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毎日コラム 2015年09月23日
火災保険を学ぼう ゲリラ豪雨や台風などの被害の補償は
ゲリラ豪雨や台風などで被害が発生したら、火災保険の補償対象になる?
ここ数年、異常気象なのか、洪水や土砂災害が多くなっています。実際に、洪水被害を経験したことがあるという人も多いのではないでしょうか。

集中豪雨(ゲリラ豪雨)や大雨、台風など地域によっては、毎年のように水害の被害に遭うところもあるでしょう。

集中豪雨などによる被害は、次の2パターンがあります。

・空から降ってくる雨や風が原因となるもの
・雨が降った結果、川の氾濫や増水などによって被害を受けるもの

一方、火災保険においては、台風、暴風雨、豪雨等による洪水、高潮、土砂崩れ等による被害が補償の対象とされています。洪水や高潮などは想像がつくと思いますが、土砂崩れもその範疇に入っているのは意外と思う人もいるでしょう。

今回は、集中豪雨や台風などによる水害(水災)と火災保険の仕組みや補償について考えてみたいと思います。

■水災とは
水災とは、台風や暴風雨などが原因で起こる洪水・高潮・土砂崩れなどにより、建物や家財が所定の損害のことです。

■洪水
台風や暴風雨、豪雨等により発生した洪水、あるいは融雪による洪水などです。河川の氾濫(はんらん)だけでなく、ゲリラ豪雨によりマンホールから水があふれ出したため発生する損害も対象になります。

■高潮(たかしお)
高潮とは、台風などの気圧の低下に伴い、海水面が普段より著しく高くなる現象です。津波とは異なりますので、ご注意ください。地震が原因で発生する津波は、地震保険で補償する必要があります。

■土砂崩れ
集中豪雨・ゲリラ豪雨などで急傾斜地にある土砂が急に崩れ落ちる現象です。地滑り、がけ崩れ、土石流などがこれにあたります。なお、地盤沈下や地震を原因とする土砂崩れは補償の対象となりません。

■漏水・水濡れとは違うの?
水災は自然災害による被害の補償となるので、洗濯機が故障して漏水(ろうすい)した場合や、建物内外で給排水設備の事故による水濡れ、マンションなどで上の部屋からの水漏れなどの被害があっても補償されません。これらは、水災とは別に「水濡れ(漏水)」の補償が必要になります。

■水災補償の仕組みと注意点
火災保険の補償範囲でいう水災は、「台風や暴風雨などがもとで起こる損害」を指しています。

大雨による洪水(河川の氾濫)はもちろんのこと、高潮や、雨が原因の土砂崩れ(崖崩れ、地滑り、土石流なども含みます)の被害も補償されます。

洪水などで床上浸水し家財がダメになった、自宅の裏の山が豪雨で崩れて自宅が倒壊した、といった被害が、火災保険の水災補償が想定している損害になります。

地震を原因とする津波は、一般的な意味では水災の一種ともとらえられますが、地震が原因の損害は火災保険では補償されないという原則により対象外。

また、「雨漏り」も実は補償外です。開いていた窓から雨が吹き込んできたとか、壁に隙間があってそこから雨が入ってきたという場合も補償外になります。これらは「風、雨、雪、雹(ひょう)、砂塵、その他これらに類するものの吹き込みまたはこれらのものの漏入により生じた損害」は火災保険では補償しないと決まっているためです。

火災保険が補償の対象とするのは突発的に外部要因から生じた事故的なものであり、建物の老朽化や構造上の欠陥などから生じている損害は補償されないのです。

逆に言えば、事故的なものであれば、雨漏り・吹き込みも補償されます。強い風によって瓦屋根が被害を受けたため雨漏りが生じた場合、暴風で窓が割れ、雨の吹き込みが生じた場合などがそれにあたります。ただ、それらのケースは「風災」での補償になるでしょう。台風が来て大雨になったという状況でも、雨が原因の被害は水災の補償範囲ですが、風によって発生した被害は「風災」ですので、水災の補償ではありません(風災の補償がついていればそちらで補償されます)。


自然災害は避けることができないだけに、防災関連銘柄は社会貢献に大きな役割を果たす優良銘柄といえるでしょう。

関連セクターとしては、ビルや住宅の耐震化工事、道路・橋梁・法面などの補強工事、地盤・土壌調査、懐中電灯・ヘルメット・非常食などの防災用品、燃料・食糧などの備蓄、自家発電設備、非常用電源設備、災害情報予知・配信サービスなど、多岐にわたります。

建設前の地盤調査と地盤改良により、被害を最小限に食い止めることを目的にしている企業もあります。
【地盤改良・地質調査 関連銘柄】
[9755] 応用地質
[4673] 川崎地質
[1914] 日本基礎技術
[1408] サムシングホールディングス