兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

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2017年06月4週
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06月4週
【推移】

19日(月):
週末のNY株式市場は横ばいの展開。アマゾンのホールフーズ買収報道から一部の小売セクターが軟調。アップルの下落も重石となったがエネルギーセクターが株価の支えとなった。5月の住宅着工件数は前月比5.5%減の109.2万件と昨年9月以来8ヶ月ぶりの水準に落ち込んだ。3市場の売買高は先物決済日の影響もあり97億株と増加。続落は4日までという今年のリズムは変わらず。

週末の日経平均株価は5日ぶりに反発した。6月2日以来の1ドル111円台が効いた形だ。東証一部の売買代金は3兆1900億円と拡大。新高値1377銘柄と戦闘意欲はまだ感じられる。週明けは日経平均2万円台、TOPIX1600ポイント台をキープ。6月9日以来6営業日ぶりの2万円回復。そして4度目の2万円台での大引けとなった。メジャーSQ値19997円も超えた。

日経平均採用銘柄のPERは14.28倍(EPSは1405円)とまだ15倍割れ水準。25日線(19842円)からのかい離はプラス1.1%。4%かい離で20635円だから過熱感はまだない。
課題は2兆円を割れた売買代金の低下傾向。そして東証1部の時価総額の600兆円の壁になってきた印象。もしも600兆円の壁を明確に超えることが出来れば実は1989年のバブル以上に強い相場に遭遇していることになる。

日経平均株価は124円高の20067円と9日以来6日ぶりに終値ベースの2万円台を回復した。東証一部の売買代金は1兆9867億円と5月30日以来の水準。ハイテク関連中心に短期資金の買い戻しを交え、上昇基調が継続した。ソニー、任天堂、コマツ、東芝、資生堂が上昇。野村不、マツダ、丸紅、セブンアイが下落。

20日(火):
週明けのNY株式市場は続伸。NYダウとS&P500ザラ場・終値ベースの史上最高値を更新。NASDAQ指数は1.41%高で昨年11月7日以来の上昇率を記録した。欧州の株価上昇を好感。NY連銀のダドリー総裁は「労働市場の改善が続き、賃金が上がってくればインフレ率はピックアップするだろう」とコメント。インフレ見通しに楽観的と解釈された。上昇率トップはアップルの2.86%。1銘柄でNYダウを27ポイントほど押し上げた。前週末まで3日続落していた反動もあった。アルファベット(グーグル)やフェイスブック、アマゾン・ドット・コムといった代表的なネット関連株も上昇。アマゾンは続伸。一時6月6日に付けた上場来高値を半月ぶりに更新。エヌビディア、AMDなど半導体関連も大幅高。また長期金利低下一服からJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど金融セクターも上昇した。
市場では「攻める企業を好評価。買収合戦の思惑」などの声が聞こえる。

3日連続3ケタの上昇で高値を更新した日経平均株価。後場は伸び悩んだが5週間ぶりにプラスで終わった火曜日。6月2日高値を更新し12日ぶりで年初来高値を更新した。「業績好調が見込まれる銘柄がまず買われ、割安感のある銘柄などにも資金が向かうだろう。
全体の底上げが進む中で、為替感応度の高い銘柄などにも見直し買いが入る展開」という指摘もある。次は2016年6月24日高値10868円(ザラバ2万0952円)。その前に2000年4月の2万0833円という高値もある。「今度は20800円台が目標ライン」という格好だ。

興味深かったのはETFの立会外での大商い。JPX日経400連動の「One ETF JPX400」(1474)。9時52分に5回の約定で総額160万口、金額で233億円。市場では「国内金融機関の買い」との観測。上昇の波に乗り遅れまいとする出遅れ国内勢」との解釈だった。

日経平均株価は162円高の2万230円と3日続伸。6月2日以来、半月ぶりに年初来高値を更新した。また2015年8月18日以来、約1年10カ月ぶりの高値水準を回復した。NY株高やドル円の111円台後半を好感し輸出関連株を中心に幅広い銘柄が上昇。

東証1部の売買代金は2兆5192億円。東証1部の値上がり銘柄数は1532と、全体の76%。村田製、東エレク、三菱電、パナソニック、三菱ケミHD、旭化成、三井化学、任天堂、資生堂、住友鉱、NTT、ファストリが上昇。ソニー、キヤノン、OLC、東ガス、中部電、JR西が下落。

21日(水):
NY株式市場は反落。原油価格の急落でエネルギー株が下落。アマゾンのアパレル事業拡大計画を受けて小売関連セクターも下落した。ダラス地区連銀のカプラン総裁が「追加利上げに慎重になる必要がある」と発言。米景気に対する投資家の警戒感が台頭し下落幅を拡大した。「最近の指標の内容を踏まえると、FRBは過去に比べかなりタカ派的となっている」。そういう認識が市場では支配的になってきた印象。
SOX指数は1074ポイントと下落。ドルは主要通貨に対して上昇。ドル円は一時111.86円をつけ5月26日以来の高値水準となった。

