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469円安と大幅続落、米株安受け下値模索続く
東京株式(前引け)=469円安と大幅続落、米株安受け下値模索続く

 
22日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前週末比469円98銭(1.17%)安の3万9593円81銭だった。
 
きょう前場はリスク回避の売り圧力が強まり、日経平均株価は大幅続落。前週末の米国株市場が景気敏感株や半導体関連株などを中心にリスク回避ムードの強い地合いだったことで、投資家心理が冷やされている。今月12日以降は急速に値を崩す展開を強いられ、前週末までの直近5営業日で日経平均は差し引き2000円以上も値を下げていた。そのため売り一巡後は買い戻しや押し目買いも観測されたが、上値も重く戻し切れず、前引けにかけて売り直された。
 
日経平均は下げ幅を500円超に広げる場面があった。中国人民銀行(中央銀行)は22日、実質的な政策金利で優良企業向け融資の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げた。住宅ローン金利の目安とされるLPRも引き下げた。実質的な利下げで景気回復を狙うが、足元の中国景気の低迷があらためて意識された。業績が中国景気の影響を受けやすいとされるオムロンや安川電などが弱含んだ。
 
バイデン米大統領は21日、11月の米大統領選からの撤退を表明し、後継候補としてハリス副大統領を支持すると明らかした。市場では「トランプ氏がこのまま大統領選を優位に進める場合、米中対立の深刻化や、ドル高是正など自国優位の政策をとることが考えられるため、日本企業については楽観できない」といった声が出ている。前週末の米株式市場ではマイクロソフトのシステム障害を受けてハイテク株安が強まった流れもあって、東エレクやアドテスト、TDKなどの下げが目立った。一方、陸運や食料品など「内需ディフェンシブ」と位置づけられる銘柄には逃避的な買いが向かった。
 
為替は1ドル157円50銭台と先週末比では目立った動きはみられず。バイデン大統領の米大統領選撤退に関する為替市場の影響は限定的となっている。一方、株式市場では、先週から続いていたトランプトレードの巻き戻しが見られており、三菱重、川崎重など防衛関連の一角が売り優勢。後場の東京市場は、きつい下げとなっている台湾株が一段安した場合、半導体株などが下げ幅を広げる可能性もあろう。アジア株式市場の動向に警戒したい。

 


 
 
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは前週末比29.83ポイント(1.04%)安の2831.00だった。JPXプライム150指数は続落で前場を終えた。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆6847億円、売買高は7億682万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1294と全体の8割近くを占めた。値上がりは311、横ばいは40だった。
 
業種別では、精密機器、海運業、電気機器、機械、鉱業などが下落した一方、陸運業、水産・農林業、パルプ・紙、空運業、食料品の5セクターのみ上昇した。
 
個別銘柄では、断トツの売買代金をこなしたディスコが値を下げたほか、レーザーテック、東京エレクトロンなど半導体製造装置関連が軟調。HOYA、キーエンス、SMC、信越化などTOPIXコア30採用銘柄の下げが目立ったほか、川崎汽船、商船三井、日本郵船など海運株も売られた。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも冴えない。このほか、太陽誘電、ソシオネクスト、荏原製作所、TDK、アドバンテスト、フジクラが下落した。ミガロホールディングスは急落となった。
 
 一方、JR九州が29年ぶりに運賃値上げを国土交通省に申請したと発表したことが刺激材料となり、JR東、JR西、JR東海がそろって上昇したほか、京王電鉄、小田急電鉄、京成電鉄など私鉄株も買われた。このほか、ティーガイアが値を飛ばし、ギフトホールディングス、コスモス薬品なども大幅高。帝人、イオン、高島屋もしっかりだった。