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話題レポート
 【どう見るこの相場】高水準売買単価の行方 
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■カギは円安、3月期配当落ちもポイント

上昇を続ける東証1部の「売買単価」の動向が注目されている。日々ベースの売買単価では、今年のボトムが1月8日の890円に対し去る3月19日の1299円まで約46%上昇となっている。この先、どこまで上昇するのか、あるいはピークアウトとなって低下に向かうのか。それによって物色される銘柄が大きく変わることになる。

長期傾向を見るのに適している売買単価の6日平均でみれば、2006年4月の1573円と2007年8月の1538円でダブルトップをつけ低下に向かっている。2008年から2012年12月までは、ほぼ650円を挟んだ低位水準でのモミ合いを続け2013年から上昇に転じ、直近は1274円となっている。

日経平均が上昇局面では売買単価6日平均が上昇、日経平均が下降局面では売買単価の下落が顕著となっている。日経平均を左右する要因という視点でみれば、政権→経済政策が重要となるが、日経平均が2008年10月の6994円まで下げたあと2012年11月まで安値水準でモミ合った期間は民主党政権下での円高、デフレ経済政策だった。

安倍政権に代わった途端、日経平均は上昇、経済政策は脱デフレに変わり為替は円安に振れ売買単価6日平均も上昇が続いているわけだ。安倍政権は安定しているため、直ちに野党政権に代わる心配はない。問題は為替が円安継続かどうかである。脱デフレ、物価上昇目標2%ということでは円安の芽は残っているが、円安の副作用も目立つようになり、これまでのような急ピッチの円安は望み難くなっている。

しかし、従来ほど円安は進んでいないのに日経平均は2万円に狭る勢いで強い。そうなると日経平均の上昇には円安以外の別の要因が作用していることが考えられる。

1つは、年金の強力な買いが挙げられる。いわゆる官製相場といわれるものである。政府はこれまで為替を使って日経平均を刺激するやり方だったが、年金買いにより直接、需給面に手を差し込んできたといえるだろう。

もうひとつは、企業々績の好調がある。企業は民主党政権下のデフレ経済のもとで耐え続け、政府に頼らないための体力強化に取り組んできた。その効果が今、現れている。

こうした展開の中で、これから売買単価はどう動くか。仮に、円安が大きく進まないということになれば、そろそろ売買単価のピークが近いということになるのではないか。その一方で、企業々績の好調は続き年金買いも続く見通しから円安はなくても売買単価の上昇は見込めるということにもなる。

ただ、企業体質を強化してきたのは輸出関連企業ばかりではないという視点もある。内需関連企業においても収益力アップはすすんでいる。売買単価の上昇には、円安に伴う輸出関連株の上昇があったが、円安が止まることなれば、業績好調という同じ尺度から矛先は輸出関連から内需関連に向かう可能性はあるのではないか。

しかも、3月期の配当権利落ちとなって、次は、内需関連が多く含まれる4月期、5月期決算ということになることも見逃せない点だろう。

量的金融緩和第3弾が見込めるような状況になれば、再び円安が進み、売買単価6日平均の2006〜2007年水準の1573円を上抜くことも予想されるが、足元では2007年水準接近でピークアウトの可能性が高いことを頭に入れておくことが大切のように思われる。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)