2017年07月2週
07月2週
【推移】
【推移】
10日(月):
週末のNY株式は上昇。6月の雇用統計は非農業部門雇用者数が22万2000人増で着地。市場予想の17万9000人増を上回ったことを好感。「FRBが年内少なくともあと1回利上げする」との解釈からの買い物優勢の展開となった。「投資家の間で米経済の健全性を巡る自信が強まった」との声が聞こえる。12月の利上げ確率は48.9%。
ハイテク・金融などのセクターが上昇。上昇セクターのローテーションが戻ったような印象。
先週の日経平均は週間では約104円の下落。週足では2週連続で陰線。日銀は週末に長期金利上昇に歯止めかけるため、臨時の国債買い入れを発動した。世界的な金利上昇の余波で国内の長期金利が日銀の誘導水準からかい離したため。
一方で公的年金運用する年金積立金管理運用独立行政法人の2016年度の運用益は7兆9363億円。5兆円超の運用損計上した15年度から一転2年ぶりの黒字となった。資金の5割弱を国内と海外の株式で運用。年度後半の株価上昇で保有資産の評価益が大きく膨らんだ。16年度末時点での運用資産は過去最大の144兆 9034億円。運用利回りは年5.86%のプラスだった。
週刊エコノミストの広告。「ここから買う株2万円」。上値を暗示している訳ではなく個別の特集だから、天井のアノマリーではなかろう。しかしその個別は「金利上昇で金融セクター 、自動車・金融が上昇」などなど。何かオモシロなさげな気がするのは気のせいだろうか。
週明けの日経平均株価は3日ぶりの反発。米雇用統計を通過し114円台への円安トレンドを好感した格好。上値が重い印象は強い。しかし先週末から150円超の上昇で2万円台回復。
5日線(20023円)や25日線(20038円)も上回った。「2万円より下では押し目買いが入りやすく底堅さが増す展開に期待」と週末とは一変した論調が幅を利かせてきた。東証一部の売買代金がかろうじて2兆円に届いたということは「盛り上がりに欠けた」という印象。日経平均採用銘柄のPERは14.37倍でEPSは1397円。東芝が225から除外されセイコーエプソンが新規採用に決定したことは好材料となる。
日経平均株価は151円89銭高の20080円98銭と3日ぶりの反発。後場寄り後に20127円まで上昇する局面があったが、その後は「上値を買う材料」が不足し伸び悩み。「積極的に上値を追う動きは限られている」との声が聞こえる。
6月の景気ウオッチャー調査は街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は50.0。前月比べて1.4ポイント上昇(改善)した。改善は3カ月連続。家計動向、企業動向、雇用いずれも上昇した。
東証1部の売買代金は2兆992億円。富士フイルム、ファナック、村田製、スズキ、東ガス、任天堂、住友不、キヤノン、東エレク、パナソニックが上昇。JXTG、イオン、セブンアイ、いすゞ、東芝、KDDI、NTTドコモが下落。
11日(火):
週明けのNY株式市場はマチマチの展開。世界的な金利上昇が一服。利ざや改善期待で買われていた銀行セクターの下落が重荷となりNYダウは引け際に小幅反落。アマゾンの有料会員限定セール「プライムデー」の開始を控えて小売りセクターが下落したのも影響した。
ちなみに昨年のプライムデーは世界売上高が過去最高で前年比6割増だった。米国だけでも5割超の増加。アマゾンのセールが小売業の収益圧迫につながるとの警戒感が拡大したとの解釈。金利上昇一服は金融セクターには悪材料となったが主力のIT関連セクターは堅調。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。
後場に上昇幅を拡大し続伸となった日経平均。火曜日らしからぬ後場上昇加速となった。ETFの決算明けは昨年、一昨年ともに6日続伸のアノマリーが効いたのかも知れない。「日経平均は月曜が十字線。火曜が寄付き安値で陽線、寄り切り線。買い線の出現」という声も聞こえる。
年前半に期待ハズレだったトヨタの強さがローリングの証左になるのかも知れない。TOPIXは6月29日の高値1624.07ポイントを上抜いて年初来高値更新。
日経平均株価は6月20日の高値20230円まであと35円に迫った。
大引けの日経平均は114円50銭高の20195円48銭と続伸。上昇幅は一時120円近くまで広がり、取引時間中としては6月29日以来8営業日ぶりに20200円台を回復する場面もあった。
