兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2016年11月4週
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11月4週
【推移】

21日(月):
週末のNY株式は反落。トランプ次期米政権の政策を見極めたいとの思惑。そこにドル高への警戒感などが加わったとの解釈。蜜月と熱狂の日々から「トランプ次期大統領が掲げるインフラ投資拡大や減税が実現するのか。もう少し手がかりが欲しい」とやや冷静になった印象。もっともS&P500は8月15日に付けた終値ベースの最高値2190.15にあと2ポイント未満に迫る場面もあった。
週間では0.8%上昇。NYダウは週間上昇幅を0.1%に縮小。小型株で構成されるラッセル2000は最高値を更新。11日続伸と過去13年で最長の連続高となった。

週末の日経平均株価は3日続伸。取引時間中としては1月7日以来10か月ぶりの18000円台を回復する場面もあった。「大引けにかけて18000円を割り込んだのは25日線からのプラスかい離が4%に近付いたから」との声も聞かれる。もっともTOPIXは7日続伸。日経ジャスダック平均と東証2部指数は5日続伸。

「大統領選後の東京株式市場で円安・株高・長期金利上昇の流れが続く最大の要因は、米大統領選後に米長期金利が急激に上昇したこと。
米長期金利は、米大統領選開票前は1.8%台、最近は2.3%台で上昇。12月の追加値上げが既定路線となったことも上昇基調に拍車」という指摘は正しいだろう。10年国債利回りがプラスに転じたことから225先物と現物指数の逆ザヤは解消。裁定買いを誘発しながらのマトモな展開に戻った印象。
マイナス金利がもたらした株式市場への負の影響は和らいだ格好。

そして今年の日経平均のレンジは15000円〜18000円。これが18000円を越えてくると18000円〜20000円へのレンジへ1年ぶりに以降。まさに95年型相場の再来。その萌芽は年初6日続落と3日続伸が3月にあったということだろう。

日経月曜朝刊の「今週の市場」。結論のない世界はここにもあった。まずは「株式」。「18000円前後でもみあう展開となりそうだ」。としながらも、「上値を試すには追加の材料が必要かも知れない」。
そしてNY株。「過去最高値圏で底堅く推移しそうだ」。としながらも「輸出企業には業績悪化懸念が出ている」。「為替」は「下落余地を探る展開になるとの見方が多い」。としながらも「投資家のリスク回避姿勢が高まり円安が一服する可能性もある」。
一体強気なのか弱気なのか読み取れない老練な書き方。言質を取られないのがマスコミチックなものなのだろうか。というか、傾きの感じられない見通し。

日経平均株価は138円高の1万8106円と4日続伸。前週末に米長期金利が1年ぶりの高水準に上昇したことを好感した解釈にドル円の111円台での推移が追い風となった。TOPIXは8日続伸。東証1部の売買代金は2兆2867億円。東京海上、MS&AD、日立、三井不、KDDI、ユニファミマが上昇。小野薬、いすゞ、住友鉱、日電産が下落。


22日(火):
11月17日までの8日間に米株のETFに457億ドルの資金が流入したという。2007年8月に記録した435億ドルを上回り、過去最高を更新。背景はトランプ・ラリー。一方、債券ファンドでは17日までの今月だけで150億ドルの資金が失われた。これは昨年年12月以来の大規模な資金流出。過去のデータは嘘をつかないもの。
NY株式市場は上昇。NYダウは4日ぶりに史上最高値を更新した。NASDAQは9月22日以来の過去最高値を更新。S&P500も8月15日以来の過去最高値更新。3指数がそろって過去最高値を更新したのは8月15日以来のこと。背景はトランプ次期大統領が掲げる減税やインフラ投資拡大などの経済政策への期待感。
「相場急伸に乗り遅れた機関投資家による買いが相場全体を押し上げている」。との指摘が聞かれる。「11月から年末にかけては相場が上昇しやすい傾向が強い」とも言われ始めた。

日経平均株価は朝方の地震にもめげずに続伸。
TOPIXは昨年7月29日〜8月10日までの9連騰に並んだ。月曜の新高値は207と記録的水準だったが火曜も145銘柄。月曜に3銘柄だった新安値銘柄はゼロになった。
前場マイナス圏で推移していたREIT指数もプラス。「リスク許容度の高まりを受け、エクイティ市場全体の底上げが進んでいる」との声が聞こえる。あるいは「逆日歩銘柄の多さが上昇を暗示」という楽観論もある。一方で「前回のTOPIX9日続伸が高値だった」という根拠のない不安感も漂う。確かにサイコロでは11勝1敗だから過熱感はあろうか。因みに日経平均のサイコロは9勝3敗。

