2015年05月3週
【推移】
11日(月):
米雇用統計は予想通りでの着地。英国総選挙は予想外の保守党勝利。中国が11月以来3度目の利下げ。情勢は悪くはない。トヨタの3期連続最高益もあることながら決算で興味深かったのは総合商社。三菱商事の強さは目立った。驚きは今期の伊藤忠の純利益は三井物産を抜きそうなこと。物産2400億円、忠3300億円。物産商事の国家的商社を抜くことが出来なかった伊藤忠の頑張り。ある意味、下克上とも言える。相場の世界での大きな変化でもあろうか。20時以降の残業禁止効果ばかりではなかろう。プロ野球だって弱小だったDeNAがブッチギリの首位。負け犬だった東京株式市場だって勝ち組になれそうになったことの象徴でもあろうか。
日経平均株価は241円高の19620円と続伸。ホシデン、フジクラが上昇。シャープ、東芝が下落。
12日(火):
昨日段階で3月決算企業の45.3%が前期決算を開示済み。売上高は前期4.6%増→今期2.7%増。営業利益は前期8.9%増→今期8.2%増。純利益は前期5.6%増→今期14.9%増。日経平均採用銘柄のEPSは先週の1120円台から1152円まで増加してきた。前3月期末は1030円。日経平均採用銘柄だけで計算すれば前期は11%増益。今期はいまのところ15%近い増益予想。これって決して悪くない。残り半分の企業の決算に期待というところ。
日経平均株価は3円高の19624円と3日続伸。ソニー、シャープが上昇。東芝、ブリジストンが下落。
13日(水):
日経の見出しは「株、個人が下値支える、4月末5週ぶりの買い越し」。4月27日〜5月1日の個人は821億円の買い越し。前週の6000億円の売り越しからの買い転。日経平均が週間488円の下落局面は格好の押し目だったということだろう。相変わらずの逆張り投資継続。もっともネット証券経由での買いは「東芝、シャープ、三菱UFJ、トヨタ」など。新興ではモルフォやテラスカイ、ガーラなどが買い越し。相場も二極化、投資家も群れて飛び回るイナゴと7年も我慢するセミに二極化というところだろうか。前日の日経平均株価は3円93銭高だからほぼ横ばい。しかし前日17.02倍だった予想PERは16.67倍まで低下した。これは決算発表に伴ってEPSが増加しているからに他ならない。
月曜の日経平均は19620.91円でPERは17.02倍、EPSは1155円。
火曜の日経平均は19624.84円でPERは16.67倍、EPSは1177円。
ちなみにこのEPSでPER17倍になると20009円。
売り方の作為的な抵抗も無力感が漂いそうな気配だろうか。
5月SQ値は19270.77円その後の3日間で〇〇〇の3勝無敗となっている。
滑稽な思いがするのが日銀の自己資本増強の話題。当期剰余金の25%を積み立てるようにするという。
日銀法で定められているのは5%。それでも国債やETFの購入で膨らんだ総資産333兆円(13年4月比2倍に拡大)。13年4月の自己資本比率が7.74%だったから物足りないのだろう。自己資本を拡大して市場からの買い入れに対応する日銀。なんとなくお札を印刷すれば解決するような気もする。もっとも海の向こうから見れば日銀の真剣度を測ることにもなろうか。
MSCIの組み入れ変更は日本空港ビル(9706)が新規採用、大和工(5444)が除外。5月29日の引け値段階で指数に反映される予定。
日経平均株価は139円高の19764円と4日続伸。参天、リョービが上昇。大王紙、フージャースが下落。
14日(木):
ギリシャのEU離脱に対するプランBが固まったことを好感という声も聞かれる。しかし外部環境の悪化ではなく日本の企業業績の好調さを再認識というところだろうか。発表された1〜3月ユーロ圏のGDP。ドイツは0.4%のプラスでギリシャがマイナス0.2%。ギリシャの10〜12月GDPはマイナス0.4%だった。騒ぎだけは一人歩きで結局大山鳴動ねずみ一匹の世界なのではあるまいか。どうも因果の因を海外に求める傾向があるが、今は足元を見る時期だろう。
昨日段階の3月期決算集計状況は全体の70.6%が発表した結果。
今期売上高4.6%増、経常利益10.9%増、純利益10.2%増。
来期売上高2.9%増、経常利益7.7%増、純利益13.0%増。
2年続けての2ケタ増益で着地しそうな気配。
前日の日経平均株価は139円高だったがPERは前日の16.67倍から16.49倍まで低下。
