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小幅続伸 米中融和期待、戻り売りが重荷
東京株式(前引け)=小幅続伸 米中融和期待、戻り売りが重荷

 
12日午前の日経平均株価は小幅に続伸し、午前終値は前週末比16円47銭高の3万7519円80銭だった。
 
朝方買い優勢で日経平均は200円程度上昇してスタートしたが、その後は漸次上げ幅を縮小する動きとなった。前引けはわずかに高く引けたものの前場取引における安値引けとなっている。
半導体関連が買われ全体指数に押し上げ効果をもたらしたが、トランプ米大統領が自身のSNSで米国での薬価を大きく引き下げる大統領令に署名することを明らかにしたことを受け、医薬品セクターが売り込まれ、市場センチメントを悪化させた。値上がり銘柄数は全体の53%を占めるにとどまり、TOPIXは小幅ながらマイナス圏で着地した。
 
米中両政府は関税を巡る初めての閣僚級協議を日本時間12日未明までスイスで開き、出席したベッセント米財務長官は米メディアなどに「確かな進展があった。協議は生産的だった」と語った。進展期待から株価指数先物に買いが入った。石油や海運など景気敏感株の上昇が目立った。ただ、12日にも公表する米中協議の詳細を見極めたいと、買いの勢いは力強さを欠いた。
 
トランプ米大統領は日本時間12日朝、自身のSNSで米国での医薬品価格を大幅に引き下げる大統領令に署名すると明らかにした。薬価は30〜80%引き下げられる可能性があるといい、武田やアステラス、大塚HDなど医薬品株には収益下押し懸念の売りがかさんだ。
 
後場の日経平均株価は、上値の重い展開が継続するか。戻り待ちの売りに押されるなか、今週企業決算発表のピークを迎えるため、様子見ムードが広がろう。また、医薬品関連の軟調推移が本日は相場の重石となりそうだ。ただ、外部環境の改善によって国内の投資家心理も改善が進む状況下で、大型株物色が強まれば日経平均やTOPIXの一段高も期待できる。日経平均は上向きに転じた25日移動平均線との乖離率もいまだ小さく、好業績や株主還元策の拡大などを発表した銘柄を中心に動向を見守っておきたい。


 
 
東証株価指数(TOPIX)は小幅に反落した。前引けは2.20ポイント(0.08%)安の2731.29だった。前週末まで11日続伸していたため、利益確定売りが優勢だった。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆2740億円、売買高は9億8964万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は864。値下がりは700、横ばいは68だった。
 
個別では川崎重工業が大幅高川崎汽船、商船三井などの海運株が堅調に推移、ディスコ、アドバンテスト、レーザーテックなど半導体製造装置関連も買われた。ソニーグループ、トヨタ自動車、IH、Iフジクラも堅調、ソフトバンクグループもしっかり。アネスト岩田、クレスコなどがストップ高。三十三フィナンシャルグループも値幅制限いっぱいに買われた。高速も急騰した。
 
一方、米国での薬価引き下げを懸念して武田薬や中外製薬などの医薬品株が軟調。また、任天堂、日立、パナHD、リクルートHD、NTTデータ、三菱重工業などが下落した。そのほか、第4四半期は市場予想下振れ着地で出尽くし感が先行したディー・エヌ・エーが大幅安、ゲオホールディングス、コーセー、クオールホールディングスなどが値下がり率上位となった。