兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2016年11月1週
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11月1週
【推移】

31日(月):
週末のNYダウは続落。NASDAQは4日続落。ネガ材料はクリントン大統領候補のメール問題。2.9%成長で着地したGDPを受け上昇していた相場。FBIの調査再開のニュースが伝わり中の高値圏から一気に下落。「大統領選ではクリントン氏が当選するとの確信が広がっているが接戦となる可能性もある。
VIX指数が大きく上昇し、安全資産への資金逃避が 見られた」という指摘も聞かれる。もっとも好調なGDPは好材料。個人消費は減速したものの在庫の伸びや大豆の輸出加は堅調。10年債と30年債の利回りは一時5カ月ぶりの高水準となった。

「10月月足が陽線なら来年2月上昇」のアノマリーもある。「7月上昇なら12月上昇」のアノマリーもある。先の話になるが、2019年10月予定の消費増税。麻生財務大臣のコメント。「一般的に言えば、経済という生き物を扱う以上はいろいろな可能性を考えなければいけない。
再再延期の可能性を否定するものではない」。これは、結構あとから効いてこようか。山パンが「レーズンゴールド」など高級品の単価が伸びたという。その結果原材料安も相まって純利益が過去最高。OLCは東京ディズニーリゾートの値上げ効果で純利益6%増。結局デフレに慣れてしまって、モノの値段を上げられなかったからこその体たらく。そう考えれば、自信を持って値上げすることが国の成長にもつながる筈。値上げできる製品やサービスを提供できることこそ国家経済の礎。30年近くの時間を使ってようやくそこまで復活できたのかも知れない。

日経「経済指標」では過去最高の有効求人倍率や国際収支の黒字化が見える。目を海外の指標に転じると米GDPはプラス2.9%で2015年並みに戻った。独DAXの株価は1年前と同じくらいだが英FT100はブレグジットなど関係なく上昇基調。
これが数字を表現している現実である。気になるのはシカゴの生牛の価格の下落。これもTPPへの伏線であるような気がする。

日経平均株価は21円安の17425円と小幅反落。「日銀のETF買い入れ期待と米大統領選の結果との綱引き。金融政策は蚊帳の外」と言う声が聞かれる。東証1部の売買代金は2兆3000億円と2兆円台キープ。JR九州、郵船、M&Aキャピタル、ショーワ、メガチップス、EIZO、ウッドワンが上昇。任天堂、TIS、エスペック、ガイシ、日新電機、OKIが下落。

1日(火):
全体は軟調感が漂っている。TOPIX先物は10月14日から月曜までの12連騰。1年8ヵ月ぶりのことだ。日銀のETF買いへの思惑もあるのだろうが現物市場よりもこちらの記録更新の方が興味深い。記録としては2015年2月6日→3月3日の15連騰がある。日経平均採用銘柄のPERは14.84倍。EPSは1174円まで低下。

日経朝刊トップの「上場企業4年ぶり減益」の見出しが気にかかるが全体の48%は増益。日経平均は日銀会合結果発表後に持ち直してのプラス展開。というか「日銀やっていたんだっけ」みたいな声が市場からも聞こえていた。前日比17円高ながら前日(105円安)よりも日中値幅は133円(前日は105円)と拡大した。
もっとも指数と言うよりは個別決算に反応する面も大きい。何とかこらえてSQをという指摘もある。

日経平均のPERは15.05倍になったが理由はEPSの減少(前日1174円→1158円)。これでは素直に15倍を喜べない。10月4日に上抜けた200日移動平均(16591円)からのプラスかい離は前日5.13%。一休みの時間帯なのかも知れない。

アノマリー的には11月4日株高の特異日を控えての下落場面提供とすれば金曜の反発に期待したいところ。その先には11月7日株安の特異日が控えているのが気にかかる。
日経平均株価は17円高の17442円と反発。昼休みに1ドル104円90銭台まで円安トレンドとなったことを好感。大引け間際に買い物が入りプラスに転じた。

ファストリ1銘柄で日経平均を約16円押し上げたことから指数連動買いが指摘される。日銀金融政策決定会合は通過しただけで影響なし。東証1部の売買代金は2兆1094億円と2兆円台キープ。菱地所、東エレク、三菱電が上昇。ファナック、パナソニック、ソニー、国際帝石が下落。

2日(水):
NYダウは100ドル以上下落し4日続落。NASDAQは6日続落。S&P500は2120ポイントなどの節目を割り込み7月以来約4カ月ぶりの安値をつけた。「背景は1週間後の米大統領選をめぐる不安と利上げ観測」との解釈。クリントン候補の私用メール問題に対する捜査再開報道で同氏と共和党トランプ候補の支持率が拮抗。所詮あの程度のレベルの政治が世界の中心にあると言うのは現実を米国株式市場は反映したとも言えようか。

ISM製造業景気指数は生産や雇用の持ち直しが寄与し51.9。前月から0.4%ポイント上昇し市場予想の51.7も上回った。新規受注は55.1→52.1に低下。今後の製造業活動の回復が小幅な可能性を示したが雇用は3.2%ポイント上昇の52.9。2015年6月以来の高水準。いつもは気にする足元経済指標はほとんど見えないフリで騒ぐ材料に食いつく市場という印象。

