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続落、様子見姿勢でもみ合う展開
東京株式(前引け)=続落、様子見姿勢でもみ合う展開

10日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前週末比40円06銭安の3万8746円96銭だった。
 
朝方にやや売り先行で始まったものの、その後日経平均は下げ渋る展開となり、前週末終値を上回る水準で推移する場面もあった。ただ、3万8800円台では戻り売り圧力が強まり再び軟化し、結局小幅ながらマイナス圏で前場の取引を終えている。トランプ米政権下での関税政策に対する警戒感が根強いが、下値を売り込む材料も見当たらず先物主導で方向感なくもみ合う地合いが続いている。
個別では好決算発表銘柄に短期筋の買いが向かい、全体相場を支える背景となっている。
 
7日のNYダウ工業株30種平均など主要3指数が下落した。同日発表の1月の米雇用統計を受け、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げが後ろにずれるとの見方から米ハイテク株の下げが目立った。東京市場でも値がさのソフトバンクグループ(SBG)などに売りが出て、日経平均を押し下げた。

トランプ米大統領は日本時間10日朝、米国に輸入される鉄鋼・アルミ製品に25%の関税を課すと明らかにした。トランプ氏は貿易の相手国が米国製品にかけている関税を米国側も同じように課す「相互関税」の導入も検討しているとされ、関税の応酬で世界経済や企業業績を下押しするとの懸念も投資家心理の重荷となった。

石破茂首相とトランプ米大統領が7日に実施した首脳会談は無難に通過したとの受け止めが多かった。トランプ氏の日本への強硬姿勢が強まるとみて株価指数先物などを事前に売っていた海外勢が、イベント通過でショートカバー(売り方の買い戻し)の動きを強めた。外国為替市場の円相場は一時1ドル=152円台まで下落し、このところの円高進行の一服も買い戻しを促した。前場中ごろに日経平均は一時上昇したが、米関税への警戒は根強く、買いの勢いは続かなかった。

主要企業の決算発表が本格化し、良好な業績を材料視した買いは相場の下値を支えた。前週末7日に2025年3月期の営業利益予想の上方修正を発表した太陽誘電が大幅高となった。スマートフォン向けゲーム「Pokemon Trading Card Game Pocket(通称ポケポケ)」が伸び、24年4〜12月期の決算が良好だったディーエヌエは制限値幅の上限(ストップ高水準)まで買われた。
 
後場の日経平均株価は、もみ合い展開が継続しそうだ。
注目されていた日米首脳会談は友好ムードで終えたが、日本が関税対象国になるリスクは拭えず、トランプ関税やドル安円高の加速など外部環境にも振らされて方向性はつかめない。また、中国新興AI「DeepSeek」への過度な警戒感は後退したが半導体株もさえないほか、早期の利上げ観測が強まっているにも関わらず銀行株の動きも重く、柱となる業種が不在となっている。足元で本格化している決算発表は全体では好調なスタートを切っているが、市場は次の展開を見極めたいとするムードが強く、きっかけ待ちの状況が続きそうだ。
 
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは7.41ポイント安の2729.82だった。JPXプライム150指数は続落し、3.92ポイント安の1200.70で前場を終えた。

前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆1564億円、売買高は10億2028万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は812。値上がりは758、横ばいは68だった。
 
業種別では、卸売業、繊維製品、鉄鋼が下落する一方で、その他金融業、パルプ・紙、海運業が上昇した。
 
個別では、三菱UFJや三井住友などの金融株は軟調に推移。ファーストリテ、キーエンス、日立、ソフトバンクグループ、三菱重工業、メルカリなどが下落した。SUBARUや第一三共、三菱商が下げた。ほか、第3四半期累計2ケタ超の営業減益決算となった円谷フィHDや特別調査委員会の調査報告書を受領したサンウェルズが急落。鳥居薬品、メガチップス、高速などが値下がり率上位となった。
 
 一方、ディスコやアドバンテ、東エレクなどの一部半導体関連株、郵船や商船三井などの海運株が堅調に推移。また、トヨタ自動車、任天堂、フジHD、フジクラ、IHI、TDK、村田製、ネクソンなどが上昇した。ほか、10-12月期は期待以上の収益水準になったDeNAがストップ高、第3四半期大幅増益決算を高評価されたぐるなびが急騰。ほか、太陽誘電、東亜建、日本シイエムケイなどが値上がり率上位となった。