兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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引け際のうっちゃり
「引け際のうっちゃり」
ブラック・マンデー30周年記念日のNY株式市場はマチマチの動きだった。
NYダウとS&P500は小幅続伸し終値ベースでの過去最高値を更新。
一方NASDAQ指数は反落。
3指数とも引け際まで軟調な展開。
アップルなどハイテクセクターへの売り物が優勢でNYダウは一時100ドル超下落する場面があった。
引け間際に「FRBの次期議長人事はパウエルFRB理事が最有力候補」と伝わり急上昇した結果の小幅高。
「パウエル氏はハト派としてイエレン議長の延長線上。
市場は超緩和的な金融政策の継続を望んでいる」という声が聞こえる。
VIX〈恐怖)指数は10ポイント台。
S&P500の30日変動率は4.28%と1965年11月以来の水準に低下した。
一方で将来の大幅な価格変動リスクに備える取引が増えると上昇するCBOEスキュー指数。
17日に150.12。
過去4番目に高い水準を記録しており一貫性のない動きだ。
週間新規失業保険申請件数は前週比2.2万件減の22.2万件。
1973年3月以来、44年超ぶりの低水準。
フィラデルフィア地区連銀業況指数は5カ月ぶりの高水準。
もっともCB景気先行指数が前月比マイナス0.2%と市場予想を下回って着地。
国債利回りは上昇(価格は低下)。
ドル円は112円台半ばの円高トレンド。
 
 
NY株式の史上最高値と為替の円安トレンドを追い風に大型株中心に買いが継続。
日経平均は13日続伸。
1988年2月10〜27日以来29年8カ月ぶりで歴代2位の記録に並んだ。
「国内投資家の売りで小型株には下落するものも目立ったが旺盛な外国人買いが吸収」という解釈だ。
ただ値上がり813銘柄、値下がり1096銘柄と連騰中に値下がり銘柄のほうが多い日が6日。
主役不在で過熱感と感動の薄い世にも奇妙な続騰だ。
「13連騰? でも、ディラーは儲かってないらしいよ」という市場関係者の声は象徴的だ。
目指しているのは「56年9カ月ぶりの14連騰」。
1960年12月21日(日経平均1289.96円)〜61年1月11日(1403.06円)のこと。
「日経平均が1000円台だった頃の出来事だからもはやはるかな昔話」ということになる。
当時は高度成長前哨戦で池田内閣の「所得倍増計画」が背景にあった。
今回は将来的にはアベノミクス第2弾の前哨戦とでも評されるのだろうか。
ブラック・マンデー30周年を迎えたNY株式市場は引け際のうっちゃりで続伸。
とはいえ225先物大証終値は日中比150円安の21320円。
14日ぶりで10月初の下落を想像させる水準だ。
「頼りたいのは外国人買い」という形は継続している。
10月第2週の海外投資家は3週連続で買い越し。
買越額は4593億円。前週は6575億円の買い越し。
一方、個人は5週連続の売り越しで売越額は3475億円。
前週は3751億円の売り越し。
先物では海外投資家が2週連続で買い越し。
買越額は2763億円。前週は4380億円の買い越し。
現物株と合わせると7357億円の買い越しだ。
証券会社の自己売買部門は5週連続の売り越しで売越額は2343億円。
個人は2週ぶりの買い越し。
信託銀行が3週ぶりに売り越し。
日曜の衆議院選投開票を控え利益確定および選挙後の買い意欲低下を警戒して、売りが出やすい地合い。
とはいえ「最近は後場失速しながら切り返しの動き。
来週は決算発表シーズン突入で期待感は大きい」という声も聞こえる。
25日線(20589円)からの乖離はプラス4.1%で前日と変わらず。
騰落レシオは121.40%まで低下した。
サイコロは12勝無敗で100%継続。
空売り比率は38.4%。松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲13.556%。
10月10日の15.667%からは改善。
買い方は▲3.449%とほぼ全勝水準。
日経平均採用銘柄のPERはとうとう15倍に乗せてきた(EPSは1429円)。
決算発表でEPSが1500円に乗せればPER15倍で22500円という計算も可能だ。
雨の週末は気持ちの上では午後の逆襲に期待したいのだが難しいだろうか。
日足では昨日はほぼ足長十字線。
「高値付近でこの十字線が現れた場合には下落確率大」というイヤな法則もある。
寄りより引けは2円安く3日陰線だった。
過去5日上値を抑えてきたボリンジャーのプラス2σは21501円。
プラス1σの21045円までの覚悟は必要ないだろう。
 
