兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2015年11月3週
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11月3週
【推移】

16日(月):
この1か月間日経平均は続落がなかったが週末のNY安を受けての続落。今度も外の世界の出来事に世界でほぼ一番最初に遭遇することになった。洗礼的立場、戦場のカナリア的存在はいつものこと。株式市場は冷徹なところで、「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」という格言がある。パリ起きた痛ましいテロは遠くの事件である。もうひとつの格言は「事故は買い、事件は売り」。これは個別銘柄に該当する格言。「突発的な事故は、短期的に影響はあるかもしれないが回復するので突っ込みは買い。事件はその後の業績に悪影響がある、根本的な会社の問題なので売り」という解釈。
「ストに売りなし。災害に売りなし」。「不慮の災難は買い」。「突発事故は売るな」。「火事買い、地震売り」。取引所の近くで火事がおこると、相場が燃えるとして買い。地震は、直後は復興需要をはやして買われるものの、買い一巡後株式市場は調整色が強まるため売り。とはいえ、パリのテロ事件は確信犯の行ったもので確かに不慮だが確信的。そして背景にあるのは、目先的なものではなく、大きな文明の変化の端緒なのでもあろう。テロは撲滅すべきことであることは間違いない。

ただこのところ世界で起きているのは、歴史的過去の復活みたいな領土争いのような気がする。潮流の変化というか安定の変化というのだろうか。ペルシャ帝国、オスマントルコ帝国など過去の版図への復活を狙う動きは中国もロシアも例外ではない。日本は島国という僥倖でこの流れの外にいる格好。そして最終的にはパックスアメリカの影が薄くなりパックスブリタニカの復活感。中東から欧州へ向かう人の群れは欧州から世界の地政学を変えようとしているように思える。だから、その抵抗としての原油安があるとも考えられる。静かでおとなしく暮らしていた中東に石油が登場してからせいぜい100年程度。そのくらいの時間軸は容易の乗り越えられるに違いない。市場はそれらの鏡であると考えれば、この最前線の動きには敏感にならざるを得ない。トルコのアンタヤで開催中のG20では「テロ対策で連携する共同声明発表」の方向。
「2001年9月11日の米同時テロでは、翌日の日経平均株価は前日比682円下落した」との回顧。まだゾンビが出てくるのだろうか。因みに9.11テロの株価下落からNYダウが直前の水準まで戻したのが11月9で40日後。日経平均は17日で戻したという。「テロに屈しないというアピールがあった株式市場」という声も聞こえる。あまり指摘はされないが、金曜の下落でも日足は陽線で金曜まで7日連続日足陽線。4月に6日連続日足陽線があったがこの1年7日連続はなかった。4〜6月GDPが年率換算、マイナス8%と2四半期連続マイナスとなったこともあり日経平均株価は203円安の19393円と続落。下げは下げだが8日連続陽線で07年6月以来の八陽連。。そして11月19389円→11月6日の19265円へのマド埋めは完了した。
因みに25日線は18807円、75日線は18953円でその差は146円。75日線は1日12円低下、25日線は1日50円上昇。あと3日くらいでクロスしてくれそうな気配。そして8日連続陽線に期待の週。個別では東燃ゼネ、エスケイが上昇、マツダ、HISが下落。

