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NYダウ 158ドル高、米中通商摩擦に対する懸念が後退
【市況】NYダウ 158ドル高、米中通商摩擦に対する懸念が後退

19日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比158ドル80セント高の2万6405ドル76セントと1月29日以来ほぼ7カ月半ぶりの高値で終えた。
 
前日に続き、米中通商摩擦に対する過度の懸念が後退する中、ダウは一時210ドル超上昇した。中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が19日の世界経済フォーラム夏季会合(夏季ダボス会議)で演説し、巨額の対中貿易制裁を決めたトランプ米政権を念頭に「問題があれば協議によって解決すべきだ」と対話の重要性を訴えたことも投資家の警戒感を和らげた。中国市場への依存度の高いキャタピラーやボーイングなどが買われ、相場をけん引した。
 
19日は中国の上海総合指数が9月に入り初めて続伸、アルゼンチンの通貨ペソや南アフリカランド、トルコリラなど新興国通貨がドルに対して買われた。新興国経済の先行き不透明感がやや和らいだほか、ドル高が海外で稼ぐ米企業の収益を圧迫するとの見方も後退した。
 
株高の半面、安全資産とされる米国債は売りが続いた。米長期金利の指標である10年物の米国債利回りは一時3.09%と5月以来の水準に上昇した。利ざやが改善するとの期待からJPモルガン・チェースやゴールドマンサックスが買われ、2銘柄でダウ平均を67ドルあまり押し上げた。
 
ナスダック総合株価指数は反落し6.069ポイント安の7950.038で終えた。アマゾン・ドット・コムが下落した。欧州連合(EU)の規制当局が出店業者から集める情報の取り扱いを巡り、EU競争法(独占禁止法)に触れていないかを巡って調査を開始したと19日伝わった。マイクロソフトや半導体関連株の一角が売られたのも重荷だった。
 
セクター別では、銀行や自動車・自動車部品が上昇する一方で商業・専門サービスや公益事業が下落した。
 
個別では、米長期金利の上昇でゴールドマンサックス(GS)やJPモルガン(JPM)などの金融各社が軒並み上昇。中国オンライン小売大手のアリババ・グループ(BABA)は、独ソフトウェアのSAP(SAP)との提携延長計画を発表し堅調推移。中国での売上比率の大きい航空機メーカーのボーイング(BA)や建設機械のキャタピラー(CAT)が買い戻された。
 
一方で、製薬のアッヴィ(ABBV)は、処方箋販売を巡る贈賄の疑いで起訴され下落。ソフトウェアのマイクロソフト(MSFT)は、増配を発表したものの、市場予想を下振れ失望売りが広がった。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
26,405.76+158.80
S&P500種
2,907.95+3.64
ナスダック
7,950.038−6.069
 
米10年債利回り(%)
3.0663 +0.018
米2年債利回り(%)
2.7949 -0.004
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,208.30+5.40   
NY原油(ドル/バレル)
71.37+0.25
円・ドル
112.25 - 112.26−0.07
 
 

【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は小幅反落した。
12月物は前日比85円安の2万3580円で引け、同日の大取終値を60円上回った。円相場が底堅く推移し相場を下押した。
一方、米中貿易摩擦への懸念の薄れから米株とともに買われる場面もあり、日中の値動きは限られた。
この日の12月物安値は2万3500円、高値は2万3685円。
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23580 ( +60 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23615 ( +95 )
( )は大阪取引所終値比
 


【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7331.12(+30.89)
FTSE100種総合株価指数は資源株の主導で3営業日ぶりに反発した。前日18日の終値に比べ30.89ポイント高の7331.12で引けた。
午前のFT指数は、このところの7200台後半から7300台前半の取引レンジで推移。午後に入って米株価が上昇すると、これに連れ高となり、2週間ぶり高値の7346.11まで値を上げた。構成銘柄の半数以上が上昇した。ただ、日中を通して不安定な値動きだった。
 
朝方に発表された8月の英消費者物価指数(CPI)の伸びは市場予想を上回った。これをきっかけにポンド買いが強まった後、通貨高で業績に悪影響を受けるとみられる多国籍企業の銘柄中心に売りが広がり、株価指数は下落に転じた。ただ、昼ごろにメイ英首相によるアイルランド国境問題に関する発言が伝わると、ポンドは急速に売られた。これにともない株価指数は上昇に転じ、その後も上げ幅を広げた。
 
個別銘柄では、金と銅の価格上昇を背景に鉱業株は午後に上げ幅を広げ、軒並み大幅高となった。鉱業のアントファガスタは6%近く上がった。アングロ・アメリカンは5.1%高。英保険大手プルーデンシャルと産金大手フレスニーヨは各3.7%高。ロシア鉄鋼大手エブラズは3.6%高、スイス資源大手グレンコアは3.5%高、英銀大手スタンダード・チャータードは3.3%高だった。銀行株と保険株も全面高だった。
 
半面、時価総額の大きいたばこ株と食品・日用品のユニリーバの値下がりが目立った。小売りのキングフィッシャーは6%超下落した。フランスでの業績不振が響いて上期の利益が15%減少したと発表したことが嫌気された。総合ヘルスケアのNMCヘルスは3.1%安と下げも大きくなった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12219.02(+61.35)
 
ドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日18日と比べて61.35ポイント高の12219.02だった。米中の貿易摩擦に対する懸念が後退し、買いが広がった。
 
個別では、工業用ガスのリンデは7%超上がった。米規制当局から同社と米プラクスエアの合併の承認を得るため、リンデが新たに資産を売却すると報じられたことが買い材料となった。アナリストが株価目標を引き上げたコメルツ銀行の値上がりも大きかった。
半面、電力のエーオンと不動産のボノビアの値下がりが目立った。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5393.74(+29.95)