ダウ4日続落で84ドル安 貿易戦争への懸念が再燃、ナスダック反落
【市況】ダウ4日続落で84ドル安 貿易戦争への懸念が再燃、ナスダック反落 |
トランプ政権は15日朝、中国の知的財産権侵害への制裁として、総額500億ドル(約5兆5300億円)の中国製品に25%の追加関税を課すと発表した。7月6日から段階的に発動する方針。これに対し、中国も同規模の関税で報復すると表明し、二大経済大国の通商摩擦がエスカレートして「貿易戦争」に突入するとの懸念が再燃。米株式市場では、朝方から売りが広がり、ダウは一時280ドル下げた。
両国が「貿易戦争」に突入するリスクが意識され投資家心理を冷やした。建機のキャタピラーや航空機のボーイングなど中国事業の比率が高い銘柄を中心に売りが出た。
ただ、米景気や企業業績の堅調さを意識した買いも入り、相場は午後に下げ渋った。朝方発表の6月のニューヨーク連銀製造業景況指数や6月の消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)はともに前月比で上昇し、市場予想も上回った。
ナスダック総合株価指数は反落し、同14.664ポイント安の7746.378で終えた。このところ上昇が続いたフェイスブックなど主力株の一角に利益確定売りが出て指数を押し下げた。
セクター別では、家庭用品・パーソナル用品や食品・飲料・タバコが上昇する一方でエネルギーやテクノロジー・ハード・機器が下落した。
個別では、原油相場の下落を受けて、エクソン・モービル(XOM)やシェブロン(CVX)などエネルギー関連会社が軟調推移。グラフィックソフトのアドビ・システムズ(ADBE)は、売上高見通しが予想に一致するに止まり、業績成長への懐疑的な見方から下落。
今秋発売予定の「iPhone(アイフォーン)」で価格の安い液晶を搭載した機種の比率を増やす見通しと伝わったアップルが下落。前日夕に発表した四半期決算は増収増益だったが、材料出尽くし感が意識されたアドビが下げた。原油先物相場の下落を受けて、シェブロンやエクソンモービルなど石油関連株も売られた。
一方、半導体のクアルコム(QCOM)は、同業NXPセミコンダクターズ(NXPI)の買収を中国当局が承認し、買われた。自動運転事業の株式市場への上場などを検討していると報じられた自動車のゼネラル・モーターズ(GM)が上昇。四半期決算で1株利益が市場予想に反して黒字だったカナダの高級衣料品のカナダグースが33%高と急騰した。日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やスポーツ用品のナイキ、飲料のコカ・コーラも上昇した。
VIX指数は11.98と低下(前営業日12.12)。トランプ米政権の制裁関税に対し中国も報復関税を表明するなど、米中貿易摩擦は激化の様相。
NY株式市場は売りが先行し、VIX指数も一時13.16まで上昇した。しかし、株式市場が徐々に下げ幅を削ると、VIXも低下基調となり、引けにかけて前日水準を下回った。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,090.48−84.83
S&P500種
2,779.66−2.83
ナスダック7,746.378−14.664
米10年債利回り(%)
2.9223 -0.024
米2年債利回り(%)
2.5533 -0.021
NY金(ドル/トロイオンス)
1,278.50−29.80
NY原油(ドル/バレル)
64.38−2.51
円・ドル
110.65 - 110.66 +0.73
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反落した。9月物は前日比70円安の2万2765円で終え、大阪取引所の終値を65円下回った。
米中貿易摩擦の激化への警戒感から売られた。トランプ米政権は15日、中国の知的財産権侵害に対する制裁関税を発動すると発表した。
これを受け中国は米国産大豆などに報復関税を課すと表明し、投資家心理が悪化した。
ただ、取引終了にかけては米株式相場とともに下げ幅を縮めた。
この日の9月物安値は2万2630円、高値は2万2860円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22765 ( -65 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22800 ( -30 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100種総合株価指数は大幅反落した。前日14日の終値に比べ131.88ポイント安の7633.91で引けた。5月末以来約2週間ぶり安値で終了した。約9割の銘柄が値下がりした。
朝方から売りが先行するなか、午後に入り、米中貿易摩擦の激化を警戒した売りで米国の株式相場が大幅に下落すると、英株にも売りが広がった。
個別では、金属と原油相場の大幅下落を背景に、鉱業株と石油株に売りが膨らんだ。なかでも資源商社のグレンコアとBHPビリトンが大幅下落した。銀行株と保険株も安かった。個別銘柄ではビジネスサポートのDCCの下げが目立った。
半面、英航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが7%超高と、大幅上昇した。日中に一時10%近く上げる局面があった。中期のキャッシュフローが目標を上回るとの見通しを示したことが買い材料視された。四半期の売り上げが予測と一致したスーパーマーケットのテスコも2.0%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
ドイツ株式指数(DAX)は3日ぶりに反落した。終値は前日14日と比べて96.55ポイント安の13010.55だった。米中貿易摩擦の激化を警戒した米国株の大幅下落が欧州株にも波及した。構成銘柄の約7割が下落した。
個別では、コメルツ銀行が大幅安で引けた。航空のルフトハンザも安かった。一方で電力株は上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,501.88 -26.58
欧州の主要株式市場では、フランスの株価指数CAC40が下落に転じた。1%以上下落した。