兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2017年09月2週
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《マーケットストラテジーメモ》09月2週

【推移】

4日(月):
週末のNY株式は4日続伸。8月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比15.6万増。失業率は4.4%で市場予想に届かなかった。全体の平均時給は前月比0.1%増で市場予想を下回ったが「鈍化は季節調整のゆがみが主因」との解釈で嫌気されず。ISM製造業景況感指数は58.8と低下を見込んだ市場予想に反して上昇。
2011年4月以来の高水準になった。NASDAQは5日続伸。VIX(恐怖)指数は10.13まで低下した。

ただレイバー・デーの3連休控えで上値は重い展開。週間騰落率はダウが0.8%高、S&P500が1.4%高。
レイバー・デー明けの日は、通常上昇傾向となる事が多いという声がある。1980〜2016年の間、レイバー・デー翌日のS&P500は平均で0.1%上昇。ただ9月は月間で平均0.5%下落というのも歴史。

日経平均は7週ぶりに週間で上昇となった。週間では約238円の上昇で週足では4週ぶりに陽線。週足では下に長めのヒゲをつけた陽線。「29日に安値19280円をつけて200日線にタッチして下げ止まり。26週線を上回って、ほぼ25日線まで戻した」との指摘。

外国人投資家の売買は過去10年間、9月に3勝7敗と8月(2勝8敗)並みに悪い。「10月は8勝2敗とドテン買い転換。耐える9月」という指摘もある。週末の米雇用統計などどこ吹く風。日曜の核実験で市場は揺れそうな気配。

日経朝刊の見出しは「円高・株安加速を警戒」。また登場してきたのは「リスク回避」の円高。そして「安全資産である債券市場への資金流入の可能性」。本当にそうなのかどうかは疑問。「一過性の円高株安」という教訓は先週も見たところだ。

秋にも郵政株売却というのが週末の話。北朝鮮が危なっかしい時に悠長に郵政株の売却など考えるものだろうか。むしろ問題は「労働分配率43.5%に低下」。1971年1〜3月以来約46年ぶりの水準まで低下した。企業は設けて個人の所得は増えないという現実。だから企業のキャッシュが400兆円にも膨れ上がる事になる。「企業が設けて個人が潤わないのなら、個人は株式市場からそれを取り戻すべき」。そんな発想は業界から出てこないものだろうか。

土曜の日経朝刊「大機小機」は「国を会計に例えるのはやめよう」。「日本は月収50万円の家計が80万円の支出で不足分30万円を借金で賄う結果、ローン残高が8400万円に達している、といった次第だ。正確を期すならば、この家計には7000万円の資産があることも言うべきだ。また家計の収入を例えるならば、税収ではなくて、国内総生産になるはずだ」。正論だろう。

日経平均株価は183円安の1万9508円と4日ぶりに反落。下落幅は一時200円を超え、節目の1万9500円を割れる場面があった。北朝鮮が核実験に踏み切ったことを受け、投資家心理が悪化した。
またニューヨークがレーバーでの3連休を迎えており手控えモードも加わった。日中値幅は150円弱。後場の値幅は50円弱と方向感のない展開。TOPIXは1600ポイント台をキープ。ドル円は109円80銭レベルで大きくは動いていない。

東証1部の売買代金は1兆7369億円と低調。値上がり銘柄数は153。値下がり銘柄数は1824と全体の90.1%。エコナッ ク、ANA、SOMPO、内田洋行、システナ。石川製、アルコニックスが上昇。トヨタ、三菱UFJ、Klab、キーエンス、MDV、トーセ、レナウンが下落。

5日(火):
週明けのNY株式市場はレイバー・デーの祝日で休場。週明けの日経平均は全面安の展開。北朝鮮の核実験を懸念した格好。もっとも後場は小動きで終値は19500円台キープ。NYのレイバー・デーの3連休を控えて自分ではあまり考えられない状況の割には確りという印象。もっとも大型株比較的堅調、中小型株軟調の動きはこのところとは違う動き。追証忌避の売り懸念もなくはない。
8月29日の北朝鮮ミサイル発射による下落の際、ジャスダック平均はプラス。マザーズ指数も下げ渋りだった。
「市場センチメントは悪化」という見方もある。「高値更新が続いていたジャスダック平均の基調に変化が出てくるかを注視」という声も聞かれる。