17日(火):
このところ日経朝刊の最終面に「新聞広告のチカラ十選」というコラムが連載されている。初回は100年前のGMのキャデラックの広告は「リーダーの代償」。人類の営みにおいて頂点にいつ人は絶えず、注目の光の中で生きなければなりません」。押しつけがましいが、お金持ちの心をくすぐるコピーだった。2回目はスラムダンクの15段全面広告、3回目はサントリーのトリスウイスキー、4回目はI・ミラー社のハイヒールのイラスト。そして火曜はレンタカーのエイビス。キャチコピーは「エイビスはレンタカー業界の2位にすぎません。それなのにお使いいただきたい理由は?私たちは一生懸命やります」。結果的にエイビスはNYでの売り上げを1が月後に51%増やし、3年で3.5倍にしたという。考えていれば、アレコレ言葉を並べるよりも一言が効くというのはよくあること。何十万言よりも「テロと戦う」というG20の言葉は市場に気合を入れてくれた。
経済の未来を挽回しようとした中国は「肩すかし」。麻生財務大臣に「夢みたいなことを言っていた」と揶揄されたそうですが、市場もテロには屈しないという姿勢が昨日の欧米株式の上昇の背景の一つでもあったのだろう。
高杉晋作の「艱難ヲトモニスベク、富貴ヲトモニスベカラズ」。これは株式市場にもふさわしい一言。困苦の時は目標を持って市場も一体化できるが、株価が上昇し利益が出てくると目標は一つでなくなるのが株式市場かも知れない。1週前の火曜日の日経平均の終値は19671円。木曜日の高値が19725円。あれこれ事態が動いている結局この水準ということ。
千万言の相場解釈が聞かれるが、まとえてしまえば「まだところ変えず」。釈迦の手の上で弄ばれた孫悟空みたいな展開。そうは言っても前日まで八陽連。騒ぎ出すとその指標は崩れるという皮肉が相場のアノマリーなのかも知れない。
日経で気になったのは二つの材料。一つは「三井住友信託と個人向け商品、あおぞら銀が取り扱い」の見出し。何かと思えば共同開発したという公募信託という日経平均リンクの仕組み債。「預金よりもリスクが高いが、高めの利回りを狙いたい顧客向けに売り出す」という。そんな高い利回りかと言えば運用期間3年で年1.5%の利回り。トヨタの種類株の最終利回り1.5%を意識したのだろうか。信託の仕組みを使うことで資産保全の安全性や商品内容の透明性を高めるという。日経平均の終値が設定時の60%を下回れば元本割れ。一方60%を下回らなければ元本が確保される。日経平均がほぼ12000円を下回らなければ元本が確保され1.5%の金利がある。フツーに考えると少なくともダウンリスクを取っている。
しかし株価上昇時のアップサイドメリットは全くない。だからこそ1.5%の金利が確保できるのである。公募信託という言葉にはなっているが、推測では早い話は225先物のプットの売り。その売りによるオプション料が金利の原資とアレンジャーの利益になる。リスクが取れないからアップサイドが取れないという向きは確かに多い。
可能性は低いながらも日経平均が4割下がれば元本も4割棄損する筈。だとしたらローリスクではないような気がする。あれこれ形を変えても16年前に始めた日経平均リンク債とは似たようなものだろう。最近でこそ金融工学なんて言葉はあまり聞かれなくなった。しかしオプションを使うと悪魔のささやきも天使の微笑みに思えるような気がする。
もうひとつの記事は「ダイフクCB繰り上げ償還」。物流システムを取り扱うダイフクは2017年満期のCB(転換社債)を繰り上げ償還する。このCBが2013年に1口500万円で150億円発行された(残存は149億円)。投資家はこの債券を株式に転換すれば1株1400円換算で受け取れる。ダイフクの株価は1900円水準だからアップサイドの利益を享受できることになる。因みに転換社債は債券だから償還時には元本で戻ってくる。つまり発行会社が倒産さえしなければダウンサイドリスクは少ない。利回りはさほど期待できないが、ローリスクでハイリターンを望める商品である。
その昔、CBファンドと言う投信は年20%以上の強烈なパフォーマンスを実現したことがある。個別のCBでは三菱重工やKDDの新発が一気に2倍になったこともあった。どうして転換社債は増えないのかは結構疑問なところ。日経の株価欄で毎日価格は掲載されている(転換社債・新株予約権付き社債)。上場は21銘柄。値付きは昨日で6銘柄とショボイ扱い。しかし現在でも仕組み債や個別株よりもよほどいい仕組みだと思える。
日経平均は236円高の19630円と3日ぶりに反発しプラス展開だったものの始値の19641円を抜けず陰線。07年2月以来の9陽連は達成できなかった。もしも終値で19700円台をキープできたなら8月20日以来2か月ぶり。8月20〜21日の20033円→19737円のマド埋めにも一歩前進だった。JFE、富士重が上昇。第一生命、アジアパイルが下落。