東証1部の売買代金はで2兆673億円。東証1部の値上がり銘柄数は1494と全体の74%。トヨタ、パナソニック、HOYA、シマノ、エプソン、日本郵政、ツバキナカ、ソニーが上昇。ローツェ、ファストリ、オランダ、スズキ、関西電、任天堂が下落。
12日(水):
NY株式市場はマチマチの動きながらほぼ横ばいで動意薄の展開。朝方はトランプ大統領長男のメール問題で米大統領選へのロシアの介入疑惑を巡る捜査が懸念され急落。その後共和党のマコネル上院院内総務が8月の休会開始を先送りすると発表。「トランプ政権の経済政策進展への期待から地合いが改善した」との声が聞こえる。
14日から始まる大手銀行の第2四半期決算発表を見極めたいとのムードからの横ばいとの指摘もある。またイエレンFRB議長の議会証言を待っている様子も感じられ3市場の売買高は59億株と低調だった。
10年国債利回りは2,364%とやや低下。一時は60%まで高まった12月利上げの確率は50%まで低下した。
日経スクランブルでも指摘された「ETFの決算明けの株高アノマリー」。2016年は11日から19日まで6日続伸。上昇幅は1616円(11%)。2015年は13日から21日まで6日続伸。上昇幅は1062円(5.4%)。アノマリーは気がつくと消滅するのが常だが・・・。
電子端末での興味深い指摘。「配当の増加が総合収益を押し上げた」。外国人の日本株保有比率が25%を超えた07年以降。東証1部の配当利回りは上昇圧力が強まり1%前後から2%前後に跳ね上がった。ITバブル崩壊後の02年以降、S&P500の配当利回りが2%前後で横ばいなのとは対照的。
大企業全産業業(金融保険業を除く)の配当金総額は15年度が17.3兆億円。89年度の2.7兆億円に比べ6.4倍に増加。設備投資など実物投資額の18.7兆円に接近した。90年度以降の配当金総額は163兆円。「自社株買いと合わせれば戦後、初めて株主配分が実物投資を逆転した可能性が高い」という。直近のPBRは1.3倍。S&P500のPBRは3.1倍。配当利回りが2%なら株価が全く動かなくても、10年後には2割。20年後には5割近く投資元本は増加。そんな計算も出始めた。
ETFの決算通過後は6日続伸のアノマリーは崩れ3日ぶりの反落。とはいえ、新高値115銘柄(前日134)、新安値8銘柄(前日11銘柄)と相場の基調は強い。
東証1部の売買代金は1兆9817億円。6月26日(1兆7505億円)以来の2兆円割れ。6月19日(1兆9867億円)も2兆円割れだったが「ともに翌日の日経平均はプラスだった」という声もあった。
もっとも「今年になって売買代金2兆円割れは合計20日。その翌日の日経平均騰落は7勝13敗で勝率は35%」という指摘もある。日経平均株価は97円10銭安の20098円38銭と3日ぶりに反落。
円相場が1ドル=113円台半ばまで強含み、輸出関連セクター中心に売り物優勢の低なき。米長期金利の上昇に一服感があり銀行セクターも軟調だった。イエレンFRB議長の米下院議会証言の内容を見極めたいとの意識から売買は低調。
東証1部の売買代金は1兆9817億円。6月26日以来およそ2週間ぶりの低水準だった。ソニー、日立、三菱ケミHD、キヤノン、SMC、エンシュウが上昇。三菱UFJ、三井住友FG、みずほFG、トヨタ、キリンHD、アサヒ、ヤマトHDが下落。
13日(木):
NY株式市場は3指数揃って上昇。NYダウは終値ベースの過去最高値を更新した。FRBのイエレン議長の下院証言は通過。「想定される金利に達するまで今後それほど大幅な利上げは必要ない可能性がある」とのコメントを歓迎した格好。地区連銀景況報告(ベージュブック)では「全地区の経済がわずかから緩やかに拡大した」。これも好感されたとの解釈。
特に不動産や情報通信関連のセクターが相場を牽引。時間待ちをしていたもののイベントを通過すれば何事もなかったかのような展開というのは日常茶飯事になってきた印象。
「米国金融政策における次の注目イベントは8月末のジャクソンホール会議となる」という懲りない声も聞こえる。トランプ・ジュニアのロシアスキャンダルなど何処かへ消えてしまった。
カナダが約7年ぶりに利上げに踏み切りカナダドルは米ドルに対して約1年ぶりの高値に上昇。相場の強さの傍証は裁定買い残の推移。
7日時点の裁定買い残は4週ぶりに減少。
