兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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英明コラム マーケットストラテジーメモ
11月4週
【推移】
17日(月):
土曜日経1面は「上場企業、最高益に迫る」の見出し。今期経常利益は3%増の見通しだが、これはもっと上だろう。ただ企業業績は製造業中心に円安効果もあって好調。遠くの出来事に目を凝らすよりもここを凝視すべきだろう。
日経では「東レ、炭素繊維1兆円受注」の見出し。ボーイングから航空機向けの炭素繊維を受注するという。「両者は06年から21年までの計7000億円分の供給契約を更新。14年から10年以上供給することで合意した」とある。つまり1兆円増えたということではなかろう。
週末の14日オプションSQ値は17549.60円。これは今のところ幻のSQ値。14日(金)の日経平均株価は17490円。25日移動平均線からのかい離はプラス10.03%。ちなみに前回のプラスかい離10%越えは昨年5月22日でプラス10.06%。200日線からのかい離もプラス47%と驚異的な水準。
起こったことは「米QE3終焉の方向」に対する警戒感。本家本元のNYダウが150ドルしか下がらなかったのに日経平均は1143円安。相場のスピードについていけなくなったからだろうか。大幅な下落になった記憶が甦る。行き過ぎは相場の常とはいうものの、その行き過ぎスピードの調整に辛酸をなめさせられてきたのも相場。たまたまGDPの想定外の悪化という事柄を端緒としたとも言えなくはない。寄り前発表の7〜9月GDPが年率換算マイナス1.6%になったことを嫌気した格好で日経平均株価は517円安の16973円と1週間ぶりに17000円割れ。東レ、関東電化が上昇、福田組、ネクソンが下落。

18日(火):
業界紙では「GDPショック」の見出し。年率換算プラス2%程度の市場予測が年率換算1.6%で着地。「在庫調整の進展が影響、実態は悪くない」。「1〜9月の平均ではプラス」と言ってみたところで、結果は確定値までは変わらないもの。ビックリしたのは、市場だけではこのありえない。この感覚と予兆があったからこそ、永田町には急速に消費増税延期風と解散風が吹いてきたのだろう。
日経平均株価は370円高の17344円と大幅反発。ファンコミ、大幸薬品が上昇、富士通ゼ、日立国際が下落。

19日(水):増税延期に衆議院解散。事前に観測されていたからさほどサプライズという訳ではない。大和のレポートが日経でも話題になった。
その相場シナリオ。
(1)自民党が300議席以上を獲得すると来年3月の日経平均は21310円、TOPIX1700。
(2)現状程度の280〜299議席の場合。日経平均:12月末109090円、3月19600円、15年末21370円TOPIX:12月末1530P、3月1570P、15年末1710P。消費増税実施、解散ナシの場合は年末日経平均17430円、3月177810円。
そして来年末19480円。選挙如何によるのだが2万円は見えてきたのだろうか。
因みにT&Dの「アベノミクスの資産効果」という調査。2012年末〜13年6月までの株式の資産効果は6570億円。この間、家計の株式評価額は30兆円増加しそのうち2.2%が消費に回った。今年6月末から直近までの株価上昇にこの2.2%を当てはめると2460億円の資産効果。ただ円安が15%進むと物価が0.6%上昇。そうすると6月以降実質所得は0.6%なくなり消費の減少額は7200億円。微妙な勘定ではある。日経平均は一時17472円まであったが55円安の17288円と反落。ただTOPIXは1396ポイント。JPX400は12750ポイント。
それぞれ年初来高値を更新した。NY同様にマチマチの指数展開だが、どうも日経平均離れが起きているような印象。値嵩株に左右されやすい日経平均よりも、GPIFが投資の指標とするJPX400選好。来週から先物が始まるし、その方が良いのかも知れない。日経平均株価は55円安の17288円と反落。沖電線。芦森工が上昇、タカタ、三井海洋が下落。

20日(木):
日経「スクランブル」では「JT倍率」なるものが紹介されている。JPX400とTOPIXの比率で「JT」。ROE重視の銘柄採用のJPXがいよいよ主役になってくるのだろうか。
「私の履歴書」のコマツ坂根相談役。印象深い一文。「増産投資が必要になると、他の工場は投資して雇用も増やした。が、『リストラしない工場』のチャヌガでは踏ん切りがつかない。『規模を大きくして次の不況が着たら対応できない』という心配が先に立つのだ。結局10年たってみると他の工場が大きく伸びたのに対し、チャヌガは取り残された。この状況は日本経済とも一部重なり合う。『社員を大切にする』。この精神は日本企業が将来ともに守るべき大切なこと。あまりに流動性が低いと会社も個人も身動きが取れなくなり成長機会を取り逃がす」。 結局は積極的な投資姿勢の「アニマルスピリット」の方が、守りの「家族的経営」に勝った。草食動物から肉食獣への変身は難しいが、そう言っている間に20年は経過したのが現実。
江戸時代的安定感ではなく戦国時代的変貌感が望まれているのだろう。平時などなく常に乱世であると考えた方が良さそうである。
日経平均株価は12円高の17300円と小幅反発。東証1部の売買代金は2兆2439億円。16日連続で2兆円を上回った。日経平均の上昇幅はたった12円とショボかったが、それでも活況度合いの目安は超えている。サクサ、ぐるなびが上昇、アイネット、ネオスが下落。