週末にようやく40%を割れ込んだ空売り比率も再度上昇し44.4%。4月6日の45.2%を捉えてきた。
もっとも「空売り比率の限界値までの上昇は株価反騰のサイン」というのがこのところの歴史でもある。日経VIは16.55。ここで止まるかどうかが課題。日経平均のPER13.81倍(EPS1412円)は低すぎるだろう。
中国でのBRICS首脳会議に合わせたような北朝鮮の核実験。6日からウラジオストックで開催される「東方経済フォーラム」というスケジュールは気にかかるところ。

興味深かったのは日経朝刊での自民党元副総裁山崎拓氏のコメント。「北朝鮮がばんばんミサイルを撃つとそのたびに内閣支持率は回復するだろう」。そういう面もある。
週末のメジャーSQを控えて先物は各社万枚単位の大商い。市場の中心は数日ココにあろうか。

日経平均は寄り天。意外感を伴ったプラスは10数分程度。あとは一気に下落したという印象。2日連続で3ケタの下落で週末より300円以上安くなった。もっとも「トヨタやパナソニックは終日プラス展開。警戒感が一段と高まったわけではない。メジャーSQ週だけに荒れやすい」という声もある。後場寄りから大引けには300円ほど戻した格好だが結局は底値圏でのもみ合い。
TOPIXの下落率は0.8%。しかし小型株指数は1.62%下落。マザーズ指数は4,65%と今年2番目の下落率(下落幅のマイナス50ポイントは今年最大)。

もっともマザーズは北朝鮮リスクで売られたというよりは「中国のIOC禁止からフィンテック関連の崩れ」。この影響の方が大きかった。石川製作所の大幅高や電磁波シールドの阿波製紙や技研興業のストップ高の動き。これは北朝鮮を材料にした買いもあるということになろうか。「9月に日本郵政を売り出すのなら財務省は相場の急落はないと見ているのだろう」と言う声もある。その日本郵政は年初来安値更新。

大引け後にはリクルートとともに225採用が発表された。「政府支援措置」という声もある。日経平均株価は122円安の19385円と続落。終値が節目の19500円を下回るのは8月29日以来、5日ぶり。北朝鮮を巡る地政学リスクの高まりで売り物優勢の展開。特に中小型株への売りが目立った。

東証1部の売買代金は1兆9539億円。東証1部の値下がり銘柄数は1786と全体の約9割。値上がりは181。トヨタ、スズキ、デンソー、住友鉱、新日鉄住金、石川製、アドテスト、日立国際が上昇。HOYA、富士通、野村、菱地所、三井不、日本郵政が下落。

6日(水):
3連休明けのNY株式市場は下落。NYダウは5日ぶり、NASDAQは6日ぶり、S&P500は7日ぶりの反落となった。S&P500は3週間ぶりの大幅安。当然ながら「北朝鮮情勢を巡る緊張が再び高まっていることが市場の重石」との解釈。
もっともS&P500は一時1.2%下落から下落幅を縮小し0.76%の下落。
最高値水準での推移が続いていたこともあり1%超下落することは少ない状況。
NASDAQは0.93%下落。VIX(恐怖〉指数は上昇したとはいえ12.23。3ヶ月後の変動率のVXVは14.63。10年国債利回りは2.075%まで低下(価格は上昇)。10ヶ月ぶりの低水準となった。米南部に接近している新たな大型ハリケーン「イルマ」を巡る懸念。これが債券への逃避買いという見方が背景にある。

7月の米製造業受注は前月比3.3%減と2014年8月以来、2年11カ月ぶりの大幅な落ち込みで着地。ただほぼ市場予想と一致した。コア資本財は速報値から上方修正。第3・四半期初めに企業支出が底堅かったことになるとの解釈。6月の製造業受注は当初発表の3.0%増から3.2%増へ上方修正。

