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NYダウは248ドル安、通商・外交政策への不透明感を嫌気
【市況】NYダウは248ドル安、通商・外交政策への不透明感を嫌気
14日のNYダウ工業株30種平均が3日続落し、前日比248ドル91セント安の2万4758ドル12セントで終えた。米トランプ政権の通商・外交政策への不透明感を嫌気した売りが優勢だった。
 
ロイター通信は13日、中国からの輸入に年間で最大600億ドルの関税適用を検討していると報道。対米主要輸出品である家電製品や通信機器などがターゲットとなり、来週にも方針が発表される可能性があるという。中国の反発は必至で報復の応酬となる「貿易戦争」に発展するとの懸念が高まった。
 
海外市場への依存度の高い航空機大手ボーイングや建設機械大手キャタピラーが引き続き売られ、相場の下げを主導。ダウは一時340ドル近く下落した。
政策の先行き不透明感などから米長期金利が低下し、利ざや縮小観測でゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株にも売りが波及した。
 
また、米商務省が朝方発表された2月の米小売売上高は市場予想に反して、前月比0.1%減と3カ月連続で減少した。0.3%増とプラスを見込んだ市場予想に反する軟調な結果も投資家心理を冷やした。
市場では「1〜3月期の米成長率が減速する兆しが出ている中、米利上げペースはどうなるのか、来週20、21両日の連邦公開市場委員会(FOMC)で見極めたい」との声が出ていた。
 
ダウ平均は高く始まったものの、上値の重さが意識されると急速に下げ幅を広げるなど値動きは不安定だった。
午後にゲイリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長の後任に経済評論家のラリー・クドロー氏が就任する見通しと伝わった。同氏は対中貿易では強硬姿勢を取るものの、貿易相手国への一律の輸入制限などには反対しているとされる。米政権が過度に保護主義的な通商政策に傾くとの警戒感が和らいだ面があり、ダウ平均が下げ幅を縮小する場面があった。
 
ナスダック総合株価指数は続落し、同14.201ポイント安の7496.811で終えた。相場全体の下げに押されたものの、半導体株などへの買いで上げに転じる場面があった。
 
セクター別では、公益事業や不動産が上昇する一方で運輸や食品・生活必需品小売が下落した。
 
個別では、軟調な小売売上高を受けて、百貨店のメーシーズ(M)やJCペニー(JCP)、小売のコールズ(KSS)など小売関連株が下落。航空大手のユナイテッド・コンチネンタル(UAL)は、客室乗務員が乗客の子犬を頭上の荷物入れに収納するよう指示し、その後死亡した問題で謝罪し軟調推移した。半導体のクアルコム買収を断念すると正式発表した同業のブロードコムが下落した。
 
一方で、自動車のフォード(F)は、モルガンスタンレーによる投資判断引き上げを受け上昇した。経営の効率化のための事業部門見直しなどを発表した映画・娯楽のウォルト・ディズニーも上げた。
 
VIX指数は17.23と前日から3日連続で上昇(前営業日16.35)。米株は昨日下落の反動で買い戻しが先行するも、引き続きトランプ政権の政治リスクや貿易摩擦への警戒感で投資家のリスクオフ志向が強く、米株は続落し、VIX指数は上昇した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,758.12−248.91
S&P500種
2,749.48−15.83
ナスダック
7,496.811−14.201
 
米10年債利回り(%)
2.8189 -0.029
米2年債利回り(%)
2.262 0
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,325.60−1.50   
NY原油(ドル/バレル)
60.93+0.22
円・ドル
106.28 - 106.29−0.32
 

【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は小幅に反落した。
6月物は前日比40円安の2万1555円で終え、大阪取引所の終値を55円下回った。
主要3指数はそろって反発して始まったが、通商摩擦激化による企業業績悪化懸念が意識され、しだいに売りが優勢となった。米株式とともに売りに押された。
6月物の安値は2万1415円、高値は2万1735円だった。
 

シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
21555 ( -55 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21615 ( +5 )
( )は大阪取引所終値比
 


【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7132.69(-6.09)
前日13日の終値に比べ6.09ポイント安の7132.69で引けた。構成銘柄の半数以上は下落した。米国株が下落に転じたことに伴い、英国株も上げ幅を縮小し、午後遅くに下落に転じた。
 
個別銘柄では、石油のロイヤル・ダッチ・シェルとBPが売られた。スタンダードチャータード銀行など銀行株も軟調だった。
スーパーマーケット株も下がった。WMモリソン・スーパーマーケッツは、通期利益が市場予想を上回ったほか、特別配当の支払いを発表したことで朝方は買われたが、一部で持続的な成長が懸念され5%近くの下落に転じた。
 
半面、リーガル・アンド・ゼネラル(L&G)など保険株は上昇した。なかでもプルーデンシャルは5%上昇した。同社の英国・欧州資産運用部門を国際保険部門から分社化すると発表したことが好感された。
銅価格が上昇し、鉱業関連株も買われた。アングロ・アメリカンとアントファガスタはともに、アナリストが投資判断を引き上げたことも買い材料となり大幅高だった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
■DAX 12237.74(+16.71)
FTSE100種総合株価指数は3日続落した。
ドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日13日と比べて16.71ポイント高の12237.74だった。米国株が下落に転じたことに伴い、ドイツ株は上げ幅を縮小した。
 
個別銘柄では、2017年通期増益に加え、18年の良好な業績見通しを発表したアディダスは11%高。13日遅くに大規模な自社株買い戻し計画を発表したことも買い材料となった。アナリストが投資判断と株価目標をともに引き上げた電力のRWEも4%超上がった。
 
一方で、コメルツ銀行と透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケア、工業用ガスのリンデは売られた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5233.36(-9.43)