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ダウ反落 労働市場の減速が重荷
【市況】ダウ反落 労働市場の減速が重荷
 
2日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに小幅に反落し、前日比10ドル52セント(0.02%)安の4万4484ドル42セントで終えた。朝発表の雇用関連指標が米労働市場の減速を示し、米経済の先行き不透明感が重荷となった。一方、関税交渉を巡って米政権がベトナムと合意に達したと発表し、関税に関する市場の懸念が後退した。
 
米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の金融政策の手掛かりを得るため、6月の雇用統計の発表を待っている。米民間雇用サービス会社ADPが2日朝公表した6月の全米雇用報告では、非農業部門の民間就業者数(季節調整済み)は前月比3万3000人減となり、市場予想(9万5000人増=ロイター通信調べ)を大きく下回った。
労働需要の鈍化が米経済の減速を示しているとの見方が重荷だった。ダウは売り先行で始まり、一時140ドル近く下げた。
 
トランプ米政権の大型減税・歳出法案を巡っては、米連邦議会上院が1日に可決した。今後は再び下院で採決するが、財政規律を重視する保守強硬派が多い下院では難航が予想されている。様子見の雰囲気もあった。
 
個別銘柄ではユナイテッドヘルス・グループが5.6%安となり、ダウ平均を下押しした。医療保険のセンティーンが前日夕に、2025年12月期通期の1株利益見通しを取り下げると発表し、関連銘柄に売りが波及した。米議会上院が1日に可決した法案では、メディケイド(公的医療保険)の削減を拡大するとされており、医療保険の事業環境を巡る先行き不透明感が改めて強まった。
 
ダウ平均は上げに転じる場面もあった。トランプ米大統領は2日に自身のSNSに、ベトナムとの貿易交渉が成立したと投稿した。米国が輸入するベトナム製品の関税率は20%、ベトナムを経由して米国に輸出される製品については40%の税率になるとする。これを受け、商品の多くをベトナムで製造するナイキが上昇。4%高で終えた。
 
市場では、「トランプ氏は最終的には物事を安定させる傾向があり、市場は関税を巡って落ち着いた姿勢になっている」との声が聞かれた。大型ハイテク株や金融株を中心に買いが入り、相場を支えた面があった。
 
そのほかの個別銘柄では、トラベラーズやIBMが安かった。半面、エヌビディアやゴールドマン・サックス、シェブロンは買われた。アナリストが投資判断を引き上げたアップルも高かった。
 
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比190.241ポイント(0.94%)高の2万0393.130(速報値)で終え、2日ぶりに最高値を更新した。ブロードコムやアルファベット、オラクルが上げた。テスラは4.9%高で終えた。2日発表の25年4〜6月期の世界の電気自動車(EV)販売台数が市場が警戒していたほど落ち込まなかったことが買い材料視された。
S&P500種株価指数は反発し、前日比29.41ポイント(0.47%)高の6227.42で終えた。2日ぶりに最高値を更新した。
NYダウ 44484.42 ( -10.52 )
S&P500 6227.42 ( +29.41 )
NASDAQ 20393.13 ( +190.24 )
米10年債利回り 4.285 ( +0.043 )
 
NY(WTI)原油 67.45 ( +2.00 )
NY金 3359.7 ( +9.9 )
VIX指数 16.64 ( -0.19 )
 
 


【シカゴ日本株先物概況】
2日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比55円高の3万9715円で終えた。この日はハイテク株の比率が高い米ナスダック総合株価指数が最高値を更新するなど米株式相場が総じて堅調に推移し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
39715 ( -75 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39800 ( +10 )
 
( )は大阪取引所終値比
 




【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 
2日の英FTSE100種総合株価指数は反落し、前日比10.64ポイント(0.12%)安の8774.69で終えた。英国の財政悪化懸念が再燃し、投資家心理を冷やした。英ポンド・英国債とあわせて英国株にも売りが優勢となった。
 
債券市場で英国債利回りが大幅に上昇したことも嫌気され、不動産投資信託(REIT)や住宅建設株が下落した。公益やソフトウエア開発のセージ・グループが下げたほか、ヘルスケアや通信の関連銘柄に売りが優勢だった。一方で石油株が上昇。資源の一角も買われた。
 
英スターマー政権が福祉予算の削減へ向けて提示した改革案が、想定通りの支持を得られていないことが一因となっている。2日には財政規律を堅持する姿勢を示してきたリーブス財務相の進退を巡る臆測まで浮上し、政府債務が一段と膨らみかねないとの警戒が広がった。
 
FTSEの構成銘柄では、資源大手グレンコアが5.06%高、産銅大手アントファガスタが4.59%高、蒸気システム大手スパイラックス・サーコが4.40%高と大きく上昇。他方、住宅大手バークリー・グループは7.88%安、住宅大手パーシモンは6.78%安、金融大手ナットウエストは5.50%安と急落した。





■ドイツ・フランクフルト株価指数
 
2日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前日比116.82ポイント(0.49%)高の2万3790.11で終えた。貿易問題を巡り米国とインドが合意に近づいていると伝わったことなどを材料に、米関税政策を巡る過度な懸念が後退し、投資家心理の支えとなった。
 
個別では、自動車大手BMWが5.02%高、商用車大手ダイムラー・トラックが3.74%高、コメルツ銀行が3.03%高と相場をけん引。半面、不動産大手ボノビアは2.84%安、通販大手ザランドは2.41%安、ドイツ取引所は2.15%安で終わった。






■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は3営業日ぶりに反発し、前日比0.98%高で終えた。