前週比2719億円減少し1兆6874億円。この週(3〜7日)の日経平均株価は週間で104円(0.52%)の下落。先物売り・現物買いの裁定取引を解消するための現物株売りが増加したのに指数はわずか104円の下落だけ。裁定取引以外の現物買いが3000億円レベルで裁定売りを上回ったと考えざるを得ない。裁定売り残高は3週連続で増加。前週比562億円増の1572億円。「夏枯れのように見えて動かないことを嘆く声は多い。しかし底流では仕込みが始まっている」という解釈も可能だろう。
日経朝刊では「新興2市場の時価総額2年ぶり高水準」との指摘。ジャスダック平均は3日連続で26年ぶりの高値水準を更新。ジャスダックとマザーズ市場の時価総額は14.2兆円。2015年7月以来の水準だ。そう考えると「主力の個別株、底流で頑強な指数」と見ることができよう。
日経平均の週足は6月半ばに13週線と26週線がデッドクロスしそうでしなかったところが今の強さの原点。しかも6月に12ヶ月線が24ヶ月線を明確に上抜けており基調は長期トレンドで強いところ。
目先は25日線(20051円)にサポートされている。そんな矮小な時間軸で物事は考えないほうが良いかも知れない。日経平均は小反発。寄り直後に85円程度上昇。その後は戻り待ちの売りに押されて伸び悩み。一時1ドル=112円台まで円高が進んだことも上値を抑え、後場には36円安とマイナスに転じる場面もあった。1円43銭のプラスは今年最低の上昇幅。2月22日に前日比1.57円安、4月20日に同1.71円安というのが今年の記録。
「翌日以降は2月が3日続落して合計273円安、4月は4日続騰で合計863円高。株価の極端な煮詰まりは変化の前提となっている」という指摘がある。
東証1部の売買代金は2日連続の2兆円割れ。ただ売買高は14億8042万株→17億3957万株と2.5億株ほど増加。「低位の出遅れ銘柄が買われている」と解釈された。新高値銘柄が100とかろうじて3ケタをキープしたのは救いとなった。日経平均株価は1円43銭高の20099円81銭と小幅反発。TOPIXは0.23ポイント安の1619.11ポイントとマチマチの動きだった。
円高進行が重荷で日経平均もマイナスとなる場面もあった。「オプションSQ算出や15日からの3連休を控えて小口のポジション調整売りがある。ただ25日移動平均線がサポートラインとして意識され、地合いが悪化してはいない」という声が聞こえる。
しかし「閑散小動き」でもそれでも相場。それが現実。
東証1部の売買代金は1兆9815億円。値上がり銘柄数は882銘柄と全体の43%。ANA、任天堂、東京エレ、Klab、東天紅、ツダコマ、ヨシム ラ、電気硝子、SIが上昇。三菱UFJ、三井住友、トヨタ、IDOM、ディップ、ニチコンが下落。
14日(金):
NY株式市場は小幅ながら続伸。NYダウは連日の史上最高値更新となった。上昇をけん引したのは決算発表を控えた銀行セクター。S&P金融株指数0.61%高で主要11セクターで最も上昇率が大きかった。金融セクターはここ1週間ほど堅調な動き。
週末にはJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループが四半期業績を発表予定。決算発表シーズンが本格化するが第2四半期利益は前年比7.8%増益の見通し。「金融セクターへの決算発表を前の買い」という声も聞こえる。
共和党のマコネル上院院内総務がオバマケア代替法案の修正案を公表したが、反応は限定的だった。「今回はそれほどの重大事ではない」と見えないフリ。
6月の米財政収支が市場予想の350億ドルの赤字を大きく上回る900億ドルの赤字で着地。これも見えないフリだった印象。ECBが来年から資産買い入れを段階的に縮小し始める可能性が報じられドイツ10年債利回りが上昇。米10年国債利回りも2.346%まで上昇した。新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比3000件減の24万7000件。申請件数が減ったのは1カ月ぶり。「経済成長を下支えしている労働市場の底堅さを示す最新の兆し」と解釈された。
7月第1週の信託銀行は4週連続で買い越し。買越額は2124億円で昨年12月第1週(2997億円)以来の大きさ。海外投資家は2週ぶりに売り越した。売越額は15億円。前週は115億円の買い越しだった。個人投資家は3週連続で売り越し。売越額は710億円で、前週の1515億円からは縮小。先物は海外投資家が3週ぶりに売り越し。売越額は1381億円。証券会社の自己売買部門は2週ぶりに買い越し。買越額は3204億円。前週は251億円の売り越しだった。
