兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2015年11月2週
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11月2週
【推移】

9日(月):
米雇用統計通過。19万人程度の事前予測に対して着地は27万人。14年12月の32万人増以来の拡大となった。「年内利上げに追い風」の見出しも見えるが、FRBに素直に同調したと考えればよいだけのこと。労働省も財務省も政府機関であるし、純然たる民間機関のFRBにしても形式は別にして中身は政府。別々のものと考えずに同じ穴のムジナと考えれば良いだけのことだろう。失業率も5%に低下。08年のリーマンショック前に7年6カ月ぶりに戻った。だから利上げ「問題なし」で12月を迎えるのだろう。

次回12月16日のFOMCでの利上げへの素地は整った。クリスマス休暇で市場関係者の休みの時期を利用するのは10月よりも賢明だろう。というか、ここまで利上げをサウンドされれば抵抗力もついている。タイミングを計って利上げするのはQE3を終えた時と同じワザ。
バーナンキ氏もイエレンさんも手練手管は変わらないのだろうし裏技がそんなにある訳でもない。大体「軍事部門を除く非農業部門就業者の手紙によるアンケート調査」なんかを絶対視することが間違っていよう。
9月分は下方修正で13.7万人。8月分は上方修正で15.3万人。しばしば修正される数字を詔のように崇める市場というのはどこか異常な世界に映る。むしろ他に視点の持ちようがないほど市場のレベルが低いと考えても良いのかも知れない。付和雷同、イベント大好きなトレンドはもう消えても良いような気がする。

日経平均日足の一目均衡の雲の上限(18967円)を抜けてきた。週足の雲は既に10月第2週から抜けている。ということは目先だけでなく中期的上昇基調復活と読みたいところ。
週末はオプションSQ。2日新甫は必ず13日の金曜日がSQになる。10月SQ値は18137円ではるか下。9月も18119円で同様。8月の20540円は今年の最高値だがこれはまだ背伸びだろうか。まずは7月の19849円奪還と考えたいところ。酉の市ごとに復活してくれれば理想だが・・・。
日経平均株価は377円高の19642円と続伸。トヨタ・TDKが上昇。住友鉱、アシックスが下落。

10日(火):
日経平均株価は月曜昨日までの4日間で958円上昇。つい1週間前の水準は18683円。約2ヵ月までの9月29日火曜日は16930円。10月15日以降続落はないというリズムを想定すれば、1日くらいは休んでも良いのかな?なんて気にもなる。
株価が上昇基調になるとあるいは激しい下落基調になると市場関係者は免罪符みたいに「警戒が必要でしょう」とか「注意しましょう」というフレーズを使いたがる。たいていは経済指標の発表などに従って警戒するように言われるが雇用統計やFOMC、あるいは日銀金融政策決定会合などに警戒したり注意したりするのは当たり前のこと。警戒して「売っておくのか」、注意して「買っておくのか」の区別が語られることは滅多にない。曖昧模糊とした「警戒」。
株価が下がれば「やはり警戒した通り」の」フレーズになり、何もなければ「次の警戒や注意」に時間軸が進むだけ。警戒したところで何も手を打つことのない、ほとんど意味のない「警戒」。「警戒や注意」そのものは論理的には間違ったことではない。しかし具体的な行動が伴わない小賢しげな警戒や注意は事後に「気が付いてはいたのだけど」という自己満足へとつながる導火線のようなもの。だったら、警戒などせず注意など払わず時の流れに身を任せても、結果は変わらないような気もする。

「サプライズの上げ」と評価する声もあるが、日経平均は5日続伸。寄り付き前に200円安までは見たものの前場に19500円水準をキープ。「ひょっとして後場はプラス?」の思いとおりの展開。売り方や相場に弱気の市場関係者にとっては面白くない展開となった。
195キープで強さを感じられるかどうか。疑念と諦念だらけの相場観では感じられないのだろうし、いつまでも火曜の負け犬根性ではいけないだろう。パラダイムが変わっているのに、十年一日の如くバブル崩壊の傷みだけの相場解釈では通じなくなってきた。あれこれひっくり返して上がらない材料を探して下げの免罪符にするのはやめたらどうだろう。
日経平均株価は28円高の19671円。長谷工、横河ブが上昇。DOWA、王子紙が下落。