8月の英サービス部門PMIは53.2と7月の53.8から低下。昨年9月以降で最低となった。市場予想の53.5も下回った。「インフレ高進やポンド安の影響が消費者に及んできた。EU離脱懸念で景気失速」との印象。

マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方は▲1.18%(前日▲6.26%)と好転。6月12日の▲5.12%を超えた。もしもプラスになれば新興市場の逆襲のサインだろう。買い方は▲19.95%(前日▲15.65%)と泥沼状態。4月14日の ▲19.41%を超えたから反撃のサインでもあろうか。空売り比率は45.2%まで増加。4月6日の45.2%に並んだ。昨年6月9日の47.0%を超えれば反発域と考えたくなる局面でもある。

始まった。というのは日経朝刊の新連載小説「愉楽にて」。いきなりシンガポールでの38歳の駐在員妻との情事からのスタート。女の言葉は「もう帰らなくちゃ」。「プライドと好奇心」というのが今朝のキーワードだった。林真理子さんの「愉楽効果」が市場に現れるかどうか。「甘苦上海」の第二の高木のぶ子になれるかどうか。その試金石でもある。上海から場所をシンガポールに移すというのは結構いいかも知れない。

225採用銘柄はリクルート(6098〉と日本郵政(6178)が新規採用。北越紀州(3865)と明電舎(6508)が除外。9月29日の終値ベースでの資産リバランスが行われる。SQ週の荒れる筈の水曜日の日経平均は小幅に3日続落。

ついに200日移動平均線(19389円)を割り込んだ。トランプ当選ショックで11月に一度下回ったことがあったが昨年10月5日に200日線上に顔を出して以来11か月ぶりのこと。「8月29日に割り込まなかった200日線を、今回割ってしまった」という嘆きと落胆があったことは否めない部分。しかし大引けに掛けての下げ渋りやTOPIX、日経中小型指数の反発は期待を持たせるものでもあった。200日線はまだ右肩上がりの上昇中(1日10円程度)。200日線を気にするグランビルの法則では「上昇中の移動平均線を株価が割り込む下げは一時的な下げで押し目買いの好機と判断」。結果論では「押し目」だったことになろうか。

「東証1部の新高値銘柄数が16に急減、新安値銘柄数は138に急増」という現実は見えないフリでも良いのかも知れない。
1日時点の裁定買い残は4週ぶりに増加。前週比569億円増の1兆4945億円。
裁定売り残は6週連続で増加。前週比1425億円増の5522億円。1月20日時点以来、約7カ月ぶりの高水準。反発するには結構いい数字となった印象。9月陽線基準値19691円が欲しいというのが市場の願い。
ウラジオストックでの東方経済会議の日に北朝鮮は動かないだろうというのが本音。「北朝鮮の矛先」は中国という声も聞こえる。あながち荒唐無稽ではないかも知れない。

日経平均株価は27円安の19357円と小幅に3日続落。3連休明け5日の米株式相場が大幅に下落し投資家心理が悪化という解釈もあるが、TOPIXやJPX日経400、東証2部指数は反発。日経平均も実質はファーストリテのマイナス30円の寄与が大きかっただけとも言える。とはいえ終値ベースで2016年11月9日以来10カ月ぶりに200日移動平均(19389円)を下回ったことは事実だ。

東証1部の売買代金は2兆2100億円。東証1部の値下がり銘柄数は746、値上がりは1166、変わらずは112。リクルート、日本郵政、キリンHD、資生堂、JR東西が上昇。野村、大和、りそなHD、第一生命HD、ファストリ、東エレクが下落。

7日(木):
NY株式市場は主要指数が揃って反発。原油価格の上昇を背景にしたエネルギーセクターの上昇が寄与した。連邦債務上限の3カ月引き上げなどの案で民主党とトランプ大統領の意見が一致したとの報道も好感された。
下院はハリケーン「ハービー」の被害の救済・復興支援に向けた80億ドル規模の支援措置第1弾を承認。上院の採決で承認されれば、週内にも大統領が署名する方向。ハービー救済措置と連邦債務上限を3カ月引き上げる法案を抱き合わせにする民主党の議会指導部が提示した案をトランプ大統領は支持。共和党のマコネル上院院内総務も民主党案に賛成したトランプ大統領の決定に支持を表明した。
法案が承認されれば、債務上限は12月15日まで引き上げられ、米国の債務不履行や政府機関の閉鎖は回避されることになる。