18日(水):
1週間前の水曜の終値は19691円。パリのテロを受けて月曜に瞬間19252円まで下げたが、一時的な下げ。カナリアのように先駆けて下げたものの陽線だったことが奏功。そして元の黙阿弥で2万円挑戦と言う構図に見える。25日線と75日線は予定通りゴールデンクロス。200日線は順調に右肩上がりを続け19320円。2万円、あるいはクリスマスラリーへのチャレンジ体制は整ってきた。日経では「株、大口の先物買い続く」の見出し。先週から話題になっていたモルガンスタンレーの225先物買いのことである。
市場関係者のコメントは「商品投資顧問などの可能性」や「年末株高に向けての期待買い」。「雇用統計の中身が良ければドル高・円安が進み日本株は高値を付ける」。
「夏場の急落場面で先物を売った海外勢の買い戻し」。モルガンスタンレーの先週1週間の動きは225先物を11300枚、TOPIX先物を18200枚買い越しで確かに金額は約5000億円。「欧州株を売って日本株買いで資金シフト。日本株ロング(買い)の裏側で商品バスケットにショート(売り)のポジションの可能性」という指摘も聞かれる。
10月中旬以降、日本株とCRB商品指数は逆の動きとなっているのも事実である。下がったら買う日銀の動きは今回も見られた。13日と16日の日経平均続落で日銀は2日連続のETF買い。年初からの買い入れ額は2兆663億円で残りの枠は3337億円。あと9回しか買えないことになる。残りの営業日数は29日だから株価が2勝1敗ペースでいけばギリギリつじつまはあう。

因みにこの日銀のETFの基準は変化している。年始→8月は前引けでTOPIXが前日比マイナス0.2%以上下落だった。玉が尽きかけたからが9月以降は同マイナス0.5%以上の下落。10月は同1%以上の下落での買いだった。しかし玉に余裕が出来たかどうかは不明ながら11月はまた同マイナス0.5%に戻った。しかも1回の買い入れ金額も50億円増加している。このまま株価が上昇すれば株価下落の際にさらに大盤振る舞いになるのだろうか。そういえばJPX日経400をベンチマークとする投信はこの1年で3.8倍の1兆1861億円に拡大。今年の資金流入額は7098億円で昨年の1.7倍となった。野村のJPX400連動ETFの残高は2544億円。ニッセイのデリバタイプは2828億円。
亀の歩みのように徐々に225を凌いでくるのだろう。証券業界に棲息する人の多くはマーケット面に登場する。しかし時として社会面に登場することがある。AIJ事件などは記憶に新しいところ。囁かれてはいたものの今朝は「仕手集団元代表ら逮捕」の見出し。古くは誠備、あるいは風の会、泰山、般若の会などで名をはせた「K氏」が逮捕された。宮地鉄工、不二家、岡本理研、丸善、西華産業、ラサ工、日立精機など「マルキ」銘柄として名をはせた。本物がホンマルキ、偽物がハナマルキという言い方は結構有名だったこともある。その後は本州紙、兼松日産農林等が記憶に残る。そして新日本化学。SECの幹部が「最後の大物仕手筋」と評したという。
かつて「兜町の風雲児」なんて呼ばれたこともあったが、今は兜町に「風雲児」などいない。前場の日経平均は一時19800円台回復だったが終値は18円高の10649円で続伸ながら高値からは200円程度マイナス幅を縮小した。いつもなら悠長に過ごしている水曜の後場の長閑さが破られた格好。一応前日比プラスではあったが上昇幅を200円縮小した体感温度は200円安みたいなもの。19700円台キープ且つ19737円を抜いたマド埋め姿勢への期待感が削がれた。理由はエールフランス機2便に対する匿名の爆破警告。パリに向かっていた2機は目的地を急きょ変更し緊急着陸したとの報。もしも本物だったら大変だが、愉快犯としたら市場騒がせな愉快犯としか言えない。「エールフランス2機緊急着陸」の報道の後追いが何もないのがむしろ不可解だったが、結局何もないということは無事ということ。騒いで転んだ東京市場の稚拙さが目立ったというところだろうか。
そもそも為替が動きていないのに、株だけが上昇幅を縮めたところが情けない気がする個別では地所、アコムが上昇。鉄、清水建が下落。マザーズ指数は803.77と終値ベースで2週間ぶりに800ポイントを回復。
日経平均が前日比0.09%、TOPIXが0.03%上昇、東証2部がマイナス0.34%に対しJASDAQが0.1%高、マザーズ指数が1.84%上昇。全般がこう着相場なら、個別で攻める新興株といったムード。