11日(水):
興味深かったのは前日の日銀の362億円のETF買い。2日に336億円だったから前回より26億円増加した。今年の買い入れ総額はこれで2兆5939億円。3兆円まであと4061億円だからあと11回の買い余力となった。年末まで営業日数は今日を入れて34日。そのうち最大11回買いいれるとすれば相場は23勝11敗という勘定。
日銀の相場観に従えば年末まで二進一退のシナリオとなる。やはり続落の可能性は少ないと読みたいところ。因みに日銀が買い続けているETF。今年7月末の信託銀行の保有比率は57.4%。1月末比較で10.5ポイント増加している。50%越えは2012年の調査開始以来初のこと。ETF市場における日銀の大きさが際立ってきた。都銀・地銀も活躍しており、今は実はETF相場と言えなくもなかろう。
米投資雑誌バロンズは「日本にはスマートベータのETFがある)との報道。何かと言えばJPX400に連動するETFのこと。残高が60億ドルになったことに加えてGPIFがベンチマークとしていることも触れている。面白いのは「コーポレートガバナンス改革を推進する安部首相こそもっとも影響力のある資金の出し手」。
年金を指しているのだろうが、なるほどでもあった。というか「日本にはスマートベータのETFがある」という表現はいかにも日本が市場発展途上国のような印象。ある意味で失礼な表現であるような気がする。その安部首相が月刊文春のインタビューで述べているのは「一億総活躍我が真意」。サブタイトルは「あらゆる政策を総動員し、GDP600兆円を達成する」と勇ましい。
「リーマンショックのようなことが起こらない限り2017年4月に消費税率は間違いなく10%にする」。この政策目標自体はたぶん誤っているのだろうし、8%への増税で景気停滞が生じたのも事実。しかしその前提として「日本経済を上昇気流に乗せることが必要不可欠だ」。となると、官邸主導で旗をふり霞が関が政策を躍起に考えている「一億総活躍」もあながち夢物語ではなくなろうか。ほとんど放っておいても2020〜21年のGDP600兆円は来年からの計算方法の変更で実現の可能性は大きい。そこに無理やり政策が付いてくるのだから市場は歓迎するべきだろう。

訪日外国人4000万人超というのが官邸の目論見。となると訪日客消費は5〜8兆円程度増加するという。農産物の輸出1兆円増加計画も意外と奏功するかも知れない。あるいは賃上げも明るい春を迎えられるかも知れない。永田町と霞が関の動きに世界が着目すれば、日経平均2万円は通過点となるに違いない。
11月11日は「1」がならんで独身の日かつ「いい買い物の日」。アリババは中国での商戦テーマは「世界を揺らせ」。中国経済には小気味よい響きだろうが、そんなことより今日は国産飛行機MRJの初飛行の日。「下町ロケット」ではないかも知れないが、この技術力は中国にはなかろう。上海市場の動向に一喜一憂しなくなった東京市場は少し成長したかもしれない。いまだに株価下落の理由に地球を半周して時間を半日戻して中国の経済指標のせいにするNY。一味違ってきた。紙芝居は昨日まで4日連続陽線。そして昨日は「並び赤」。ジリ高の動きをみせていたところから、パッと上放れて、ほぼ同等の二本の陽線が仲よく並んだ形。「並び赤」は「もっとも強し」とされている。
季節外れの郵政三社祭りのあとに来るものは郵政酉の市。今年は三の酉まであるから都合が良い。一の酉は昨日のFTSEの「日本株指数」への組み入れリバランス。日本郵政に800万株(135億円)、ゆうちょ銀に800万株(133億円)。かんぽに100万株(36億円)だった観測。二の酉は10月17日(水)のMSCI「標準指数」への組み入れリバランス。日本郵政が2339万株(398億円)、ゆうちょ銀に2105万株(351億円)。浮動株ベースで4.5%程度の買い需要と観測されている。三の酉は12月29日の大引けで発生するTOPIXへの組み入れリバランス。酉の市とは季節感がずれるが・・・。株数金額は12月7日引け後の浮動株比率発表によるが事前観測は浮動株の8〜10%程度の買い需要。ゆうせい相場は少なくとも大納会の前日まで続くということになろうか。日経平均株価は20円高の19691円と6日続伸。トーヨーカナツ・重工が上昇。鉄・DMG森精機が下落。

