兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2015年05月5週
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【推移】
25日(月):
土曜日経の1面トップは「時価総額バブル越え」。東証1部の時価総額591円は25年ぶりの水準となった(除く政府保有株)。昭和バブルが590兆円で外国人の売買シェア8%、持ち株比率4%。平均PERは62倍(単独ベース)でGDPは414兆円だった。連結ではなく単独決算だったことなど忘却の彼方のこと。しかも約3割あった持ち合い株も約1割で減った。海外投資家の制度設計の言いなりになってきた結果である。
ITバブルは時価総額446兆円で外国人の売買シェア43%、持ち株比率19%。平均PERは115倍でGDPは474兆円だった。現在は外国人の売買シェア68%、持ち株比率31%でGDPは527兆円。外国人が日本株を吸い上げてきた間に個人がずーと売ってきた構図。この肩代わりがあるとすれば、株価の崩壊というパラドックスになるのだろうか。そうは考えたくないところ。
日曜日経1面では「夏のボーナス1.7%増」。サブは「リーマン前の水準」。平均値の取り方で可変的な数字が所得なのだが、悪くはない。
そして月曜日経1面では「ROE10%超、3社に1社」。東証1部1714社のうり549社=32%のROEが10%超。米国の平均13%、欧州の平均9%に匹敵してきたという解釈。もちろん利益が増加しているからROEが上昇していることは否定しない。しかし自社株買いや増配で自己資本も減り始めている。刹那的経営手法や時価会計が本当に優れているのかどうかは検証されていない。それでもルールは欧米式に移行してきた。この功罪の結果は吉と出なければ意味がない筈。略奪されただけのグローバルではないことを望みたいもの。フェアは無理にしてもせめてフリーだけは守りたいところ。いわゆる金融ビッグバンを輸入した橋本さんは、今どんな気持ちで市場を見ているのだろうか。
日経平均株価は149円高の20413円と7日続伸。マツキヨ、パナソニックが上昇。三陽商会、タカタが下落。

26日(火):
日経平均は底値の8000円台からは約2.5倍。日経平均の2000年4月14日の終値20434円にあとわずか。政府保有株を入れた東証1部の時価総額は昨日段階で601兆3759億円。JPX日経400は15006円と15000円台。こうなってくると次に見たいのはやはりTOPIXの1700ポイント、そして1800ポイント。07年2月26日が1816ポイントだったからまだまだゴールは遥か彼方。達成感どころではなく、「夢の途中」でもなく「現実の一里塚」。挑戦するターゲットは明確。日経朝刊で気になったのが「企業の節税策、報告義務」の見出し。税理士に対し、企業に提供している節税策の報告を2017年度にも義務づける方向。
税収減や企業間の不公平を和らげることが目的という。仕組んだのはOECDだから世界的動きに同調した格好。「1年で億大単位の損失を意図的に作り出すような節税策」が対象という。住みにくい世界と住みやすい世界。清と濁のどちらに魚は棲むのだろうか。
日経平均株価は23円高の20437円と8日続伸。宝印刷、アイロムが上昇。FPG、極東貿易が下落。

27日(水):
日経平均株価は20437.48円。2000年4月14日の20434円を終値ベースで抜いた。
実は2000年4月15日(土)に日経平均の30銘柄入れ替えが発表。あの日以来日経平均株価は値がさハイテク指数に変身し、凋落の一途だった。それもそのはずで新規採用30銘柄と残存195銘柄の時価総額がほぼ一緒。除外された30銘柄は大半がオールドエコノミーの低位株。新規30銘柄は値がさハイテク株。除数も10.18から一気に倍の20.34まで上がっていた。新規採用30銘柄は買われたが、除外30銘柄は4月17日(月)から売られた。同時に残存195銘柄も半分は売られたことになる。だからこその株価下落。この構図を発表者は知っていたのか意図していたのかは不明。しかし誤った決断であったことは歴史が証明してくれている。だからこそ単に20434円とはいえ当時の数字を回復してくれたことはパラダイムシフトでもある。
日経平均株価は35円高の20472円と9日続伸。空売り比率も28.6%まで低下した。東芝機械、宮越HDが上昇。ボルテージ、ハニーズが下落。

