231ドル高と反発、インフレ鈍化が支え ナスダック最高値
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【市況】231ドル高と反発、インフレ鈍化が支え ナスダック最高値 |
16日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比231ドル49セント高の4万4254ドル78セントで終えた。同日発表の物価指標がインフレの鈍化を示し、買い安心感が広がった。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が決算発表をきっかけに大幅高となり指数を押し上げた。
米CBSテレビがこの日、トランプ氏が15日の与党・共和党議員との会合でパウエル氏を解任すべきかどうか尋ねたと報じたほか、米ブルームバーグ通信もトランプ氏が近くパウエル氏を解任する可能性が高いと伝えた。FRBの独立性が脅かされるとの懸念から売りが膨らみ、株価は昼前に急落。ダウ平均の下げ幅は一時260ドルを超えた。
ただ、トランプ氏はすぐに記者団にパウエル氏解任を「計画していない」と明言し、「可能性が非常に低い」と火消しに走った。市場の不安が和らぎ、幅広い銘柄が買い戻された。
朝方発表された6月の米卸売物価指数(PPI)は前月比横ばいと、市場予想(ロイター通信調べ)の0.2%上昇を下回った。前日発表の物価指標をきっかけに、トランプ政権の高関税政策によるインフレ再燃懸念が高まったが、この日はやや後退。相場を下支えした。
市場では「この傾向が続けば米連邦準備理事会(FRB)は今年の後半に利下げする可能性が高い」との指摘があった。
J&Jが6%高で終えた。2025年4〜6月期の決算発表と同時に25年12月期通期の収益見通しを上方修正し、好感された。アムジェンやメルクなど他のヘルスケア関連株も買われ、ダウ平均を押し上げた。
個別ではキャタピラーやビザ、ウォルト・ディズニーも上昇した。半面、アマゾン・ドット・コムやシェブロン、ホーム・デポは下げた。
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前日比52.691ポイント(0.25%)高の2万0730.491(速報値)で終え、連日で最高値を更新した。テスラが上昇した。半面、半導体株への売りが目立った。オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが決算発表時に26年の成長は保証できないとの見方を示し、関連株に売りが出た。

16日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比50円安の3万9565円で終えた。この日は日経平均株価が小幅に下げ、シカゴ市場の日経平均先物にも売りがやや優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39565 ( -25 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39610 ( +20 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
16日の英FTSE100種総合株価指数は小幅に続落し、前日比11.77ポイント(0.13%)安の8926.55で終えた。前日終値を上回って推移する場面が目立ったものの、米国での政治的な圧力が米連邦準備理事会(FRB)の独立性を揺るがしかねないとのリスクが改めて意識されると米国株相場が水準を切り下げる場面があり、英FTSE100種指数も下げに転じた。
16日発表された6月の英消費者物価指数(CPI)で上昇率が市場予想ほど鈍化せず、英国での利下げが進みにくくなる可能性が意識されたことも重荷だった。不動産投資信託(REIT)や住宅建設が下げたほか、石油や資本財関連の一角が売られた。一方でたばこや通信、公益など景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄の買いが優勢だった。
FTSEの構成銘柄では、建機レンタルのアシュテッド・グループが2.58%安、特殊化学品大手クローダ・インターナショナルが2.33%安、広告大手WPPが2.07%安と下げを主導。一方、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループは3.39%高、保険会社ヒスコックスは2.58%高、同業ビーズリーは1.45%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
16日のドイツ株価指数(DAX)は5日続落し、前日比50.91ポイント(0.21%)安の2万4009.38で終えた。米金利の先高観測や、米関税政策を巡る警戒感が根強い。米国で政治的な圧力が米連邦準備理事会(FRB)の独立性を揺るがしかねないリスクが改めて意識されたことも、投資家心理を冷やした。
個別では、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が3.81%安、化学大手BASFが2.91%安、高級車メーカーのポルシェが2.79%安と下落。半面、ミュンヘン再保険は1.89%高、コメルツ銀行は1.03%高、製薬大手バイエルは0.99%高となった。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は4日続落し、前日比0.56%安で終えた。15日に2025年12月期の業績見通しを下方修正した自動車大手ルノーが前日比18%安と急落し、指数の重荷となった。