兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2015年09月1週
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09月1週
【推移】

31日(月):
日経平均株価は週間で1.5%下落で3週続落。TOPIXは1.5%下落で3週続落。マザーズ指数は3.9%下落で6週続落。日経ジャスダック平均は2.9%下落で5週続落。東証2部は1.5%下落で5週続落。結局相場的には涼しい夏だったことになる。
逆説的アノマリーとして興味深いのは週刊誌の見出し。東洋経済は「世界同時株安、その先の悪夢」。ダイヤモンドは「世界株暴落の震源地、中国経済の先行きが15分でわかる」。エコノミストが一番おどろおどろしく「中国ショック、株・原油暴落」。マスコミや書店が暴落論一色の時は株を買い向かうのが、セオリーでもあろうか。
鉱工業工業生産指数速報は前月比0.6%低下。2カ月ぶりの低下で事前予想の前月比0.1%上昇を下回った。生産予測指数は8月が前月比2.8%上昇、9月が1.7%の低下。生産の基調判断は「一進一退で推移」として据え置き。出荷は前月比0.3%低下、在庫は同0.8低下。軽自動車や建設機械を中心に在庫水準が上昇して積み上がり気味というのが背景。これを材料にした格好での反落というところだろう。
日経平均株価は245円安の18890円と反落。富士通、銭高組、明治が上昇、トヨタ、ソニー、みずほが下落。

1日(火):
日経1面では「課税逃れ、特許移転にも網」の見出し。グローバル企業の過度な節税策を防ぐため、タックスヘイブンに特許などを移転して税負担を軽くしている企業への課税を強化する方向の全容が固まったという報道。「欧米企業を中心とした悪質な税逃れへの批判の高まり」が背景という。日本企業でもアジア企業でもなく欧米企業の行動というところが何とも興味深いところ。多くの資産がタックスヘイブンにあるということは、世界の富の量は計り知れないとうことなのだろう。これが時として目覚めたり眠ったりして市場をかく乱していることも偶にはありそう。
もう一つ日経で面白かったのは「卵価格Lサイズ上昇」の記事。株価は下落基調だが、このところ使いやすいMサイズより大きいLサイズが高い相場が続いているという。Lサイズがキロ250円で前月比16%上昇。Mサイズがキロ235円で同12%上昇。「暑さで鶏が疲れ餌を食べる量が減ったので大きな卵を生みづらくなった」というコメント。通常はMがLを上回ることはないのに逆転現象が起きた構図。鳥がばてて大きな卵を産まなくなったので価格は上昇。価格というのはいろいろな決まり方をするもの。鶏卵価格のチャートを眺めてみると年初から夏場にかけて下がるものの年末にかけて上昇基調というのが通常。今年は年始にだれて夏にやや下落して最近は反騰基調。株よりも一足早く上がってくれるアノマリーがあるとすれば、悪くない傾向。
大幅続落で値上がり47銘柄。値下がり1837銘柄。悪材料はアメリカだ中国だという解釈の東京市場。確かに中国の製造業PMIは49.7と50を割り込んだ。しかし上海総合指数は1%程度の下落。中国のせいにするのはどうも釈然としない。最悪のシナリオは、外部材料でなく、日本固有の悪材料がある可能性。しかし、獅子身中の虫がいるとは考えにくいところ。手口だけを単純に見ればアムロでさえ買い越し。最大の売り手は225、TOPIX先物ともに野村。日経レバで暴れた人がいたということなのだろう。問題は暴れた原因が良く見えないこと。機械も人間も「下がるから売る、上がるから買い戻す」の繰り返しに過ぎないのかも知れない。
日経平均株価は724円安の18165円と大幅続落。日経平均採用銘柄で上昇したのは明電舎、パイオニアだけ。宮地エンジ、日本金属が上昇。東ソー、ファンコミが下落。

