ダウ続落699ドル安、半導体株に売り
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【市況】ダウ続落699ドル安、半導体株に売り |
16日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比699ドル57セント安の3万9669ドル39セントで終えた。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日の講演で、トランプ米政権の高関税政策が影響し、FRBが掲げる物価安定と雇用最大化の目標達成から「遠ざかる」と明言した。景気先行き不透明感が強まる中、様子見姿勢を続ける考えを表明。利下げ再開が遅れるとの見方から、金融やハイテクなどの銘柄の売りに拍車がかかり、ダウの下げ幅は一時1000ドルに迫った。
ダウの下げを主導したのは米半導体大手エヌビディアだ。中国向け人工知能(AI)半導体が米政府の輸出規制対象となったことが嫌気され、同社株は約7%下げた。投資家心理の悪化で他のハイテク銘柄にも売りが波及し、ナスダックも急落した。
エヌビディアが6.8%安で終えた。中国向けに性能を落として設計した人工知能(AI)半導体「H20」が米政府の輸出規制の対象になったのに伴い、2025年2〜4月期に最大55億ドルの費用を計上すると15日夕に発表した。嫌気した売りが膨らんだ。ダウ平均の構成銘柄ではないが、同様に対中輸出規制に関連した費用計上の可能性を発表したアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も大幅に下げた。
オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが16日に25年1〜3月期決算とあわせて公表した新規受注額が大幅に下振れしたことも半導体関連株の売りにつながった。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は4%あまり下げた。
パウエルFRB議長は16日の講演で、「当面は政策スタンスの調整を考える前により明確になるのを待つのに良い状態にある」と述べた。米政権の関税政策による景気悪化懸念があるなかで、「様子見の姿勢を示したことが株売りを誘った」との指摘があった。
朝発表の3月の米小売売上高は前月比1.4%増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(1.2%増)を上回った。関税引き上げをにらんだ駆け込み消費に加え、好天に恵まれたことなどが寄与した。市場では、今後の消費の落ち込みへの警戒が根強く、株式相場を支える材料にならなかった。
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、アップルやマイクロソフトといったハイテク株が下げた。アムジェンやスリーエム(3M)も売られた。半面、朝に発表した四半期決算が市場予想を上回ったトラベラーズが上昇した。ボーイングも高かった。
ナスダック総合株価指数は大幅続落した。前日比516.008ポイント(3.06%)安の1万6307.160(速報値)で終えた。ブロードコムなどの半導体株のほか、テスラやメタプラットフォームズが売られた。

16日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比655円安の3万3835円で終えた。この日は日米で株式相場がともに下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
33835 ( -85 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
33950 ( +30 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
16日の英FTSE100種総合株価指数は5日続伸し、前日比26.48ポイント(0.32%)高の8275.60で終えた。安く推移する時間帯が長かったものの、米株式相場で主要な株価指数が下げ幅を縮める場面があり、FTSE100種指数も取引終了にかけて水準を切り上げた。
貿易摩擦や関税を巡る米中の対立が世界の景気や企業収益の逆風になるとの警戒感は、投資家心理の重荷だった。英シェルなどエネルギーが買われた。公益や不動産関連、日用品の英ユニリーバが上昇したほか、資源株も上げた。他方、16日に2025年12月期の業績見通しを下方修正し、自社株買いの中止も公表した配送のブンズルが急落した。航空機エンジン大手ロールス・ロイス・ホールディングスなど資本財の関連銘柄が下げた。
FTSEの構成銘柄では、産金大手エンデバー・マイニングが6.43%高と大きく買われ、石油大手シェルが2.66%高、食品・小売り大手アソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズが2.61%高で続いた。他方、流通大手バンズルは25.60%安と急落。生命科学分野などの専門的商品・サービスを提供するディプロマは3.43%安、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループも3.30%安と下げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
16日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸し、前日比57.32ポイント(0.26%)高の2万1311.02で終えた。好決算を発表した銘柄に買いが入り、指数を支えた。もっとも貿易摩擦が世界の経済や企業収益を下押ししかねないとの警戒感は強い。DAXは前日比で安く推移する時間帯が目立ったが、取引終了にかけて水準を切り上げ、上昇に転じた。
個別では、16日公表した2025年1〜3月期決算で売上高などが市場予想を上回った医療機器のザルトリウスが10.22%高、コメルツ銀行が2.07%高、エネルギー大手イーオンが1.95%高。半面、化学品商社ブレンタークは1.75%安、分子診断大手キアゲンは1.33%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは0.96%安で終了した。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は小幅ながら3営業日ぶりに反落し、前日比0.07%安で終えた。フランスの電機大手シュナイダー・エレクトリックや高級ブランドのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンといった時価総額が大きい銘柄に売りが出て、指数の重荷となった。自動車関連や、スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスも下げた。トタルエナジーズ、金融のBNPパリバや、仏エルメス・インターナショナルは上昇した。