2017年04月3週
04月3週
【推移】
【推移】
17日(月):
週末の東京株式市場はオプションSQで寄り付きはプラス。その直後にマイナス転換し4日続落。大引け間際には18285円まで下落。SQ値18613円は完ぺきな「幻のSQ値」となった。しかも3日連続で年初来安値を更新。
週間で329円(1.8%)の下落となり5週連続週足陰線。週足の5陰連は珍しく、2012年のアベノミクス相場が始まって以来初めてのこと。
北朝鮮やフランス大統領選挙などの地政学リスクの高まりばかりが描写される。しかし実際は債券と株式とのマネーの置き場の戦い。株安の一方で新発10年物国債利回りは0.01%まで低下。米国債の2.2%台と相まって債券思考が色濃く出された結果の株安といった格好だ。
安全資産志向という妙な発想での円高も厄介な問題。108円台には下値サポートが集中。特の日銀短観での企業の為替前提は108円43銭。「ココを破られると、企業業績見通しに警戒感が台頭」と言う声も聞かれる。救いはテクニカル的な下値感だろう。
騰落レシオは69%と70%割れ。25日移動平均からのかい離はマイナス3.8%とほぼ第一次限界水準。
東京市場は「4月17日株安のアノマリー」を跳ね返して5日ぶりの反発。「売りで邪魔する外国人投資家不在が幸いした」という穿った見方もある。東証1部の売買代金は1兆6337億円と今年最低だったから荒唐無稽でもなかろう。「今年の続落は4日まで」のリズムは崩れなかった。気になるのは空売り比率が41.5%とまた増加したこと。そして10年国債利回りの0.005%までの低下(価格は上昇)。諸悪の根源はココにある。週末の異常に高かったSQ値18613円を取りに行く気概と覚悟の有無が問われる週でもある。中途半端な上昇や下落ではダラダラ感は拭えない。
日経平均株価は19円高の18355円と小幅ながら5日ぶりの反発。ほぼ高値圏での引けとなった。TOPIXも6ポイント高と反発した。日銀のETF観測もあり下落幅は縮小。プラスに転じた格好。4月の月曜は3連勝。
東証1部の14億5429万株と今年2番目の低水準。東証1部の売買代金は1兆6337億円と今年最低。「売りに来る外国人がイースター休暇」といううがった声も聞こえる。主力銘柄は総じて小動き。任天堂、東電、野村、ペプチド、日電産、三井不、ソニー、ローツェ、グリー、東天紅が上昇。ソフトバンク、ファーストリテ、SUMCO、キャリアリンク、石川製、IDOM、クリレスが下落。
18日(火):
イースター3連休明けのNY株式市場は4日ぶりの反発。背景は「決算への期待感と大規模な景気刺激策への思惑」との解釈。NYダウは183ドル高の20636ドル。上昇幅は3月1日以来およそ1カ月半ぶりの大きさだった。特に航空機のボーイングが3日ぶりに反発し1銘柄でNYダウを約22ドル押し上げた。アマゾン・ドット・コムやグーグルの持ち株会社アルファベット、フェイスブックといった代表的ネット関連株は軒並み上昇。
ムニューシン米財務長官の英FT紙のインタビュー。「オバマケア代替法案の撤回に伴い税制改革が遅れる可能性はある。しかし国境調整措置に頼らず1兆ドル規模の景気刺激策の財源を確保」。この方向性を好解釈したとも言えよう。また長期金利の上昇も好感されたとの解釈。このところの金利低下は株下落要因と認識する必要があろう。一時ほぼ5カ月ぶりの水準に低下した米長期金利の上昇で日米金利差が縮小するとの観測は後退。「投資家のリスク回避が和らぐ」との見方も拡大。低金利通貨の円は下落した。
北朝鮮などの地政学リスクに何ら変化はないが、業績や政策を注視した結果見えないフリというところ。米金利動向が地政学リスクよりも上位の材料に他ならない。続伸したものの「往って来い」みたいな印象。
9時9分の18500円以降は奈落への道みたいな罫線に映る。メガバンクが6日ぶりに反発。新高値37銘柄、新安値21銘柄と逆転。70%以上の銘柄が上昇。マザーズ指数の1000ポイント回復も好感された。
10年国債利回りも0.005%→0.01%と低レベルでの上昇となった。「株は売り飽きた」という声も聞かれた。
日経平均株価は63円高の1万8418円と続伸。1ドル=109円台前半に下落した円相場を好感。投資家心理は刹那的に改善。一時上昇幅を200円近くまで拡大した。その後は下げ渋り、上昇幅を7円まで縮小する場面もあった。