19日(木):
愚かしいのは東京市場だけではなかった。前日のNY株式市場は大幅高。外電などで見られた株価上昇の解釈は「午後に入り公表された10月のFOMC)議事要旨が12月利上げの可能性を裏付ける内容となったことを受け、主要株価3指数はそろって1%超上昇した」。「12月利上げを裏付ける内容を好感」したというのである。本来は米利上げ=米景気良好=米株高の図式だから間違ってはいない。
しかし昨年から繰り返された「QE3終焉株安説」も「米利上げ株安懸念説」も飛んだ。というか、この解釈をした市場関係者の脳みそは180度反転したのだろか。あれだけ「利上げによる株安懸念」を投じてきたのが、「利上げ好感」。だから為替市場に劣らず株式市場はいい加減なものに映る。これで前日のNY株が下落だったら「利上げ懸念台頭」とでも言ったのだろうか。刹那的解釈には「所詮そんなもの」と鷹揚に構えるのが一番良い。時間と必要に迫られたコメントにろくなものはないし、むしろ素人の直観と違和感の方が正しい。そもそもNY市場に日本人のプロの市場関係者が何人いるのだろうか。場合によってはただNYにいるだけで解釈を提供しているようなコメントも散見される。
NY市場至上主義はおそらく誤解と錯覚の楼の上に成り立っているのかも知れない。というよりもやはりフランス警察によるテロリスト強襲の方が時間的にも株高の背景として大きいのではなかろうか。痛ましい事件だったが、東西諸国が集っての空爆体制も地政学の変化を醸し出してくれた。加えて、西側特にアメリカにとって悩ましかったのはロシアの存在だった。これがフランステロ事件によって共通の敵を持ったから、共同体制を取らざるを得ない。
二つ以上の相手に対峙するのは大変な作業だが、これで構図は明確になってきた。米VIX(恐怖)指数は16.88。3か月後の変動指数VXVは19.17といずれも低下。11月SQ値は19496.87円。その後は〇●〇〇で3勝1敗と勝ち越してきた。日経平均の25日移動平均線は18961円で3.63%のプラスかい離。75日線は18922円で3.84%のプラスかい離。水曜にゴールデンクロスした。200日線は19341円で1.59%のプラスかい離。騰落レシオは117.92%。サイコロは9勝3敗で75.0%。松井証券信用評価損益率速報は売り方マイナス9.487%。買い方マイナス7.896%。
Quick調査の信用評価損率(11月13日現在)はマイナス9.86%と改善。裁定買い残は3397億円増加し3兆313億円と7週連続での増加。空売り比率は34.6%。9月29日のレコード43.4%からはだいぶ低下した。
日経VIは22.78%、日経平均株価のPERは15.58倍。EPSは1261円(前期基準は1150円だから9.6%の増益換算となる)。日経平均が上がれば上がるほど年内追加金融緩和の可能性は低くなる。それは当然の見通しだろう。カードは温存することで次のポイントでの期待につながる。とすれば、黒田マジックもさらなるサプライズにつながる。しかし金融緩和がこれ以上必要なのかどうかは定かではない。結果は現状維持。期待する向きの水準感が理解できない。そして政府観光局が発表した10月の訪日客数。前年同月比44%増の182万人単月で最高の7月(191万人)に次ぐ水準だった。中国が前年同月比2倍となる44.5万人でトップ。韓国や台湾など他のアジア各国の伸びも目立った。1〜10月の訪日客数は1631万人と年間で最高だった昨年の1341万人をすでに上回っている。このままいけばほぼ2000万人は今年達成。この国の魅力に気がつかないのはこの国だけなのかもしれない。大体このところいつもシカゴの225先物は東京になかったような値で終わっている。
それを受けて始まる東京はココに届かず忸怩たる思い。外が強気で内が弱気の構図。カーニバルと花見の差どころではない。「高みの見物」という言葉はあるが、「低みの見物」では仕方なかろう。兜町は洞ヶ峠ではない筈。
日経平均株価は210円高の19859円と3日続伸。一時19959円まで上昇する場面もあった。抜けてほしかったマド埋めスタートの19737円は抜けた。次は20033円でのマド埋め。これはPERタッタ16倍で可能になる。ホンダ、コーセーが上昇。住友不、JAL下落。TOPIXはザラバ、終値ベースとも8月20日以来3ヶ月ぶりに1600ポイントを回復。

