兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2016年02月3週
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02月3週
【推移】

15日(月):
前週は3日間の立会いで日経平均は2000円超(11.1%)の下落。25日移動平均線との乖離率はマイナス11.86%で1月21日のマイナス11.66%を上回った。昨年8月25日のマイナス12.23%に迫った。
金曜の東証1部の売買高は47億416万株、売買代金はオプションSQということもある4兆1833億円。
年初来安値更新銘柄は1023。東日本大震災後の2011年3月15日の1048銘柄以来の多さとなった。昨年来高値更新銘柄はゼロ。そしてトヨタの時価総額は1年4カ月ぶりに20兆円を割れた。
中国市場の春節休場など関係なし。水曜に16000円を割れ休日明けの金曜に15000円割れ。「先進国の株価指数とは思えないような下げ」との声も聞かれる。

因みに約2か月月間程度での下落が大きかったのは、1990年7月〜9月がバブル崩壊直後で下落率37%。08年8〜10月がリーマンショックで下落率47%。2000年3〜5月がITバブル崩壊で下落率23%。昨年7〜9月がいわゆる人民元ショックで下落率19%。「昨年12月末から24%の下落。12月1日の20012円からは26%の大幅な下落」と市場関係者。確かに歴史的な数字ではあろう。

土曜日経朝刊1面の見出しは「マネー疑心暗鬼の連鎖」とおどろおどろしい。テーマは「市場激動」といかにも不安げ。そして日曜日経朝刊の見出しは「株下落、日中で鮮明」。「日経平均株価の年初来下落率は資本流出問題を抱える中国株とそろって2割超。
日経平均構成銘柄のうち約4割が2013年4月の日銀異次元緩和前の水準に逆戻り。世界の株価は年初から米国が8%、欧州が15%下落。日経平均の年初来下落率は21%。景気や政策への不信感が強まる中国の上海株(下落率22%)に日本株が最も連動して下落。
一方、金の上昇率は17%と主要資産で最も大きくなった」と。1年で20%というのが平均的変動率であるとすると2か月で20%超は明らかにスピード違反だろう。
日経平均は1069円高の16022円と5日ぶりに大幅反発。野村、トヨタが上昇。日本紙、山パンが下落。

16日(火):
週末金曜の下でサーキットブレーカー発動基準は14130円。月曜の上でのサーキットブレーカー発動基準は16340円。サーキットブレーカー発動基準を意識して動いている訳ではないのだろうがボラティリティは高いまま。
もっとも金曜ザラ場に50%台まで乗せた日経VIは昨日一時40%割れとなり、多少は落ち着いてきた。電車の中吊り広告では週刊誌の「この円安と株安はもう止められない」の見出し。ある意味相場反転のアノマリーにもなったのかも知れない。
為替は114円台で推移しGLOBEXでの225先物は15925円と上値の重い展開。前日段階で日経平均(16022円)は先行してNYダウ(15973ドル)を表面上の数字で抜きましたがこれは意味のない比較。週末にバルチック海運指数は今年になって初の上昇。年初から続いた悪材料満載の展開に一時的終止符は打たれたという印象。
日経平均株価は31円高の16054円と続伸。三菱UFJ、コマツが上昇。JR東、キリンが下落。

17日(水):
日経1面の見出しは「配当3年連続で最高、上場企業株主還元を重視」の見出し。15年度の配当総額は約10.8兆円(前期9.7兆円)。業績好調という企業も多いが下方修正した企業の9割は計画通りの配当を維持する見通し。
因みに上場企業の約2割を保有している個人投資家に入る配当は約3兆円。これが消費につながるかどうかは期待通りではないだろう。ただ、この増配あるいは自社株買いの動きは、一方でROEの向上につながる。

マイナス金利で現金を持っているのは「罪深い存在」という指摘は日経「スクランブル」。上場企業のキャッシュは100兆円。もしも動くならばマインド好転。そのままなら。やはり羹に懲りたDNAに変化はないということだろう。かつてはキャッシュリッチという指標は良い経営指標だった。今はキャッシュリッチが罪と言われるのだからやるせない気もする。というか血と涙の結晶のキャッシュを罪悪視されることは結構酷い。
資金繰りの苦労などないアナリストや市場関係者に言われることこそ「片腹痛い」という印象。良さそうで良さそうでもないのが4カ国による原油増産凍結の話。1月の生産は過去最高水準だったことから一部に失望感もあり原油先物価格そのものは下落しておりチグハグ。それでも「原油下落での株高は原油と株の相関性の低下の可能性」と言う声もある。原油に踊らなくなれば、また為替か債券が踊り始めるのだろうか。
日経平均株価は218円安の15836円と3日ぶりの反落。3日続伸は叶わなかった。ソフトバンク、群栄が上昇。鉄、キッコーマンが下落。