日経平均株価は56円高の18162円と5日続伸。1月6日以来およそ10カ月半ぶりの高値水準となった。「日米の企業の業績や景気などファンダメンタルスに改善期待が投資家心理を強気に傾けている」という声まで聞かれる。
早朝に福島県沖を震源とした地震が発生。一部の投資家の間で運用リスクを避ける目的の売りが出た。その後被害は限定的との見方から売りは一巡。東証1部の売買代金は2兆1727億円。TOPIXは9日続伸。

24日(木):
火曜のNY株は続伸。3指数とも連日で過去最高値を更新。ラッセル2000は13日連続で上昇し市場最高値更新。NYダウは史上初めて1万9000ドル超え。17000ドル→18000ドルまでは121日。19000ドル到達には483日かかった。
市場が織り込む12月利上げの確率は100%に達した。水曜のNYはダウとS&P500が続伸し史上最高値を更新。10月の耐久財受注が前月比4.8%増と1年ぶりの大きな伸びを示したことを好感。キャタピラーが買われ2年ぶりの高値更新。
ただハイテク関連の軟調からNASDAQは反落した。先週の米週間新規失業保険申請件数は1.8万件増の25.1万件。ただ先週は40年ぶりの低水準をつけていたこともあり想定の範囲内との解釈。節目となる30万件を90週連続で下回っており12月利上げへの伏線となろう。
大統領選挙後S&P500は7%、ラッセル2000は14日続伸で12%の上昇。 ユーフォリアの米国から目を転じる意味で来月のイタリアの国民投票や来年の独仏選挙が懸念され始めた。

日経平均株価は170円高の1万8333円と6日続伸。1月5日以来の高値復活となった。ただ24日の米国市場が感謝祭で休場。年初来高値の1万8450円に近づいたこともあり、利益確定売りが出やすく上値を抑えたとの解釈もある。
TOPIXも10日続伸。2015年5月15日から6月1日までの12日続伸以来の連騰記録となった。東証1部の売買代金は2兆6183億円。トヨタ、ホンダ、TDK、市光工、川重が上昇。三菱UFJ、任天堂、エーザイ、日ハムが下落。

25日(金):
日経平均株価は1月5日以来の高値水準まで戻してきた。背景は円安傾向で113円台を取ってきた。「この水準が抵抗とならないのであれば、24カ月線が控える115円どころまで一気に戻す可能性もアリ。押しの61.8%戻しの水準も115円台」と言う声も聞かれる。加えてNY市場も休み前に市場最高値を更新中。
ラッセル2000指数の14連騰を見ると、TOPIXの10連騰など霞んでしまいそうだ。「直近の戻り過程で累積した信用取引の空売り玉が皆、踏まされているらしい。相場の底入れ期に典型的なことが目下進行中」という心強い指摘もある。新高値212銘柄、新安値ゼロというのが強さの傍証でもあろう。

松井証券信用評価損益率速報でも売り方マイナス11.3%。買い方マイナス5.7%と買い方圧倒的有利な状況。因みに売り方の記録は2014年1月のマイナス15.37%。買い方は15年6月のマイナス1.639%だった。Quick調査の信用評価損率(11/18現在)もマイナス8.20%と2週連続改善。4月22日以来の状況まで改善した。18日時点の裁定取引に伴う現物株の買い残高は2週連続で増加。前週比2798億円増の1兆3076億円。株価の上昇だけでなく金利の上昇が裁定を誘発したことがうかがわれる。一方、裁定売り残高は5週連続で減少。前週比1882億円減の3369億円。裁定売り残が買い残を上回っていたことの異常さは改善された。

TOPIXは10連騰でサイコロ91.7まで上昇。1年9カ月ぶりのこと。月曜まで12連騰すると100になる。「空売り比率が35%なら外国人は買い姿勢」という指摘もある。
日経平均株価は47円高の18381円と7日続伸。7日続伸は2015年11月4〜12日以来。1ドル=113円台まで円安・ドル高が進み、輸出関連セクター中心に買い物優勢となった。もっとも後場は利益確定売りに押され一時下落に転じた場面もあった。
NY市場は感謝祭の休場だったが東証1部の売買代金は2兆7225億円と高水準。「引けにかけて大口の買いが入った」という声も聞かれる。TOPIXは2015年5月15日〜6月1日以来の11日続伸。トヨタ、マツダ、、パナソニック、三菱電、味の素、関西電、OLCが上昇。小野薬、スズキ、ソフトバンクが下落。