気になるのはジャンク債の主要ETF2本が5日続落していること。過去7日で2%強の下落となっている。所詮1週間後には結果が出る大統領選挙。1か月後には結果が出る12月の利上げ。短期トレーディング用の筋肉を鍛えるにはいい機会かも知れない。慌て騒いで右往左往する必要はないように思える。

日経朝刊の見出しは「物価上昇、日銀頼み限界」。ようやく金融政策だけの物価上昇の不可能性に気がついたということ。当然「財政政策や構造改革」が求められている。一つだけ明るく思えるのは「来春の賃金交渉への期待感」。企業は多寡はあるとはいえ儲けている。その一方で低金利と低賃金で痛めつけられてきた個人。個人の資金が増えなければ消費も拡大しないし未来が不透明だと社会は閉塞する。一番のアキレス腱だった個人消費。たぶん誘い水は富裕層でしかあり得ないが、フツーの個人の消費拡大も重要なこと。

日経平均は300円超の大幅安。8月3日水曜以来の大幅安となった。16000円プットの商いが増加したという声も聞かれる。米大統領選挙の不透明感が指摘されるが、裏側では英国のポンドの動きもあろう。イングランド銀行は2017年のインフレ率を2.0%→2.7%に引き上げた。またEU離脱手続きについて議会の承認が必要との判断からポンドが対ドルで約1か月ぶりの水準まで上昇。ポンド高→ドル安→円高という三段ロケットで円高が進行。「敵の敵は味方」みたいな変な論理だが疑う向きも少ない。FOMCを通過し12月利上げなら素直には円安トレンドだろう。

日経平均株価は307円安の1万7134円と大幅に反落。下げ幅は8月3日以来約2カ月ぶりの大きさ。日経ボラティリティー・インデックスは22.59まで上昇。東証1部の売買代金は概算で2兆2079億円。日本ハム、味の素、ニチレイが上昇。KDDI、ソフトバンク、ファストリが下落。


4日(金):
NY市場は火曜水曜と続落。S&P500は2008年のリーマンショック以来の8日続落。NASDAQも8日続落。来週の大統領選挙を巡る不透明感が継続。3市場の売買高は火曜が80億株、水曜が74億株。ポジションを外しておこうと言う動きが拡大したと思われる。この間FOMCを通過。予想通りに追加利上げは見送られ12月利上げの可能性が濃厚となった。
週間新規失業保険申請件数は市場予想に反して前週比で増加し、ほぼ3カ月ぶりの高水準。雇用統計は非農業部門雇用者数が17.5万増加の予想。腕をつねれば歯の痛みが消えるように市場は大統領選挙という傷みで歯の痛みを忘れたような状態。「過去22回の大統領選のうち10回でS&P500は投票日前の5日間に上昇しているのが歴史。

1928年の大統領選までさかのぼると投票日前5日間で平均1.9%%上昇。今回は10月31日以降に1.8%%下落している」というのが違和感だろう。「確実性か不確実性かがすべてであり、これが唯一相場を動かしている」。こんな訳のわからない解釈ですらまともに聞こえてくる。大統領選という泥試合にまともにつき合っている相場。原油在庫の大幅な積み増しと減産への不透明感から原油先物は5日続落。

10月株価上昇の一番の要因となったのは裁定買い残。3375億円増加して1兆1468億円と4カ月ぶりに1兆円を越えた。逆に裁定売り残は3週連続減少で6647億円。ようやく正常な姿に戻った印象だ。「4日は株高の特異日」というアノマリーと「雇用統計の夜のスタジオジブリ」のアノマリーの交錯。
中間決算は39.7%が通過。今期純利益見通しがマイナス3.2%に低下したことは救いだろう。「トランプ騒動は市場が演出した滑稽な喜劇」。そう決め打ちできれば「待ち望んできた押し目の到来」と言えるに違いない。

日経平均株価は229円安の16905円と大幅続落。半月ぶりの17000円割れとなった。東証一部の売買代金は2兆3564億円。旭化成、アステラス、伊藤忠が上昇。トヨタ、マツダ、ユニチャーム、丸紅が下落。


(2) 欧米動向
市場では「タイムワーナーの呪い」という噂がささやかれているという。
同社のM&A案件が出ると、過熱相場が終わるというもの。
過去にネット大手のAOLと統合した直後にITバブル崩壊。
さらに遡るとタイムとワーナーの統合後の1991年に米国は景気後退に突入。
今も米社債市場がバブルになっているという指摘も多い。
米の景気拡大は7年目。
「二度あることは三度ある・・・」と言う声も聞かれる。