18日(木):
NYダウは今年初の3日続伸。ロンドンFT100はすでに4日続伸となった。欧州株式は続伸し、原油・米金融動向は正回転に転換しておりひとまず市場は落ち着きを取り戻した格好。海の向こうではジェットコースターがメリーゴーランドになる日も近いかも知れない。そんな中で、妙に警戒して右顧左眄を繰り返し、東京市場はストレートの四球で押し出しのような展開。自己主張することもなく、ふと気が付いてみれば取り残された格好。今度は「連騰のあとの海外株の反落警戒」とでも言うのだろうか。勝ちグセから見放され、ジャパンアズナンバーワンと主張する根性を骨抜きにされ20余年。さらに言えば被占領国家となってから70余年。もともと他人の目を気にする習性を帯びた国民性は投資の世界でも消えることはない。もしも自己主張が正当に出来る市場ならばこんな体たらくはないのだろう。海の向こうは続伸モード。海のこちらは続伸へのリセット。そして、懸念視された中国上海株式市場は春節になにもなかったかのように続伸。スポーツでもゲームでも弱いところを突くのは定石。どの市場だって弱さを内包しているものだが、小さな綻びでさえ拡大解釈する市場はなかろう。

面白かったのは場況。「円高・ドル安や地政学リスクの高まりを背景に外国人投資家に先物売りが活発化。現物株にも売りが波及した」。外国人は日本株を売るけれど、それ以外を買っているという状況。なぜ外国人が日本株を買わないのか。というよりもなぜ日本株だけを売っているのか。この「日本株だけを」が問題だろう。答えはたぶん場況に示されている「悪材料に敏感に反応する地合いは変わっておらず」。結局見えない影におびえる習性を逆手に取られているだけのこと。「負け犬根性」と「他力本願」こそ日本株安の最大の悪魔のような気がする。日経「大機小機」は「マネー波乱と増税先送り論」。消費増税は「リーマンショックのような事態が起きない限り実行する」との約束。しかし現実は10日間に10円の円高はリーマン以来。株価チャートさえリーマンショックと似ているという指摘もある。これだけを見れば外堀は埋まった格好。
シナリオ的にはG7やG20でグローバルな要請を受けての増税延期。仕上げは伊勢志摩サミットだという。増税環境を整えられなかったという野党の攻撃には解散総選挙。悪くはないように思える。確かに、郵便ポストに今までは見えなかった現役野党議員の政策パンフが入るようになった。永田町もそれなりに考えているのだろう。
日経平均株価は360円高の16196円と反発。上昇幅は一時500円に迫る場面もあった。出光、野村が上昇。ソフトバンク、横河が下落。

19日(金):
日経1面では「羽田空港を利用する日米路線の拡大で合意」の記事。羽田発着の米国路線を従来の1日8便から12便に増便。これまでゼロだった昼間(午前6時─午後11時)の発着便を新たに10便設ける。一方、深夜・早朝(午後10時─午前7時)は現在の8便から2便に減らす。「旅行者にとっては選択が増すことになり、競争推進につながると」と言う声も聞こえる。日米間の交流がさらに増加すると見ての方向なのだろうか。それにしてもたいへんな時間とエネルギーを費やした成田って何だったのだろう。
政策は時として壮大な間違いを起こすことがあるのかもしれない。
日経平均株価は29円安の15697円と反落。東急、ファーストエスコが上昇。トヨタ、トレンドが下落。

(2) 欧米動向
目をアメリカに転じれば・・・。
S&P500採用銘柄の2015年第4四半期決算は、前年同期比3.9%減の見通し。
予想PERは15.0倍との計算。
一方資産運用大手ブラックロックのグローバル最高投資ストラテジストのコメント。
「日本株は割安で金融市場の中で明らか最も売られ過ぎの状態にある。
日銀のマイナス金利導入によって銀行が苦しむとしても、円安が進んで多くの日本株が堅調となる可能性が大きい」。

ドイツ銀の債券買い戻しがきっかけなのかどうか。
話題になっていたココ債(偶発転換社債)の買い戻しは行わないものの普通社債6000億円。
買い戻せるのなら、経営不安も一時後退ということだろうか。
国内GDPの2期ぶりのマイナスなど見えないフリになったような相場。
負の材料が増えれば「政策期待」という曖昧模糊とした材料が登場するから相場は厄介なもの。
あちらこちらに「負の連鎖」なんて言葉が登場するから心理も委縮している株式市場。
しかし日経日曜朝刊の「欧州マイナス金利が影」なんて見出しも良く読むと中身は違う。
登場したのはマイナス金利を2012年7月に導入したデンマーク。
2011年に600万クローネで購入された高級住宅が2500万クローネ(4.3億円)。
売り値とはいえ5年で4倍超という値上がりとなったことになる。
マイナス金利導入以来、住宅ブームが継続。
15年7〜9月の高級住宅地の価格は15%上昇したという。
また、コペンハーゲンの人口は増えていないのに15年夏〜秋に需要が供給を上回った。
異例の「住宅不足」にまで陥ったという。
今話題にすべきは世界に付和雷同した「萎縮」マインドではなく、ゼロ金利がもたらすインフレ退治の方向だろう。
目先しか見ないから慌て騒いでいるが、時の経過はあきらかにこの方向と思える。
だったら、来年の今頃に何を論じているかを考えることも必要。
「消費税が上がらなくて良かった」。
「マイナス金利のうちに住宅を」。
おまけに円高にでも進んでいれば「ブランド品逼塞」なんて事態もあり得よう。
決して夢物語ではないような気がする。


