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反落 円上昇や利益確定売りで
東京株式(前引け)=反落 円上昇や利益確定売りで

10日午前の日経平均株価は反落し、前引けは前日比210円67銭(0.53%)安の3万9610円61銭だった。
 
朝方から軟調な展開となり、日経平均は一時270円あまり下落した。前日の米国株市場では米長期金利の低下を背景にハイテク株が買われ、なかでもエヌビディア<NVDA>が上場来高値を更新し、世界で初めて時価総額が一時4兆ドル台を突破した。これを受け、きょうの東京市場も半導体関連株を中心に好調地合いが想定されたものの、この流れを引き継げず寄り付きから売り優勢の展開に。
引き続きトランプ関税への懸念が拭えないなか、米金利低下を受けて外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半に上昇し、歩調を合わせた海外短期筋などによる株価指数先物への売りが先行した。足元の一方的な相場上昇を背景とした利益確定売りや、上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ換金売りの観測も重荷となり、日経平均の下げ幅は一時270円を超えた。
 
トランプ米大統領は9日、8カ国に対して新たな相互関税の税率を通知し、ブラジルには従来の5倍となる50%の税率を適用すると表明した。米関税政策による世界景気への悪影響が改めて警戒され、売りを促した面もあった。7月下旬には2025年4〜6月期の決算発表が本格化する。市場では「前年同期に比べて円高・ドル安が進み、前期業績を押し上げた円安効果は?落する可能性が高い。製造業を中心にさえない決算内容となりそう」との見方も足元の強気ムードに水を差した。
 
アドバンテストが株式分割考慮後の上場来高値を連日で更新するなど、値がさの半導体関連株の一角には買いが入り、相場全体を下支えした。前日の米株式市場で半導体大手エヌビディアは世界で初めて時価総額が一時4兆ドル(約590兆円)台に乗り、ナスダック総合株価指数は最高値を更新した。きょうの東京株式市場でも関連銘柄には米ハイテク株高を好感した買いが波及した。
 
後場の日経平均株価は、軟調もみ合い展開が継続か。東証33業種中29業種が下落するなど、幅広い銘柄が軟調に推移しており、市場には積極的に買い進む材料が乏しい。20日の参議院選挙に対する懸念も投資家心理の重しとなっているとの指摘もあった。ただ、ここから国内企業の3-5月期決算発表が増えることから、好業績・好決算企業への物色意欲が株価下支え要因になるとの見方もあるため、下げ幅を広げる展開も想定しにくいだろう。
 
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは18.87ポイント(0.67%)安の2809.29だった。JPXプライム150指数も反落した。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆63億円、売買高は8億3365万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1028。値上がりは524、横ばいは74だった。
 
業種別では、石油・石炭製品、鉱業、その他製品などが下落する一方で、パルプ・紙、証券・商品先物取引業、倉庫・運輸関連業などが上昇した。
 
個別では、東京エレクトロンやレーザーテック、KOKUSAI ELECTRICが軟調。トヨタ自動車、三菱重工業も安い。三菱UFJや三井住友などの一部の金融株が軟調に推移。任天堂、日立、ソニーグループが値を下げ、良品計画、東京電力ホールディングスも売りに押された。ほか、業績上方修正も市場予想に届かず出尽くし感優勢となったSHIFTが大幅安、キオクシアホールディングス、ニコン、イオンなどが値下がり率上位となった。
 
半面、ディスコが大幅高。アドバンテス、ソシオネクストなどの一部の半導体関連株が堅調に推移。フジクラ、IHI、川崎重工業、ソフトバンクグループ(SBG)、楽天グループはしっかり。ほか、第1四半期は想定以上の大幅増益となった古野電気が大幅高、GMOインターネット、WOWOW、ラクト・ジャパンなどが値上がり率上位となった。