信用買い残は560億円増加し2兆5297億円。信用売り残は339億円減少し9546億円。踏み上げは少しづつ継続している印象。「6月21日上げの特異日」のアノマリーは成立せず。4日続伸の限界を意識したのかどうか水曜の日経平均は4日ぶりの反落。
もっとも上下100円幅の狭いレンジでの小動きに終始。方向感が定まらなかっただけという見方もできる。
「NY市場で原油安が意識されつつあり相場のかく乱要因」。江戸の敵を長崎で討つような解釈も聞かれはじめた。そうではなく「時価総額が明確に600兆円を超えるためには誰が上を買うのか」という方がメインテーマだろう。「火曜が高寄りして伸び悩み。水曜が安寄りしてじり貧。水曜寄りから下放れたことで日足ローソク足の並びは『放れて十字』の捨て子線。陽線・十字線・陰線の組み合わせで『宵の明星』。一般的に売り線」という悩ましい指摘もある。

日経平均株価は91円安の20138円と4日ぶりの反落。NY株安と為替の円安トレンド一服から売り物優勢の展開。ただ後場の値幅50円とこう着感が漂った。東証一部の売買代金は2兆2639億円。トヨタ、村田、パナソニック、日電産が上昇。ソニー、ソフトバンク、ファーストリテ、三菱UFJが下落。

22日(木):
NY株式市場はマチマチの動き。S&P500とNYダウは続落。背景は原油安を嫌気したエネルギー株セクターの下落との解釈。「原油先物相場の軟調展開からインフレについて投資家の懸念が拡大。その結果として銀行株や工業株などの循環銘柄が売られている」という指摘だ。
ただNASDQAQ総合指数は反発。こちらはヘルスケアセクターやハイテク関連セクターの堅調が背景。特にNASDAQ・バイオテクノロジー株指数は4.1%上昇。昨年11月8日のトランプ当選以降の最大の上昇となった。セルジーン、リジェネロンが5%超の上昇。バイオジェンが4.7%上昇した。「トランプ大統領の薬価を抑制する取り組みが予想よりも医薬品業界寄りになりそうだ。そういう報道がヘスルケアセクターへの追い風」という解釈もある。

債券市場では5年債(1.77%)と30年債(2.72%)の金利差が0.95%。2007年12月以来約10年ぶりの水準に縮小。「今週は主な経済指標の発表がないため、FRB当局者の発言に市場の注目が集まっている」。刹那的な面白い解釈が横行するのは市場だ。ドルは主要通貨に対して下落。「株安をきっかけに一部のトレーダーが利益確定のドル売りに動いた」。超目先的解説が幅を聞かせているのも市場の特徴だ。

QUICK調査の信用評価損率は7.76%(前週は8.40%)と本来は買い方イケイケの水準。通常は水曜引け後に発表予定の裁定残は「精査中」とのことで発表延期。この珍しい事態は相場に響くことはなかろうが、理由が気になるところ。続落となった木曜。「この4日間の場中の値動き(終値−始値)を合計すると、約7円のマイナス。陽線は月曜の1日だけ。火曜も小幅に陰線。取引時間中の動きはあまり強くない」という声が聞こえる。
「主力株のほとんどが午後2時過ぎからは午睡の時間となった」という状況。

しかし個別物色意欲は強く、東証2部指数や日経ジャスダック平均、マザーズ指数はそろって年初来高値更新。「JASDAQ平均は5日続伸。30以上の銘柄が年初来高値更新。マザーズ指数も16年5月13日以来、約1年ぶりの1200ポイント回復。昨年4月21日の1226ポイントを上抜けば、10年ぶりの高値圏に浮上する。新興株や小型株は別世界なのか、別次元の相場」という声が聞こえる。

空売り比率の33%台への低下は支えになろうか。日経平均株価は28円安の2万110円と小幅に続落。前日まで下げていた主力株の一角に押し目買いが入った。材料が出た中小型銘柄への物色意欲も旺盛だったとの解釈。

東証1部の売買代金は2兆771億円。村田製、アルプス、ソフトバンク、トヨタ、三菱UFJ、任天堂が上昇。国際石開帝石、日揮、千代建、コマツ、日立建機、東京海上、キリンHD、タカタが下落。

23日(金):
NY株式市場は横ばいの展開。引き続きバイオセクターが上昇し相場をけん引した。特に材料やスケジュールはなく平穏な動き。
日経平均株価は22円高の2万132円と3日ぶりの反発。為替の円安傾向を好感したとの解釈。ただ日中値幅は63円と方向感のない展開だった。22円高は22日の28円安と並ぶ狭い変動幅。任天堂が東証1部全体の8%強の売買代金1630億円で新値追いとなったのが目立った。東芝は8月1日付で2部に指定替えが決定。
225採用銘柄も変更になるとすればEPSの増加に期待が高くなろう。

