兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2015年08月2週
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08月2週
【推移】

10日(月):
全体の84.7%が通過した日本企業の4〜6月決算。第1四半期売上高は前年同期比4.8%増、経常利益は同23.7%増、純利益は同27.7%増。通期売上高は前期比2.7%増、経常利益は同7.7%増、純利益は同14.0%増。相変わらず2ケタ増益で推移。第1四半期は突出して良いように見えるのは気のせいだろうか。あるいはいつものように慎重な気分を通期は反映しているに過ぎないのだろうか。因みに欧州企業の4〜6月期は7.1%の増益。特に金融関連が好調というのがやや皮肉だが悪くはない。2015年は全体で8.5%増益の見通し。これも悪くない。悪そうなのはアメリカ企業の業績。4〜6月の純利益は1%台の低い伸び。2015年通期でも1%台との観測。背景はエネルギー関連の軟調。中国景気の減速での原油価格の下落の影響が大きいという。日欧VS米中の明暗の構図は鮮明になってこようか。東証1部の時価総額は先週604兆8606億円(政府保有株を除く)となった。昨年末比100兆円の増加。1989年12月の509兆9087億円を抜いたのが今年5月。株価の上昇が時価総額の拡大を継続させている構図。アベノミクスの2年半で約300兆円増加したことになる。国富とはいわないまでも富の創出効果は大きかった。因みに政府保有株を含んだ時価総額は611兆5590億円。GDPの伸びよりもはるかに大きい。株価が景気の先行指標であるならば、いずれGDPがあとから追いかけてくるのだろう。JPXの銘柄入れ替えも通過した。42銘柄除外で43銘柄が新規採用。概ね順当な結果だったように見える。日経平均株価は84円高の20808円と4日続伸。鹿島・武田が上昇。コマツ・ダイキンが下落。

11日(火):
結果論からいけば昨年10月17日の14500円台。今年1月16日の16500円台。今年7月9日の19100円台。75日線を割り込んだ後に日経平均はパワーアップしてきた。2012年6月4日に695.51だったTOPIXは1700ポイント水準。07年7月9日の1792ポイントや2月26日の1816ポイントを見たいというのが希望。2000年2月1754ポイント。96年6月1722ポイント、94年6月1722ポイント、93年9月1698ポイント。89年12月18日の2884ポイント以来4回も跳ね返されてきた1700ポイント水準。5度目の正直で乗り越えて欲しいところだったが邪魔をしたのは中国人民元の2%切り下げ。意外感があったので市場が反応したとの解釈。前場11時まで49円だった日経平均の値幅が364円まで拡大したのだから驚きは確かにあった。中国人民銀行のコメントは「貿易黒字を確保し続けるため」。デフレ圧力にさらされたことからの動きの背景は8%減だった7月の輸出。そして41カ月連続で下落している卸売物価指数。人民元を持って入れば人民元高で儲かるという神話は明らかに崩れた。市場が懸念するのは、中国からの資本流出だろうが、株式市場は外国人に閉鎖的な市場。そしてインバウンド買いの減少も警戒されているが、本当に影響するかどうかは疑義。人民元はドルに対しては安くなった。しかし円も対ドルで安くなり125円台。習近平首席の9月の訪米を控えた中国とアメリカの構図で東京は慌てる必要があるのかどうか。この2国の推移を見てくると、表面上は中国問題だが本当はアメリカの問題であることが多い。上海発世界同時株安が実はリーマンショックの前触れだったことは記憶に新しい。商品価格の下落を伴っていることを踏まえると、シェールバブルの崩壊の前触れのような気もする。囮と本星の関係とすると考え過ぎだろうか。もっとも日本はSQ週。株価は前回SQ値よりも1000円ほど上にいたから売り手にとっては干天の慈雨なのかも知れない。ザラバ高値20952円は昨日あと6円のところまで覗きにいったのだが日経平均株価は87円安の20720円と5日ぶりの反落。JFE・日ぺが上昇。明治・エーザイが下落。

12日(水):
「米国株の8月相場の最初の9日間は非常に弱いことが多い」という経験則があるという。探してきた方も偉いが、今年は該当している。因みに9日目は13日。東京で終値ベースの年初来高値20868円が近くて遠いのもそれが遠因なのかも知れない。昨年の8月SQ週の第2週の日経平均株価は744円(4.79%)の下落だった。特に理由はなかったが世界株の下落に巻き込まれた格好。先月のSQ値は19849円。前日段階で1000円以上上に位置していた。因みに7月SQ値は6月SQ値20473円よりも1014円下。6月SQ値は5月SQ値19270円よりも1203円上。順番からいくと8月SQ値は1000円以上の上となる。できれば1997年6月SQ値20838円を上回って欲しい気持ち。市場参加者は少なかろうが、それでも2兆円レベルの売買高をキープ。86日連続となった。日経平均株価は327円安の20392円と続落。登場1部の売買代金は3兆373億円と拡大。NTT・アシックスが上昇。ファナック・コーセーなどが下落。

13日(木):
そろそろ終焉を迎えた第1四半期決算発表。全体の98.2%が終わった。第1四半期売上高は前期比4.9%増、経常利益は同24.3%増、純利益は28.1%増。通期は売上高2.8%増、経常利益8.0%増、純利益13.3%増。第1四半期純利益は3割増、通期2ケタ増。東証1部全銘柄のPERは前期基準が19.16倍、今期基準が17.52倍。日経平均採用銘柄だと前期基準が18.08倍、今期基準が16.40倍。明らかに前期よりも今期の方が好業績。良いところを見ないで、悪いところへ流れる市場の視線。商品価格下落による損失を利益の出た株式市場で取り戻そうとする動きがこの足元業績の現実を見にくくしているのかも知れない。気になるのが空売り比率の上昇。前日は39.2%まで上昇した。6月18日に38.3%のレコードとなった時の日経平均株価は安値19990円と2万円割れ。そこから4日で20952円まで上昇。売り手の苦悩を生み出した。空売り比率の記録更新は下げのダメ押しといった感じだろうか。日経平均株価は202円高の20595円と反発。資生堂・ラオックスが上昇。三菱UFJ・ニチイ学館が下落。

