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「non−GAAP」
「non−GAAP」

「non−GAAP」
 
「相場は推理推論の世界」と聞くと何となく理解できたような気になる。
しかし事はさほど簡単ではない。
まず推論は演繹とも言われる。
「〜である」という結論が必要だ。
演繹とは、ある抽象的な事柄から具体的な事柄を推論することということになる。
推理は帰納とも言われる。
「〜だろう」「〜かもしれない」という結論が必要になる。
帰納とは、ある具体的な複数の事柄からそれらに共通する抽象的な事柄を推論することだ。
しかし・・・。
相場は「兵は詭道なり(孫子)」の世界。
「兵」は戦争、「詭道」は人を偽り欺くこと。
「戦争は騙し合いである」という意味だ。
相場にも買い手と売り手という敵がいる。
いずれも勝つためには可能な限りの手を使ってくる。
騙す側が悪いのは」当然だ。
しかし騙されることはさらに悪い。
「避けるためには敵の手のうちを理解することも必要だ」とされる。
それでもこれらを含めて相場格言でさえも「頭でわかっても体でわからない」のが相場。
「悪材料の出尽くし」。
「人気先走り」。
「知ったら終い」。
「アク抜け」。
「材料はあとから出る」。
「煮え詰まれば動機づく」。
「上り坂の悪材料は買い、下り坂の好材料は売り」。
間違いなく正しいと理解はできるがそういう場面に遭遇した時に思い浮かぶかどうかは微妙。
「心動けば相場に曲がる」と分かっていても実践は難しい。
時間の経過とともに結論は出る。
しかしその時間の渦中に参加者全員がいるだけに心は大きく動くものだ。
そういう意味で相場には謙虚に対峙することが必要だろう。
一番避けるべきは「大言壮語」からは遠ざかること。
「私の言ったことを聞いておけば・・・」なんて論外でそれは結果論。
「私失敗しないから」という言葉が該当する世界はもちろんある。
しかし市場ではあり得ない世界だ。
もっともあれこれと材料を羅列したうえで「可能性20%、50%、30%」。
これも子ずるく見えて仕方がないが・・・。
指標や紙芝居に日々触れることだけは怠らないというのが一番良い方法だろう。
 
ある米系企業のトップに指摘されたのはGAAPとnon−GAAPの問題。
NYでは多くの企業がnon−GAAPを採用しているが日本ではほとんど考慮されていない現実はおかしいというのが趣旨だ。
GAAPは一般に公正妥当と認められる会計原則のこと。
ただ汎用性が高い反面、必ずしも個社の事業の特性を的確に表しているとは限らない。
そこで自社の事業の実態を投資家等に適正に理解してもらうためにnon−GAAPを決算説明会などで使用するという。
non−GAAP情報として有名なものはEBITDA(減価償却前利益)だ。
将来への投資と現在の収益を区分。
収益の成長性を示す等の目的でEBITDAを重視するという。
減損等特殊要因による損益を控除した「調整後利益」等のnon−GAAP利益を公表することも多いという。
公表されるnon−GAAP情報は会計ルールに基づく利益を上回る傾向が見られるというのが事実。
「会社の真の収益力」を表す指標」どちらなのかというのは真剣に考える時期がやってきたということ。
アメリカの企業がアメリカの会計基準から離れてきているのなら同調する動きが出てきてもおかしくはない。
グローバルスタンダードは大好きな日本にしてはあたり前という見方もある。
企業としては当然、決算の利益は多い方が株価も上がるし都合がいい。
そしてnon−GAAPの決算発表は特に違法ではない。
時価会計基準を含めてアメリカンスタンダードが必ずしも良いとは思わない。
しかし米株高の背景の一つはココにあるとすれば見逃せない課題ではある。
「米国でのこの傾向は2000年頃のITバブル時のデジャブ」。
そういう声もある。
「広義のNon−GAAPの会計基準の最大の問題点は単に正式ではないということ。
そして基準がまちまちで任意で定義される点」という指摘もある。
「会社の都合で決めた計算方法を使って出されたデータが株主の判断材料」。
これが良いのか悪いのかという問題になる。
「補完データのはずなのに、市場の大多数はそれしか見ない。
GAAPでは大赤字の決算でもNon−GAAPでは前年度比増益。
だから株価が上昇するという奇妙なことが起こっている」。
株高礼賛論の立場では「Non−GAAP会計基準」は歓迎なのだが・・・。
 
