兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2015年03月3週
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【推移】
16日(月):
15年ぶりの19000円台。その見出しは「変わる企業、市場期待」。元旦の見出しは「あなたが変わる」だったが変わるのはやはり市場だった。
2000年4月14日と金曜の比較。
為替105.85円→121.33円。長期金利1.79%→0.41%。
PER128.5倍→18.3倍。配当利回り0.6%→1.6%。
面白かったのは土曜日経の表現。「3月中にいったん2万円台に乗せる」。「決算発表で2015年3月期の好調な実績と16年3月の期の一段の業績拡大を確認するまでは19000円台で推移する」などの市場関係者のコメント。これに対して「先行きについては強弱感が分かれる」。しかし分かれているようには聞こえず、どちらも強気に聞こえてならない。そして「19000円台は出発点」との指摘。
日経平均株価は8円安の19246円と小幅反落。アイロム・ぐるなびが上昇。洋ゴム・マーベラスが下落。

17日(火):
先月から一部で報じられた「3月16日ブラックマンデー説」を横目に大幅高のNY株とCME日経225先物。
冬の名残の冷気を取り払って、春の気配の暖かさは、相場と気候の体感温度が珍しく一致したような気になる。なかなか上場来高値を抜けなかったトヨタがようやく更新した。
東証アローズはカメラクルーもなく静謐そのもの。
計算してみると、
日経平均株価は19437円。PERは17.26倍。ということは、1株当たり利益は1126円。前期末が1030円だったから9.3%の増益見通しということ。日経平均採用銘柄は2ケタ増益の手前まできた。それも住友商事の2000億円規模のシェール等の特損を織り込んでの数字。決して悪くはないし、おそらく5月の着地ではさらに全体増益は拡大しよう。勝手に日本株が上がっている訳ではなく、それなりの理由はある。残念なのは、依然としてTVクルーが少ないこと。
日経平均が1万円を割れたときは20〜30台だった。2万円を15年ぶりに越える時には何台のTVクルーが登場するのだろうか。数台だとしたら、やはり寂しい。ただ、2万円を越えてくると、また八重洲の証券会社の店頭での風景が増えるのだろう。
日経1面では「日立・三菱重がROE目標」の記事。10%超を目標にする方向がでてきた。これを好感した格好で日経平均株価は190円高の19437円と反発。丸三証券・デジアーツが上昇、江守・ファンコミが下落。

18日(水):
「乗らねばならぬチキンレース」との指摘。そして「期末までは売れない」との声。2万円まであと500円程度。歴史を振り返れば2000年4月14日と17日の日経平均のマド。先物で20350円→19550円。
日経平均採用銘柄の入れ替えと600ドル超のNYダウ下落が背景だった。このマドを埋めてくると、指数はさらに歴史を遡ることになろうか。
因みに年初から先週末メジャーSQまでの上昇率は日経平均で10.33%。
TOPIXで」10.86%、JPX日経400で11.23%。
JPXがベストで、「ROE重視の姿勢」との指摘もある。
日銀のETF買いも下支えで奏功していることになる。そのETFの買い入れ対象は13銘柄。クロスなどからの推定では225系が192億円で全体の54%。TOPIX系が148億円で全体の42%。JPX系が11億円で全体の4%だから少し辻褄は合わない。個別では、1305が34.8億円、1306が72.8億円、1308が32.5億円、1320が41.5億円、1321が86.9億円、1329が4.7億円、1330が40.6億円、1346が17.8億円、1348が7.7億円、1591が6.6億円、1592が1.1億円、1593が2.6億円、1599が1.5億円。
興味深いのレバレッジETFの空売り。福岡の個人投資家さんが日経レバ(1570)の空売り。大阪のお米屋さんがTPX2倍(1568)を空売り。踏むのか乗せるのか興味深いところではある。
日経平均株価は107円高の19544円と続伸。個別ではDeNA、任天堂が上昇、江守・アイスタイルが下落。

19日(木):
前日の日経平均は19500円台。18000円→19000円が1ヶ月。そこから3日で500円の上昇。もっとも幅は同じだが日経平均1万円の時と比べれば率は半分。
市場では「任天堂・DENA祭り」との声。シアトルマリナーズのスポンサーの任天堂。横浜ベイスターズのスポンサーのDeNA。野球を介して見ていると「海」が取り持つ縁だったのかも知れない。
訪日外国人は前年比58%増の138万人。中国からの訪問は前年比2.6倍の35万人。桜の季節も夏の観光も秋の紅葉にもきっと彼らはやってくるのだろう。2000万人時代はもうすぐそこといった印象。
おまけに地価は商業地では7年ぶりの下げ止まり。全用途ではマイナス0.3%、5年連続でマイナス幅縮小。1月1日時点だからひょっとすると現段階ではマイナスではないかも知れない。
そしてOECDは2015年の日本の成長率を前年比1%増と上方修正。前回からは0.2%引上げた。2016年は1.4%増の見通し。今年の米国は3.1%増と据え置き、ユーロ圏は0.3%引上げて1.4%増。決して悪くはない。
日経平均株価は67円安の19476円と反落。白銅・リソー教育が上昇、日写、アルプス技が下落。