日経平均株価は19円05銭高の20118円86銭と続伸。「米国株高や円安トレンドから自動車や鉄鋼、機械企業などの輸出採算の改善を期待した買い物優勢の展開」との解釈。もっともザラバベースではSQ値20151円を上回ったもの大引けでは下回っており弱い展開。
後場だけ見れば安値引けとなった。日中値幅は63円と狭い値動きに終始した格好。新高値は117銘柄。TOPIXが後場に入り上げ幅を拡大し7月11日に付けた取引時間中の年初来高値を更新。JPX日経400も年初来高値を更新した。
東証1部の売買代金は1兆9863億円と3日連続で活況の目安となる2兆円を下回った。3日連続の2兆円割れは3月15日 以来4カ月ぶり。オプションSQ日であったことを踏まえれば実商いベースでは超閑散相場。「非鉄、鉄鋼など素材株の出遅れ修正は続いていて3連休前ではあるが、売り方の換金需要も少ない」との声が聞こえる。「6月の米消費者物価指数や米小売売上高などの主要経済指標の発表を現地時間14日に控え、投資家の様子見姿勢は強い」という指摘もあるが真相は定かではない。マザーズ指数は3日続落。ジャスダック平均は8日ぶりの反落。
東証REIT指数は反落し、年初来安値を更新。ホンダ、デンソー、コマツ、ファナック、重工、旭化成、日立が上昇。東芝、武田、花王が下落。ファーストリテが日経平均を62円ほど押し下げたのが上値の重さの要因でもあった。
(2) 欧米動向
ボストンコンサルテュングの2016年末の世界の運用資産残高の調査。
前期比7%増の69.1兆ドル(7808兆円)だったという。
約8000兆円が株式運用されているという現実。
ココを忘れて相場を眺めることはできない。
最近聞かれるバスケット売り観測。
この「犯人」はどうも「iシェアーズ MSCI ジャパンETF)」という声が聞こえてきた。
7日に7億6000万ドル(約865億円)の資金流出。
1日の資金流出規模としては09年9月18日の8億5000万ドル来、約8年ぶりの大きさ。
資金を引き揚げた主体については明確になっていない。
しかし「オイルマネー?」という見方もある。
債券市場では米国債は1600兆円、ドイツ国債は280円、合計約1900兆円の発行残高。
こういう「代表的な安全資産の値下がりが、玉突き的なバブル崩壊をもたらしかねない」という警鐘も聞かれないではない
第一の玉突きは米国の「FANG」。
年金運用を受託する投資顧問の保有額は過去1年にFANG4銘柄で1兆400億円増加。
ソフトバンクなど日本の人気株10銘柄で9800億円増加。
日本の10銘柄の時価総額合計は6月末時点で43兆円。
2015年9月以降17兆円増加し東証1部時価総額の増加額の2割。
そして債券の代替投資対象として年金マネーが群がっていた相対的に値動きの小さい「低リスク株」の割高感も強まった。
食品のネスレや日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン、日本ではNTTやリクルートホールディングスといった低リスク株が下落。
これが「第二の玉突き」とされる。
「iシェアーズ・エッジ・MSCI・最小変動率・USA」を筆頭に世界の主な5つの低リスク株ETFの運用資産残高。
6月末時点で347億ドル(約3兆9000億円)。
過去5年で12倍に膨張した。
ちなみに日本のGPIFの保有株の時価総額。
国内株式はトヨタや三菱UFJ、NTTなど2207銘柄を保有。
保有国内株式の時価総額の合計は34兆9956億円。
(3)アジア・新興国動向
日経ヴェリタスの特集は「好調中国の虚実 官製消費に潜むワナ」。
1〜5月の中国の小売売上高は前年比で1割増。
特にネット販売が1兆8800億元(約31兆円)と3割も伸びた。
1〜3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.9%増。
4〜6月期も6.8%増になるとの見方が多い。
当面は「大きく下振れするリスクは低い」。
投機的需要で価格高騰、住む人が少ない住宅地が各地に出現。
空室のまま多くが老朽化すれば、価格崩壊は避けられず。