21日(金):
貿易赤字は35%減少した。28ヶ月連続の赤字ではあるが赤字幅は7099億円と1年前と比べて35%減少。輸出は自動車の好調などで1割増加、輸入は原油安の影響で3%程度の伸び。円安での海外需要拡大は間違いなく追い風であろう。円安効果で輸出は持ち直してきた。10月の輸出数量指数は前月比2.2%上昇して92.7。2ヶ月連続で前月を上回り2012年6月以来の水準となった。そして日経1面トップの見出しは「利益の大半、株主配分」。
配当や自社株買いでの配分額は約10兆円。結構大きな数字である。ROE重視のために資本の水脹れを防ぐという、海の向こうからのご希望に沿った形ではある。しかし、市場にとって悪いことではない。
前場がマイナス展開だったこともあり日銀のETF買い期待から日経平均株価の大引けはプラス展開。56円高の17357円と続伸し1週間ぶりの高値水準となった。カシオ、ソフトバンクが上昇、サクサ、サカイオーベが下落。

(2) 欧米動向
ニューヨークでは11月のフィラデルフィア地区連銀業況指数は40.8。
前月の20.7から急上昇し、1993年12月以来、約21年ぶりの高水準。
市場予想は18.3だったから2倍以上となった格好。
従業員数指数は22.4で前月の12.1から上昇。
2011年5月以来の高水準。
新規受注指数も17.3から35.7に上昇。
1988年10月以来の高水準。
設備投資6カ月予測は23.0(前月は18.9)。
全米リアルター協会(NAR)が発表した10月の中古住宅販売戸数。
前月比1.5%増の年率526万戸と、昨年9月以来の高水準。
市場予想の516万戸も大きく上回った。
前年比では2.5%増加。
昨年10月以来、初めて前年比でプラスになっており住宅市場の回復が読み取れる
ただ製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は低下。
54.7と前月の55.9から低下して1月以来の低水準。
予想は56.4だった。
ただし雇用指数は55.1と、前月の54.9から上昇している。
興味深いのはHSBCの中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値。
50.0で前月改定値の50.4から低下した。
事前予想は50.3だったし生産指数は49.5で6カ月ぶりに50を割り込んだ。
それでも今は相手にもされない指標。
年前半に騒いだのが嘘のよう姿となったし、所詮経済指標にも流行り廃りがあるという証左。
結論はゴールドマンサックスのS&P株価予想。
2015年末時点のS&P500株価予想を2100とした。
EPSは5%増。
現在の予想PERは17倍台。
過去40年の水準を15%上回っているに過ぎない。
これ以上には伸びないというのだろうか。

TOPIXのPERが17倍になったから割高という声も聞こえる。
しかしS&PのPERも16倍台まできている。
NYではS&PのPERが16倍になると上昇率が鈍くなると言われる。
1968年以降の平均PERは14.8倍であるから確かにPERはそれより高い。
ただ・・・。
過去5年のパターンでは時間をかけて企業業績の改善を待ちPERの低下から上昇の反復。
そもそも07年の住宅バブル時は20.3倍。
2000年のITバブル時は26.2倍。
熱狂はPERの数値なんて忘れさせてくれるものではある。

明るいのはアメリカ。
主要株価指数ではNASDAQだけがまだ過去最高値5048ポイントを更新していない。
しかし昨日の終値は4700ポイント台。
2000年に過去最高値をつけたときの値動きを思い出してみると・・・。
2月29日4696ポイント。
3月1日4784ポイント。
3月2日4754ポイント。
3月3日4914ポイント。
3月4日4904ポイント。
3月6日4904ポイント。
3月7日4847ポイント。
3月8日4897ポイント。
3月9日5046ポイント。
3月10日4048ポイント。
わずか8日の射程に入ってきたというのが現実。
こちらも見てみたい気がする。

(3)アジア・新興国動向
前週末に中国は2年4カ月ぶりの利下げ。貸出金利は0.4%下げて5.6%、預金金利は0.25%下げて2.75%となった。景気下支え傾向として注目されようか。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
24日(月) 振替休日で休場、米シカゴ連銀活動指数、独IFO景況感
25日(火)企業向けサービス指数、JPX400の先物取引開始、米GRP確定値、ケースシラー住宅指数
26日(水)米耐久財受注、新築住宅販売件数
27日(木)米国休場(感謝祭)
29日(金)失業率、鉱工業生産、米国休場(株・為替は半日取引)、ブラックフライデー

