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213円高と続伸、買い一巡後は伸び悩み
東京株式(前引け)=213円高と続伸、買い一巡後は伸び悩み

 
29日午前の日経平均株価は続伸し、午前終値は前日比213円98銭高の3万8819円51銭だった。
 
朝方は売りに押される展開だったが、その後はじりじりと水準を切り上げた。前日の米国株市場ではNYダウが6日ぶりに反発に転じたほか、ナスダック総合株価指数は一時史上最高値圏に突入するなど強い動きで、これを受けて東京株式市場でもリスク選好の地合いとなった。日米の金利上昇が顕著となるなか、株式の相対的な割高感は高まっているものの、徐々に本格化する企業の決算発表への期待感が買いを引き寄せている。
前日に続き半導体関連の主力銘柄が買いを集め、日経平均に押し上げ効果をもたらしている。
 
27日投開票の衆院選で与党が大きく議席を減らし、日本の政治の不透明感が高まるとみて株価指数先物などを事前に売っていた海外勢が、選挙通過で買い戻す動きがこの日も続いた。日経平均は前日に大幅高となった反動で朝方は100円あまり下げたが、下値の堅さを意識した買いで持ち直した。
 
衆院選で自民党と公明党の連立与党の議席数が過半数割れとなった。自民党と公明党は特別国会での首相指名選挙をにらみ、国民民主党などとの連携を探っている。国民民主の玉木雄一郎代表は28日のBS日テレ番組で、自民党との連携を巡って「幹事長レベルで接触していると報告を受けている」と明らかにした。打診があれば石破茂首相とも「会う用意がいつでもある」と語った。
 
玉木氏は政策分野ごとの連携を否定していない。自民党と公明党は少数与党のままで予算案や重要法案といった案件ごとに与野党が合意する「部分(パーシャル)連合」による政権運営を模索しているとされる。
 
市場関係者は「11月に開かれる特別国会での首相指名選挙で勝つためには国民民主などとの協力が欠かせない」と指摘。同党が掲げる消費税の減税や、社会保険料の軽減といった消費者の手取りを増やす政策を取り込んで実現すれば「消費が増えて国内景気や企業業績の底上げにつながるとの期待が株買いを後押ししている」との見方も示す。
 


 
後場は、一段高で日経平均39000円台回復を見たいところだが、選挙結果を警戒した売り方の買い戻しが昨日、今日の上昇の原動力と考える。日経平均3万9000円台回復は、欧州経由の外国人投資家による売りポジション解消次第だろう。
 
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは21.54ポイント(0.81%)高の2679.32だった。JPXプライム150指数は続伸し、7.83ポイント(0.65%)高の1206.26で前場を終えた。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆8715億円、売買高は8億2555万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1197。値下がりは401、横ばいは48だった。
 
業種別では、銀行、証券・商品先物取引、保険、その他金融、非鉄金属などが上昇した一方、ガラス・土石、金属、精密機器の3セクターのみ下落した。
 
個別では売買代金トップのディスコが買われ、三菱重工業も堅調。好決算を発表した日東電やさくらインターネットは大幅高となった。足元さえなかったIHI、川崎重工業、三菱重工業など防衛関連銘柄が買われたほか、三米金利上昇を受け、菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほ、三井住友FGなどメガバンクが高く、第一生命HDや東京海上などの保険株が買われた。東京地下鉄もしっかり。日本ペイントホールディングス、マネックスグループなども値を飛ばした。このほか、古河電工、エムスリー、コニカミノルタ、フジクラ、アステラス製薬などが買われた。
 
一方、中国事業が落ち込んだことで最終減益見通しを発表したTOTOが大幅安となったほか、オムロン、オークマ、ファナックなど中国関連銘柄の一角も売られた。前日の大幅高の反動が先行し中外製薬が売られた。このほか、LITALICOが急落、マクニカホールディングス、コクヨ、トクヤマ、キリンHD、スズキ、高島屋などが下落した。