「壮大な投資バブルが起きた。10年以上は需要不足の不景気が続く可能性がある」とも。
雇用や賃金増やすとともに、金利を抑え不動産取引を活発にし、資産効果で「官製」消費を作り出してきた面がある。
だが企業と家計債務の対GDP比率は急上昇。
16年末には210%に達した。
不動産価格も逆回転を始めれば、消費は冷え込む。
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち23指数が上昇。
上位1トルコ週間騰落率5.09% 、2位ブラジル5.00%、3位ロシア4.93%
4位香港4.14% 、5位南アフリカ3.59%。
下位25位マレーシア▲0.28% 、24位フィリピン▲0.04%、23位中国0.14%、
18位日本0.95%、17位米国1.04%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
17日(月):海の日で休場、NY連銀製造業景気指数、中国鉱工業生産、小売売上高、4〜6月GDP
18日(火):新規マンション販売、米輸出入物価、独ZEW景況感
19日(水):日銀金融政策会合、訪日外客数、米住宅着工件数
20日(木):貿易統計、日銀展望レポート、米CB景気先行指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感
21日(金):百貨店売上高
イエレン議長の議会証言が相場の反転あるいは上昇加速という歴史がある。
少し古くは2014年2月11日。
NYダウは底打ち反転。
2015年はインパクトがなかったが2016年2月10日。
NYダウは底打ち反転。
2016年6月21日。
27日からNYダウは底打ち反転。
そして11月17日。
NYダウは上昇加速。
今年は2月14日。
NYダウは上昇加速。
今週も楽しみになってきた。
一方で消えつつあるアノマリーは「ジブリの法則」。
かつては日本テレビの金曜ロードショーでたびたび放映され海外マーケットの大荒れと奇妙に合致していた。
「風の谷のナウシカ」の17回を筆頭に、ラピュタ、カリオストロの城、となりのトトロ、魔女の宅急便など。
概ね2年に1回ぐらいの頻度で放送。
また、お盆シーズンには火垂るの墓が放送されることが多いようだ。
昨年初の相場急落局面は「天空の城ラピュタタ」と「魔女の宅急便」が2週連続放送。
ブレグリッジ後の夏は「もののけ姫」と「コクリコ坂から」が2週連続放送送。
トランプ大統領の秋は「となりのトトロ」、「紅の豚」、「猫の恩返し」が3週連続放送。
放送翌日の日経平均は年初のジブリが1勝1敗。
夏のジブリも1勝1敗。
秋のジブリは3勝。
ところが今年初の「3週連続冬もジブリ」。
1月13日の「風の谷のナウシカ」20日に「千と千尋の神隠し」、28日に「耳をすませば」。
結果は3連敗。
今回は「2週連続夏はジブリ」。
7月7日が「借り暮らしのアリエッティ」、
14日に「思い出のマーニー」。
先週末は雇用統計と重なったがインパクト薄い存在となった。
「アリエッティもマーニーも米林宏昌監督の作品。
宮崎駿監督作品じゃないから」という声も聞こえる。
経済指標や政治日程などのスケジュールを重要視する風潮は以前から株式市場にもあった。
しかし先物両替取引が登場してからはこのスケジュールが妙にクローズアップされてきた。
そして指標などの発表もスピーディーになった。
でも欠如し始めたのは想像力だろう。
スケジュールには異様に詳しいが、その意味を探るという風潮はなくなったような気がする。
「小売売上高の発表があるから気を付けましょう」。
そうではなくて、その結果の及ぼす影響についてのコメントというのはほとんどない。
あるいは、通過した指標はすぐに次の指標を待つ姿勢に取って代わられる。
条件反射的な筋肉ばかりが鍛えられ、脳がつかさどる想像の世界からは遠のいていく。
常に先のスケジュールを追うから相場に満足感はなく疲弊するばかり。
そろそろこのスケジュール重視主義からの脱却が必要なのではなかろうか。
投資シナリオを狭めることは良いことではない。
自由な投資哲学が登場しないと相場はますます自壊するような気がする。
少なくとも無味乾燥で時間の無駄に思える相場スケジュールの解説。
これがなくなれば「少しはフリーでフェアでグローバル」になれるに違いない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)