松井証券信用評価損益率速報は売り方マイナス11.527%。買い方マイナス4,929%。QUICK調査の信用評価損率(4月24日現在)はマイナス7.87%。4週連続改善。裁定買い残は1055億円増加で3兆5505億円。前日29.2%だった空売り比率は昨日33.7%まで拡大。今年は1月16日の37.8%が最大だった。ということは1月16日が転換点。
日経平均は16864円だったから今とはレベルが違う。日経平均株価は11円高の19531円と小幅反発。ファーストリテ、ファナックが上昇。富士通、ワコムが下落。

7日(木):
女の戦いのトバッチリというところなのだろうか。あるいは女友達の出来レースなのだろうか。役者はワシントンでのFRBのイエレン議長とIMFのラガルド専務理事。イエレン氏のコメントは「現時点で株式相場のバリュエーションが総じて非常に高い」。そして「金融安定リスクは緩やかで、バブル発生は認められないが危険の可能性が存在する」。おまけに「長期債金利は非常に低い。初回利上げをきっかけに債券利回りが急激に上昇する可能性がある」。そして「2013年のテーパータントラムでは金利が非常に大きく上昇した」。2013年5月23日のことを指しているのだろう。上手なタイミングで脳裏の記憶を呼び覚ますことになった。因みにこの発言が登場したシンポジウムは「金融と社会」。堅いテーマでの軟弱な方向性が欲深な投機マネーのマインドをくすぐったのかも知れない。年初以降の上昇率はNYダウが0.1%、S&P500が1%、NASDAQは3.9%。元の黙阿弥なのか、リセットなのか。週末に1週遅れの雇用統計を控えてのADP雇用レポート。民間部門雇用者の増加は16.9万人で2014年1月以来の低い伸び。市場予想は20万人増だった。8日に発表予定の4月の雇用統計。非農業部門雇用者数は22.4万人増の予想。3月の増加数は12.6万人増で意外感だった。中国のGDP並の信頼感しかない雇用統計だが、市場はまた愚かしく祭るのだろうか。
日経平均株価は239円安の19291円と反落。第一生命、マツダが上昇、トヨタ、三菱UFJが下落。

8日(金):
日経朝刊に「3月期決算集計状況」が登場した。前日段階で全体の19%が開示した結果。前期は売上高4.5%増、経常利益9.7%増、純利益8.6%増。今期は売上高2.9%増、経常利益11%増、純利益16.2%増。全体の2割程度の結果だからまだ何とも言えないが2ケタ増益はあるだろう。因みに日経平均は昨日19291円。今期予想PERは16.96倍。ということは、EPSは1137円(前日1128円、1年前1030円)着実に利益は増加してきている。PER17倍割れが攻防ラインの印象。NTレシオは12.25まで低下(今年最低は2月19日の12.21)。25日移動平均線は19702円でマイナス2.1%のカイ離。騰落レシオは96.67%。松井証券信用評価損益率速報は売り方マイナス10.984%。買い方マイナス6,010%。カラ売り比率:は334,9%(前日34.8%、今年最大は1月6日の37.8%)。
日経平均株価は87円高の19379円と反発。ホンダ、ソフトバンクが上昇、住友ゴム、出光が下落。

(2) 欧米動向

アメリカではNASDAQが過去最高値更新。
これもITバブル以来15年ぶりのことになる。
かつての主役はパソコンメーカーなどだった。
今はSNSやバイオベンチャーなどが上昇のけん引役となっている。
この15年間で上位20以内にとどまったのはマイクロソフトやシスコシステムなど4社。
上場銘柄数は、2000年時点は約4800
現在は約2560社と減少。
理由はM&Aとされる。
まさに新陳代謝市場の感。
因みに2000年に150倍だったPERは今20倍台。
日本以上のユーフォリア感だったことが再認識される。
日経ジャスダック平均株価も年初来高値更新。
こちらは「遅ればせながら」である。

欧州でのドイツ。
独財務省は2015年の税収見通しを6665億ユーロとした。
昨年11月に示した6602億ユーロから約1%引き上げ。
背景は雇用拡大と賃金上昇。
所得税を中心に税収が増加し2014年には計画を1年前倒しして財政均衡を達成。
財務省の有識者委員会は、2019年まで税収は増加し続けるとの予想。
その結果財政上の余裕を投資に振り向ける方向で特にインフラ投資の必要性を重視。
独10年債利回り一時約5カ月半ぶり高水準となる0.796%まで上昇。
しかし結局0.598%に低下した。
アメリカではシティグループとJPモルガン・チェース。
今年株式部門の市場シェア拡大を狙う方向。
金融市場トレーディングの勢いが増す中、技術投資や新規採用を進める考えを示した。
JPモルガンは「主に抱き合わせ販売を通じて、市場シェア拡大を狙っている。
ヘッジファンドの運営を支援するプライム・ブローカレッジは大きなチャンスだ」。
ドイツ銀行も株式トレーディング部門への投資を計画。
背景は債券市場の大半で利回りがゼロ近辺となっていること。
株式への投資妙味が増し、プラスのトレーディング環境が続くという見方。
現実の動きと業者の予想のどちらが正しいのだろうか。
いずれ現実の動きが業者の描画に鞘寄せするのかも知れない。