☆「GAAP」と「Non−GAAP」
 
「第4四半期の純利益はGAAPでは赤字に転落。
しかしNon−GAAPでは市場予想を上回る好決算」
 
「GAAP」=会計用語
「Generally Accepted Accounting Principles」
=「一般的に認められた会計原則」=米国会計基準。
 
米国上場企業はGAAPのルールに沿った財務諸表を作成する必要がある。
 
「Non−GAAP」はGAAPに沿っていないという意味。
「GAAP」ベースの数値から一時的な損益などを除いた「調整後」の数値を企業側が参考値として開示したもの=会社の意見
 
株式市場は「Non−GAAP」の数値重視。
 
償却前利益や株式報酬などの扱いが目立っている
何かの要素を調整したら利益が高くなる場合が多いことからその数字を企業は見せたい。
 
日経ヴェリタスで面白かったのは「親子上場」。
いくつかの切り口で分類していた。
★子会社が高収益力
(親会社)フリービット(3843)(子会社)ギガプライズ(3830)ROE35.9%
(親会社)ベネッセコーポ(9783)(子会社)東京個別指導学院(4745)同21.8%
(親会社)大東建託(1878)(子会社)ハウスコム(3275)同15.6%
(親会社)クリレスHD(3387)(子会社)SEPHD(3198)10.7%
(親会社)大日本印刷 (7912)(子会社)インテリジェンスウエイブ(4847)同11.3%
(親会社)セコム(9735)(子会社)能美防災(6744)同9.2%
★時価総額にねじれ
(親会社)パソナグループ(2168)時価総額672億円(子会社)ベネフィット・ワン同3685億円
(親会社)GMOインターネット(9449)時価総額2500億円(子会社)GMOPG(3769)同5773億円
★グループの非中核事業(親会社)富士通(6702)(子会社)新光電工(6967)FDK(6955)
 
・・・・・・・・・・
 
 
《兜町ポエム》
 
「春よ、来い」
 
赤や青に彩られた株価
いとし面影の銘柄たち
かなり安値の蕾から
ひとつひとつ放れ始める
 
それはそれは「雲」を越えて
やがてやがて高値に向かう
 
株よ、遠き高値よ、まぶた閉じればそこに
利益くれし君の懐かしき値が浮かぶ
 
株に投資したわが心は
今でもリターンを待っています
どれほど月日が流れてもずーっとずーっと待っています
 
それはそれはバブルを越えて
いつかいつかきっと届く
 
株よ、まだ見ぬ高値、売られ立ち止まる時
夢をくれし株の銘柄コードがよみがえる
 
株よ、浅き夢よ、私は市場にいます
高値、思いながら一人歩いています
流るる板のごとく
流るる出来値のごとく
 
「もうすぐ相場ですね」
 
雪が溶けて川になって流れていきます。
成長株の子が恥ずかしげに顔を出します。
もうすぐ春ですね。
ちょっと気取ってみませんか。
株価が上がってあたたかさを運んできました。
新値銘柄が、次の新値を運んできました。
もうすぐ春ですね。
市場に戻ってみませんか。
泣いてばかりいたって幸せはこないから。
暗いチャートを捨てて出かけませんか。
もうすぐ春ですね、株に戻ってみませんか。
 
マーケットでは投資家たちが楽しそうです。
雲をはねて株価が顔を出します。
もうすぐ春ですね、マーケットに戻ってみませんか。
安値を蹴って小さな株価が飛んでいきます。
もうすぐ春ですね。
株を再開しませんか。
別れ話したのは、08年のことでしたね。
ひとつ大人になって忘れませんか。
もうすぐ春ですね、相場に戻ってみませんか」。
 
「なごり株」
 
寄付きを待つ株の横で僕は
値段を気にしている
季節はずれの高値に遭遇
兜町で見る赤札は久しぶりねと
うれしそうに君がつぶやく
 
戻り高値も来るときを知り
嘆き過ぎた危機感のあとで
今、春が来て株はきれいになった
去年よりずーっと高値になった
 
動き始めた板の前に顔を付けて
株は何か言おうとしている
先物の買い板が薄くなり下げることが
怖くて「ENTER」を押せなかった
時が行けば塩漬けの株も
元に戻ると気付かないまま
今、春が来て株はきれいになった
去年よりずーっと高値になった
 
君が去った市場に残り
上げては戻る板を見ていた
今、春が来て株はきれいになった
去年よりずーっと高値になった



(櫻井)。