20日(金):
今週の市場はテロ問題で揺れた。確かに9.11の翌日の2001年9月22日のNYダウは9.68%下落した。しかしその後株価は戻していた。「テロに屈せず」というのが市場の論理でもあるということだろう。04年3月11日のスペインマドリードでの列車テロ。190人が亡くなられた。1か月後にロンドンFT100はマイナス0.6%だったがNYダウは0.8%上昇。日経平均は6.1%上昇していた。05年7月7日のロンドン爆破テロ。50人が亡くなられた。1か月後にロンドンFT100は2.2%、NYダウは2.6%、日経平均は1.5%上昇。株式市場から見るとテロは局地的事柄と見た方が良いのだろう。
それにしても早朝のメトロで警備員さんが増えたように感じるのは駅の工事のせいだけではないような気がする。11月第2週の海外投資家は日本株を3003億円の買い越し。買い越しは4週連続となった。売り越しは個人で3594億円。株価上昇で個人売り外国人買いの構図は依然として継続している。
日経マーケット面では「個人売りを止める秘策」として「上場株式の相続税評価の見直し」の提言が紹介されている。不動産の相続評価並みに時価の70%へ程度への評価引き下げの可能性があるとすれば確かに大きい。仮に相続対象の不動産の1割が株式にシフトすると約50兆円の買い需要になるという。あまり痛みのない税制改革で市場振興ができるのならば実現してほしいところだ。
木曜までの3日続伸で日経平均株価は460円上昇していたこともあり売り先行の展開となったが大引けは20円高の19879円と4日続伸。グリコ、マツキヨが上昇。郵船、ティーガイアが下落。

(2) 欧米動向
バンカメメリルの月次調査の結果。
11月に保有資産に占める債券や現金の比率が低下し、株式比率は上昇した。
現金の比率は5.1%から4.9%に低下し、5カ月ぶりの水準。
債券の比率も18%ポイント低下。
株式では公益や通信などディフェンシブ銘柄の保有を減らす動きが目立った。
一方で株式への資産配分は全体で約18%ポイント上昇。
不動産、テクノロジー株の需要が強かった。
FRBによる12月利上げ予想は回答者全体の81%。
前回10月調査の47%から大幅に上昇。
主要リスクは、中国経済の景気後退がトップで約38%。
新興国の債務危機が23%。
もっとも中国が今後3年に6.1〜7%の成長を遂げるだろうという回答は52%。
前月の倍の水準になったというおまけが付いている。

オランド仏大統領は24日にオバマ大統領、26日にプーチン大統領と会談。
空爆強化の方向での連携を求めるという。
フランスとロシアは既にシリアにある過激派組織「IS」の拠点を空爆。
EUはフランスの要請に応じ、EU条約に基づく集団的自衛権の行使を初めて決定した。
地上戦は想定されてはいないようだが、空爆回数は増加している。
穿ってみれば、ITバブル不動産バブルのあとにはまた軍事バブルになるのだろうか。
表立っては言えないし、確証もまったくないがどうもこういう連想になる。
そもそも・・・。
G20では資金の移動を締め付けると言っているが、ISの資金背景って何なのだろうか。