原油が上がって株価は安定どころか下落の方向。
産油国でなく消費国である限り原油高はマイナスのはず。
それでも原油価格の下落が株安の理由としてきた市場関係者。
不自然な論理はどこかで綻ぶのかも知れない。
一方で金が下落して株も下落。
所詮、株でみるよりはお金の置き場で考えた方が良いのだろう。
とくにならず者の論理で考えることが必要かも知れない。
世界の株価の時価総額は75兆ドル(約9000兆円)に増加したとの報。
2007年10月の64兆ドルを抜いて過去最高を更新した。
あと1000兆円増えれば1京円の世界となる。
もしも「京」という単位が登場すると未曾有のこと。
かつて百万長者といったが今は億万長者。
そのうち兆万長者になるのだろうか。
それにしても75兆ドル。
世界のGDPが74,5兆ドルでこれと並んだ。
株価がGDPを越えると反落するというバフェット指標からすると、限界値。
しかしそのバフェット氏の投資会社「バークシャー・ハザウェイ」定時株式総会。
「高値圏で推移する米国株式相場は米国のビジネス環境が良好なことを示している」。
というのがバフェット氏のコメント。
そして「低金利が支えになっており、金利水準が通常に戻れば、割高にも見える」。
玉虫色のコメントに聞こえる。
そしてAならばBという市場的曖昧論理でしかないような気がする。


(3)アジア・新興国動向

中国は昨年11月以降3回目の利下げ。景気の安定に対する意欲が感じられる。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・

11日(月)ユーロ圏財務相会合
12日(火) 景気動向指数、米財政収支
13日(水)国際収支、景気ウォチャー調査、米小売売上高、ユーロ圏1〜3月GDP
14日(木)マネーストック、都心オフィス空室率、米生産者物価
15日(金)企業物価指数、消費者態度指数、米鉱工業生産、NY連銀景気指数、ミシガン大学消費者信頼感、対米証券投資

11日(月)ポイントの日
15日(金)ポイントの日
18日(月)新月
19日(火)ポイントの日
20日(水)水星逆行開始、ECB理事会
21日(木)日銀金融政策決定会合
25日(月)メモリアルデーでNY休場、バンクホリデーでロンドン休場

鳴り物入りでスタートしたNISA。
昨年1年の投資総額は2兆9770億円。
多いか少ないかは別にしてこれが結果である。
そして投資収益は約3500億。
パフォーマンスは約12%。
悪くはなかった。
ただ投信の割合が6割以上と偏っていたのが目につく。
結局、NISAは投信の手数料を稼がしてくれたということになるのだろうか。
これがアメリカだと少し訳は違ってくる。
ゴールドマン・サックスの推計。
企業は2014年年に4290億ドル(約51兆円)の株式を買い越しだ。
これはリーマン・ショック以降の最高額。
家計は470億ドル、年金は1360億ドルの売り越し。
株式型ファンドは2014年に600億ドル超の買い越しだった。
2015年には米国株を大きく売り越した。
そして自社株買いは2015年には4500億ドルまで膨らむ見通し。
「株式市場には差し引き2200億ドルの資金が流入する」という予想の声も聞かれる。
この運用姿勢の違いはなかなか縮まらないのだろう。

個人が売って外国人が買う構図は変わっていない。
4月第4週(20日〜24日)の主体別売買動向。
海外投資家は7079億円の買い越しで4週連続買い越し。
個人投資家は6009億円の売り越しで4週連続売り越し。
信託銀行は986億円の売り越しで4週連続売り越し。
個人の売越額は2月第3週の6691億円に次ぐ規模。
個人の2015年の累計売越額は3兆円。
いずれ日本の産業資本の大半が海外のものという時代がくるのだろうか。
バック・トゥー・ザ・フーチャーで描かれた世界の逆輸入となってしまいそう。

5月オプションSQ値は19270.79円。
3月メジャーSQ値19225円を上回ったことは良かった。
しかし4月オプションSQ値20008円は下回ったまま。
因みに4月SQ後の6日間は6敗で●●●●●●。
その後はやはり上に行かなかった。
3月は6勝で○○○○○○。
その後はブッチギリの上昇。
2月SQ値は17886円でその後6勝で○○○○○○。
1月SQ値は17341円でその後6敗で●●●●●●。
ただ株価はその次のSQには上昇。
今年は中途半端がないから、このまま行けば○○○○○○?
「幻」のおまけまで付いてくれると良いのだが・・・。

市場が求めているのは「ドラマチックさ」。
劇的な動きのはず。
しかし現実は朝から晩まで指数に絡んでのどうでもいい解釈。
日経平均が動いたからとてポートフォリオが動くケースは少ない。
突然の大商い、突然の大幅高。
これこそは株の醍醐味でもある。
ただ、世の流れは低金利の影響からか年間数%のパフォーマンス指向。
どちらが良いのかは不明。
しかし先物手口とポジションだけで市場を解釈するのは誤解の産物。
多くのマネーを運用する他人投資家みたいなサラリーマンより自腹投資家の方が相場勘は上。
この感覚を忘れているから機関投資家・外国人至上主義の権化みたいな解釈が横行する。
まずは指数の持つ曖昧模糊さといい加減さを捨象することが必要だろう。
恐竜やクジラが消えてもイナゴは絶滅しないもの。  

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