2日(水):
単なるパッシブ運用のETFもレバレッジ系が出てきてから侮れない存在。今年前半の東証の全ETFの1日あたり売買代金は1000〜4000億円程度。それが先週25日の下げの時には9976億円に達し東証1部売買代金の2割相当まで増加した。ただし日経平均連動型ETFに今年1兆1952億円が流入。日経レバを含むデリバティブ型が2004億円だったからその6倍。長期スタンスの機関投資家も利用していることが浮き彫りになる。因みに今年3月時点の世界のETFの純資産は約310兆円。その8割がアメリカで日本はわずか4%。今年1月時点での外国人のETF保有比率は約10%に過ぎない。レバ型の信用取引で短期売買の個人と長期保有の機関投資家という構図になる。1976年に世界で一番最初にインデックス投信を個人向けに販売したのはバンガードグループ。その創業者ジョン・ボーグル氏の名を取って「ボーグルの愚行」と言われたこともあるという。「市場平均以上に儲かることはない」というのがその理由。しかしアクティブ投信の運用を上回ってきたというのが残念ながらその歴史。いまや妖怪のような存在まで増大した印象。またあちこちで異常値が出始めた。異常値も長く続くと恒常値になってしまうが、まだ2度目。
日経平均の25日移動平均は19915円で8.78%のマイナスかい離。(8月25日はマイナス12.24%)。75日線は20222円で10.17%のマイナスかい離。(8月25日は12.26%のマイナスかい離)。200日線は19059円で4.69%のマイナスかい離。(8月25日はマイナス6.35%)。NTレシオは12.28(今年の最低は5月8日の12.20)。騰落レシオは86.38%。サイコロは4勝8敗で33.3%。
松井証券信用評価損益率速報では売り方買い方再度逆転。売り方マイナス9.260%(前日マイナス13.701%)。買い方マイナス14.003%(前日マイナス10.778%)。
裁定買い残は2兆5910億円だがもっと減っているのだろう。空売り比率は41.0%で8月27日の過去最大記録39.8%を更新した。日経VIは39.16と上昇。8月25日ザラバ安値は17747円、26日ザラバ安値は17714円。異常値からはまた中途半端な反発なら出来そうな気もする。
後場寄り直後。日経平均株価は上昇幅を拡大し18400円台。結論は、そこが高値で引けに駆けて結局はマイナス展開。肌で感じる相場のリズムは「このまま引けてしまった方が良い」と訴えていた。確たる理由はないものの相場は心理。上に動けば加速の動きと足を引っ張る動きがうごめきだす。下に動けば同様に加速の動きと引き戻す動きが現れる。このせめぎあいのリズムのハザマで動くもの。しかし12時36分に引ける訳にはいかず、余計な脅威感からのマイナス。売りは売りを呼ぶし、買いは買いを呼ぶ。しかしその逆ベクトルも稼働し始める。どちらのパワーが強いのかの見極めが必要なのだろう。「相場はタイミングこそすべて」という声と「相場は銘柄選択こそすべて」の声。どちらも正しく思えるからややこしい。「CMEが安いから今日は安い」というような十年一日のような相場見通しではもう通用しない。「行き過ぎもまた相場なり」は言い得て妙な格言。「相場の故郷かえり」は上でも下でも活用できる筈。大気がきれいになった北京は70周年記念式典。やんちゃ坊主のお休みで市場は静謐を取り戻すのか。あるいは邪魔者のいない間に水準切り上げを確保するのか。その先にはレーバーデイのお休みが待っている。
日経平均株価は70円安の18095円と3日続落。エーザイ、阪急阪神が上昇。大王紙、ワタベが下落。

3日(木):
日経1面では「日中韓首脳会談来月末にも」の見出し。3年半ぶりの日韓会談も同時開催の予定。地政学的には好感だろう。日経平均採用銘柄のPERは14.40倍。10年国債利回りは0.395%まで上昇(価格は低下)。騰落レシオは81.84%。25日線からのかい離はマイナス7.7%。サイコロは3勝9敗で25%。松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス8.945%。(前日マイナス9.260%)。買い方はマイナス14.611%。(前日マイナス14,003%)。
Quick調査の信用評価損率(8月28日現在)はマイナス10.92%と5週ぶりの改善。裁定買い残は3128億円減少し2兆2782億円。ところで3月月中平均は19197円。次のメルクマールは9月月中平均。因みに9月の過去10年は6勝4敗。リーマンショックの08年はマイナス13%だった。しかし昨年はプラス4.67%、一昨年はプラス8.54%、2012年はプラス0.57%。8月末は18890円。
9月陽線基準値は18165円。スタート台が低いのは助かるが、月中平均が3月を上回るためにはさらに上が必要。「クジラは18000円割れを買う」では追いつかない。
日経平均株価は86円高の18182円と4日ぶりの反発。一時386円高まで戻し場面もあった。クボタ、ドコモが上昇。三菱UFJ、丸井などが下落。