28日(木):
市場の論調というのは面白い。水曜の前場はNY安もありマイナスだったが後場はかろうじてプラスで9連騰。市場のコメントは「連騰記録はつなげたが、前場はマイナス圏での推移が長く、値下がり銘柄も多かった。程よくガス抜きができ、過熱感が幾分か和らいだ印象。10連騰へ視界は良好だ」。ダービーの予想のようなコメントは市場心理の好転を表現している。
マイナスを「ガス抜き」ととらえられるゆとりができたということだろう。ここまで来るのに長い時間が必要だった。長い時間といえば、ストボの渡辺記者が調べた連騰記録の歴史。9連騰は昨年8月以来だから大した時間差ではないが10連騰となると話は違う。
例えば1986年8月7日から20日の10連騰。8月20日の日経平均は、1万8936円は当時の新高値その後87年10月のブラックマンデーを経て89年12月の38915円まで駆け上がった。買われた中心は東電、東ガス、IHI、川鉄(JFE)など。「ウォーターフロント」をテーマにした低位大型株人気だった。市場のコメントは「誰が買ったかというと、若手ファンドマネジャー。金融機関の株式運用が活発になった時期で、債券のディーリングに似た感覚での超大型株の短期回転商い」。そのうち為替や債券感覚での株商いが復活してくるのかも知れない。ちなみに1981年8月21日の売買高ランキング。トップが新日鉄の3億6514万株、2位川鉄の商いも3億株超、以下、鋼管、石川島、住金、重工、東芝。ここまでは1億株超。そして郵船、三電機、日立だった。全体の商いは23億株だったから今から考えると大したことはない。
日経平均株価は78円高の20551円と10日続伸。アインファーマ、メガチップスが上昇。日東工器、イオンモールが下落。

29日(金):
昨日までは10連騰。考えてみれば88年2月の13連騰も10連騰の延長線上だから27年ぶりという表現になる。月足陽線。最近は月初が弱く月末にかけて上昇する動き。例えば5月のSQ値は19270円だったがわずか3週間で1400円近く上昇。裾野から高嶺を征服したような感じは昨年10月17日からの動きみたいな印象。あるいは前場が弱く後場に反発する動き。先憂後楽チックな展開は来月も続くのだろうか。
政府保有株を含めた時価総額は605兆円。木曜の売買代金は3兆2639億円。5月平均でも2兆7000億円。静かではあるものエネルギーは拡大基調。5月第3週の外国人の日本株買い越し額は4375億円。年初からは役2兆円の買い越し額となった。一方で個人は5月第3週に現物信用合わせて5957億円の売り越し。クジラの遊泳が騒がれる
一方で信託銀行は635億円の売り越し。国内売り海外買いの奇妙な構図にいい加減に気がつかないものだろうか。
「1円の円安ドル高は上場企業全体で2〜3000億円の経常増益要因」なんて皮相的なものではなかろう。「下げる局面を待っていては出遅れると見て買わざるを得なくなったきた」なんて危険なコメントもある。「持たないリスク」なんて言葉に踊る必要はなかあろうが、MRFばかりが増えるのも異常ではある。何となくデジャブ感があるのは「東京のマンションは香港の半額で割安」の記事。海外から見た割安感で海外投資家の資金流入観測。そもそも香港は土地が狭いのでもともと不動産は割高なのだが、そんなことお構いなしみたいな格好。気になるのは先導株比率(売買高上位10銘柄占有率)の上昇。木曜日は45.1%。5月18日の43,6%を抜いて今年最高。というか2013年5月21日の49.2%以来の水準となった。
みずほの売買高が6億2087万株だから危険ゾーンに入ってきたのかも知れない。以下東電2億9831万株、三菱UFJ1億5922万株、双日701万株、鉄5239万株、東芝4934万株、昭和電工4862万株、野村4212万株、シャープ3440万株、新生銀3363万株が上位10傑。東証1部の売買高が31億株のうちみずほと東電で9億株で三菱UFJを足せば10億株超。結局みずほ相場だっただけのことだがオールドエコノミーの復活感もある。そもそも先導株比率は15%以下はピンボケ相場、30%超は明確相場とされるが過熱感もある水準。2013年5月49.2%、2010年7月58.2%。05年10月51.8%、03年2月51.3%、97年11月61.7%。以下は20世紀が概ね9%程度、21世紀は15日経平均の25日線からのかい離はプラス3.1%。12日間のサイコロは11勝1敗で91.7%。あと2日続騰なら100%になる。因みにサイコロに加えRSIは87.5%、RCIは97.9、ストキャスは70%超、ボリュームレシオが92.8%で買われすぎゾーン。一方でDMIが51.8%でプラスDIがマイナスDIを上抜け上昇トレンド入り。MACDが226.6%で買いシグナル発生。安部内閣はもはや中曽根氏の高値22795円は通過点で88年の竹下内閣高値33667円まで欲張るのかも知れない。失業率は3.3%、有効求人倍率1.17倍。家計調査は前期のマイナス10.6→マイナス1.3%。鉱工業生産指数は1%。数字も悪くない。
日経平均株価は11円高の20563円と11日続伸。東証1部の売買代金は3兆6631億円と拡大。ヤフー、オリコが上昇。テレ朝、パーク24が下落。