ゴールドマン・サックスは米政府が閉鎖される確率を前週の35%から15%に引き下げた。安全資産とされる国債への買いは後退し国債価格は下落(利回りは上昇)。10年債利回りは一時2.054%に低下。昨年11月10日以来の低水準をつけた後は2.103%近辺で推移。
カナダ中銀が予想外に追加利上げに踏み切ったことを受けドルはカナダドルに対し数年ぶりの安値。一方、債務上限問題の進展からドル円は上昇。地区連銀経済報告(ベージュブック)は「米経済が7月から8月半ばにかけ、控えめから緩やかなペースで拡大した。一方、インフレ加速の兆候は引き続きわずかな程度」との認識で着地。
ISM非製造業総合指数は55.3。11カ月ぶりの低水準となった前月の53.9から上昇。フィッシャーFRB副議長の辞任発表もあったが、いずれもほとんど材料視されなかった。

北朝鮮という話題も遠のいた感。日経平均の入れ替は新規採用2銘柄と除外2銘柄。みなし額面を苦慮すると除外銘柄の配当額を新規採用銘柄の配当額が上回る。採用銘柄の予想配当額が増えれば12月限の先物の理論価格は安くなる。奇妙な構図だ。

一方で「郵政の売り出し、225採用、ETF経由の日銀買いはアベノミクスの象徴」との声。「ハービー」とか「イルマ」だとか行っているより遥かに興味深い。もっともイルマがフロリダに上陸すると大きな被害予想。2005年のカトリーナの被害額は500億ドル。1926年のマイアミの被害額1250〜1300億ドルに達する可能性があるという。はずれて欲しいところだ。

日経平均株価は続伸ながらも後場失速。
上昇幅は1ケタまで縮小した場面もあった。もっとも東証1部の値上がり銘柄数は1432と7割超。トヨタが25日線回復。コマツ、日立建機が年初来高値更新。東証1部の新安値18に対し、新高値59銘柄。日経平均よりは全体の方が堅調だったとも言えよう。「アレコレあれこれ材料が出てNY株も日本株も消化不良気味」という声が聞こえる。

8月第5週の海外投資家は先物現物を合わせると175億円の買い越しになるというのは微かな変化。「斥候の買い」という見方もある。マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方はプラス0.06%(前日▲1.18%)。9月5日の▲1.18%を越えて今年の記録を更新。しかもプラスまできたことを考えるといい加減に限界感。逆に買い方は▲20.66%(前日▲19.95%)と記録更新。山より大きなイノシイは出ないとすれば、そろそろ新興市場も反発モードの可能性。

因みに6月メジャーSQ値は19997円。8月SQ値19825円は終値ベースで一度も上回れなかった。SQ値が幻でなくなれば気分も変わるだろう。日経平均株価は38円高の19396円と4日ぶりの反発。「米国株が持ち直し、東京市場でも運用リスクを避ける動きが和らいだ」との解釈。規模別株価指数では、「中型」「小型」の上昇率が「大型」を上回った。もっとも上値を追う気配は希薄。JPX400、TOPIXともに続伸。

東証1部の売買代金は2兆448億円。東証1部の値上がり銘柄数は1432と全体の71%。値下がりは485。三井ハイテク、ニチイ学館、スズキ、トヨタ、コマツ、日立建機、ジャフコが上昇。KDDI、ソフトバンク、キヤノン、任天堂、東京海上、SOMPO、鳥貴族が下落。


8日(金):
NY株式市場はマチマチながらほぼ横ばい。銀行セクターや軟調な業績見通しのウォルト・ディズニーやコムキャストが足と引っ張った。
一方IT関連やバイオ関連は上昇という格好。大型ハリケーン「イルマ」が近づきつつあり投資家心理は結構慎重。安全資産とされる国債は買い優勢の展開。10年債利回りは2.05%と低下(価格は上昇)。一時、2.034%と昨年11月10日以来の低水準をつけた。30年債利回りは一時2.651%と昨年11月以来の水準をつける場面があった。「ECBのインフレ率見通し下方修正を受け、独連邦債利回りが低下したことも材料視された」という声も聞こえる。