(3)アジア・新興国動向
春節明けの中国。
中国商務省が発表した春節期間中の小売売上高は前年比11.2%増加の1150億ドル。
加えて・・・。
中国人民銀行の周小川総裁。
「人民銀行が人民元防衛と資本流出阻止のため元買い・ドル売りの市場介入を続ける中、1月の中国外貨準備は3カ月連続で減少した。
人民元改革により市場はより柔軟に投機筋に対応できるようになる。
資本流出は資本逃避とは別物であり厳しい資本規制は中国にとって有効ではない。
人民元相場の下落が続く理由はない。
通貨バスケットに対する人民元の基本的な安定性を維持する一方、米ドルに対してはより大きな変動を容認する。
政府は経済のシステミックリスクを回避し、株式と債券、為替市場の間の交差感染を阻止する必要がある」。
結論は「外貨準備に関する市場のセンチメントを投機筋に主導させるべきではない」ということだろう。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・

22日(月):携帯関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス」(バルセロナ)
23日(火):米中古住宅販売、CB消費者信頼感、ケースシラー住宅指数、独Ifo景況感
24日(水):企業向けサービス指数、米新築住宅販売
25日(木):米耐久財受注
26日(金):消費者物価指数、G20財務相・中央銀行総裁会議、米10〜12月GDP改訂値

12月SQ値は18943円。
1月SQ値は17420円。
2月SQ値は15156円
1月月足陽線基準は18450円
昨年比プラス基準は19033円
2月月足陽線基準は17865円

欲しいものがあると「安く買いたい」というのは古今東西不変の真理。
だから株は下げた後に上がるし、上げた後に下がる。
子供でも理解できるこの簡単すぎる図式が、資本市場とか立派な名前をつけた場所になると見えなくなる。
横文字使ったって専門用語使ったって、機械プレイが増え立って所詮市場はヒトの心理の集合体。
簡単な図式にまとめることが格好悪い訳ではなかろうが、そんなイージーな相場観測はバカにされると錯覚する。
ものごとは単純明瞭にして簡素して考えた方が間違いは少ない。
それを敢えて難しく考えよう、格好良く論じようと誤解錯覚した連中が解釈するからわからなくなる。
聞く方も聞く方で「それはわからない」と恥ずかしくて言えないのでわからないままに解釈は進行。
結果的にはわかっていない者がわからない者に語ってそれでわかった気になる。
わからない説は自分が悪いのではなく、わかるように説明できない奴が悪いのは当たり前。
このわからないだらけが市場をますます暗くして壁を高くしているような気がする。
「売る人が多いから安い。買う人が多いから高い」。
この原理原則を放れてアレコレ論じる空虚さはそろそろ理解されてもいいだろう。
「安く買いたい人は株価が下がって欲しい」。
「高く売りたい人は株価が上がって欲しい」。
つまり売り方にとって株価上昇が歓迎で買い方にとっては株価下落が歓迎。
この大きな流れでのパラドックスが現実なのに、逆の解釈をするから儲からないのかも知れない。

2016年2月19日という日が特定されて市場では注目されている。
共和党所属でテキサス州選出の元連邦下院議員であったロン・ポール氏の見方。
「2016年2月19日にドルが完全崩壊して経済が破壊される」というキャンペーン。
全米の金融システムが崩壊すると言っている。
背景は米国の負債が公式発表だけでも18兆ドル以上になること。
米国に対して最大の債券保有者は、第2位の中国と第3位の日本。
「ドルの廃棄を宣言して新しい通貨に切り替える可能性」が2月19日にあるのだという。
なかなか意味深なキャンペーンだが、この種のネガティブキャンペーンが実現したことはあまりない。
1995年にアメリカは国家破産するといわれたがしなかったのが歴史。
しかし興味を惹くキャンペーンであり、ネガティブに市場を展望したい向きには格好の材料になるのだろう。
同じ市場を相手にしていても、ネガに見ればつぶれそうに見えるしポジに見れば頼もしく見える。
これが市場の本質の一部でもある。
「市場は鏡」という格言はないが、市場動向は自身の投資心理を反映した鏡で反射して解釈されるものでもある。
「崩壊するする詐欺」とはポジな人々が命名したのだろうか。
「市場は鏡」という格言はないが、市場動向は自身の投資心理を反映した鏡で反射して解釈されるものでもある。
「崩壊するする詐欺」とはポジな人々が命名したのだろうか。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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