小幅続落1ドル安、米財政巡る不透明感
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【市況】小幅続落1ドル安、米財政巡る不透明感 |
22日のNYダウ工業株30種平均は小幅に3日続落し、前日比1ドル35セント安の4万1859ドル09セントで終えた。
米議会下院はこの日朝、トランプ大統領肝煎りの大型減税を盛り込んだ法案を可決。景気浮揚につながる半面、債務膨張が避けられないとの警戒感からダウは取引開始後、方向感を欠いた値動きが続いた。
その後は、米長期金利の上昇が一服したことが好感されたことに加え、前日に大きく下げた反動から安値拾いの買いも入り、ダウの上げ幅は一時200ドルを超えた。ただ、米財政の持続可能性を巡る懸念が改めて意識される中、引けにかけて上げ幅が縮小し、マイナス圏に沈んだ。
米長期金利の指標である10年債利回りは朝方に一時4.62%と2月中旬以来の水準に上昇(債券価格は下落)した。20年債や30年債の利回りは23年以来の高水準を付けた。米連邦議会下院が22日朝にトランプ減税の恒久化を含む減税法案を可決したこと
減税法案については上院で内容が修正される可能性が高い。2025年末に失効するトランプ減税の延長で実質増税が避けられることや、債務上限引き上げの条項を含むことから上院で協議が進展すれば、株式市場では好材料と受け止められる可能性がある。半面、歳入減による米財政悪化や米長期金利の上昇を懸念する市場参加者も多かった。
同日発表の米経済指標が米景気の底堅さを示したことが好感され、ダウ平均は高く推移する場面が目立った。一時は200ドルあまり上昇した。週間の米新規失業保険申請件数は22万7000件と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(23万件)を下回った。S&Pグローバルが発表した5月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値は製造業とサービス業がともに改善した。好不況の境目の50を上回っており、関税政策を巡って不透明感が強いなかでも米経済の成長が続いていることを示した。
10年債利回りは朝高後に前日終値(4.60%)を下回る4.5%台に水準を切り下げた。足元で米長期金利が急激に上昇した後で、米国債の売りは続かなかった。前日は米20年債入札が低調で米長期金利の上昇に弾みが付き、ダウ平均は800ドルあまり下げていた。「金利急上昇で前日はパニック的な株売りが出たが、一夜明けて米債券相場が反発したことは安心感につながった」(シーミス・トレーディングのジョゼフ・セルッジ氏)との声があった。
ダウ平均の構成銘柄ではユナイテッドヘルス・グループやベライゾン・コミュニケーションズ、ホーム・デポが売られた。一方、ナイキやメルク、キャタピラーが上げた。エヌビディアやアマゾン・ドット・コムなどハイテク株の一角も上昇した。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日比53.092ポイント(0.28%)高の1万8925.735で終えた。アルファベットやテスラが高い。

22日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比120円高の3万7040円で終えた。この日は日経平均株価が下落したものの、米株式相場は底堅く推移しており、シカゴ市場では日経平均先物に買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
37040 ( +20 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37075 ( +55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
22日の英FTSE100種総合株価指数は6営業日ぶりに反落し、前日比47.20ポイント(0.53%)安の8739.26で終えた。米国での財政悪化を懸念した前日の米国債相場の下落(金利は上昇)を受け、投資家が慎重姿勢を強めた。一方で前日に下落した米国株相場が22日は底堅く推移しており、相場を下支えした。
最高経営責任者(CEO)が年内に退任すると発表した英豪リオ・ティントをはじめ、資源に売りが優勢だった。指数への寄与度が大きいエネルギーの下げが重荷となったほか、不動産投資信託(REIT)や住宅建設が下げた。半面、航空機エンジン大手ロールス・ロイス・ホールディングス、防衛大手の英BAEシステムズが上昇。通信大手BTグループなど通信が買われた。
FTSEの構成銘柄では、複合企業DCCが4.90%安、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループが4.16%安、酒造大手ディアジオが3.38%安と下げを主導。一方、保険会社ヒスコックスは7.54%高と急伸し、通信大手BTが3.60%高、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスが3.49%高で続いた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
22日のドイツ株価指数(DAX)は6営業日ぶりに反落し、前日比123.23ポイント(0.51%)安の2万3999.17で終えた。米財政悪化を警戒して足元の米国債相場が下落(金利は上昇)傾向にあり、投資家心理を冷やした。
22日発表の景気指標をきっかけに、ユーロ圏景気の不透明感が改めて意識されたのも相場の重荷となった。DAXが前日まで最高値を連日で更新するなど相場水準が切り上がっていたため、利益確定などの売りも出た。
個別では、高級車メーカーのポルシェが4.31%安、医薬大手メルクが2.93%安、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが2.41%安と下落。半面、エネルギー大手シーメンス・エナジーは3.18%高、製薬大手バイエルは2.72%高、コメルツ銀行は1.29%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は続落し、前日比0.58%安で終えた。