20日(金):
日経商品面では「中古マンション一段高」の見出し。2月の東京都の中古マンション平均価格は70u換算で前月比1.3%上昇。価格では4004万円だった。個人・外国人の購入に加えリノベーーション事業の拡大が背景にあるとの指摘。登場したのは中古マンション最大手のインテリックス(8940)の山本社長。「利便性を重視して、中心部で探す傾向が強い」。そして「物件は取り合い状態」。あちらこちら蠢いてきた印象。日経平均株価は83円高の19560円と反発。
日経ジャスダック平均は4日ぶり、マザーズ指数は5日ぶりに反発。メルコ・アスクルが上昇、東京個別・任天堂が下落。

(2) 欧米動向

何も日本株だけが突出している訳ではない。
ドイツDAXは今週過去最高値を更新。
そしてロンドンFTSE100種は昨日過去最高値を更新。
NYダウもSP500も既に過去最高値であとはNASDAQ待ち。
そう考えると、高値の半分以下の日本株はまだまだ道半ばだろう。
因みに・・・。
日本の来期売上高は2.6%の伸びでEPSは14.5%増加。
PERは14.8倍。
アメリカは売上高が1%の伸びでEPSは5.2%の増加。
PERは17倍。
ドイツは売上高が4,7%の伸びでEPSは9.6%の増加。
PERは14.9倍。
中国は売上高が3.7%の伸びでEPSが6.9%の増加。
PERは9.7倍。
世界平均で売上高は1.7%の伸びでEPSは6.2%の増加。
PERは15.7倍。
直近の日経平均のEPSは1126円。
これが14.5%増加するのだから1126×1.145=1289円。
PERが世界平均の15.7倍なら1289円×15.7=20237円。
少し優しすぎる計算だがこれは今期の上方修正を織り込んでいない数字。
もしも今期15%増益ならば・・・。
1030×1.15×1.145×15.7=21293円。

FOMCは「執行猶予」で通過の印象。
金融政策の正常化に関し「忍耐強く(patient)」いられるとした文言を削除。
約10年ぶりとなる利上げに道を開いた格好。
しかし成長率やインフレ率、政策金利見通しを軒並み引き下げ。
景気の先行きに関してはより慎重な姿勢となった。
2015年末のFF金利見通しの中央値は12月の1.125%→0.625%。
これにより利上げ時期予想は年央から秋に後ずれしたとの解釈。
理解不能なのがイエレン議長のコメント。
「フォワードガイダンス変更は、
FOMCが利上げ開始時期を決定したことを示していると解釈されるべきではない」。
そして「文言変更はとりわけ6月に必ずしも利上げを開始することを意味しない。
だがその可能性は排除できない」。
玉虫色で言質を取られないようなコメント。
ただ市場関係者は都合よく「年内利上げなし」の可能性とも受け止めている。
瑣末に囚われると大局が見えなくなるのが市場でもある。


(3)アジア・新興国動向
先週の週刊騰落率上昇1位はアルゼンチン、2位トルコ、3位上海。
一方で下落率上位はギリシャ、ベトナム、インド。
上海の強さが目だっている。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

23日(月)シカゴ連銀活動指数、中古住宅販売件数
24日(火)米新築住宅販売、中国HSBC製造業PMI
25日(水)企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、独IFO景況感
26日(木)統一地方選挙告示、H−2Aロケット打ち上げ
27日(金)失業率、消費者物価、米10〜12月GDP確報値

3月期末権利配当付き最終が26日。
落ちが27日。
2000年4月14日、日経平均30銘柄入れ替え前水準は20434円。
コレを取り戻せば日経平均という指数の呪縛という長い頚木から解放される様な気がする。

蚕が桑の葉を食べつくす音。
株式市場がニュースを貪り尽くす格好はそんなものだろうか。
ただ蚕が食べた桑は栄養になって最後は絹になるが、株式市場で食べ尽くされるニュースはどちらかというと忘却の彼方に置き去りにされがち。
そうは言っても時間の経過とともに次から次へと現れるニュースを食べて育つのも株式市場。
ひょっとすると・・・。
株式市場では忘れることが次の栄養価を得るための手段なのかも知れない。
何も言われなくなったギリシャ、報道が少なくなったウクライナ。
中国景気が減速しようと見向きもしない投資心理。
あれだけ大騒ぎしたことって一体何だったのだろういうほど悪材料は悪材料視されなくなった。
いずれどこかの時点で日経平均株価が2万円に乗せてきたとしたら、感覚的には「卒業式の日の午後の教室」みたいな感じ。
あるいは「入学式の午前中」みたいな緊張感を伴った期待感。
空気の緩んできた春の季節にふさわしい相場展開になってきた。

大発会終値(年足陽線基準)は17408円。
1月16日安値は16592円。
2月3日節分底は17335円。
「思えば遠くへ来たもんだ」という感。
むしろ「東風吹かばにほひをこせよ梅花主なしとて春な忘るな」。
飛梅伝説のようなスピードとなったきたのかも知れない。
ただし・・・。
さだまさしの「飛梅」は「上り詰めたら下がるしかない」。
そうじゃなくて「時間と言う樹の想い出という落ち葉を拾い集めるのに夢中」。
この方が似合いそうな相場だろうか。
「兜町は春、いずれにしても春」。
 

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