兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2016年04月1週
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04月1週
【推移】


28日(月):
先週週間ベースで日経平均株価は1.7%、TOPIXは1.6%と3週間ぶりの反発。中小型銘柄のテーマ選別物色は継続しており東証マザーズ指数は週間で2.1%上昇し6週続伸(累計44.6%上昇)。日経ジャスダック平均は週間1.6%上昇でこちらも6週続伸(同11.9%上昇)。新興市場株の売買代金は5日連続で2000億円を越えた。
今年の1日平均を約4割上回っている。東証1部の売買代金に対する比率は13.5%で1年3か月ぶりの高水準。主力の上値の重さへの裏返しだろうし、成長株に対する期待感が高まっている。

月曜は3月期末権利配当付き最終売買日。日経平均で125円程度と観測されている火曜の権利配当落ちを埋められるかどうかに視線は向く。しかし最終日の買い意欲があるのかどうかかも課題だろうか。
因みに日経平均のPERは15倍台に乗ったが、背景が株価の上昇よりはEPSの減少。特に物産・商事など商社の減損が響いて22日に1170円だったEPSは25日に1131円まで低下。少し悪い数値になってきた。というより過去1年の多くの銘柄の努力での増加分はシャープや東芝、商社などで消された格好。もっとも懸念満載だったシャープもようやくホンハイと基本合意の報道。期末をなんとか越せそうな気配。

日曜の日経朝刊では「サミット前に経済対策。財政出動で国際協調。首相、消費増税見送り視野」の見出し。素直に評価すれば株高シナリオとなる。3月期末で権利配当を落とし4月期初で「昨年来高値」は「年初来高値」に代わる。つまり風景は一変するということ。因みに配当落ち日は2014年まで12年連続で陽線と言うのが歴史。昨年は陰線だったがそれでも21世紀の期末配当落ちは上げの特異日。
1月年始はマイナスからスタートしたが4月期初はプラス展開からのスタートに期待したいところ。消費増税先送り論議はその材料になろうか。
日経平均株価は131円高の17134円と続伸。ノーリツ鋼機、高島屋が上昇。東京海上、住友不が下落。

29日(火):
日経でのロングランは「私の履歴書」。今月の「私の履歴書」はアイリスオーヤマの大山健太郎社長。「本来、上場とは資金調達が必要だからするものだ」。もちろん人材採用のためとか、社会的認知度の向上とかの他の大義名分はたくさんあります。でも突き詰めていけば究極は「資金調達」。低金利だから資金調達の必要は薄れてきているのかも知れませんが、でもこれは正論でしょう。そして「目先の株価のために事業や人を切り捨てさせ、未来の芽を摘み、株価をつりあげ売り逃げる投機家のために時間を費やしたくない」。これも縦横無尽な正論に聞こえてしまう。しかし、この声に反論できるかどうかが永遠の市場の課題。この問いに対する反論が証券業界から登場したときに、風景は変わるのかも知れない。
日経平均株価は300円安の17103円と反落。化案利配当落ち分127円を埋めることができなかった。ニトリ、セブナイが上昇。トヨタ、浜ゴムが下落。

30日(水):
前夜六本木の人気ステーキ店ウルフギャングで2時間半以上過ごした安部首相。同伴は補佐官と秘書官だった。そもそもウルフギャングはNYの有名店。ただウルフギャングの語源はドイツ語でヴォルフガング。意味は「狼の闘争」。
2016年度予算が成立。木曜から核安全保障会議で訪米し日米首脳会談。そして消費増税延期の根回しなんてシナリオが市場関係者の読み。「衆院解散については頭の片隅にもない」とコメントしながら言ったのは「狼の闘争」。暗示的レストランというのは読み過ぎだろうか。そもそも市場は消費増税に疑心暗鬼。だから上値が重い。
そして今日明日にも決まるシャープの行方も年初からの上値抑えの材料。期末のドレッシングなんて20世紀の遺物はもうアナクロ過ぎるだろう。