大和のレポートは「米大統領選挙後のマーケット」。
結論は「短期的にはアク抜けとなる可能性」。
中長期的には、民主党と共和党のどちらが勝利するかで来年に向けての米国株動向が分かれる可能性。
戦後の米大統領の任期と米国株価の推移を見ると、民主党政権の1年目の株価は上昇しやすい。
共和党政権の1年目は下落しやすい。
両党の伝統的な政策姿勢の差が、政権2年目頃の経済成長率に影響することで、
株価はそれを前倒しで反映したと考えられる。
伝統的に大きな政府を指向する民主党の政権下では、
積極的な財政政策等により政権2年目のGDP成長率が高まる傾向。
小さな政府を指向する共和党政権下では、自由放任主義政策により成長率は一旦悪化する傾向。
これを株価が先取りしているためと見られる。
この傾向を今回の選挙に当てはめれば、クリントン氏勝利なら米国株全体では当面堅調推移。
が期待できる一方で、トランプ氏勝利なら来年の軟化に注意が必要となるかもしれない。
ただし今回は、同時に行われる議会選挙の動向にも注目。
大統領と議会とのねじれ状態が解消しない場合、前記のような株価の傾向が弱まる可能性がある。
因みに・・・。
1945年以降の民主党政権。
GDP1年目2.4%、2年目5.1%、3年目3.8%、4年目3.3%。
NYダウ13.4%、2.7%、14.1%、9.2%。
1945年以降の共和党政権。
GDP1年目3.4%、2年目0.7%、3年目3.3%、4年目3.8%。
NYダウ▼1.2%、10.3%、17.4%、0.8%。


(3)アジア・新興国動向
中国の貿易収支での輸出入の拡大が順調に拡大しているかが世界経済の好不調を占う手掛かりという指摘がある。
9月貿易収支では輸出が前年同月比10%減、輸入は同1.9%減だった。
10月予想は輸出が同5.8%減、輸入が同1.5%減。
ただ先週の世界の市場で小幅とはいえ中国が値上がりトップだったのが印象的。
上位1位中国週刊騰落率0.68% 2位タイ▲0.58% 3位インドネシア▲0.88%
4位シンガポール▲0.98% 5位マレーシア▲1.32%。
会25位イタリア▲5.80% 24位トルコ▲5.19% 23位英国▲4.23%
17位日本▲3.10% 7位米国▲1.50%。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・

週末:米国が冬時間入り、名首相インド訪問
7日(月):毎月勤労統計調査、米消費者信用残高、ユーロ圏財務相会合、COP22
8日(火):景気動向指数、米大統領選挙、中国貿易収支
9日(水):景気ウォッチャー調査、国際収支、中国消費者・生産者物価
10日(木):機械受注、マネーストック、都心オフィス空室率、米財政収支
11日(金):オプションSQ、国内企業物価指数、第三次産業活動指数、米ベテランズデー、ミシガン大学景況感指数

大統領候補の過去の犯罪の可能性をアレコレ詮索する国の市場の常識。
これをグローバルスタンダードというのだろうか。
あの程度のレベルの国民が生み出す経済をフェアというのだろうか。
これはおそらく英国でもドイツでも中国でもイタリアでもギリシャでも感じること。
他人の芝生を羨んで生きてきたこの国にとって他人の芝生は本当にフカフカで快適なのだろうか。
ここに誤解と錯覚が潜んでいるような気がする。
だから一過性のイベントに驚き戦慄き騒ぐことの愚が生じるような気がする。

最近経済学者の間出の流行は「ニューノーマル」。
ビジネスや経済学の分野でリーマンショックや景気後退の後における金融上の状態を意味する表現。
かつては異常とされていたような事態がありふれた当然のものとなっていることを意味する。
危機の前後で生じた構造的な変化を経て「新たな常態・常識」が生じているという認識に立った表現。
もともとはITバブル崩壊後の2003年頃にアメリカの経済学者たちが言い始めたという。
中国では最近「新常態」というらしい。
言い換えれば・・・。
「リーマンショックから立ち直った後の国際経済は、以前の経済とは別物になっている」。
「世界経済は元通りにはならない」=ニューノーマル。
アングロサクソンモデルの資本主義からの脱却→金融経済から実体経済への回帰
→経済に対する政府の大きな関与→レバレッジの縮小→米国は国際経済での主導権を喪失。
これがニューノーマルという言葉の行く末だとすると結構面白い状態に映る。


日経平均11月相場は16年間で9勝。
11月下旬に日経平均株価が急騰する特異日があるというアノマリー。
11月26日、28日、29日に期待という指摘もある。
「11月最終週(※11月の最終営業日を含む週)の日経平均株価プラス」の背景だろうか。
因みにNYダウのここ50年以上の間。
毎年5月にダウに投資をして10月末に売りを続けると資産は80%に減っている。
逆に11月にダウに投資をして、4月末に売る行為を続けていると40倍以上に増えている。
「西暦の末尾が6の年に買って8の年に売る」はラリー・ウィリアムズ氏の言葉だった。
因みに、11月で日経平均のパフォーマンが一番良かったのは22日。
35勝18敗で勝率6.04%。
逆に最悪は7日の29.63%。
あれこれのデータでも11月7日はワーストの日となっている。
11月1日も33%で年間ワースト4位というのはどうも・・・。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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