兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。

OCN版はコチラ

小幅続落 半導体売られる、先物買いが下支え
東京株式(前引け)=小幅続落 半導体売られる、先物買いが下支え

 
 17日午前の日経平均株価は小幅に続落し、前引けは前日比60円82銭安の3万9602円58銭だった。
 
きょう前場は売り優勢の地合いだった。16日に決算発表を行ったオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング<ASML>が来年の収益成長に懐疑的な見通しを示し、同日の同社株は急落した。東京株式市場では半導体製造装置関連株に対する買い手控えムードが続き、全体相場の重荷となった。
東京株式市場でも東京エレクトロンなどに売りが先行した。
トランプ米大統領によるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任を巡る観測報道を経て、外国為替市場でドル円相場が円高に振れたことも輸出関連株に逆風となった。日経平均は一時290円あまり下落したが、売り一巡後は下値を拾う動きもあった。
 
半導体関連の東エレクやアドテスト、レーザーテクが下落し、3銘柄で日経平均を100円あまり下押しした。
市場では「16日のASML決算発表前にレーザーテクなどの半導体関連株に先回り買いを入れていた投資家の多くは痛手を被ったとみられる。日本時間17日午後の台湾積体電路製造(TSMC)の決算発表を前に慎重な姿勢を強めている」との指摘があった。
 
20日投開票の参院選を巡る不透明感も相場全体の重荷になった。与党の苦戦が伝わるなかで「参院選の結果次第では政治的な空白が発生し、米国の関税に対する日本の交渉力が弱まり、関税率の引き下げが難しくなるとの懸念も根強い」との声があった。
 
後場の日経平均は、様子見ムードが続いてもみ合い展開が続くか。前日の米半導体株の下落を受けて国内の半導体関連株への売りが波及しているが、前場時点のプライム市場の値上がり銘柄数は55.5%となっており、情報・通信業や医薬品などセクターによっては物色が向かっていた。
ただ、20日投開票の参院選情勢における与党苦戦報道や日米関税問題への不透明感は引き続き投資家心理の重しとなっており、腰の入った買いは限定的となろう。そのほか、週末には参議院選挙を挟む3連休が予定されており、週末にかけてのポジション整理の動きが中心となっていきそうだ。
 
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは3.28ポイント(0.12%)高の2822.68だった。JPXプライム150指数は小幅に反発し、1.16ポイント(0.09%)高の1230.99で前場を終えた。

 

 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9379億円、売買高は7億7377万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は646。値上がりは902、横ばいは76だった。
 
業種別では、繊維製品、鉱業、石油・石炭製品などが下落する一方で、その他製品、情報・通信業、医薬品などが上昇した。
 
個別では東京エレクトロンやレーザーテック、アドバンテスト、キオクシアホールディングスといった半導体関連株に軟調なものが目立つ。三菱重工業、川崎重工業、フジクラ、リクルートHD、東レも値下がり。ホンダ、SUBARU、日産自動車が下落し、トヨタ自動車も小安い。海外企業クシュタールが買収提案撤回が明らかとなったセブン&アイ・ホールディングスが大幅安だった。
 
一方、三菱UFJや三井住友などの一部の金融株が堅調に推移。また、サンリオ、日立、ソフトバンクグループ、ソニーグループ、NEC、メルカリなどが上昇した。ほか、舶用エンジンなどの売上増加期待で国内証券が格上げを行った三井E&Sが急騰、gumi、ほくほくフィナンシャルグループ、Sansanなどが値上がり率上位となった。