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森より木を見る相場=犬丸正寛の相場展望

■3月期決算の好調銘柄に集中

 しばらくは、『森を見るより木を見る相場』の展開だろう。ギリシャ問題を内包していることから日米ともマーケット全体は、上値を追い難い状況にある。

実際、NYダウは高値圏で一進一退の展開で、日本のマーケットも日経平均は高値圏で堅調だが、出来高、売買代金とも少なく、「NT倍率」、「売買単価」などの指標も方向感の定まらない展開となっている。

とくに、出来高は3月13日(SQ日)の31.9億株以降、20億株前後の薄商いが続いている。原因は、値ガサ優良株が中心に買われ、物色の裾野が中低位株へ拡がらないためである。今の景気が地方まで広がらないのと同じように、中核的銘柄だけが買われる相場となっている。

こうした中で、足元では、「2月期決算銘柄」の中から好決算を発表した銘柄に買い物が集まる展開となっている。出来高が少ないマーケットでは、出遅れ銘柄を買い上げる力に欠けることから好決算銘柄に一斉に注目が集まる人気となっている。次は、まもなく発表が本格化する、「3月期決算銘柄」に同様の動きが出るものとみられる。

仮に、全般相場が盛り上がるとすれば5月中旬に発表予定の今年1−3月の国内GDP速報値だろう。予想を上回るような好調な数字となれば出来高増加に結びつく可能性はある。

反対に、GDPが芳しくない数字なら、個別買い相場がいっそう鮮明となるだろう。

まもなく、5月連休が始まるが、4月30日(木)と5月1日(金)が連休の谷間に当り、今年も連休の谷間は高いという展開となりそう。ただ、出来高が増えるかどうかは疑問である。

一方、NYダウは1万7500ドル台〜1万8200ドルの保合いが2カ月近く続いている。引き続き利上げの時期と回数を見極める相場のようである。過去最高値1万8288ドル(今年3月2日)に手の届く位置にあるため一時的には高値更新の可能性はあるが、6月が債務延長の期限となっているギリシャ問題を控えており、ギリシャのデフォルト説やユーロ脱退説も伝えられるなど、ユーロ不安を抱えているため高値を更新したとしても高値持続力は乏しいとみられる。

当面はNYダウ、日経平均などの指数を見るより個別銘柄の好決算銘柄を攻撃するのがよいとみられる。

(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)