東証1部の売買代金は1兆7744億円。東証1部の値上がり銘柄数は1494と全体の74%。任天堂、ソフトバンク、マツダ、オリックス、関西電、大和、三菱ケミHD、デンソー、みずほFGが上昇。マルハニチロ、アサヒ、住友鉱、楽天、住友不、ユニチャーム、JFEが下落。今年の続伸は3日まで。明日が問われる。
19日(水):
NY株式市場は反落の動き。前日の上昇幅を消すほどではなかったが反落。重石になったのはゴールドマン・サックスやJ&Jの決算。悪くはなかったものの市場を満足させられなかったとの解釈。ゴールドマンは4.7%安の215.59ドルで英国のEU離脱決定直後昨年6月24日以来の大幅安。株価は昨年11月29日以来の安値をつける場面もあった。また何の変化もしていないのに地政学リスクへの許容度は変化。
フランス大統領選や、北朝鮮への緊張感、英国総選挙前倒しの動きなどが懸念された。この心理の変化を背景に安全資産への資金逃避の動き。金や国債が値上がり。10年債利回りは一時2.177%まで下落。昨年11月14日以来の低水準となった
日経スクランブルで「日銀買い1兆円の儚さ」と揶揄されている日銀のET買い。月曜は前場マイナス0.01%でもETFを買った。5日連続は昨年9月9日〜15日以来約7カ月ぶり。
月間平均買い付け額は3月までで5206億円。2016年8〜12月の4750億円を上回った。しかも3月は724億円だったが4月は725億円。火曜日までの買い付け額は5075億円。もう今月の予定は終了といったところ。「18000円台は積極的に買う」という思惑だろうか。
因みに2016年の買い付けは4兆3820億円。2015年は3兆694億円。14年は1兆2845億円。13年は1兆953億円。今年は17日までに2兆694億円。このままいくと年間6兆円は楽に達成できる。今年日銀は2兆円のETF買い。同時期の外国人売りは2兆3400億円。
市場では「相場が下がったときに買う日銀といつでも売れる外国人」との声。東京市場の流動性の高さは外国人売りとカラ売を助長しているというパラドックス。順回転の時は評価されるが逆回転になると重石になる。
日経平均株価は13円高の1万8432円と3日続伸。「直近で下げが続いていた銘柄を中心に国内機関投資家の買いが入り、指数を下支えした」との解釈が聞こえる。
東証1部の売買代金は2兆3172億円と3日ぶりに活況の目安の2兆円を超えた。東証1部の値上がり銘柄数は1043と全体の52%。ファナック、三菱電、東エレク、信越化、東芝、富士通、リクルートHDが上昇。ヤマトHD、ホンダ。トヨタ、MS&AD、住友鉱、三菱商事が下落。東証2部株価指数は3日続伸
20日(木):
NY株式市場はNYダウとS&P500指数が続落。NASDAQは反発とマチマチの動き。前日低調な決算発表をしたIBMが4.9%の下落と大幅安。NYダウとS&P500指数の足を引っ張った。
一方モルガンスタンレーは好決算を背景に上昇。前日のゴールドマンの決算による金融セクターのネガティブさを緩和した。19日までに第1四半期決算を発表したS&P500採用銘柄は57社。そのうち75.4%の利益が市場予想を上回り過去4四半期平均の71%を上回った。S&P500採用銘柄の第1四半期決算は全体では2011年以降で最高となる10.8%の増益になる見通し。
ややこしいのはIMF。世界金融安定報告書(GFSR)での指摘。「トランプ米政権が掲げる法人税減税や金融規制の緩和が2008年の金融危機前にみられた過剰な金融リスクを許容する傾向に再び火をつける可能性がある。国際的な企業による海外収益の還流分を含む新たなキャッシュフローは、金融資産の購入や合併、配当などのリスクを伴う行為に回される可能性がある。
こうした傾向はITとヘルスケアの業界で最も多くみられるだろう」。ある種の予防線と見た方が良いのかも知れない。結局、アレコレ解釈するものの前線では「マネーの置き場を株にするか債券にするか」の小競り合いが起こっているだけに過ぎない。
