ワクチン
パイプライン状況
治療ワクチンプロジェクト
世界の医薬品市場において、抗体医薬の登場により癌や自己免疫疾患などの難病治療薬におけるバイオ医薬品の位置づけが一層高まり、大手製薬会社は従来の合成化合物で行き詰っていた新規ブロックバスターの有力候補としてバイオ医薬品開発に重点を移しつつあります。
当社は、抗体医薬に続く次世代バイオ医薬品として注目されているワクチン分野において、特に「治療ワクチン」のフィールドに着目し、当社の得意とする遺伝子医薬を活用した新しいタイプの治療ワクチンの開発を進めています。
CIN治療ワクチン
現在、世界各国で発売中の子宮頸がん予防ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防を目的としたワクチン(注射剤)であり、HPV既感染者に対して癌化を防ぐ治療効果は期待できません。一方、当社が開発中のCIN治療ワクチンは、子宮頸がんの前癌状態の組織(高度異形成)を消失させ、子宮頸がんへの移行の回避が期待できる画期的な経口の治療薬です。
CIN治療ワクチンは、腸管免疫を活用してHPV抗原に対する特異的な細胞性免疫を活性化させ、子宮頸部のHPV感染細胞を選択的・効率的に攻撃することで癌化細胞を除去するという新しいメカニズムにより有効性を発揮します。
当社は、韓国のBioLeaders CorporationよりCIN治療ワクチンに関する日米英中の開発、製造、使用および販売の独占的実施権を取得しています。本開発品については、当社が保有する権利を森下仁丹株式会社に独占的に再許諾する契約を締結しております。
DNA治療ワクチン
当社の遺伝子医薬(DNAプラスミド製剤)に関する研究開発の実績から蓄積された創薬研究ノウハウと開発技術を活かした新しいタイプの遺伝子医薬としてDNAワクチンの研究開発プロジェクトを進めています。DNAワクチンには、感染症予防などに有効なDNA予防ワクチンと、癌など難治性疾患のみならず生活習慣病に対しても有効なDNA治療ワクチンがあります。いずれもDNAプラスミドで発現させた抗原に対する液性免疫を誘導して標的分子の作用を中和することで治療効果を発揮します。
このDNA治療ワクチンの一つとして、高血圧DNAワクチンの研究開発を進めています。
大阪大学の森下教授の研究チームは、従来の高血圧治療薬に比べて降圧効果の期間が長い、高血圧DNAワクチンの基本技術を開発しました。この高血圧DNAワクチンはアンジオテンシンIIを標的としたもので、長期間安定した降圧作用を発揮することから、血圧の過度な日内変動の抑制や服薬コンプライアンスの良好でない患者への適応など、既存の高血圧治療薬にはない特長を持つことが期待されます。