歪んだ指数の日経平均に退場宣告と言う訳でもなかろうが・・・。
TOPIX先物が来年第1四半期のCMEに上場するという。
国際的認知度が高まれば商いの盛り上がりも想定できる。
何より「変な指数」の日経平均離れができる可能性が出てきた。
日経平均がCMEに上場したのが1990年。
そこでバブルが崩壊したのは記憶の彼方の事実。
ようやく代替商品が登場し主役の座が変わる可能性は評価したい。
そして、先物の上場は間違いなく現物指数を当初は押し上げたのが歴史。
ここに期待すれば来年第1四半期のTOPIXは期待感大となる。
 
奇妙なのは北朝鮮の沈黙。
米韓合同軍事演習で米軍の戦略兵器が集結している。
「予想外の時間に想定外の打撃への直面を覚悟」とブラフはある。
しかし行動はない。
従前ならロケットとか実験とかを行って威嚇してきたもの。
中国共産党大会に祝電を送っているのだから、その間はお休みなのかも知れない。
あるいは、年末にかけての動きを対話に持ち込もうとしているのかどうか。
いずれにしても衆院選挙期間中にロケットは打たれずに済みそうな気配は不可解だ。
 
今後企業を見る視点に追加したいのは「製造力」というキーワード。
戦後高度成長を牽引してきたのは間違いなく「製造能力」だった。
いいものをどれだけ早くたくさん作れるか。
マーケッティングの世界では「個」が重視されるようになって久しい。
しかし世界景気が先進国の思惑で進まずの発展途上国の成長に依存するならば必要なのは品物。
そのために必要なのは製造力。
実は研究室ではなく現場に未来があるような気がする。
ということは・・・。
企業の持つ内部留保のマネーが使われていないなんて議論はいずれナンセンスになろうか。
挙句の果てに「今の大企業経営者は70年台の学生時代はノンポリ。
リスクを取らない優等生が多かった」。
「我が国の経営者にアニマルスピリットをいかに取り戻すか。情けないことに」。
ちょっと前の団塊世代の経営者だってリスクは取らなかったように思えるのは気のせいだろうか。
気骨があったのは昭和ヒトケタ世代までだったのかも知れない。
 
 
 
デロイトトーマツが選出した企業成長率ランキング。
「デロイトトウシュトーマツリミテッド2017年日本テクノロジーFast50」。
日本国内のテクノロジー・メディア・通信業界の企業が対象。
過去3決算期の収益(売上高)に基づく成長率のランキングだ。
上場企業は4位マイネット(3928)、5位PKSHA(3993)、
10位アライド(6081)、11位∨テク(7717)、12位GNI(2160)、
13位ユーザベース(3966)、14位デザインワン(6048)、
15位アカツキ(3932)、16位SHIFT(3697)、
17位WASHハウス(6537)、19位グノシー(6047)、
20位じげん(3679)、21位弁護士ドット(6027)、23位アトラエ(6194)
26位テモナ(3985)、28位テラスカイ(3915)、29位レントラックス(6045)
32位アイリッジ(3917)、33位エクストリーム(6033)、
34位∪−NEXT(2120)、35位DTS(9682)
36位アイスタイル(3660)、37位RSTECH(3445)
38位エイチーム(3662)、41位豆蔵(3756)、42位マーケットエンター(3135)
43位シンクロ・フード(3963)、44位ソフトブレーン(4779)
45位ホープ(6195)、46位セレス〈3696)、47位シルバーエッグ(3961)
48位ソーシャルワイヤ〈3929〉、50位ベガ(3542)
 
スケジュールを見てみると・・・
 
20日(金):黒田日銀総裁が全国信用組合大会で挨拶、米中古住宅販売、APEC財務大臣会合
週末:衆院選投開票
23日(月):米シカゴ連銀全米活動指数
24日(火):米国決算発表本格化
25日(水):東京モーターショー、米新築住宅販売、耐久財受注、英国GDP、独IFO景況感
26日(木):企業向けサービス価格指数、米中古住宅販売、ECB定例理事会
27日(金):消費者物価指数、米7〜9月期GDP
 
 
【10月】
19日(木)EU首脳会議、ブラック・マンデー30周年
20日(金)変化日
25日(水)東京モーターショー(一般公開27日)
27日(金)変化日
28日(土)プロ野球日本シリーズ開幕
29日(日)欧州サマータイム終了
30日(月)日銀金融政策決定会合
31日(火)米FOMC(〜1日)
 
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ナノキャリア(4571)・・・動兆
 
ナノキャリアに注目する。
同社はがん領域に特化した創薬ベンチャー。
超微細な「ミセル化ナノ粒子」で副作用少ない新薬を目指している。
JCRファーマと核酸等の脳内デリバリー創薬に関する共同研究契約を締結。
ADCM技術や将来的な「体内病院」に期待感。
リバウンド開始の印象。


(兜町カタリスト櫻井)