25日移動平均からのかい離はプラス1,1%。空売り比率は36.3%と落ち着いている。2日遅れで発表された裁定買い残は272億円増と5週ぶりの増加で1兆7072億円。売り残は228億円減と3 週連続減となり653億円。まるでやる気はない売り残だ。

東証一部の売買代金は2兆114億円。任天堂、村田、富士通、アステラス、太平洋セメントが上昇。東芝、資生堂、楽天が下落。

(2) 欧米動向
「NYダウが過去最高値の更新を続ける中、ダウ輸送株は3月1日つけた高値を約3.5%下回る水準で推移。
年初来ではNYダウは8.6%上昇したがダウ輸送株は2.9%の上昇。
両指数の動向にかい離がみられると、株価反転の兆候を示唆している可能性がある。
ダウ輸送株の構成銘柄では航空および鉄道株がプラス圏で推移。
一方、トラック輸送は下落傾向。
宅配大手フェデックスがダウ輸送株を押し上げレンタカーのエイビスが最大の重石。
ダウ輸送株の四半期ベースのローソク足パターンが1999、2008年の動きに似通っている。
これは大幅な下げに転じるリスクの可能性があるということ」という声も聞こえる。
「ダウ輸送株が年初来高値の9639.33を超えることができず
8744.36を下抜けることになれば市場の不安定性を招く恐れがある」という警戒論も出てきた。
これは記憶しておくべきかも知れない。

米下院のライアン議長とトランプ政権幹部は税制改革を年内に実施する意向を表明。
米経済成長が加速するという期待につながった。
ライアン議長、ムニューシン長官、コーン米国家経済会議(NEC)委員長、
マコネル上院共和党院内総務ら6人は、税制改革案の取りまとめを水面下で進めているという。

2016年度の個人株主比率は17.1%。
前年度よりも0.4%減少し過去最低水準。
金額では99兆4667億円。
前年度比9,6%増加したが日本株の上昇率12%を下回った。
株主数は23万人増加。
一方で外国人投資家の保有比率は0.3%増加し30.1%。
2年ぶりの30%台復活となった。
保有金額は174兆7307億円。
前年度比13%の増加。
こちらは純粋に増加した格好。
3割保有の外国人が売買では7割を占める歪な構図の日本株。
これは残念ながらしばらく変わりそうもない。

5月の「海外投資家地域別売買動向」は「欧州」投資家が8883億円の買い越し。
これは4月の6847億円を上回る買い越し規模。
「北米の投資家の買い越しは875億円に過ぎないから、海外勢の主力は完全に欧州。
売買シェアでも75%台を占めて圧倒的。
欧州には産油国資金や年金基金など大きなグローバルファンドの運用拠点がある。
そこからロング系資金が流れ込んでいる」との見方だ。

(3)アジア・新興国動向
MSCIの新興国株指数の見直し結果発表。
中国本土上場の人民元建て株式(A株)を組み入れることになった。
アルゼンチンは新興国株指数への組み入れを見送り。
サウジアラビアの組み入れは今後検討する。
ナイジェリアはフロンティア指数に残る。
中国株の指数組み入れ。
中国本土株に資産管理会社や年金、保険会社から今後10年間で4000億ドル以上の資金流入が見込まれる。
「長期的にみて、中国本土株式市場のさらなる自由化や規制改革があると仮定すれば、
中国株は相当程度の指数ウエートを得ることになるだろう」。
あるいは「MSCI指数への組み入れは市場の開放性を強める強力なシグナルとなる。
そして指数組み入れにより、国際的な投資家の参加を促し、A株市場がより幅広い注目を集める。
国際的な市場参加者の急増により、中国市場のファンダメンタルズが大幅に変化するだろう」。
そんな声が多い。
「今回の指数組み入れ直後には約80億〜100億ドルの資金が流れると予想。
ただ、A株の1日平均出来高700億ドルに比べるとさほど大きな額ではない」というところか。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

26日(月):企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、シカゴ連銀活動指数、独IFO景況感
27日(火):米ケース・シラー住宅指数、CB消費者信頼感
28日(水):米中古住宅販売仮契約
29日(木):株主総会集中日、米1〜3付きGDP確定値
30日(金):失業率、鉱工業生産、消費者物価、米シカゴ購買部景気指数、個人所得、中国製造業PMI

【6月】
24日(土)新月
25日(日)ラマダン終了
29日(木)上げの特異日
30日(金)変化日、通常国会会期末

日経朝刊の「春秋」。
引退を表明した加藤一二三・九段の言葉があった。
「将棋は戦いであると同時に人に感動を与える芸術」。
これは株の世界でも通用するに違いない。
「株は戦いであると同時に人に感動を与える芸術」。
結構シックリする。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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