12日(木):
前日まで日経平均株価は6日続伸。郵政上場を挟んでほぼ1000円幅の静かな上昇となった。おかげで東証1部の時価総額も600兆円台復活。郵政の時価総額という下駄を履いたとはいえ、GDPよりも一足早く達成したことになる。そのGDP600兆円についての月間文春での安部首相のコメント。「企業の国内投資を躊躇させてきた六重苦、すなわち円高、自由貿易協定への遅れ、高い法人税率、環境制約、雇用環境、不安定な電力事情、に正面から取り組み改善してきました。こうした中、こんな心強い朗報もあります。米アップル社は来年横浜に研究開発拠点を開設します。近年、アジアにおける経済の拠点と言えば、香港やシンガポールが主流でした。
しかしコーポレートガバナンス改革や法人税改革を断行することで日本のアジアにおける存在価値は高まりつつある」。これは間違ってはいなかろう。面白いのは消費税に関するくだり。「昨年7〜9月のGDP速報によれば個人消費は4〜6月に続いて前年比2%以上も減少していました。4月に実施した消費税8%への引き上げが個人消費を押し下げる大きな重石となっていることは明白でした。さらに10%へと再増税すればデフレ脱却の千載一遇のチャンスを自ら捨ててしまう。その一年で決断したのです。先の上海株式市場の下落により顕在化した中国等の景気下振れリスクを鑑みるに、もしこの10月から予定通りに消費税を10%に引き上げていたら日本経済は今頃どうなっていたでしょうか」。きっちりわかっていたようである。
ただ感じるのは「自助努力による自力発展」というよりは「他力本願」。海外パワーを持ち込んでこの国を救おうという思考法に映る。ただ経済財政諮問会議では法人税率を早期に20%台に引き下げる方針が明確に打ち出された。これは市場としては歓迎だろう。「設備投資や賃上げにつなげて欲しい」という首相の指示がどこまで浸透するかが今後の課題。法人税引き下げは企業の手元資金が積み上がるだけという財務省の反論にも一理ある。法人税引き下げは消費増税の見返りという見方も当然否定できない。これらの棘があるものの少なくとも前進はしているのだろう。
日経平均株価は6円高の19697円と7日続伸。大林久美、タチエスが上昇。オークマ、ユニデンが下落。

13日(金):
13日の金曜日のSQ。外国人は買い戻し、国内個人はレバETFの売り越しの構図。11月第1週の海外投資家は1318億円の買い越し。信託銀行は1385億円の売り越し。そして10月のETFは個人投資家の売り越し額が2135億円と過去最高を更新。株価下落時の8〜9月は買い越しだったが5ヶ月ぶりの売り越し。
一方でこちらも海外投資家は2314億円の買い越しで過去最高を更新した。株価が上昇すれば個人は売り越し、外国人は買い越すもの。これは市場の明るい未来を信じない個人と期待する外国人の差なのだろうか。意外とわかりやすい心理と行動である。もっとも株式投資で勝つ秘訣は「疑いと考えること」だろうか。表面化した市場関係者中心の市場動向解釈を疑い、四六時中別のシナリオの可能性を模索し続けること。
あれこれ数字をひねくりまわしたり、紙芝居をすかして眺めるよりもよほど役立つような気がする。疑って考え続けると品性は悪くなるかも知れないがもともと風格など問われないのが株式市場だからそれでも良かろう。
興味深いのはここ数日の日経ダブルインバース(1357)の値動き。本来日経平均が下落すれば株価は2倍動く仕組みのしろもの。しかし木曜は日経平均株価が小幅とはいえ上昇したのに株価はプラス引け。連動するどころか逆連動になった。弱気主体のベアETFが逆行高ということは売っていた向きの買い戻しが大きいということだろう。ベアETFの売り=先高感だったのが、買い戻すということは先安感が勝っているとも解釈可能。すこしややこしい。
「日経平均ベア2倍(1360)の方が連動性が良い」との声も聞かれる。因みにMSCIの銘柄入れ替えで日本株はホシザキ(6465)、オービック(4684)が新規採用。コロプラ(3668)、イビデン(4062)、シャープ(6753)が除外。11月30日の取引終了後に入れ替え実施予定。暫定SQ値は19496.87円。3月SQ値19225円は上回ったものの7月SQ値19894円は上回れなかった。もっとも10月SQ値18137円からは1359円の上昇。明るい10月を再認識したというところだろうか。同じような動きが12月まで続けば12月のSQ値は20855円水準。計算だけは出来る。
日経平均株価は100円安の19586円と8日ぶりの反落。金曜の上昇も8週ぶりに止まった。マツキヨ・キッコーマンが上昇。りそな・平和が下落。

