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【株式・為替相場展望】
中国リスクで弱含みスタートだが、売り一巡して一旦はリバウンド

■8月23日〜28日の株式・為替相場展望

 8月23日〜28日の株式・為替相場は、中国リスクで弱含みのスタートとなるが、売り一巡して一旦はリバウンドの動きが強まる可能性もあるだろう。その後は米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期に対する思惑も交錯してモミ合い展開となることが想定される。

 前週は中国景気に対する警戒感が高まり、特に週後半は世界的にリスクオフ一色の状況となった。日経平均株価は18日から21日まで4営業日続落して合計1184円43銭(5.75%)下落した。米国でもダウ工業株30種平均株価が18日から21日まで4営業日続落して合計1085ドル43セント(6.19%)下落した。

 米10年債利回りは2.0%台に低下し、為替は1ドル=121円90銭台までドル安・円高方向に傾いた。リスクオフのポジション調整、中国・人民元切り下げが新興国に広がる影響、米国の利上げ先送り観測、米利上げ開始後の米景気減速に対する警戒感などが交錯しているようだ。

 そして商品市場の下落も止まらない。WTI価格は一時1バレル39.86ドルまで下落し、リーマンショック後の09年3月以来となる40ドル台を割り込む場面があった。当面は需給バランスの改善が見込めない状況だけに40ドルを巡る攻防となりそうだ。

 前週末21日の米国株が大幅下落し、CME日経225先物(円建て)が1万9000円台を割り込んだことを受けて、週初23日の日本株は軟調なスタートだろう。日経平均株価は1万9000円を割り込む場面もありそうだ。ただし売り一巡して一旦はリバウンドの動きが強まる可能性もあるだろう。

 その後は米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期に対する思惑も交錯してモミ合い展開となることが想定される。9月16日〜17日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ開始という見方が優勢だったが、中国など新興国の景気減速、そして世界的な金融市場の混乱を考慮して12月に先送りとの見方も強まっている。

 また米国株は7年間の上昇相場が終了して調整局面入りしたとの見方も優勢になっているだけに、利上げ開始時期先送り観測で米国株が持ち直すかどうかが焦点となりそうだ。

 国内でも4〜6月期GDPマイナス成長など弱材料ばかりが目立つ状況だ。補正予算による公共投資上積みなど政策発動に対する期待感や、日銀の追加金融緩和に対する期待感も現時点では限定的だ。安保関連法案を巡っての安倍内閣の支持率低下も引き続き懸念要因となる。

 中国景気減速でも訪日外国人旅行客やインバウンド消費への影響は限定的、あるいは原油価格下落は日本経済にとってプラス要因といったポジティブな見方も悲観色に隠れてスポットを浴びない。

 そして国内主要企業の業績についても、第2四半期業績発表時点で通期予想を増額修正するとの見方が引き続き優勢だが、中国など新興国の景気減速が鮮明になってきたことを考慮すれば楽観視できない状況だ。

 株式市場での物色動向としては、中国や新興国の景気減速が警戒される状況だけに、主力の輸出関連やグローバル内需関連で割高な水準に買われていた銘柄には売りが継続する可能性もあるだろう。引き続き好業績・好材料銘柄に対する個別物色が強まりそうだ。中国リスクが落ち着けばインバウンド関連銘柄を見直す動きが強まりそうだ。

 為替に関しては、前週はリスクオフの動きでドル安・円高方向に傾いたが、日米の金融政策の方向性の違いを背景に、大勢としてドル高・円安方向の流れに変化はないだろう。ただし当面は米国の主要経済指標や要人発言も睨みながら利上げ開始時期を巡る思惑が交錯する。米10年債利回りが上昇しない状況が続いているだけに、ドル・円相場もモミ合い展開だろう。

 その他の注目スケジュールとしては、25日の米7月新築住宅販売、米8月コンファレンスボード消費者信頼感指数、26日の米7月耐久財受注、27日の米4〜6月期GDP改定値、28日の日本7月消費者物価指数、米7月個人所得・支出などがあるだろう。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)