(2) 欧米動向

NYの3連休前のイエレンFRB議長のコメント。
「年内のある時点で利上げの最初の段階に進むのが適切」。
本音では利上げは早い方が良い。
それは米経済の復活の狼煙だし、リーマンショックの最終終了宣言だからである。
しかし市場は素直にとらえず、利上げ株安論になるのだろうか。
2013年のQE3終焉宣言で半年を無駄にしたことを忘れてはいないだろう。
国内ではガソリンや生鮮食料品など生活実感としての物価高が感じられ始めた。

(3)アジア・新興国動向

上海株式市場の売買が急増しているとの報。1〜4月の売買代金がニューヨーク市場を上回って世界最大となった。
主役は個人投資家。ここが世界と違うところになっている。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・

29日(金)消費者物価、失業率、鉱工業生産、米1〜3月GDP改定値、シカゴ購買部協会景気指数
1日(月)法人企業統計、新車販売台数、コーポレートガバナンスコード適用、ISM製造業PMI、米個人所得、中国製造業PMI
2日(火) マネタリーベース、アキノフィリピン大統領来日、米新車販売台数、製造業受注
3日(水)米ADP雇用レポート、ISM非製造業PMI、ベージュブック、貿易収支、ECB理事会
4日(木)黒田日銀総裁が国際コンファランスで挨拶、ブラジル休場
5日(金)景気動向指数、米雇用統計、ユーロ圏GDP改定値、OPEC総会

6月水無月。
過去25年は14勝11敗で3位。
3日(水)満月、ECB理事会
12日(金)メジャーSQ、ポイントの日
13日(土)水星順行開始
14日(日)海王星逆行開始
16日(火)新月、FOMC
17日(水)ECB理事会
18日(木)日銀金融政策決定会合、ラマダン入り
19日(金)NYメジャーSQ、ポイントの日
22日(月)ポイントの日
25日(木)月内最終受け渡し日

日経の連載小説が6月1日から新しくなる。
2004年11月1日〜2006年1月31日の相場の時は渡辺淳一氏の「愛の流刑地」。
久々のロングヒットだった。
06年2月1日〜07年8月5日は堺屋太一氏の「世界を創った男チンギス・ハン」。
相場は良かったが記憶は薄い。
07年8月6日〜08年9月29日は北方謙三氏の「望郷の道」。
まさにリーマンショックの始まりの時期だった。
08年9月30日〜09年10月31日は高樹のぶ子氏の「甘苦上海」。
久々のヒットだったが相場は悪かった。
09年11月1日〜11年1月21日は辻原登氏の「韃靼の馬」。
これも記憶が薄い。
11年1月22日〜2012年5月13日は安部龍太郎氏の「等伯」。
長い連載だったが今考えてみれば安部氏は安部総理の前触れだったのだろうか。
12年5月14日〜13年4月17日が浅田次郎氏の「黒書院の六兵衛」。
なんとなく尻切れトンボのような終わり方だったような気がする。
そして13年4月18日〜14年7月9日が諸田玲子氏の「波止場浪漫」。
次郎長がいたような、いなかったような記憶
今回の九間十義氏の「禁断のスカルペル」は短命だった。
新たに登場するのは宮部みゆき氏。
題名は「迷いの旅籠」。
中身は怪異譚だという。
久々のヒットになってほしいものだが渡辺淳一氏以外は相場とヒットがリンクしてはいない。
主軸は「広い世間には様々な怪異がある」。
GDPをはるかに凌駕して時価総額が増大することも怪異なのかも知れない。

記録を手繰り始めると途絶えるが市場の常だがめくってみると・・・。
最長は1960年12月21日→61年1月11日の14連騰。
次は1988年2月10日→2月27日の13連騰。
そして1986年3月1日→3月15日の12連騰。
1953年1月5日→1月19日の12連騰。
1952年6月24日→7月7日の12連騰。
1979年11月22日→12月5日11連騰。
1960年11月1日→11月14日11連騰。
10連騰は結構多いが直近が1986年8月7日→8月20日となる。

ところで・・・。
市場から聞こえてくるのは「買わせてくれない」という怨嗟にも似た声。
押し目らしい押し目がないということだろう。
象徴的なのは日銀のETF買い。
今月は頑張って6回買っているが、なかなか当然出番はなかった。
日銀に買わせたくない動きはないのだろうが、微妙に買えていない。
買えない日が続けばマグマのように将来の買いが溜まってくるような気がする。
ちなみに昨年の今頃はかんぽの買いラッシュだった。
昨年5月22日にロイターが報じたのは「かんぽ生命日本株を3000〜3500億円買い増しへ」。
5月26日に複数の大手運用会社が信託銀行の新規口座を開設。
資金の出し手が「ゴッドハンド」と呼ばれていたことなど忘れてしまったが・・・。
 

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