日経朝刊では「知財法制一括見直し」と書かれている。前日の「第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会」。経済産業省と特許庁の提言が登場した。「IoTを活用したビジネスモデルを支える知財システムの整備の観点から、ソフトウェア関連発明の審査基準の点検、ビジネス関連特許の活用方法の整理、新設した特許分類の活用及び分野横断的な審査体制の整備を行うこと」というのが骨子。わずか1円71銭とはいえマイナスはマイナス。語呂合わせの「いない」は誰が「いない」のだろう。4日続伸できずに終わった日経平均。TOPIXは上昇ながら反発の域。マザーズ・JASDAQが4日続伸のレベルに戻ってきた。バイオ関連がけん引役になった印象は久しぶりだ。「今週の日経平均は木曜までで約94円の上昇。しかし先週まで5週続落。この連敗記録をストップできるか」という声が聞こえる。
日経平均株価は1円71銭安の18430円49銭と4日ぶりの反落。上昇幅を100円近くまで拡大し18500円を回復した場面もあった。14時54分頃まではプラス展開。大引直前に2円余りプラスになったが4日続伸はできなかった。「続伸は3日まで」の呪縛は相当強い。地政学リスクの高まりに対する警戒感がくすぶる中、ハイテク関連株を中心に買いが先行。銀行・自動車などの大型株が上げ幅を拡大したことなどを背景に、一時1万8500円台を回復した。一時1ドル109円台までドル高/円安方向に振れたことを背景に自動車セクターが堅調。金融セクターもしっかりの展開。内需関連・資源関連は軟調。「セクター間の入れ替え商い」という声が聞かれる。
大型株で構成されるTOPIXコア30の上昇率が1%を超す場面もあった。TOPIXは反発。減損を発表した京急電鉄が上昇、すい臓がんの第3相試験再開を発表したナノキャリアがストップ高するなど投資心理の好転はやや拡大した印象。
東証1部の売買代金は2兆1592億円と2兆円台キープ。東芝、三菱UFJ、りそな、ソフトバンク、トヨタ、キャノン、enish、NOK、アニコムが上昇。JXTG、ファナック、スタートト、日機装が下落。
21日(金):
NY株式市場は主要指数がそろって上昇。NASDAQは終値ベースの過去最高値を更新した。「アメリカン・エキスプレスなどの堅調な四半期決算を好感」との解釈。地政学リスクが後退して足元企業業績に視点が移行したということになろう。
「株価を押し上げる唯一の材料は企業業績。今のところ順調に推移」という声も聞こえる。現時点で予想されているS&P500採用銘柄の第1四半期の増益率は11.1%。2011年以降最も高い水準になっている。
リスク許容度の高まりから株価は上昇。国債利回りは上昇(価格は低下)。債券市場の関心は大きな経済指標の発表もないため23日の仏大統領選に移行。トランプ政権の税制・財政改革の新たな動きもこれに加わった。ムニューシン財務長官が「税制改革案を近く発表する」と言明したことは好感される。「抜本的かつ有意義で、大幅な経済成長をもたらすだろう」というのがリップサービスかどうかは不明。グッドタイミングというのだろうか。
日米経済対話に合わせて米側が要求していたのは「薬価制度の見直し」。高額な新薬の公定価格を安易に引き下げてくれるな、という声である。ロス商務長官が塩崎厚労相に伝えたと言う。「自動車より製薬の方がメリットは大きいと考えている」との声もある。
オバマケアで薬価を引き下げる方向で、日本の薬は下げてくれるなとつじつまは合わない。しかし、薬は国際的なもの。日本のバイオ銘柄が1年ぶりに芽を出してきた遠因はココにもありそうだ。
日経のマーケット面。「日銀の動きも顕著だ。17日は前場で日経平均が0.3%安にもかかわらず上場ETFを737億円購入した」。日銀が考慮しているのは日経平均ではなくTOPIXの筈。しかも当日のTOPIXは0.01%の下落で日経平均よりも下落していなかった。日経平均を使わざるを得ない宿命は理解できるが。
日経平均株価は190円高の18620円と反発。SQ値18613円を1週間ぶりに初めて上回った。週間では6週間ぶりの陽線となった。アメリカの政策期待にくわえ週末のフランス大統領選挙への楽観論が、台頭。欧州タイムの大引間近の時間に欧州からの買い物が観測されたとの指摘もある。東証一部の売買代金は2兆2391億円。値上がり銘柄は1615と全体の8割。東エレ、アドバンテスト、トヨタ、コマツ、日本郵政が上昇。東芝、フィルム、安川電機が下落。
(2) 欧米動向
OECDについでIMFも世界経済見通しを発表。
世界の成長率は2017年3.5%、2018年3.6%。