4日(金):
日経レバの純資産の推移に目が行く。8月31日6658億円。9月1日6129億円。529億円の減少だが減少率は7.7%で株の下落率とほぼ一緒。これまでの過去最高は7月14日の5323億円だったからそれでも6000億円台。529億円減れば先物売りはその2倍の1000億円。結構な株価変動要因ではある。
9月10日が日本郵政の上場承認予定日。ゆうちょとかんぽと日本郵政の3社で売り出しは約1兆5000億円との観測。市場でささやかれているのはゆうちょIPO成功への道。メガバンクの株価ができるだけ高いことが望まれるが、まだそうなっていない。しかも連結PBRは1倍割れの状態。みずほのBPSは322.86円、三菱UFJが1092.75円。そして三井住友が6598.87円。1週間で取り戻すのは難しいだろう。とはいえっても時価総額10兆円の銘柄の上場を失敗には終わらせたくないところ。そもそも市場観測を同じニュースソースで行う人ばかりだから相場観が同じになってくる。特に海外要因で持ち出されるのは同じ数字や事柄ばかり。他にはないのかとか、自分で考えたらどう?なんて感じもある。たぶん必要なのは金太郎飴的な一緒感ではなく、自分の見方・考え方。これがあちこちに登場すれば市場は良くなるのだろう。朝、必要なのは昨日までの反復ではなく、起きていること。これがどうも昨日の話題と過去の話題に終始することが多い。まさに過去に饒舌、未来に寡黙の代表みたいなもの。
日経平均株価は390円安の17792円と反落。今年2月以来約7カ月ぶりの水準となった。
日経平均株価の週間下落幅は1344円と08年10月第2週以来の大きさ。菱鉛筆、セイコーが上昇。日金属、JCRファーマが下落。

(2) 欧米動向
夏の終わりの恒例行事はジャクソンホール。
米ワイオミング州でのカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム。
フィッシャーFRB副議長は講演で9月利上げの言質を与えずとの報道。
中国経済の情勢などを見極める姿勢に徹したという。
週末の雇用統計も踏まえて利上げを最終判断するという。
そしてシンポジウムでは「中国発の市場の動揺が世界経済に与える打撃は限定的」。
市場の乱高下が収まれば利上げの環境が整うという解釈となっている。
まあ、大きなポジサプライズはなく通過ということなのだろう。

一方でトムソン・ロイターの調査。
米S&P500採用企業の2015年第2四半期決算は、前年同期比で1.4%の増益見通し。
利益がアナリスト予想を上回った企業は70%。長期平均の63%、過去4四半期の平均69%を上回った。
売上高がアナリスト予想を上回った企業の比率は48%。
逆に長期平均の60%、過去4四半期の平均56%をともに下回っている。
第3・四半期の1株利益について、悪化もしくは市場見通しを下回ると予測している企業は84社。
改善もしくは市場見通しを上回ると予測した企業は25社。
悪化を改善で割ったネガティブ/ポジティブレシオ(84/25社)は3.4。
500社の今後4四半期(15年第3四半期〜16年第2四半期)の予想株価収益率(PER)は16.1倍。
意外と悪くない。

今年のS&P500は上がらないと予測したGSが27日にTOPIXも上がらないとの予想。
3カ月先のTOPIXの目標水準は1475(従来は1650)。
6か月先は1550(同1680)、1年先は1759(同1850)に下方修正。
コメントは「新興国リスクを織り込むが中長期スタンスは強気」。
微妙な視点となっている。
日経「スクランブル」の指摘は「NYダウの今年の高値は5月、日経平均は6月。
5月に売れの相場格言は概ね当たった格好だ。
この格言の続きはセント・レジャー・デイ(9月第2土曜)まで戻るなというものだ」。
結局NYは「セルインメイ」だったのが残念。
日経平均のPERは昨日14.5倍、PBRは1.25倍。
単純平均利回りは1.58%。
そんなに売り込めるものでもないのだろうが・・・。

(3)アジア・新興国動向
G20は「通過の競争的切り下げ回避」で合意。人民元安にも影響があろうか。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
7日(月)景気動向指数、米休場(レーバーデイ)
8日(火)4〜6月期GDP改定値、景気ウォッチャー調査、中国貿易収支
9日(水)マネーストック、消費動向調査、米アップル新製品発表会、ダヴォス会議(大連)
10日(木)機械受注、企業物価指数、都心オフィス空室率、中国消費者物価、生産者物価、APEC財務省会合
11日(金)7〜9月法人企業景気予測調査、米生産者物価、財政収支、ミシガン大学消費者信頼感

3日新甫でスタートした8月。
4月上昇8月下落のアノマリーは残念ながら今年は外れなかった。
だったら7月上昇10月上昇のアノマリーも実現して欲しいもの。
そろそろ物見遊山の金融マフィアインバウンドのシーズン。
恒例の秋の株式セミナー季節。
世界中から集まるのだからスケールは大きい。
9月7日〜11日はみずほ証券の日本株セミナー。
今年で9回目だが、参加予定は620名で昨年の4割超増加。
「企業とのミーティングをもっと設けてほしい」というのが事前の声だという。
メリルも同じスケジュールで日本株セミナーを開催。
過去最高は2013年の500人強だったが今年の事前登録は500名程度という。
いずれにしても、海外から投資家がやってくる季節。

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