(2) 欧米動向
「もういい加減織り込んだろうし飽きた」というのが本音の米FRBの利上げ問題。
それでもあちこち喧しい。
米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁。
「米経済が力強さを増しFRBの利上げに対応できる状態になる日を楽しみにしている」。
「FRBと財政当局が協調すれば強い経済が実現できるのではないか」という質問への回答だという。
「楽しみ」と当事者に言われるようでは情けないところもある気がする。
そしてインド準備銀行のラジャン総裁がフランクフルトで語った。
「FRBが金利を引き上げれば混乱が生じるが、利上げを見送れば悪影響はさらに大きくなる」。
ドイツ連銀のワイトマン総裁も同様の意見。
「金融政策に関してあまりに緩和的で緩和期間が長過ぎるとの懸念をわたしも共有する」。
世界は米利上げに理解を示してきたとのアドバルーン。
対米従属的な日本はどうするのだろうか。

英国の存在感はインドでも示された。
ロンドン訪問中のモディ首相とキャメロン首相が会談。
経済的には90億ポンド(1.7兆円)の商談が示された。
原子力協定に加えてインド通貨ルピー建て債券発行も出てきた。
キャメロン首相の共同記者会見コメント。
「英国はインドの最大のパートナーとなり、野心的な計画を金融面で支援する。
「ロンドンをオフショアルピー取引の国際センターにする」。
モディ首相はバッキンガムには泊らなかったようだが、10年ぶりの訪問は明らかに賓客。
中国の習近平氏同様の扱いでインド・中国という2頭だての馬車にのる英国という印象。
日経のコメントは「2つの新興大国の成長力をしたたかな実利外交によって取り込む巧者ぶり」。
中国とインド。
かつて大英帝国の影響力の色濃かった2つの国と英国の動き。
大英帝国はいまだ沈まずの感だろうか。
アメリカがその支配下にあったことも実は未来に対する大きな歴史であるような気がする。
少しの変化。
米MSCI新興国市場指数にアリババやバイドゥなど米国上場の中国企業14社が採用された。
米国上場企業だが、中国経済や市場に対する懸念は少し薄らいだのだろうか。
となると東太平洋も少し静かになるのかも知れない。

(3)アジア・新興国動向
どうも中国が仲間つくりにいそしんでいるように思える。
台湾との対話もそうだが、これは経済を重視した格好での政治的動き。
「経済学という学問は間違いなく実在の物事を対象とした形而下の学問であり、
社会を構成する人々の衣食住の確保という極めて日常的な事柄について、
労働や天然資源などの制約の状況の把握とそれらの制約下での適切な活用と配分に焦点を当てて考察する社会科学の一分野」。
そういう論文があるが確かに形而下が形而上に勝っているのが世界の市場主義なのだろう。
その中国とロシア。
ロシア中央銀行は2016年に人民元建てで国債を発行するという。
韓国・英国は既にこの動きをしている。
ロシアも背に腹は変えられずというところだろうか。
しかもアメリカまで人民元のIMFの特別引き出し権(SDR)構成通過採用支持の方向。
ルー財務長官が支持するという。
レイムダックのオバマ政権の断末魔なのかどうかはわからないがその裏は何なのだろうか。

水曜日経2面で指摘されたのが中国国防省のサイトに掲載された論文。
「日本海軍は開戦後4時間で中国東海艦隊を消せるとうそぶくが笑い話とは言えない。
中国は勝てなければ、国際問題が国内問題になる」。
とても中国軍最高位の上将で国防大学政治委員の論文とは思えない。
「習近平氏は軍の論客の口を借りて対日関係修復の気球を上げた。
だが真の狙いは対米関係だ」という声も聞かれる。
その延長戦上に今回の台湾との会話もあったのだろう。
その台湾ではかつてしばしば中国軍と台湾軍を比較した番組が組まれていた。
「中国軍は、数は多いが古いものばかり
新鋭機の多い台湾が圧倒的に有利」。
いまでもそんな放送があるのかどうかは知らないが、そんな見方があったことは事実である。
軍を抑えられるのか、どうかというのは実は中国経済にとっては大きな課題。
つまり政治と経済を軍事は同じながら同床異夢。
それぞれ一枚岩でなく違う方向を向いているのだとしたら意外とあの国も分かりやすくなる。
ところで・・・。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは世界株式指数の「グローバル総合指数」にはまだ中国A株を組み入れないことを決めた。
コメントは「中国では市場の利用可能性を改善するためのいくつかの措置が講じられた。
ただ外国人投資家にとって最終的な投資環境がどうなるか、なお大きな不透明要素が残っているため、しばらく様子を見る」。
これでロシアとギリシャは引き続き「新興国」。
サウジアラビアとパレスチナ、ジンバブエは「スタンドアローン国」。
ウクライナは「フロンティア国」から再び「スタンドアローン国」となる。
加えてMSCIは12日に半年ごとの指数見直し結果を公表する予定。
やはり中国A株は新興国指数や他のグローバル指数には含めないと予想されているという。
通貨の人民元は何となくIMFのSDRになれそうだが、中国株はまだまだ魑魅魍魎ということなのだろう。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
16日(月)7〜9月期GDP、首都圏マンション販売、米NY連銀景気指数
17日(火)米鉱工業生産、ロス国際自動車ショー(〜29日)、消費者物価、独ZEW景況感
18日(水)日銀金融政策決定会合、10月訪日外国人、米住宅着工件数、FOMC議事録、ASEAN首脳会議(〜22日マレーシア)
19日(木)黒田日銀総裁会見、10月貿易統計、全産業活動指数、米CB景気先行指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感
20日(金)コンビニ売上高

