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続落 利益確定売り重荷、関税交渉に不透明感
東京株式(前引け)=続落 利益確定売り重荷、関税交渉に不透明感

 
2日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比392円61銭安の3万9593円72銭だった。
きょう前場は主力株を中心に利益確定の売りが続き、日経平均株価は大幅続落となった日経平均の下げ幅は一時500円を超えた。
前日の米国株市場ではNYダウが400ドル高で4連騰と上値指向を強めたが、ナスダック総合株価指数は7日ぶりに反落しており、牽引役を担っていたエヌビディア<NVDA>の上げ足も止まった。これを受けて東京株式市場でも半導体関連株などを中心に利食い急ぎの動きが出ている。また、トランプ米大統領が日本に対し関税の引き上げを示唆するなど強硬姿勢を示しており、これが市場センチメントを冷やす背景となっている。ただ中小型株には強い動きを示すものが多く、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回っている。
 
日経平均は6月末までの5営業日で2100円あまり上昇し、4万円台まで急ピッチで水準を切り上げてきた。この局面で上昇していたアドテストや任天堂などにきょうはスピード調整の売りが出た。市場では「日経平均は2週間ほどかけて3万9000円程度までは調整する余地がありそうだ」との声が聞かれた。
 
日米関税交渉に対する警戒感も重荷だった。トランプ氏は1日、日本との関税交渉について「合意が実現できるか疑わしい」と述べ、「30%か35%か我々が決める数値に応じて(関税を)支払ってもらう」と話した。マツダや日産自などが軟調に推移した。
 
一方、不動産や空運、陸運などには買いが入った。1日に新しい経営ビジョンを示したJR東日本が大幅高となった。アナリストによる目標株価の引き上げがあった大手不動産株も堅調で、日経平均は下げ幅を縮める場面があった。
 
後場の日経平均もマイナス圏で軟調推移となりそうだ。足元で堅調だった半導体関連やゲーム・エンタメ株に売りが出ており、直近の上昇に対する利食い売りやポジション調整の売りは継続しそうだ。また、トランプ大統領が日本との通商協議の合意は困難かつ関税率の引き上げを示唆したことは、引き続き投資家心理の重石となろう。ただ、業種別ランキング上位の陸運や不動産など内需関連には買いが向かっており、東証プライムの値上がり数は54.6%と過度な警戒感は乏しく、一定買い手も存在している。
 


 
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは14.10ポイント安の2817.97だった。JPXプライム150指数も続落で前場を終えた。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆2946億円、売買高は8億9691万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は675。値上がりは889で値下がりよりも多かった。横ばいは61だった。
 
業種別では、その他製品、非鉄金属、機械などが値下がり率上位、空運業、不動産業、海運業などが値上がり率上位に並んでいる。
 
個別ではレーザーテック、ディスコ、アドバンテストなど売買代金上位の半導体製造装置関連株が軒並み下落している。フジクラが大きく値を下げたほか、ソフトバンクグループ、サンリオ、任天堂、日立などが下落した。三菱重工業、IHI、川崎重工業などの防衛関連株も売りを浴びた。このほか、gumi、コナミグループ、芝浦メカトロニクスが安く、過度な再編プレミアム期待などが後退した千葉興業銀行も大きく利食われた。
 
半面、郵船や川崎汽船などの海運株が堅調に推移。ファーストリテイリングがしっかり、ルネサスエレクトロニクスが物色人気。また、ファーストリテ、トヨタ自動車、ソニーグループ、信越化、KDDI、フジ・メディア・ホールディングスが堅調、リクルートホールディングスも頑強。日本コンセプトが続急騰、業績上方修正で減益幅縮小見通しとなったエアトリも値を飛ばした。SBSホールディングス、三井海洋開発などが値上がり率上位となった。