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2015年10月08日
ゼロからわかる 子どもNISA(ジュニアNISA)
2016年4月より、現行のNISA(少額投資非課税制度)が拡充されます。その一つとして挙げられているのが子どものNISA(ジュニアNISA)です。
投資資金は親や祖父母などが拠出してこども名義で非課税運用するという形になっています。あくまでも「教育費」の為のNISAであることから18歳までは払い出しができないなどの注意点もあります。

今回は、この子どもNISA(ジュニアNISA)の仕組みや特徴、それに活用の方法を紹介していきたいと思います。

子どもNISA(ジュニアNISA)とは?
NISAのお手本となったイギリスの「ISA」では、親が18歳未満の子供の名義で投資を行い資産形成が行えます。NISAはイギリスのISAがお手本です。

このNISA口座を開くための条件は、現在20歳以上でかつ日本居住者でなければなりません。子どもNISA(金融庁資料ではジュニアNISAと表記)NISAの未成年版に当たります。
日本でもNISA制度の拡充策の概要として「子どもNISA」が2016年4月から始まります。
(口座開設は2016年1月から)

子どもNISA(ジュニアNISA)の概要
非課税対象 株や投資信託の値上がり益や配当金(分配金)
非課税投資枠 毎年80万円まで(翌年への繰り越しはできない)
期間 5年間(売却しても非課税枠の再利用はできない)
 なお、非課税期間終了後も、次の子ども版NISA口座の非課税枠に「ロールオーバー(組み換え)」をすることが可能です。
投資総額 最大400万円まで(1年目は80万円、5年累積で400万円)
制度継続期間 2016年から2023年までの8年間(毎年80万円ずつ非課税枠の設定ができる)
口座資格者 0歳〜19歳まで ※20歳以降は通常のNISAへ
口座管理者 親権者が代理で行う
注意点 原則18歳になるまでは、引き出すことができない
 (途中で引き出すと課税対象となる)
※期間中に20歳以上になった場合は、大人版NISA(通常のNISA)へ自動的に移行されます。

子どもNISA創設の目的
「子どもNISA」の創設により、子供を持つ親世代の投資を促す目的があります。
子どもNISAの利用対象者は約2,200万人。
利用者がたった5%でも1人あたり60万円程度の投資をすれば、年間で6,600億円もの資金が市場に流れます。

相続税対策になるから、年間80万円の非課税枠をフルに活用する口座が多くなるとみられている。500万から600万口座が年間80万円投資すると、最大で4兆円から5兆円規模の買いが見込めることになります。

十数年にわたって運用すれば総額で50兆円規模になり、かなりの規模の新しい買い手が誕生します。

子どもNISAの利用対象年齢は0歳から。
赤ちゃんはもちろん投資できませんので、祖父母や両親などの代理運用が可能になっています。まさしく親や祖父母の投資を促すための制度です。

子ども版NISAの活用方法
あくまでも、口座は子ども名義の口座で子供お金ということになりますが、実質上は子供の教育費に充てるためのお金として、両親や祖父母が子供や孫のためにお金を積立投資するという形になるものと考えられています。 子育てで一番お金がかかるタイミングはやはり「大学進学時期」であることを考えると、そのためのお金を投資で準備するのを税制面からサポートするというのが制度趣旨となります。 なお、子供の教育費に関する節税対策としては2013年より「教育資金の一括贈与非課税措置」という制度もあります。こちらは祖父母などから教育資金を一括で贈与してもらうという制度となっています。

「教育資金の一括贈与非課税措置」 国税庁HPにてご確認下さい。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku-zoyo/201304/01.htm

子どもNISAは相続税対策になる
注目点は、子供NISAが相続税対策となることです。 親や祖父母が子供にお金を渡す いわゆる「生前贈与」は年間110万円まで非課税となっています。税金が発生しません。 お孫さんから祖父母まで 子どもNISAの非課税枠の上限は年間80万円。 親や祖父母が「子供やお孫さん」の為に 子どもNISAの口座を開設し、資金80万円を提供しても生前贈与の非課税範囲内により税金は発生しません。 親や祖父母は 非課税で資産を 子供やお孫さん に譲れる(節税対策) 子供やお孫さん は資産を将来の為に運用出来る(運用資金の確保) と、両者にとってもメリットがあり、子どもNISAと生前贈与の相性はバッチリです。 参考までに、年間110万円を越えた場合の贈与税の計算式は(国税庁のHP)に載っています。

「国税庁:贈与税の計算と税率」にてご確認下さい。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm

株主優待や配当金も受け取れる
子どもNISAでも株式投資による「配当金」や「株主優待」、投資信託による「分配金」などを受け取れます。

子ども版NISAの注意点
■他に贈与がある場合は注意
たとえば、子供や孫の為に暦年贈与をして別の形で贈与しているような場合、子ども版NISAの拠出額も同じ贈与というくくりになります。たとえば50万円のお金(現金)を贈与した上で、子どもNISAに80万円を拠出した場合、合計で130万円の贈与となり、基礎控除(110万円)を超過した20万円には贈与税がかかります。

■18歳未満だと引き出せないので、あまり若い時に始めると資金が固定化される
子ども版NISAは0歳から始めることができますが、あまりにも早くから始めると最大で18年も資金が拘束されてしまうことになります。現状、子ども版NISAが使える期間も限られているので、あまりにも若い子供用に口座を作るのはちょっと現実的ではないように思います。

大人NISAの変更点
大人版の通常のNISAも変更点があります。非課税対象の枠が100万円から120万円に変わります。 子供NISAの年間80万円と合わせれば、年間200万円まで非課税枠が増えることになります。
大人NISAとの比較
大人NISA子供NISA
対象年齢20歳以上20歳未満
開始年度既に始まっている2016年から
年間投資上限2016年から120万円80万円
通算投資上限2016年から600万円400万円
投資できる期間2023年まで2023年まで
運用口座本人親権者代理
非課税対象期間投資した年から5年投資した年から5年

証券会社や銀行などで口座開設する必要があります。

子どもNISAの口座開設は1月からですが、利用開始は4月となっています。
子どもNISA口座のお申し込みは、2016年1月(取引開始は同年4月)より始まりますが、子どもNISA口座を保有するには、未成年口座の開設も必要となります。
制度を効果的に活用するために、お早めの未成年口座開設をおすすめいたします。

子供名義でNISAの口座を開設するには?
NISA口座を作るための条件とは、申し込みを行う年の1月1日の時点で20歳以上であり、日本に居住している人であることです。 従って、子供が20歳未満であれば、残念ながらNISA口座を作ることはできません。

NISAとは異なり、一般的な株式の口座については、親権者の同意が必要になりますが、多くの証券会社で口座を開くことが可能です。 証券会社によっては、未成年のみを対象とした未成年口座を提供しているところもあります。

NISAの条件によると、子供が成人していれば、子供名義でNISA口座を開設することは可能です。

贈与税の基礎控除は110万円となっています。つまり、110万円までであれば、子供にお金を渡しても非課税になるということです。 一方、NISAの非課税枠は、毎年100万円となっています。つまり、子供が成人しているのであれば、子供名義でNISA口座を開設して、 毎年100万円の贈与を行ったとしても、贈与税はかからず、NISAで得られる利益に対しても非課税になるという、税金に対しては一挙両得が実現できることになります。