26日の米耐久財受注。
コレを材料に株価が下げたときもあったが、今回は無視だろうか。
感謝祭、そしてブラックフライデー。
ブラックフライデーから年末までは株高というのが日米ともにアノマリー。

参考にしたいのは、衆議院解散総選挙の株高アノマリー。
1970年以降の衆議院解散総選挙は13回。
解散発表から投票前日までの日経平均株価は12勝1敗。
過去3回の選挙では平均上昇率8%と悪くない数字です。
そして、日経平均株価採用銘柄のEPS(1株当たり利益)は1060円台。
前期末の1030円台からは2.9%程度の増加。
もしも上期のように10%増益が通期まで続くのならば、
EPSは1130円台があってもいい筈。
PER16倍で18000円。
PER17倍で19200円。
昨日、黄昏してきたとはいえ前安倍内閣の時の高値2007年7月の8261円が
夢物語になった訳ではないでしょう。
驚きを求めるのが相場。
そしてその驚きに酔い痴れたいのも相場。
もっとも松井証券の信用評価損益率速報を見ると・・・。
売り方マイナス10.782%、買い方マイナス8.082%。
週末が売り方マイナス12.443%、買い方マイナス6.692%。
さすがに昨日の500円超の下落はこの拮抗を招いた格好。
逆転することなく、再度かい離が広がることに期待したいところ。
あちらもこちらも「かい離」が問題。
ということは、バランスのとれた動きこそ相場長生きの秘訣なのかもしれません。
あと2週間で師走。
師走株高6年連続アノマリーも待ち遠しいところですが・・・。

1970年以降の衆議院解散総選挙と株価の関係は12勝1敗。
解散日〜投票前日までの株価で一番上昇したのは09年7月。
麻生内閣解散→民主党政権誕生の時で上昇率9.1%。
市場が解散を歓迎し民主党政権に期待した数字である。
しかし株価は低迷し最低の3年を過ごす羽目になったなんて反省は市場にはない。
そして既に過去のものとして忘れているに違いない。
次に上昇したのは前回2012年9月の野田政権→安倍政権の時で7.9%の上昇。
05年8月の小泉郵政解散選挙が7.8%。
72年11月13日の田中内閣の時が7.1%だった。
一方で唯一マイナスだったのが03年10つきの小泉内閣の解散。
マイナス1.3%だった。
その捲土重来が05年だったとも言える。
いずれにしても、このまま行けば2017年までのアベノミクス継続。
市場の信認は難しくはなかろう。
というか、消費増税の延期がデフォルメされたが結論は2017年消費増税決定。
甘いモードが錯覚を惹起するが結局消費税はあがるので財務省も悪くはない。
見事なレトリックである。
気になるのは増税支援で金融緩和を行った日銀黒田氏。
日銀の逆襲があるのかどうか。
時間をかけた巧妙な動きを注視してみたいところ。

その黒田追加緩和の翌週の11月第1週の投資主体別投資動向。
外国人は現物を7691億円、先物で1兆4752億円の買い越し。
合計で2兆2443億円の買い越し。
逆に10月17日までの下落局面での先物売り越し額は8684億円だった。
これを明らかに上回る買いだった。
そして合計の2兆2263億円の買い越しは過去最高の筈。
前回13年4月の異例の金融緩和の時。
4月第1週は8854億円、第2週は1兆5285億円の買い越し。
これをはるかに凌駕していた。
今回も売り手は個人で現物9565億円の売り越し。
信託も現物771億円、先物3192億円の売り越し。
日経平均先物は3192億円の売り越し。
投信の売り越しは現物2066億円だったがこれは仕組み債の償還の解約関連との解釈。
結局海の向こうを気にはしているが、売り手は国内という構図は変わらない。
ヘッジファンド動向などは邪推されるが海外投資家の方が相場に忠実なようである。

需給を見れば「株、個人の売り越し膨らむ」。
11月前半の個人の株式売り越し額は1兆6435億円。
株式投信は11月19日までで1兆7406億円の資金流出。
91年3月の1兆3183億円を既上回った。
(国内株式型6448億円、海外債券型2850億円、REIT2158億円)。
バブル崩壊直後よりも今の方がウリが多いという構図。
先週だけをみれば個人は6523億円の売り越し。
買い越しは海外投資家の4684億円、事業法人の2268億円、証券自己の3707億円。
上がれば売るのは伝統的姿勢が上がったから買うに転じるのはいつになるのだろうか
因みに・・・。
信託銀行は10月に国債を1兆286億円の売り越し。
市場ではGDIFの売り観測。
こちらも海外投資家は1兆8536億円買い越しており国内勢売り、海外勢買いの構図。
いつかどこかで最後のジョーカーを国内勢が掴むのでなければ良いが・・・。
JPX400の先物が日経平均先物のような誕生を迎えては欲しくないところ。
空売り比率は一昨日26.5%、昨日は29.8%。
こいつが30%以下であれば相場も下へは暴れない筈。