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大幅反発740ドル高、対EU高関税延期を好感
【市況】大幅反発740ドル高、対EU高関税延期を好感

27日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、3連休前の前週末23日に比べ740ドル58セント高の4万2343ドル65セントで終えた。
 
トランプ氏は25日、SNSへの投稿で、EUからの輸入品に課税する50%の関税措置を7月9日まで見送ると表明した。米EU双方が貿易交渉の加速に前向きとみられることから、通商摩擦激化による景気下押し懸念が後退。投資家心理の悪化に歯止めがかかり、ハイテクや金融、小売りなど幅広い銘柄が買われた。
 
民間経済指標の改善も相場を押し上げた。コンファレンス・ボードが27日発表した5月の消費者景気信頼感指数は98.0と、6カ月ぶりに上昇。市場では「楽観的ではないが、悲観は少ない」(米地銀)内容との受け止めが広がり、ダウの上げ幅は拡大した。
ダウは23日までの4営業日で1100ドル超下げたため、買いが入りやすい地合いだった。
 
トランプ氏はフォンデアライエン欧州委員長と25日に電話協議し、6月1日に予定していたEUへの関税発動を7月9日まで延期すると表明した。関税強化が貿易摩擦や米経済の減速につながるとの警戒がひとまず薄れたうえ、米国とEUの貿易協議が進むとの期待から、ハイテクや消費関連などを中心に株買いが入った。
 
エヌビディアが3.2%高で終えた。中国向けの新しい人工知能(AI)半導体の発売を計画していると伝わり、材料視された。28日夕には2025年2〜4月期決算を発表する。市場では「好業績を見込んだ先回り買いが入っている」との指摘もあった。

そのほかのダウ平均の構成銘柄では、ナイキが上昇した。アメリカン・エキスプレスやゴールドマン・サックスも買われた。アップルは9営業日ぶりに反発した。半面、ボーイングとユナイテッドヘルス・グループが売られた。

ナスダック総合株価指数は反発した。前週末比461.956ポイント(2.46%)高の1万9199.163で終えた。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が経営に注力する姿勢を改めて示したテスラが6.9%高で終えた。ブロードコムなどの半導体株も軒並み上昇した。
 

【シカゴ日本株先物概況】
27日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前営業日比1495円高の3万8350円で終えた。この日は日経平均株価が堅調に推移し、ハイテク株主導で米株式相場も大幅に上げたため、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが活発となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38350 ( +530 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38375 ( +555 )
 
( )は大阪取引所終値比
 





【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 
27日の英FTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。英国の3連休前にあたる23日に比べ60.08ポイント(0.68%)高の8778.05で終えた。
 
トランプ米大統領が欧州連合(EU)に対する50%関税の発動時期を7月9日へ延期すると表明したことを受け、貿易摩擦を巡る投資家の懸念が和らいだ。米財政悪化への懸念などから前週後半まで上昇傾向にあった米国の長期・超長期金利が前営業日比で低下しているのも、投資家の安心感につながった。
 
英BAEシステムズなど防衛・航空関連、不動産投資信託(REIT)や住宅建設が上げた。エネルギー、製薬株も買われた。一方で英豪リオティントなど資源の一角が下落。電気・ガス供給のナショナル・グリッドなど公益に売りが優勢だった。
 
FTSEの構成銘柄では、投資会社メルローズ・インダストリーズが5.56%高、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が4.53%高、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループが3.17%高と大きく上昇。一方、エネルギー小売り大手セントリカは1.54%安、資源大手リオティントは1.40%安、産金大手エンデバー・マイニングは1.33%安となった。




■ドイツ・フランクフルト株価指数
 
27日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。終値は前日比198.84ポイント(0.82%)高の2万4226.49と4営業日ぶりに最高値を更新した。トランプ米大統領が欧州連合(EU)に対する50%関税の発動時期を7月9日に遅らせると表明したのをきっかけに、貿易問題を巡る米国とEUの対立が激しさを増すとの警戒感がひとまず和らいだ。
 
個別では、通販大手ザランドが5.03%高、分子診断大手キアゲンが2.70%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーが2.59%高と買われた半面、電力大手RWEは1.30%安、エネルギー大手イーオンは1.23%安、高級車メーカーのポルシェは1.14%安で終了した。
 

■フランス・パリ株価指数


フランスの株価指数CAC40は前日比0.01%安と横ばい圏で終えた。眼鏡メーカーのエシロール・ルックスオティカが下落。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなど消費関連の一部銘柄が売られたほか、仏トタルエナジーズが下げた。他方、タレスやサフランといった防衛の関連銘柄が買われた。