計算してみると19764.72円÷16.48=1199.33円。
前々日が1155円、前日が1177円だったから日々20円の増加。
この水準でPER17倍なら20388円になる。
日経平均株価194円安の19570円とは5日ぶりの下落。
もっとも5日前は19291円。2万円台の20252円を見たのでこれが記憶に残って下げた印象。個別ではコニカミノルタ、アズワンが上昇。日清食品、旭ダイヤが下落。
15日(金):
東証1部の売買代金の2兆円割れ懸念はほとんどない。実はこれは結構すごいことだと考えたいところ。
結局日経平均株価は25日移動平均をはさんでの右肩上がりの一休み。大きく離れれば25日線に回帰しているだけのことに過ぎないような気もする。人気線かつ短期線の25日線と需給線かつ中期線の75日線。短期線が中期線を上から下抜けるデッドクロスは昨年10月29日。日経平均は15553円だった。その下抜けた短期線が中期線を再び上抜けたゴールデンクロスは11月11日。日経平均は17124円だった。それ以来25日線は75日線を下抜けていない。つまりブル相場は継続しているということ。目先のことばかり見ずにもう少し長い視点でみれば慌てたりする必要はなかろう。もっとも所詮罫線の話。しかし罫線は過去のことだけにいくらでも材料は見つかるもの。「罫線の真髄はこじつけ」なんて格言はないが学ぶごとに空想力だけは豊かになる。
日経平均株価hは162円高の19732円と反発。電通、バイリーンが上昇。ニコン、ゼンリンが下落。
(2) 欧米動向
そして鯨は日本ばかりでなくスイスにもいる。
スイス国立銀行の1〜3月の米国株保有額は5億ドル程度増加した。
もちろん値上がりもあるが12月末比で40%の増加となっている。
ちなみにスイス国立銀行の3月末のドル資産は21兆円。
ユーロ資産は29兆円、
円資産は5兆2030億円。
スイスも結構大きな存在である。
市場の懸念は「セル・イン・メイ」。
ここ10年の5月の下落率は平均2.5%だからこれに引きずられがち。
しかし2013年5月23日の下落があったのでこの影響が大きいだけ。
勝率でいけば5勝5敗。
大して重くはなかろう。
海外ではブル相場の終焉観測。
過去最大のブル相場は1987年〜2000年の4494日。
次が1949年〜1956年の2607日。
そして3位は今で従来の3位の1974〜1980年の2248日を抜いた。
ブル相場は指数が高値から20%低下すると終了するというのが定義。
次は2607日への挑戦とすると、あと1年程度になる。
多くのブル相場に引導を渡してきたのはFRBによる金融引き締めだったというのも歴史だが・・・。
(3)アジア・新興国動向
アジアインフラ投資銀行への中国の出資比率は3割。2位インド、3位ロシアは10%程度の見通しだから中国の圧倒的影響力となる。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
18日(月)機械受注、首都圏マンション販売、
19日(火) 米住宅着工、独ZEW景況感
20日(水)1〜3月GDP、コンビニ売上高、不動産関連の「MIPIMASIA」開催
21日(木)日銀金融政策決定会合、米中古住宅販売、フィラデルフィア連銀景気指数、中国HSBC製造業PMI、アメリカBBレシオ、CB景気先行指数
22日(金)黒田日銀総裁会見、米消費者物価、独IFO景況感
興味深かったのは日経の「日銀のETF買い」の指摘。
昨日時点で今年のETF買いは32回。
およそ2.7日に1回の買いとなっている。
2013年は4.3日に1回、2012年は11.3日に1回。
買い入れ額も14年は170億円強、今年は350億円と拡大。
傍証となっているのがファナックの変動率。
日銀が異次元緩和を導入した2013年春頃から上昇基調。
好業績等もあいまって日経平均の上昇率を超えている。
ちなみに4月末の日銀のETF保有額は4兆7600億円。
しばらく売らない投資家である日銀の吸い上げ効果は債券ばかりでなく株式でも同様。
大和のレポートは「日経平均が1〜4月連続上昇の検証」。
過去は6勝7敗でマチマチ。
ただ1〜4月連続上昇の年は年間で12勝1敗。
5月以降では9勝4敗と悪くない。
また高値時期は12月が7回。
12月の高値確確率が3割だから多い。
過去13回中9回は年終盤まで株価は堅調だった。
しかも1987年→89年までの3年連続。
バブルのさなかの結果の再来に期待したいところでもあるが・・・。