大昔は「お化粧」なんて言われたものだが今は「薄化粧」すらない。大和のレポートは「消費増税の延期(凍結)。となると2014年暮れと同様に衆院の解散総選挙が想定される。消費増税の方針を変えるのだから国民に信を問うとのロジック。加えてサミット開催後には政権支持率が上がる傾向があるからだ。さらに4月日銀金融政策決定会合での金融緩和も期待できる。マイナス金利政策は立て続けに実施するのがECBのパターン。そして1月の緩和策に対し、現在の効果が鮮明でない状況を放置できないだろう。消費増税延期(凍結)、解散総選挙、効果の高い金融緩和。2014年終盤にそっくりとなる。
消費増税を実施する可能性も残っている。増税が可能な経済状況を作るために大きめの2016年度の補正予算。そして2017年度の景気下支え策も相当手厚くなる可能性だ。参議院選挙にとって大きな財政出動の約束はポジティブ」。となると、どちらに転んでも悪くないという良すぎる選択となる。
日経平均株価は224円安の16878円と続落。アスクル、東レが上昇、王将フード、マニーが下落。

31日(木):
昨年3月月中平均は19100円水準。3月末は19206円。9月末は17388円。残念ながらどちらもクリアできそうもない。
日経での見出しは「株、先物売買が過去最大。今年度大荒れの要因に」。2015年度の先物売買代金は1400兆円を超えており過去最大。90年代は多くて500兆円レベル。2000年代は多くて800兆円レベル。
アベノミクススタートからは1000兆円レベル。それでも昨年は突出した。背景は裁定ではなくたぶん日経レバ。やはり化け物となっている。過去10年の上昇幅最大は昨年9月9日の1343円。過去10年の下落幅最大は2013年5月23日の1143円。15年度の下落幅最大は2月9日の918円。

日経「私の履歴書」のアイリスオーヤマ大山社長。今日の言葉は「経営判断は、本質的、多面的、長期的」。これは投資判断の原則にもつながる言葉。だが理想ではあるがなかなか実行されない。反意語は「現象的、近視眼的、短期的」。これが今のマーケットの現実である。
日経平均株価は120円安の16758円と3日続落。三菱UFJ、テクノスJPNが上昇。アイスタイル、アンリツが下落。

1日(金):
2015年度の日経平均は前年度末比で2448円32銭。アベノミクス相場で初の下落となった。年度ベースでの下落は2010年度以来5年ぶり。特に木曜は大引け直前に急速に失速して安値引け。「陰の大引け坊主では験が悪い。昨日も同じような足。今日もう一本同じような陰線が続けば『三羽烏』という売り線が出現する」というイヤな声も聞かれる。25日移動平均も下回った。下回るのは3月1日以来のこと。日銀短観の結論は大企業製造業DIがプラス6。2四半期ぶりの悪化で着地した。
昨年12月の前回調査はプラス12。3カ月後の見通しはプラス3となった。2016年度の大企業設備投資は3.1%。全産業はマイナス0.9。想定為替レートは117円46銭。さて押し目となるかどうか。むしろ期待したい悪い数字と考えたいところ。

日経平均株価は594円安の16164円と4日続落。新年度初日に下落したのは4年連続。「調整のシグナルは連続陰線か大きな陰線、25日線割れと前日にサインはあった」と市場関係者。「ただ、2月12日までの相場に比べれば大したことはないだろう」とも。ソフトバンク、トクヤマが上昇。アルプス、パナソニックが下落。

(2) 欧米動向

火曜の「大機小機」は「世界経済に「雪解けの兆し」。
「世界経済を安定させるにはドルの一段安が必要だ。
ドル安になれば世界の景色が変わる。
ドルが下落すれば原油価格は上がる。
資源国は原油価格の回復で危機から脱するだろう。
ドル安とともに人民元がさらに下落すれば輸出減少に歯止めがかかり中国経済も小康を取り戻すだろう。
ドル高の冬将軍が去れば、雪解けが始まり、世界景気にも薄日が差すことになるだろう」。
アメリカや中国の通貨が安くなれば、世界景気回復というのが全体論としては正しいのだろう。
ただ、島国日本としては、また円高の悪夢に見舞われて世界景気の回復から落ちこぼれるのではないかという懸念も漂う。
本来は、為替の強い国でなければならないというのが頭では分かってもなかなか体で会得できるものではない。