デンマークの投資銀行サクソバンクのスティーン・ヤコブセン最高運用責任者のロイターでのコメント。
「アベノミクスは失敗に終わったと思う。
新三本の矢は、もはや矢ではない。
構造改革はどこに行ったのか。
中央銀行が低金利政策をこれ以上継続しても効果がないことは政策担当者や学識者も認めるところだ。
むしろ財政政策に対する負の影響が上回っているのが現状。
だからこそ日銀も追加金融緩和に踏み切っていない。
日本の公的債務の対GDP比はすでに高く、日銀も政府も、本来すべき減税ができず板挟み状態。
日銀のバランスシートは今も拡大しているが、拡大のペース自体は鈍化した。
その傾向は今後さらに強まるとみている。
ドル円相場の上昇に伴い資産価格は上昇してきたが、それも最終局面に差しかかっている。
一時的に130円まで上昇する可能性はあるものの、1年後にはドルが下落し、
2年後にはさらに一段のドル安が進むとみている。
ドル下落は、私が2016年に起きると考える変化だ。
ドル安になれば、コモディティ価格は安定し、新興国市場の投資意欲は高まり、
ひいては日米欧の輸出セクターへの追い風となり、世界経済の成長に寄与するだろう。
もし私の予想が外れて来年ドル高が進むなら、世界経済は減速してデフレに直面し、
新興国市場はさらなる危機に瀕するだろう。
日本に必要なのは円高だと確信している。
日本は今年を振り返り、低金利、エネルギー安、円安の1年の末に景気後退に陥ったという現実を見つめるべきだ。
円安は資産価格を人為的に上昇させはする。
それは長期的かつ継続的な企業の収益力強化や生産性向上に基づくものではなく、
日本経済の問題の解決策とはならない。
通貨安政策を取ることは、いわば他国に負担を負わせて時間稼ぎをしているにすぎない。
日本は本当にすべきことを見失った結果、国内企業の設備投資は落ち込み、日本の競争力を大いに弱めた。
円安の恩恵を受けるのは主に輸出企業だが、同セクターがGDPに占める割合は減少傾向にある。
一方で、輸入価格の上昇により多くの日本人の可処分所得は減っている。
日本にはモーニングコールが必要だ。
長い眠りから呼び覚まされなくてはならない。
それができるのは円高だと思う。
日本企業はかつて円高、今は円安を盾に使って十分な改革を進めず、
政府や取引先企業との近過ぎる関係を解消しないでいる。
しかし為替は言い訳にすぎない。
問題は円ではなく、イノベーションやガバナンス、収益構造の改革、
経済が政府の強過ぎる影響力から脱することができるかなのだ」。
アベノミクスへの評価については何とも言えないが、円に関してのコメントには肯きたいところ。

「効率的市場仮説」という考え方がある。
簡単にいえば「現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれており、
超過リターン(投資家が取るリスクに見合うリターンを超すリターン)を得ることはできず、
株価の予測は不可能である」という学説。
2013年のノーベル経済学賞はユージン・ファーマ氏とロバート・シラー氏に与えられたから結構有名な説だ。
ただファーマ氏は効率的市場仮説派だがシラー氏は反効率的市場仮説派。
全く反対のことを言っている2人の学者が、ノーベル賞を取れる唯一の分野とも揶揄された。
この説のミソは「特定の手法によって儲かるような機会が放置されることはなく、価格変動の予測が困難である以上、
たとえ専門的な知識や技術をもつファンドマネージャーが銘柄を独自選別するアクティブ運用型のファンドであっても、
市場平均に勝つのは難しい」。
だからこそ効率的市場仮説はインデックス投信やETFの拡大のバックボーンになったといえる。
あるいはインデックス投資隆盛のお墨付きでもあったことになる。
ひねくれて考えれば「市場はあらゆる情報を織り込んでいる」のであれば株価が右往左往することはなかろう。
もしも市場が本当に効率的であるならば、株価チャートは真上か真下を向いた直線でなければならないだろう。
あるいは・・・。
同じ銘柄・同じ指数に対して売りも買いも存在するということは、市場は効率的でないことの証拠なのではなかろうか
そういう罫線にお目にかからない以上、市場は完全に効率的ではないと言える。
不完全な効率的市場と言い換えた方が良いかも知れない。
ひねくれ説の二つ目も見つけた。
それは・・・。
効率的市場仮説が正しければ、全ての株価は適正で割高、割安と言ったものが存在しない。
ならばいくら分析をしても無意味となる。
しかし、効率的市場仮説を市場参加者みんなが信じたらどうなるのだろう。
市場参加者全員が株価の予測は意味がないと信じた結果、全員が財務諸表の分析や新しいニュースの影響等を考えるのは時間の無駄だと考える。
そんな分析が必要だったらとっくに市場がやっている筈だというのがその理由。
その結果、市場は新しい情報を織り込まなくなり効率的ではなくなってしまう?
効率的市場仮説は、みんなが効率的市場仮説を信じないときにより正しくる。
みんなが信じると、正しくなくなってしまうというパラドックス。
ノーベル経済学賞受賞の学説では儲からないという格言だけが正しそうな気がしてくる。
こんなジョークもある。
経済学者の第一定理:ある意見を持つ経済学者がいると、反対の意見を持っている経済学者が必ずいる。
経済学者の第二定理:二人とも間違っている。