またECBが資産買い入れプログラムの縮小に関する決定は10月になりそうだとの見方。ユーロ/ドルが1.20ドルを突破して約2週間ぶりの大幅な上昇。「テーパリングを10月に発表する可能性がユーロを押し上げた」という見方が自然だろう。一方、ドル円は一時、108.07円までの円高傾向で約10カ月ぶりの低水準。先日に連邦債務の上限を3カ月間引き上げることでトランプ政権と議会指導部は合意。
しかし「3カ月の期限が切れた後の米財政政策の見通しを巡って不安感が増加」という解釈が登場。これが背景の円高という奇妙な論理も聞かれる。

週刊新規失業保険申請件数は29.8万件で2015年4月以来の高水準。増加幅は12年11月以来の大きさ。NYからは北朝鮮をめぐる警戒感はほとんど聞こえこない。
むしろ金融政策と景気をめぐる高級な解釈ばかりの横行。ある意味平穏と言えるのかも知れない。

日経平均株価は121円安の19274円と反落。4月28日以来4カ月半ぶりの水準まで低下した。107円台への円高、北朝鮮懸念にメキシコ沖の地震が加わり不透明感が増加した。SQ値19278円はわずかに上回れず「幻」。東証一部の売買代金は2兆7145億円。値下がり銘柄数は1247で全体の6割。小野薬、デンソー、コマツが上昇。りそな、ファーストリテ、三井不が下落。

(2) 欧米動向
水曜の日経商品面での「金相場見通しを聞く」。
登場したのはロイターのGFMSという不思議な肩書の外国人。
「金利の付かない金には低金利は追い風。
米株高への警戒感も強く、株から金への資金シフトが進むだろう。
外貨準備をドルから金にする動きは続く」。
ポジショントークっぽいコメントが散りばめられている格好だ。
もう一人は「マーケットアナリスト」という意味不明な肩書の日本人。
「金の高値は9月がピーク。
一連の北朝鮮問題は年末までに陳腐化して材料視されなくなるだろう。
トランプ政権のインフラ投資と大型減税策に何らかのメドが立つはずだ。
ある程度の減税幅で期待感からのドル高につながるだろう」。
北朝鮮問題の陳腐化という言葉が妙に耳に残るが、この人もポジショントークだろうか。

過去の有事の際の動きはどうだったのだろうか。
電子端末などから拾ってみると・・・。

★第一次世界大戦(1914年7月→18年11月)
NY株は16年11月までに3割上昇。
米国参戦が近づくと16年11月→17年12月まで3割下落。

★暗黒の木曜日(1929年10月24日)
29年9月高値→32年6月まで8割以上下落。

★太平洋戦争(1941年12月→45年8月)
開戦から終戦までに7割上昇。
日本株は例えば石川島が開戦前の700円から45年3月1600円台まで上昇。

★朝鮮戦争(1950年6月→52年1月)
NY株4割、日本株9割上昇。

★キューバ危機(1962年)
NY株は61年12月→62年10月まで2割下落。
その後急反発。

★ニクソンショック(1971年)
NY株の下落は限定的。

★オイルショック(1973年)
74年11月までにNY株は3割、日本株hは2割下落。

★湾岸戦争(1991年)
NY株はじり高。

★9.11(2001年)
NY株は急落したが∨字回復。


(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25株価指数のうち8指数が上昇。
上位1位ロシア週間騰落率1,73%、2位ブラジル1.61%、3位ベトナム1.58%、
4位ドイツ1.33%、5位タイ1.06%。
下位25位日本▲2.12%、24位メキシコ▲1.95%、23位ポーランド▲1.74%、
22位シンガポール▲1.49%、18位米国▲0.86%。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