(3)アジア・新興国動向
あまり報じられてはいないが中国では景気減速でデモ多発傾向の中国共産党の危機感は高まっているという。しばらく静かだったが気温の上昇とともに中国への警戒が必要かも知れない。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・

4日(月):マネタリーベース、米製造業受注、中国休場
5日(火):米貿易収支、ISM非製造業景況指数
6日(水):景気動向指数
7日(木):都心オフィス空室率、米消費者信用残高、鳥取サンセイランディック(3277)IRセミナー
8日(金):SQ、景気ウォッチャー調査、国際収支

過去26年間。
4月は15勝11敗で3位。

4日(月)中国清明節(掃墓節)
5日(火)変化日
6日(水)ECB理事会
7日(木)新月
8日(金)SQ
15日(金)変化日、中国1〜3月GDP
17日(日)下げの特異日
18日(月)火星逆行開始
21日(木)変化日
22日(金)満月
25日(月)月内最終
26日(火)変化日、FOMC
27日(水)FOMC、日銀金融政策決定会合
28日(木)日銀金融政策決定会合、米1〜3月GDP速報値
29日(金)昭和の日、ユーロ圏GDP速報値
30日(土)水星逆行開始

アノマリーは結構微妙。
3月上昇→5月下落、3月下落→5月上昇(3月と5月は逆相関)。
4月上昇→8月下落、4月下落→8月上昇(4月と8月は逆相関)。

政治的スケジュールを見てみると・・・。

3月29日:予算成立、総理記者会見
4月1日:日銀短観
14〜15日:G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)
24日:北海道5区、京都3区補選
5月:「ニッポン1億総活躍プラン」取りまとめ
18日:1〜3月GDP
20〜21日:G7財務相・中央銀行総裁会議(仙台)
26〜27日:伊勢志摩サミット
6月1日:通常国会会期末
7月参院選:(衆参同日選挙の可能性)
参院選後:臨時国会召集、補正予算案提出

兜町流で読めば市場が歓迎しそうなスケジュール。
本当の「申酉騒ぐ」の時期がやってきそうな気配がある。

因みに日経ヴェリタスでは「2016年度の日本株相場の様々なリスク」。

【リスク小】
日本経済の再デフレ化(内需企業の業績が悪化)
参院選での与党敗北(投資家の政策期待が後退)
アジア通貨危機(新興国経済ショックが発生。株価急落も)
ギリシャ危機再燃(ユーロ売り膨らみ、リスクオフを誘発)

【リスク中】
原油価格再び下落(資源関連株やハイ・イールド債投信が下落)
米国で追加利上げなし(ドル安進行、日本企業の業績に逆風)
円、対ドルで100円突破(輸出企業の業績悪化)
企業不祥事の多発(海外投資家の不信感が増大、日本株離れに)
米大統領選でトランプ氏勝利(対日強硬策で株安、円高も誘発か)
     
【リスク大】
訪日外国人の失速(消費関連企業の業績に影響)
国内不動産の市況低迷(不動産株や不動産投資信託(REIT)下落)

そういえば・・・。
日銀短観の発表は、日本株の短期的な転換点になるという指摘は大和のレポート。
4月1日発表予定の日銀短観。
最近はその発表が株式市場の短期的な転換点となることが多い。
大企業製造業・業況判断DIが前回比で改善した場合は株価が短期の天井。
前回比で悪化または横ばいの場合は株価が短期の底入れとなる傾向が見られるという。
「もし悪化したとしてもそれは東京市場の良い押し目」と良い解釈が聞かれる。

「週足はもう一段調整の可能性がありますが、月足が今月末に陽線となって終わるようなら、まだ反発が続く可能性があります。今月の月足が陰線となるようなら、あきらめるしかありませんが…そうならないことを祈ります」とテクニカルアナリスト。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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