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269円安と続落 3万9000円割れ、半導体関連に売り膨らむ
東京株式(大引け)=269円安と続落 3万9000円割れ、半導体関連に売り膨らむ
【大引け概況】

17日の日経平均株価は続落し、終値は前日比269円11銭安の3万8911円19銭と、この日の安値で終えた。日経平均が節目の3万9000円を終値で下回るのは8日以来およそ1週間ぶり。
 
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前日の米株高を受けリスク選好ムードのなかで取引が始まり、日経平均は3万9000円台前半で強調展開をみせたが、ほどなくして値を消す格好となった。前日の米国株市場では金融大手の好決算を背景に銀行株や景気敏感株を中心に買い戻す動きが優勢で、NYダウは2日ぶりに最高値を更新。この流れを東京株式市場も引き継ぐかに見えた。
しかし、買い一巡後に半導体セクターの上値の重さが確認されたことで、全体相場は総じて見送られる地合いに変わった。午後に発表されたTSMC<TSM>の決算は想定以上に好調な内容だったが、半導体関連株をはじめいったん下げ渋ったものの相場の流れを変えることはできなかった。
 
15日に25年12月期通期の売上高見通しを下方修正したASMLは16日に決算説明会を開催。中国向けの半導体需要の減速懸念に加え、スマートフォンやパソコンなど民生機器向け需要の弱さが改めて意識された。16日の米市場でASMLのほか、半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)などが下落したこともあって、日本の半導体製造装置株に売りが波及した。
 
TSMCが17日に発表した24年7〜9月期決算は生成AI(人工知能)向け先端半導体の販売が好調で総じて良好な内容だったが、市場では織り込み済みとの見方も多く、積極的に買い材料視する動きは限られた。17日午前に中国当局が記者会見を開き、追加の不動産支援策について発表した。ただ期待したほどの内容ではなかったとの受け止めから、上海総合指数が一時下げに転じるなど、中国株がさえない動きとなっていることも重荷だった。
 
外国為替市場で円相場は1ドル=149円台で推移し、前日夕時点に比べて円安・ドル高方向に振れる場面が目立った。自動車関連など主力の輸出関連株の一角には輸出採算の改善を期待した買いが入った。16日の米株式市場で市場予想を上回る決算を発表した金融株が買われた流れを引き継ぎ、きょうの東京市場で銀行株が買われたことも相場全体を下支えした。
 
TSMCの決算では織り込まれている面はあるだろうが、ASMLホールディングが急落する中で投資家の関心が集まっていた。米国市場で評価されるようだと、改めて押し目待ち狙いの動きに向かわせそうだ。日経平均は安値引けとはなったが、日中はほぼ39000円を挟んだ狭いレンジでの推移であり、仕掛けて的な売買は入りづらいところである。なお、国内では引け後に決算を発表するディスコがアク抜けの動きをみせてくるかが注目されそうだ。
 


 

東証株価指数(TOPIX)は続落した。終値は2.83ポイント(0.11%)安の2687.83だった。JPXプライム150指数も続落し、4.52ポイント(0.37%)安の1203.90で終えた。
 
東証プライムの売買代金は概算で3兆7538億円、売買高は16億3220万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1026。値上がりは559、横ばいは59だった。
 
業種別株価指数(33業種)は精密機器、非鉄金属、化学などが下落。上昇は電気・ガス業、海運業、銀行業など。
 
 
個別では、米半導体株安が影響し、売買代金首位のレーザーテックが引き続き軟調なほか、ソシオネクスト、ディスコ、東京エレクトロン、KOKUSAI ELECTRIC、TOWAなど半導体製造装置関連株への売りが目立った。前日しっかりだったアドバンテストも売られた。また、フジクラ、古河電工など電線関連も弱い。キーエンスが売られ、ファーストリテイリングも軟調。SHIFTも安い。MonotaROが下落、バンダイナムコホールディングスも安い。
このほか、ZOZO、HOYA、キーエンス、TDK、レゾナックHDがさえない。
 
半面、三菱重工業、IHIなど防衛関連の一角が頑強。米銀行の好決算を材料に、千葉銀行、野村HD、三菱UFJ、みずほFG、しずおかFGなど金融株が上昇した。ソフトバンクグループ(SBG)も買いが優勢、日立製作所も上昇した。トヨタ自動車、SUBARUも底堅さを発揮、国内証券会社のレポートや原子力規制委が50年超の原発運転を認可したことなどから東京電力ホールディングスをはじめ中部電力、関西電力など電力株が一斉高に買われ、そのなか九州電力の上げが目立つ。このほかダイレクトマーケティングミックスが大幅高、ガンホー・オンライン・エンターテイメントも値を飛ばした。このほか、太平洋セメント、日本郵船、日本製鋼所などが買われた。