日本は2017年1.2%、2018年0.6%。
米国2017年2.3%、2018年2.5%。
ユーロ圏は2017年1.7%、2018年1.6%。
中国は2017年6.6%、2018年6.2%。
米国は2016年の1.6%を大幅に上回る見通し。
日本の2017年は0.4ポイント上方修正ながら世界に見劣りする。
デフレ経済からの脱却が急務だし、異常な低金利の影響から逃れられていない。
ユーロ圏と比べて、ここまで劣後しているのは許せないという声もある。
イギリスでさえ2017年は2.0%、2018年は1.5%。
率で行くと日本の2倍の成長。
どこか政策がおかしい、あるいはどこがおかしいという議論は残念ながら聞かれない。
その英国総選挙の予定日は6月8日。
この日は「バイキングの日」。
バイキングは北欧出身の海賊の総称。
793年6月8日。
剣や斧で武装した彼らがイギリスのリンディスファーン修道院を襲撃。
キリスト教西欧社会を震撼させたという。
この事件からバイキング時代が始まったと言われる。
教会は破壊され略奪に遭い僧たちは島から逃げだしたという。
リンディスファーンの司教座は1000年にダラムへ移設。
リンディスファーンの福音書は現在ロンドンの大英図書館に保管されているという。
ECB理事会があって翌9日はメジャーSQ。
厄介なスケジュールが登場したという印象。
1962年のキューバ危機。
発生時以降S&P500指数は1年後に34%上昇した。
1967年に起きたイスラエル6日戦争(第3次中東戦争)。
発生から1年後に13%上昇。
79年12月のソ連のアフガン侵攻。
1年後の想定リターンは30%。
2003年の米軍イラク侵攻の場合は35%のリターン。
一方1973年の第4次中東戦争。
石油禁輸措置の影響でS&P500は35%急落。
2001年9月11日の対米同時多発テロでは1年間で16%下落。
紛争による株高株安はどちらとも言い難い。
(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25株価指数のうち15指数下落。
上位1位トルコ週間騰落率2.62%、2位日本1.56%、3位ブラジル1.49%、
4位マレーシア1.45%、9位米国0.46%。
下位25位英国▲2.91%、24位南アフリカ▲2.45%、23位中国▲2.25%、
22位タイ▲1.23%、21位シンガポール▲0.93%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
21日(金):第3次産業活動指数、米中古住宅販売、IMF世銀春季大会(〜23日)
週末:フランス大統領選第1回
24日(月):米シカゴ連銀活動指数、独Ifo景況感、インドネシア休場
25日(火):企業向けサービス指数、米S&P住宅指数、新築住宅販売、CB消費者信頼感、朝鮮人民軍創軍85周年
26日(水):日銀金融政策決定会合(〜27日)、全産業活動指数、ASEAN首脳会議(マニラ)
27日(木):日銀展望レポート、黒田日銀総裁会見、安部首相ロシア訪問(〜28日)、米耐久財受注、製造業受注、ECB定例理事会、韓国GDP
28日(金):鉱工業生産、有効求人倍率、米1〜3月GDP速報値、シカゴ購買部協会景気指数、米国政府の暫定予算期限、英国GDP、ローマ法王がエジプト訪問
AIが頭脳労働をしてくれて、ロボットが肉体労働をしてくれる。
これが未来図だろう。
データを用いて作業をする能率では人は絶対にかなわなくなる。
彼らは急速に成長する。
その先で彼らがヒトの表情や感情を読み取れるのかどうか。
ココが課題だろう。
というか、データを用いて勝てないのならば心理の揺れなどの分野での勝負ならば勝てる可能性がある。
相場も同じような立ち位置だろう。
データでは勝てない、アルゴリズムでは太刀打ちできない。
だったらユッタリ投資で感情の動揺や心理の微動、表情の皺を読むことがプライオリティになるかも知れない。
筋肉を鍛えてもロボットには負ける。
記憶力や推理力を鍛えてもAIには負ける。
相手の得意でない分野で勝負することは必須だろう。
そもそも、AIだった市場材料は優先順位を付けられたトップ材料が第一。
二次的材料やささいな材料は見逃しがちだ。
ここに付けいる投資っていうのが次の時代の相場観になる可能性はある。
(兜町カタリスト 櫻井英明)