14日(金):
32ページの薄い日経。盆休みだから企業ニュースも少なく、アッと言う間に通過。1面トップは「東芝に企業トップ経験者」。それよりも「人民元下落が一服」の方が優先順位は上だろう。前日は「元安誘導、世界揺らす」と大きな活字のトップ記事だったが小さな活字。ネガは大きくポジは小さくというマスコミチックな動きに変化はない。日経平均採用銘柄の期初の今期予想EPSは1234円。15%増益なら1134円×1.15=1304円。PER16倍で20865円となるから、ほぼ妥当値までは上がったことになる。これに来期15%増益とするとEPSは1499円。PER16倍で23984円。PER17倍で25483円。下期には視野に入ってくるのだろう。因みにもし第1四半期並みに通期も28%増益だとすると1134円×1.28=1451円。来期15%増益だとすると1668円。PER16倍で26668円。PER17倍で28356円。母数が大きくなると結構な計算ができることになる。先週の外国人は3週間ぶりに2672億円の買い越し。個人は2789億円の売り越しで2週連続。順張りの外国人、逆張りの国内個人の構図。信託は939億円の売り越し。上がるとリバランスの機関投資家はやはり結構いるのだろう。年金買いなどが株価を押し上げている訳ではないことが分かる。8月オプション暫定SQ値は20540.36円。6月SQ値を上回り今年最高となった。日経平均株価は76円安の20519円と反落。大成建・三井不動が上昇。鉄・三井金が下落。

(2) 欧米動向

米雇用統計通過。
非農業部門雇用者数は21,5万人増で着地。
事前予想は22万人程度だったのでやや下回ったが、20万人台は確保。
失業率は5.3%で悪くない。
背景は小売り関連の増加。
これを受けて9月利上げ観測が復活。
株式市場は嫌気した格好だが、悪くはない筈。
そして、あまり雇用統計を気にしなくなった傾向も悪くはない筈。

8月初旬のNYは安いというアノマリー。
今年は該当した。
そして最近登場したのがNYダウと225の逆相関のアノマリー。
NYダウ下落→225高、NYダウ上昇→225安の傾向が強い。
相場の視点は欧米ではなく、アジアに移ったせいだろうか。
主役の交代の時期にはまだ尚早だろう。
東京はSQ前の火曜水曜が安く木曜は高いというのもある。

面白いことにギリシャの動きには見えないフリ。
11.8兆円もの金融支援のための追加財政改革法案が提出されたことなどどこ吹く風。
1月前に株価下落の主因だったギリシャが今では蚊帳の外。
だからGDP30兆円程度の国の財政破たんなど気にする必要はなかったということになる。

(3)アジア・新興国動向

中国の連日の通貨切り下げ。
火曜は11時、水曜は10時半過ぎ。
前場の小悪魔といったところだろうか。
印象としては自国防衛と対米経済戦線布告みたいなもの。
冷静に受け止めたNY市場は大人と考えたい。
それにしても人民元安誘導を発表している割には人民銀行は人民元買い介入観測。
日経の解釈は「行き過ぎた人民元安は資本流出につながる恐れがある。
過度の人民元売りをけん制したと見られる」。
どこかで見たような構図は、株式市場を鎮静化させようとしたときと一緒。
株式市場も為替市場も国家が値動きを支配できるのなら苦労はない。
国家が市場を支配するという未踏の体験が成功するのだろうか。
壮大な実験の場が広がってきたようだ。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。

17日(月)4〜6月期GDP、NY連銀景気指数
18日(火)首都圏マンション販売、米住宅着工件数、。
19日(水)貿易収支、訪日外国人客数、BBレシオ、米消費者物価
20日(木)コンビニ売上高、米中古住宅販売件数、CB景気先行指数
21日(金)フィリピン休場、

18日(火)がポイントの日。
GDPはマイナス予想。
訪日外国人の増加が肌で感じられている。

夏休みモードのSQ週。
荒れるような気がしないの。
課題は売買エネルギーがどこまで低下するか、だろうか。
2兆円台をキープするならば明るい秋の果実にありつけるような気がする。

その秋の最大の果実はおそらく郵政の上場。
290兆円の資産を持つだけに話題性は高い。
民営化の総仕上げという意味合いもある。
総額10兆円で今年は1兆円程度の放出の予定。
この1兆円と言う額は2014年の77社のIPOと同じ金額だからかなり大きい。
その郵政の連結純利益は前年同期比2%増の1426億円。
経常利益は3%減の3兆4465億円という。
個別では日本郵便が312億円(前期比55%増)、ゆうちょ銀行が792億円(同8%減)。
かんぽ生命が232億円(同8%減)で合計1426億円となる。
郵便・物流事業とゆうちょ・かんぽの運用収益の拡大が課題だ。
ちなみにゆうちょとかんぽの国内株式保有残3.5兆円。
3月末比約3500億円の増加。
郵政上場の市場インパクトがよければ郵政の業績も向上するという難しい方程式。
この解は明るい未来をもたらしてくれると信じたいところ

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