(3)アジア・新興国動向
孤立し始めたのはISと中国という感じがする。
G20でもAPECでも中国の素っ頓狂とも言える方向性が目立ってきた印象。
もちろんTPPを秘密主義としてロシアと中国は共同歩調で異を唱えてはいる。
しかし、TPP体制が確立されてしまえば貿易面・資源面において孤高を保つことはできなかろう。
大きな流れが変化していくと見た方が良いような気がする。
個別突破という方法論でいけば対中国一辺倒の方策の方がやりやすい筈。
加えて、資本主義の商品の魅力を知ってしまった中国の多数の民衆にとっては、魅力に対する憧憬は募って来た筈。
これが連綿とした株高に昇華するというのは短絡的かも知れないが・・・。
この星のパワーバランスは少し従来と異なってきたような気がする。
8%成長のインド近づいた英国のしたたかさも目につくが・・・。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。

23日(月)勤労感謝の日で休場、米中古住宅販売、シカゴ連銀活動指数
24日(火)米7〜9月GDP改定値、ケースシラー住宅価格指数、独Ifo景況感、
25日(水)企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、新築住宅販売
26日(木)米感謝祭で休場
27日(金)失業率、家計調査、消費者物価、ブラックフライデー、英GDP改定値

99.8%が発表を終えた4〜9月期決算。
売上高は3.9%増、通期2.2%増。
経常利益は11.1%増、通期6.9%増。
純利益は15.0%増、通期13.4%増。
2ケタ増益で着地したというのが現実。

あちこち取材をしていると、様々な業界から見た現場の声が聞こえてくる。
それが投資の役に立つかどうかは別にして、向かっている方向がおぼろげに見えてくるような気がする。

例えば、先日発表されたヤフーとソニー不動産の「おうちダイレクト」。
マンションの所有者(売り主)と購入検討者(買い主)を結びつける個人向け不動産売買プラットフォームを展開することになった。
売り主は、不動産仲介会社を通さずに、自分のマンションを自分が決めた価格で売り出せる。
当初は東京都千代田区、中央区、港区、渋谷区、品川区、江東区のマンションが売り出しの対象で、随時拡大していくという。
売り主は物件を「Yahoo!不動産」に無料で掲載できる。
成約仲介手数料は売り主は無料で、買い主は「成約価格の3%+6万円」という。
「我々はディスラプターではない」とはヤフーのトップの言。
因みにディスラプターとは「関係のなさそうな業界から、突然死角をついて、横からシェアを 切り取っていく戦法」。
エドモンド・ハミルトンのスペースオペラ『スターキング』に登場する架空の兵器に由来する言葉。
存在する空間そのものを消去する究極の兵器とされている。
アメリカのSFテレビドラマ『スタートレック』にも登場している。
業界慣行の根深い体質もあり、不動産のネット取引はまだまだ小さな世界ではあろう。
しかし・・・。
多くの業界がこのインターネット化やIT化によって従来型の利益を放棄せざるを得なかったのも歴史。
例えば証券業界はインターネット証券の登場によって手数料の自由化=値下げ競争が起こり合従連衡が随所で行われた。
この流れが不動産業界にもいよいよ到来するであろうことは、想像に難くない。
「3%プラス6万円」という手数料は法定の上限。
別に手数料なしにしたところで問題はない。
あるいはアメリカでは売り手だけが手数料を払い買い手には手数料がない。
こういう形がいずれ構造改革の遅れた業界に入ってくるとすればそれはそれでビジネスチャンスであろう。
そのためのエスクローなども必要になってくる。

あるいは身近な問題では航空機のチケット。
以前は紙のチケットで裏側に磁気テープが貼付されていた。
コストにして1枚1500円程度。
ところが最近はQRコードになった。
手間も省けるようになった。
しかも、携帯電話ではなく紙で出す場合の印刷費や紙代はわずかなコストとはいえ顧客の負担。
このコスト増に文句をつける顧客はいないという素晴らしい現状になっている。
おかげで、どうかはわからないが、原油価格の下落やインバウンド効果もあってJALやANAは好業績。
技術革新による小さなコスト削減が役だっていないとは言えないだろう。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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