そして21日から3連休となるのだが面白かったのは大和のレポート。
「11月3連休明けは株高のアノマリー」。
11月の3連休明けの日経平均株価は1998年以降はほとんど上昇。
理由は前年の1997年年11月の3連休で金融機関の破たんが相次いだこと。
山一・拓銀などの破たんで株価が急落した悲しい記憶が投資家に残っており、
連休が無事明ければ安心感が出やすい。
また連休前に制度信用取引の期日が集中しやすく連休明けは需給が軽くなる。
理由の是非はともあれ、98年以降15勝1敗。
確かに11月の3連休明けは高い。
昨年11月25日50円高。
11月4日448円高。
2013年11月5日23円高。
2012年11月26日22円高。
2009年11月24日96円安。
2008年11月25日413円高。
2008年11月4日537円高。
2007年11月26日246円高。
2006年11月6日14円高。
2003年11月25日107円高。
2003年11月4日288円高。
2002年11月5日251円高。
2001年11月26日367円高。
2000年11月6日533円高。
1998年11月24日384円高。
1997年11月25日854円安。

そもそも・・・。
株価の上下の因果関係というのは得てして逆に考えられることが多いような気がする。
例えば米雇用統計。
NY市場で株価が上昇マインドにあるのであれば雇用統計が悪ければ「低金利継続期待」で株価は上昇する。
逆に雇用統計が良ければ「好調な景気状態」を背景にやはり上昇する。
雇用統計の結果の如何にかかわらず株価は雇用統計を通過し好解釈を背景に上昇する。
逆も同様でNY市場で株価が下落下落マインドにあるときに好調な雇用統計であれば「金利上昇懸念」で株価は下落。
あるいは、雇用統計が悪化すれば「景気後退懸念」で株価は下落。
雇用統計通過後のシナリオは既に出来ていると言っても過言ではなかろう。
シナリオは自分でつくるものだし、経済スケジュールに詳しいからといって相場で儲かる訳ではない。
そういえば・・・。
郵政の上場が起爆剤となって株価が上昇した訳ではなかろう。
株価が復調だったからこそ郵政上場が成功した。
逆に考えれば郵政が見事な上昇を果たすためには株価の復調は確かに必要だったことは間違いない。
そして、問題は上場以降の展開。
まだ政府持ち株の放出を控えている以上、セレモニーはこれで終わりではない。
イベントの第2弾、第3弾を成功裡に導くためには第1弾を長い時間をかけて成功したという演出は必要だろう。
10年以上にわたる長い時間をかけてきた最後の大型放出だけにそのぐらいのプランはあるだろう。
そう考えれば、今日や明日の株価動向など小さいこと。
壮大な時間軸で物事を考えたい。
そしてできれば命題はひっくり返して考えたいもの。
市場が唱える「AだからB」ではなく「BのためのA」あるいは「BだからA」。
そう考えることで相場解釈でつじつまが合わないことは結構減ってくる筈である。
相場は素直に見ることはが必要だが、解釈は少し「ひねくれて」いた方が良い。
だから相場巧者は「偏屈」なのかも知れない。

株を買うという行為と株価を買うという行為は似て非なるもの。
株価を買う場合にはこんな面倒くさい指標はいらないのかも知れない。
でも株を買う場合にはバックボーンとして知っておいて悪くはない指標。
そして「自分は株を買っているのか。そうではなくて株価を買っているのか」。
この区別を明確にすることも結構大切だろう。
多くの方は「株を買っている」と思いながら実際の行為は「株価を買っている」もの。
株価を買っているのならこういった思考法ではなく、違ったシナリオが必要になってくる。
株価を買っているのに、株を買う指標を使っているとなかなか相場では勝ちにくいのかも知れない。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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