(2) 欧米動向

日経ヴェリタスは「ゲームチェンジトランプ相場」。

キーワードは「低成長・デフレ・金融緩和」とオセロのように反転した。
エコノミストらは次々に転換期だとリポートで強調。
全銀協の会長は「ゲームチェンジ」と指摘。
市場関係者が思い描く変化は「強い米経済と強いドル」の登場。
慎重姿勢の投資家はなお多く、それだけに、変化のうねりは大きくなる可能性を秘める。

1ドル110円をあっさり突破、急速に進む円安。
冷静に見れば「ドル高」の色合いが濃い。
ドル高の原動力は米長期金利の上昇。
大統領選前に1.8%程度だった米10年物国債利回りは2.3%台に上がった。
背景はインフレ率が高まるとの思惑。
利息が固定されている通常の米国債はインフレに弱い。
米国債が売り込まれ、その利回りである米長期金利が急激に上昇したというわけだ。
当面の米10年物国債利回りの上昇のメドを2.5%と見るとも・・・。

そして登場したのは「レーガノミクスとの類似点」。
レーガノミクスが始まった後NYダウ工業株30種平均。
82年の2000ドル前後→87年までに3倍近くに上昇。
その成功体験への期待が今回の米国株ラリーに結びついている。
【レーガノミクスと類似点 レーガン元大統領(任期1981〜89年)】
経歴:政治か以前に著名人
   レーガン元大統領 映画俳優のあと、カリフォルニア州知事
   トランプ次期大統領 実業家。テレビ出演多数。
副大統領:共和党有力者で手堅く
   レーガン元大統領 元CIA長官ジョージ・ブッシュ氏(後の大統領)
   トランプ次期大統領 下院議員、インディアナ州知事歴任したマイク・ペンス氏
スローガン:強さアピール
   レーガン元大統領 「強い米国」
   トランプ次期大統領 「再び米国を偉大な国にしよう」
規制:緩和
   レーガン元大統領 石油価格規制の撤廃、物価安定委員会の廃止
   トランプ次期大統領 金融規制改革法(ドッド・フランク法)の廃止
税制:減税に積極的、供給重視の経済学
   レーガン元大統領 企業投資減税、所得税の引き下げ
   トランプ次期大統領 連邦法人税、所得税の引き下げ
社会保障:見直し・縮小
     レーガン元大統領 社会保障費の削減
     トランプ次期大統領 オバマケアの廃止


(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち19指数が上昇。
上位1位ポーランド週間騰落率4.09% 、2位ロシア2.80% 、3位ブラジル2.66%、
4位豪州2.63% 、5位日本2.30%、12位米国1.51% 。
下位25位フィリピン▲2.52% 、24位トルコ▲1.69% 、23位インドネシア▲0.93% 、
22位スイス▲0.29%、21南アフリカ▲0.02%。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・

25日(金):消費者物価、GPIFの第2四半期運用実績発表、米ブラックフライデー
28日(月):米サイバーマンデー、ユネスコが日本の祭り「山・鉾・屋台行事」を無形文化遺産で審査。
29日(火):失業率、米7〜9月GDP改定値、S&P住宅指数、CB消費者信頼感、変化日、新月
30日(水):鉱工業生産、臨時国会会期末(延長の可能性)、米ADP雇用レポート、ベージュブック、OPEC定例総会、インドGDP
1日(木):7〜9月法人企業統計、米ISM製造業、中国製造業PMI
2日(金):マネタリーベース、米雇用統計

市場が好調になりそうになってくると登場する「持たざるリスク」と言う言葉。
いつも思うのだが、持つリスクはある。
しかし「持たないリスク」ってあるのだろうか。
得られる筈の利益を設け損なう可能性があるから「持たざるリスク」。
しかし持ったからとて必ずしも儲かる訳ではない。
押し目を待って押し目が来ても買えず、上がってくれば後悔の念。
だからと言って無理やり株を買う必然性はどこにもない。
業界人の戯言として聞き流すべき言葉だろう。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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