11日(月):機械受注、マネーストック、第3次産業活動指数
12日(火):国内企業物価指数、国連総会(NY〜25日)
13日(水):法人企業景気予測調査、米生産者物価、財政収支
14日(木):首都圏マンション販売、米消費者物価指数、中国各種経済指標、英国金融政策発表
15日(金):米鉱工業生産、小売売上高、NY連銀製造業景気指数、ミシガン大学消費者信頼感

【9月】
12日(火)国連総会、北米最大の携帯見本市「モバイルワールドコングレス」(サンフランシスコ)、夏季ダヴォス会議(大連)、フランクフルト国際自動車ショー
13日(水)変化日
15日(金)米メジャーSQ、上げの特異日
18日(月)敬老の日で東京休場、IAEA総会(ウィーン)、上げの特異日
19日(火)米FOMC(〜19日)
20日(水)日銀金融政策決定会合(〜21日)、変化日、新月
21日(木)東京ゲームショー(幕張)
25日(月)茨城県知事任期満了
29日(金)変化日

【10月】
2日(月)2日新甫、日銀短観
3日(火)家電・IT見本市「シーテックジャパン」(幕張メッセ)
4日(水)ECB理事会、上げの特異日
5日(木)変化日
6日(金)満月
9日(月〉体育の日で休場、コロンブス・デーでNY為替休場
11日(水)変化日、大幅高の特異日
13日(金)オプションSQ、IMF世銀年次総会(ワシントン)
16日(月)上げの特異日
17日(火)変化日
18日(水)米ベージュブック
19日(木)EU首脳会議、ブラックマンデー30周年
20日(金)変化日
25日(水)東京モーターショー(一般公開27日)
27日(金)変化日
28日(土)プロ野球日本シリーズ開幕
29日(日)欧州サマータイム終了
30日(月)日銀金融政策決定会合
31日(火)米FOMC

【11月】
1日(水)FOMC、株安の日
3日〈金)文化の日で休場
4日(土)満月
5日(日)米サマータイム終了
6日(月)国連気候変動枠組み条約会議(COP23)
7日(火)ロシア革命から100年、下げの特異日
8日(水)ECB理事会
9日(木)変化日
10日(金)SQ、NY為替市場球場
15日(水)変化日
17日(金)広州モーターショー
18日(土)新月
22日(水)ECB理事会、変化日
23日(木)勤労感謝の日で休場、NYサンクスギビングデーで休場
24日(金)ブラックフライデーでNY半日立会、海王星順行開始
27日(月)米サイバーマンデー、変化日

興味深い指摘は「小型株バブル」。
TOPIXの規模別株価指数の比較。
8月の小型株指数は17勝5敗。
中型株指数は15勝7敗、大型株は10勝12敗。
その結果、小型株指数は26年ぶりの高値を付けた。
また「小型・大型株倍率」は、16年8月末は1.86倍。
17年8月25日時点で2.15倍。
明らかに小型株優勢だ。
また大型株指数のPERは16年9月末14.2倍→17年8月末14.8倍。
中小型株(TOPIXスモール構成指数)は13.8倍→16.1倍。
この背景として指摘されているのが日銀のETF買い。
16年8月以降日銀は東証1部の売買代金の4%前後700億円強を買い入れている。
それ以前は1%程度だった。
これが5%を越えるとマーケットに影響が出るという。
流動性ばかりでなく日銀のETF保有額は東証1部の時価総額の2.6%程度。
このまま進んで5%に達した時にはどうなるのだろう。

もう一つの指摘は「北朝鮮問題と55年前のキューバ危機」。
1962年のキューバ危機。
当時のケネディ大統領は艦船を派遣し海上封鎖を宣言。
キューバも総動員令を出し一触即発の危機だった。
この13日間のNYダウは5%の下落だったのが歴史。
そして解釈は「ミサイルなどが発射されるまでは市場は大きく反応しない」。
そして危機が去った後のNY市場は約1ヵ月の戻り相場で明確な水準訂正が起きた。
これは教訓とすべきだろう。
一方でバロンズ誌は「日本がグローバル投資家を手招き」の記事。
米国株はバリエーション的に割高感。
だから日本株を見直しというのが骨子。
分配金利回りが4%を超えているREITなども推奨している。
過度の悲観は楽観につながるのだろうか。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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